凝視する男性の心理,された時の対処法
皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「凝視された時の対処法」です。
相談者
26歳 女性
お悩みの内容
私は今男性が多い職場で働いています。女性が目立つので、視線を感じます。特に1人の男性が、じっとこちを見ていることがあり、怖い気持ちがあります。
仕事で話すときも視線を外すことがないのでコミュニケ‐ションしにくいです。凝視をする人の心理と対策を知りたいです。
まじまじと見られると、恐怖心が出てきますよね。凝視をする人の心理はどのようになっているのでしょうか?心理的な意味と対策について解説していきます。
凝視と心理学研究
まずはじめに凝視についての心理学的な研究を把握していきましょう。
2秒以上で凝視と感じる
アイコンタクトは2秒以上で、不快感を与えることがわかっています。深山ら(2002)[1]は、凝視時間(0.5秒・1秒・2秒)と有効度について調査を行いました。
結果は以下の通りです。
グラフから、友好度を高める凝視時間は0.5秒から1秒と分かります。そして凝視時間が1秒を超えて2秒に近づくと、友好度が下がることも読み取れます。
相談者の方は2秒以上じっと見られいると思われます。不快を超えて恐怖心になっているのもうなずけます。
理由なき凝視は不快
凝視と感じるかは内容によっても変わってきます。例えば、
重要な話をしている時
秘密を打ち明けている時
告白をしている時
これらの内容であればそこまで問題はないでしょう。しかし、
そもそも会話をしていない時
気がつくと凝視をされていた
軽い内容の話でも絶えず目を見てくる
このような場合は不安を感じやすくなります。
凝視される原因と対策
凝視をしてくる人はどのような心理状態なのでしょうか。実は原因は全く異なります。大きく分けると4つのケースが考えられます。
① 本音を探ろうとしている
② 過剰なアイコンタクト意識
③ 認知症,知的な問題
④ 性的な対象として見ている
それぞれ原因と対策をセットでお伝えします。
本音を探ろうとしている
原因
人は相手の本音を探ろうと考えるときに相手の目を凝視する傾向があります。好きな異性の気持ちを確かめる時、嘘をついたときにばれていないか探ろうとしている時、などがあてはまります。
対策
相手が本音を探ろうとしているときは、何らかの意図を読み取り、その意図に即した行動をとるようにしましょう。例えば、異性が「今度合コンにいくんだ…」と言ってあなたの目をじっとみてきたとしまう。
これはあなたの反応をうかがっているのです。言い換えると、あなたに好意を持っていて、どんな気持ちになるか確かめようとしているのです。
もしあなたがその人に好意を持っているならば、「そっかあ…ちょっとショック」と告げるといいでしょう。お互いの自己開示が始まり、カップルになれるかもしれません。
これは一例です。相手が本音を探ろうとしているときはその心理的背景に即したあなたの判断が求められるのです。
②過剰なアイコンタクト意識
原因
2つ目は過剰なアイコンタクト意識を持っている方です。コミュニケーション本などを読んでアイコンタクトの重要性を真に受けてしまい、じっと目を見る癖をつけていることがあります。
このケースは根底に社交不安障害を持っていることもあります。人が怖いがゆえに、克服しようとアイコンタクトを過剰に意識してしまうのです。
対策
過剰なアイコンタクト癖がある方と会話をする場合、短期的な関係であればそこまで問題にはならないですが、長期的な関係になりそうな場合は、思い切って相手に、話しにくい旨を伝えると良いでしょう。
その際は、「ちょっと話しにくいかも…」と主語を「私」にしてアイメッセージで伝えるのがコツです。相手を傷つけない言い方については以下のコラムを参照ください。
相手を傷つけない言い方-アイメッセージ
③認知症のケースも
原因
高齢になるにつれて、凝視する癖がついてきている方は認知症がはじまっている可能性があります。特に高齢の方からの凝視は、まったく悪気はなく、脳の問題である可能性があります。
対策
高齢の方のケースで、もしあなたがご家族であれば、一度精神科の受診を本人と一緒に行ってあげるといいでしょう。
④性的な対象として見ている
原因
特に若い女性で、まったく関係のない異性から、道すがらに凝視をされるときなどは、性的対象として見られている可能性が高いです。通常であれば、0.5秒程度で相手が気恥ずかしくなって目線を外すものです。
一方であなたが目を合わせても、じっと見続けている場合は危険な兆候と、判断したほうが良いかもしれません。
対策
異性からの異常な凝視に遭遇したら原則として早めにその場から離れるようにしましょう。自意識過剰と思われても仕方がないのですが、身を守る意識を持つようにしましょう。
まとめ
今回は凝視をテーマに解説してきました。いかがでしたか。凝視される原因は様々です。思い当たる項目があったら対策をぜひ試してみてくださいね。
ここからは発展編です。凝視と関連するコラムを紹介させて頂きます。興味がある項目についてリンク先で学習してみてください。
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連