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虚無感とは何か?心理学的な意味,原因と対処法

虚無感とは何か?心理学的な意味,原因と対処法

はじめまして!公認心理師の川島達史です。今回のテーマは

「虚無感」

です。


改善するお悩み
・虚しい気持ちが続いている
・やる気がでない
・心にぽっかり穴が空いた感じ

全体の目次
入門①虚無感と学習性無力感
入門②モラトリアム
入門③精神疾患
発展 生きがいUP法
発展 人間関係を充実させる
発展 生活リズムを整える
助け合い掲示板

入門①~③を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

「虚無感」とは?心理学的意味

心理職としてよく見る虚無感には以下の3つのタイプがあります。まずは以下の図を概観してみてください。


虚無感

強調しておきたいのが、この3つのタイプを間違えると、悪化してしてしまうこともあるということです。上記の学習性無力感の虚無感と、モラトリアム型の虚無感の対応の仕方がほぼ真逆です。

WEB上では一律に扱っているサイトも多いので非常に危険な状況です。まずは、それぞれを理解するところから始めていきましょう。ご自身の虚無感と照らし合わせながら確認してみてください。

入門① 学習性無力感と虚無感

・努力をしても結果が出ない
・何をやっても否定される
・挑戦してもどうせうまくいかない…

このような感覚がある方は、学習性無力感型の虚無感の可能性があります。

虚無感学習性無力感

学習性無力感とは

心理学者のセリグマンは、「何をやっても無駄で虚しい」と感じると、だんだんその状況を打開することをあきらめてしまうと主張しています。

こうした症状を学習性無力感と名付けました。言い方を変えれば、「どうせ何をやっても無駄でやるだけ無駄だ・・・」という虚しい考え方と言えます。

挫折続きに注意

ミハイ・チクセントミハイは自分の「スキル」やタスクの「難易度」によって、無気力になりやすくなることを示唆しています。以下の図を眺めてみてください。

上図の左上のゾーンは自分自身のスキルが低く、かつ難しい課題を行っている状態です。このような状態ではやる気が出ず、学習性無力感が起こりやすいとされています。

特に自分は何をやってもうまくいかない…もう努力するのも限界だ…という感覚がある方はこのタイプの虚無感にあたります。

*改善策 学習性無力感の場合の対策は、タスクの見直し、目標の再設定などがあげられます。後ほどじっくり対策を練っていきましょう。

入門② モラトリアム型

・目標がなく無気力
・やりたいことがみつからない
・仕事を引退,子育てが終わってしまった
このような感覚がある方は、モラトリアム型の虚無感の可能性があります。

虚無感モラトリアム

モラトリアムとは何か?

モラトリアムとは社会生活を送る中で自分らしさがわからなくなり、身が入らない期間を意味します。

フローの図で説明すると、右下の「退屈」はモラトリアムになりやすく、虚無感が増えやすいエリアになります。

充実感がない

モラトリアム期間は、家族との死別、受験が終わる、恋が終わる、仕事で成長を実感できない、こんな場合によく見られます。

学習性無力感は、挫折感や自信喪失になるのに対して、モラトリアム期間は、目標を喪失して生活に張りがなくなるのが特徴です。

アイデンティティクライシスとは

心理学の世界では、モラトリアムに違い概念として、アイデンティティクライシスという言葉をよく使います。

アイデンティティクライシスとは社会生活を送る中で、自分らしさが見えなくなってしまい、虚無感が増加したり、心理的に混乱する状態を意味します。

確立と再確立

アイデンティティクライシスが起こるのは人生で1度だけではありません。何回も形を変えて表れることがあります(岡本,1994)。モデルにすると下記のようになります。

 

*改善策 モラトリアム型の場合は、人生の目的を見つめなおす、じっくりやりたいことを見つけることが大事になります。のちほど詳しく解説します。

入門③ 精神疾患と虚無感

学習性無力感、モラトリアムは悪化すると精神疾患に結びつくことがあります。

・絶望的な虚無感がある
・消えてなくなりたいと感じる
・不眠で精神的に乱れている
このような感覚がある方は、精神疾患型の虚無感の可能性があります。

精神疾患,むなしい

うつ病

うつ病の症状の一つとして「虚無感」が挙げられます。日常生活全般に対してやる気が起きなくなり「自分は無価値な人間だ」と感じやすく、負のループに陥ってしまいます。

適応障害

仕事での挫折、失恋、パワハラ、家族との死別などがあったときに、絶望的な虚無感に襲われることがあります。このような場合は、適応障害と診断されることがあります。

学習性無力感型で強く症状が出るときに当てはまることがあります。

統合失調症

陰性症状として虚無感を抱いているように見えることがあります。感情表現がなくなり、目を合わせない、無表情といった症状が発生します。

退却神経症

日本の医師の笠原嘉は1960年代に「退却神経症」という用語で虚無感を説明しています。退却神経症とは、学業や仕事などで、あえてやる気をなくすことで、苦痛な出来事から退却しようとする症状です。

診断・チェック

自分では虚無感の強さが分からない方のために、簡易チェックを作成しました。念のため診断をしてみることをおすすめします。

*講師の視点 虚無感が精神疾患が原因である場合、自己啓発や心理療法では対応できないことがあります。特に、うつ病、統合失調症の可能性がある場合は、心療内科か精神科を視野に入れましょう。

虚無感を改善する方法

ここからは虚無感を改善する方法を考えていきます。復習になりますが、虚無感は大きく分けて、

学習性無力感型
モラトリアム型
精神疾患型

の3つが複合的に原因となることが多いです。以下それぞれに対して対策を立てていきましょう。

タスク整理+60%基準法

学習性無力感の場合はやることは比較的はっきりしています。それは、
「タスクを減らす」
「目標設定を見直す」

ということです。人間失敗や挫折続きではだれでも虚無感に襲われます。長期化している場合は抱え込みすぎたプレッシャーを手放すことが大事です。

コラム②では「タスク整理+60%基準法」を解説しました。タスクを抱え込みすぎて、挫折が続いている方は是非参考にしてみてください。

虚無感を解消する「タスク整理+60%基準法」

モラトリアム型

モラトリアム型の方は、新しい目標を立てて、前向きに進んでいく必要があります。モラトリアムについては下記のモラトリアムコラムで詳しく解説しています。

目標を見失っている、エネルギーのぶつけどころがない…という方は下記をリンク先をぜひ参考にしてみてください。

モラトリアムの意味と改善策

精神疾患型は医療機関が基本

入門①でお伝えした、うつ病、適応障害、統合失調症、などに当てはまる可能性を感じた方は、心療内科か精神科を利用するのが基本となります。以下動画で解説をしました。虚無感がかなり強い方は参考にしてみてください。

心療内科、精神科、心理療法の違いを解説しました。虚無感が強く、消えてなくなりたいという感覚がある方は下記動画を参照ください。

虚無感に陥るときに見られる、適応障害について解説しました。はっきりとした原因がある方は下記の動画をご覧ください。

虚無感,心療内科,精神科

発展編 

入門編は以上となります。ここから先は、虚無感を改善するための方法をいくつか提案させて頂きます。気になる項目がある場合はクリックしてみてください。

生きがいUp思考

「虚無感」の1つの原因として、「意味がない」と考える癖が身についている可能性があります。物事のマイナス面ばかりに目が行ってしまい、いつも虚しい…という方は、リフレーミングコラムをオススメします。

孤独感を改善する

中島(2014)の研究では、中高年の女性を対象に調査を実施しました。そこでは、他人とあまり関わらない傾向のある人や、夫婦関係がうまくいっていないと感じている人ほど「虚無感」を感じやすいという結果を示しています。

人間は社会的動物で、人間関係が充実していれば大概の場面は乗り越えていけるものです。一人でいることが多い、会話が少ない、と感じる方はこちらの孤独感コラムを参照ください。

生活リズムを整える

睡眠不足や運動不足は、「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」などの脳内物質の分泌量の減少をもたらします。

生活が不規則な方は虚無感を感じやすくなるのです。体の面々からも活力を取り戻したい方は、心と体コラムを参照ください。

専門機関を利用する

独学で学ぶことに不安がある場合は、専門家の元でしっかり学ぶこともお勧めしています。 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、充実した生活、メンタルヘルスの向上を目指し、心理学講座を開催しています。

体系的に心理学を勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。

執筆者も講師をしています(^^)
 ・やる気が出る、出ないの違いとは?
 ・アイデンティティ確立と安心感
 ・無気力から脱却する目標設定のコツ
初学者向け心理学教教室を開催しています

まとめ

ここまで、「虚無感」とは何か、「虚無感」の問題点、原因と対処法について紹介しました。次回から具体的な対処法についてお話ししていきます。次回のコラムは、お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

助け合い掲示板

1件のコメント

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    • べり
    • 2019年3月16日 3:53 PM

    私にはあまり関係ない内容かと思いましたが、コラムを読んでいて他人事ではないことがわかりました。友達がいない、目標がない、日常はくすんだ色をしています…。
    対処法のなかで取り組めそうなのは「小さな幸せを見つけること」でしょうか。「ポリアンナ物語」の「よかった探し」を思い出します。今の私には 難しそうではありますが。
    しかしコラムを読むと読んだ分だけ、取り組むことが増えますね(笑)

    1+
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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
中年期主婦のむなしさとそれに影響を及ぼす要因の検討 日本女子大学大学院人間社会研究科紀要 第22号 197-216 中島美佐子(2016)
現代青年の充実感に関する一研究 -現代日本青年の心情モデルについての検討- 教育心理学研究 32号2巻 100-109 大野久(1984)
大学生におけるひきこもり傾向と人生の意味 目的意識との関連 カウンセリング研究 45号 11-19 草野智洋(2012) 
臨床家のためのDSM-5 虎の巻 日本評論社 森 則夫 ・ 杉山登志郎 ・‎ 岩田泰秀 (2014)
対人関係性の視点による生き方態度の発達的研究 教育 心理学研究,47,317-327 高井範子(1999) 
生きがいとその類似概念の構造 健康心理学研究 19巻1号 56-66 熊野道子(2006) 
現代大学生の生きがい感とスケール作成 健康心理学研究 11巻1号 73-82 近藤勉・鎌田次郎(1999) 絶望から希望を導くために -ロゴセラピーの思想と実践- フランクル.V(2015) 
平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査
Seligman, M. E. P. 1975
Helplessness: On depression, development and death. San Francisco: W. H. Freeman.
ミハイ・チクセントミハイ(2000)フロー体験 喜びの現象学