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メンタライゼーションとは?心理学の定義

メンタライゼーションとは?定義や効果・治療

はじめまして精神保健福祉士の川島です。今回のテーマは「メンタライゼーション」です。


改善するお悩み
・人間関係のトラブルが多い
・人と話すことが苦手
・対人関係のストレスが多い

  • 全体の目次
  • 入門①メンタライゼーションとは?
  • 入門②メンタライゼーションの効果
  • 入門③治療や学校などで応用
  • 発展 人間関係のトラブル対策
  • 助け合い掲示板

入門①~③を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。ぜひ入門は、最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

メンタライゼーションとは?

歴史

メンタライゼーションとは、1990年代にイギリスの精神分析家であるフォーナギーが提唱しました。

心理学の世界では「相手の気持ちを考える」概念として、発展してきました。日本では2000年代から着目を浴びるようになってきました。

定義

メンタライゼーションとは、「自分自身や他者について様々な思考や感情を持った人として考える機能」のことです。

簡単にまとめると、メンタライゼーションは、自分と相手に思いやりを持つ行為と捉えると良いでしょう。

メンタライゼーションの例

メンタライゼーションという言葉は、少し堅苦しいかもしれませんが、私たちは生活で自然に使っていたりします。

例① 他人に対して
職場の上司が、太郎さんに対して機嫌が悪そうに対応してきたとします。しかし、なぜ上司が不機嫌なのか原因がわかりません。

メンタライゼーションとは?特徴や歴史

この時、太郎さんは会社の上司に対して
「何か仕事で失敗したのかな?」
と、上司の状況を考えました。

このように、相手の状況を推測する行為がメンタライゼーションです。

例② 自分に対して
太郎さんは、職場の同僚にきつく当たってしまいました。

メンタライゼーションとは?定義や例

この時、太郎さんは自分に対して
「なぜきつく当たったのか?」
と考えました。

そして、
「疲れて余裕がなかったかも…」
と、自分の行動を振り返りました。

このように、自分自身に対して振り返る行為もメンタライゼーションです。

特徴

メンタライゼーションには、以下のような特徴があります(Mentalizing in Clinical Practice,2008より)。

・心で心を思うこと
・自己や他者の心に注意を向ける
・誤解がある場合は理解に努める
・自分自身をその外側から眺める
・他者をその内側からみつめる

つまり、メンタライゼーションの本質は、相手の気持ちを理解しようと努める姿勢といえます。

メンタライゼーションの効果

研究① 他者配慮と対人関係

菊池ら(2012)の研究では、34人の大学生に面接調査と質問紙調査を合わせて実施しました。

面接調査は、身近な対人場面を各自がどのようにとらえているか?という方法で、相手へのメンタライゼーション能力を計測しています。

同時に行った質問紙調査では、対人関係の不安定さを示す尺度を用い、メンタライゼーション能力との相関を調査しました。その結果が下図となります。

メンタライゼーション能力の低さと「対人関係不全感」は、中程度の相関(-47.)を示しています。「対人関係不全感」とは、『対人関係がうまく行っていない』と感じる感覚です。

つまり、相手へのメンタライゼーションができない人ほど、対人関係での悩みが多いといえます。

研究② アイデンティティの形成につながる

近藤ら(2013)は、自閉性スペクトラム障害を伴ったひきこもり青年を対象に、メンタライゼーション・アプローチを行いました。

その結果、メンタライゼーションによってアイデンティティの形成が促進され、社会参加に至った事例を報告しています。

研究③ 自己効力感が高まる

増田(2015)は、大学生の教職課程履修者92名を対象に、メンタライゼーションと自己効力感についての関連を調査しました。

その結果が以下の図です。「対自的メンタライゼーション」は自己理解、「対他的メンタライゼーション」は他者理解です。2つのメンタライゼーションができる学生ほど、自己効力感が高いことが分かりました。

自己効力感とメンタライゼーション

治療や学校、福祉にも応用

メンタライゼーションは心理学の世界では、治療に用いられている技法です。

治療では、
・自身を振り返る
・相手の立場に立って考える
この2つのスキルが大きな目標となります。

元々は、境界性パーソナリティ障害の治療として始められました。近年では、アプローチの汎用性からその他のパーソナリティ障害や自閉症スペクトラム障害といった発達障害などにも適用されるようになってきました。

またカウンセリング場面だけではなく、学校といった教育場面、福祉領域の場面でも応用されています。

発展編

ここからは先は、メンタライゼーションをより深く理解したい方向けの内容です。

メンタライゼーションの入門編を読んで、さらに対人関係を良好にする知識を深めたい方に参考にして頂けると幸いです。

相手の気持ちを知ろう

人間関係では、相手の気持ちが分からないとトラブルになる可能性もあります。特に仕事の場面では、重大な問題を引き起こす原因にもなりかねません。

相手の気持ちを理解して、良好なコミュニケーションを目指しましょう。相手の本音や気持ちを見抜くスキルについて詳しく知りた方は、以下よりご覧ください。

・気持ちを確かめる方法
・本音を知る方法
相手の気持ちが分からないを解決

共感力を高めよう

人間関係では、共感の概念がとても大切です。共感が無ければ、気持ちはすべて相手とは無関係になってしまいます。

主観的な考え方だけでは「自分が主役」になってしまい、人間関係でのトラブルの原因にもなりかねません。

共感力を高めて、互いに心地よいコミュニケーションを目指しましょう。共感力について詳しく知りた方は、以下よりご覧ください。

・共感力診断とチェック
・鍛えるテクニック
共感力不足の原因・高める方法

感受性を生かそう

感受性が豊かだと、対人関係でトラブルが起こりやすくなります。そのため、不安やストレスを抱え込みやすくなり、心理面への負担が大きくなりがちです。

ストレス負荷が長期的に続く場合、うつ病などの精神疾患にもつながる可能性があるため注意が必要です。

感受性の特徴を理解し、上手くコントロールすることで良好な人間関係を築いていきましょう。感受性について詳しく知りた方は、以下よりご覧ください。

・強すぎるHSPとは?
・メリットに変える方法
感受性が豊かな人の特徴・強すぎるHSPとは?

 

メンタライゼーション-まとめ

まとめ

メンタライゼーション力は、相手とのコミュニケーションや自分の理解を促進していく上で非常に重要です。

メンタライゼーションの提唱者フォーナギーは、「メンタライゼーションは生まれつきの能力ではなく、成長していく中や経験をしていく中で育つ能力」とも言っています。

みなさんも、思いやりの能力、メンタライゼーションを育ててみませんか?

助け合い掲示板の活用

ページ下部には助け合い掲示板があります。当コラムはメンタライゼーションについて考え方が多く集います。お互いの悩みや経験談など相談してみましょう。

*お互いを思いやったご投稿をよろしくお願いします。

講座のお知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・対人不安の改善
・暖かい人間関係を築くコツ
・無条件の肯定のコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。お知らせ失礼いたしました。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
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*出典・参考文献
・Mentalizing in Clinical Practice:Washington.D.C, American Psychiatric Publishing,Inc,2008
・Jon G. Allen, Ph.D., Peter Fonagy, Ph.D., F.B.A., and Anthony W. Bateman, M.A., FRCPsych
・菊池裕義・山田仁子・舘岡達矢他(2012)メンタライゼーションの測定 : その信頼性と日本人大学生における境界例傾向との関連性 心理臨床学研究 30(3)355-365
・近藤直司・小林真理子・宮沢久江(2013)ひきこもりを伴う自閉症スペクトラム障害とメンタライゼーションに焦点をあてた精神療法.精神分析研究,57 : 22-29.
・上地雄一郎(2015)メンタライジング・アプローチ入門 ‐愛着理論を生かす心理療法‐ 北大路書房
・増田優子(2015)メンタライゼーション能力の高さが教師志望学生の教師効力感と特性的自己効力感に及ぼす影響 教育心理学第57回総会発表論文集 p266
・Fonagy P. (1991): Thinking about thinking: Some clinical and theoretical considerations in the treatment of a borderline patient. The International Journal of Psychoanalysis 72, 1‒18.