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自責の念に駆られる心理や対処法

自責の念に駆られる心理や問題・対処法

はじめまして!公認心理師の川島です。今回のテーマは「自責の念」です。

  • 改善するお悩み
  • 間違ったことをしてしまった
  • 後悔の念が消えない
  • 反省すべきことがある

 

  • 全体の目次
  • 入門①自責の念とは何か
  • 入門②プラス面
  • 入門③4つの対策
  • 対策 ポジを増やしネガを減らす
  • 発展 迷ったら前向きに行動
  • 発展 昇華で活かす
  • 発展 原因帰属を複数
  • 助け合い掲示板

入門①~③を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

2種類の自責の念

自責の念とは、自分の言動について後悔して責める気持ちの事です。自責の念には2つの種類があると言われています。まずは以下の図をご覧ください。

良いことしなかった自責の図

「良いことしなかった自責」

左上のゾーンをみてみてください。このゾーンは前向きでポジティブな行動をしなかったケースにあてはまります。「お礼を言わなかった」などポジティブな行動を起こさなかった場合には、自責の念を感じてしまいます。

そのほか、
 ・告白できなかった
 ・勉強をさぼった
 ・会議で黙ってしまった
などが当てはまります。

「悪いことをしてしまった自責」

次に右下のゾーンをみてみてください。このゾーンはネガティブな行動をしてしまったケースにあてはまります。「悪口を言ってしまった」場合などが挙げられます。

そのほか、
 ・暴言を吐いてしまった
 ・借金してしまった
 ・ギャンブルをしてしまった
などが当てはまります。

自責の念のプラス面

自責の念が全くもって悪者というわけではありません。

罪悪感と誠実性

有光(2001a)は、大学生292名を対象に、自責の念と近い概念である罪悪感の性格特性をアンケート調査により明らかにしました。

その結果、罪悪感は人の「誠実性」や「調和性」に関連していることがわかりました。

上図をご覧ください。罪悪感と誠実性、調和性はプラスの相関を示していることがわかります。罪悪感を感じる傾向にある人ほど誠実であり、率先して周囲に協力しようとするのですね。

助け合いを促す

有光(2001b)は、4年生および短期大学の学生329名を対象に罪悪感特性と健康について調査しました。その結果罪悪感は、助け合いを促すことが分かっています。

例えば、あなたが仕事でミスをし、同僚が助けてくれたとします。あなたが、同僚に対して

「自分のミスで…同僚に悪いことをしたな」

と自責の念を抱いた場合、謝罪をする、同じミスをしないように対策すると思います。このように適切は使い方ができれば、相手との関係修復が促進されるのです。

助け合い

率先して周囲に協力しようとするのですね。

恥と健康

佐伯(2008)は恥が心身にどのような影響があるかを調査をしました。その結果、驚くべきことに、恥をしっかり認識できる人たちの方が不眠やうつ傾向が少なくなりやすいことが分かったのです。

 

恥・罪悪感,睡眠

実は、筆者(川島)は罪悪感を持つと睡眠などに悪影響と考えていたのでとても意外な研究結果でした。印象的だった佐伯の主張(P131)を引用させて頂きます。

恥や罪悪感は苦痛を伴う感情である。このような否定的な自己評価に結びつく感情はできれば自覚したくないものである。しかし、そのような感情であっても今後の自己のあり方や将来の自己の行動の動機づけとして利用することが心身の健康に寄与すると推察される(一部簡略化)。

改善策①ポジティブ行動を

ここまで自責の念には、人生において重要な意味があり、決して後ろ向きな感情ではないことを解説してきました。ここからは、自責の念を前向きに活かしていくための改善策をお伝えします。具体的には

①ポジ増加,ネガ減少
②迷ったら行動!を原則
③前向きに昇華
④原因帰属を複数持つ

の4つを紹介します。

①ポジ増加,ネガ減少

ここでもう一度以下の図を見てみましょう。

2種類の自責の念の図

自責の念を実りあるものにするためには、

・ポジティブな行動を増やし
・ネガティブな行動を減らす

この2つが大事になります。この2つができれば、自責の念はきっとこれからの人生においては実りある物になるでしょう。まずはこの2つを基本として抑えておきましょう。

②迷ったら行動!を原則

一方で、行動するという事には、恥ずかしさや戸惑いが付きまとうものです。わかっちゃいるけど意外とできそうでできないのが厄介なところです。

しかし、ポジティブな行動はほとんどの場合、自責の念につながることはありません。

ポジティブ行動をしなかった時の自責の念に近い「後悔の研究」をご紹介します。上市ら(2004)の研究では行動選択が「後悔」にどのような影響を与えるかを調べています。

実験では、大学生70名に対して、「異性に対して告白したか、しなかったか」について後悔の程度を調査しました。その結果が以下の図です。

このように、「告白しなかった」よりも「告白した」の方が短期、長期とも後悔の程度が低いことが見て取れます。

恋愛では行動した方が、行動しないより後悔が少ないことがわかったのです。自責の念を減らすには後悔しないようにポジティブ行動を起こす!という意識も大切だと言えそうですね。

 

自責の念の度合いを判断しよう

③前向きな行動への昇華

精神分析の世界では、悩み、不安、葛藤などを自分の中で処理するやり方を防衛機制と言います。防衛機制にはたくさんの種類がありますが、その1つに「昇華」があります。

昇華とは、マイナスな気持ちを逆に活かしてしまい、社会的に認められるような自己実現のパワーに変えることを意味しています。

例えば、
・昔イジメをしてしまった・・・
⇒昇華!その反省を活かして福祉職につく

・親孝行をしてこなかった、親が亡くなった
⇒自分の家族を大事にする

このように昇華をしていくと良いでしょう。

*防衛機制については動画解説もあります

 

④原因帰属を複数持つ

良い自責,悪い自責

倫理的に正しいものであれば、自責の念を持つことは極めて自然なことです。
・悪口を言って相手を傷つけた
・暴力をふるってしまった
・嘘をついてしまった
これらの行為について自責の念を持つことは重要なことです。

一方で、
・パワハラにあった
・性被害にあった
・容姿をけなされた
このようなことに自分に原因を押し付け、自分を責めている場合は、要注意です。あなたはあなたの心の尊厳をきちんと守らなくてはなりません。

パワハラ,自責の念

原因帰属理論とは

物事に100%はないので、何%かは自分以外にも原因があります。この「行動の結果について原因をどこに求めるか」という心理過程を原因帰属と呼びます。

上記のような自責の念に駆られている人は自分にだけ原因帰属を置いているため、非現実的な責任感を負うことができます。例えばパワハラをする上司は、上司自身の問題をあなたに押し付けているとも言えます。

あなたは相手の問題まで責任を負う必要はないのです。もしいつも自分を責めてしまう…という悩みがあったら、以下のコラムを参考にしてみてください。

*罪悪感と原因帰属
原因帰属理論について詳しく解説しました。冷静に状況を分析できるようになりたいという方はこちらの罪悪感と原因帰属コラムを参考にしてみてください。

*自分の権利を守る
相手の問題まで自責をしている人は、あなた自身の権利を守らなくてはなりません。自分の身をちゃんと守る理論を、アサーションと言います。自分を大事にできない…という方は、こちらのアサーティブコミュニケーションコラムを参考にしてみてください。

 

自責の念を緩和しよう!

自責の念に駆られてしまう原因を外的帰属に求めることは、勇気がいると思います。特に慣れない場合には、悩んでしまうこともあるかもしれません。

ポイントは、物事の原因は1つではないと知ることです。様々な可能性を考えてみることで、誤った原因帰属による自責の念に駆られることがなくなります。

おしらせ

ここで少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、自責の念などを改善し、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。

もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション教室のページを参照ください。

 

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助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
上市 秀雄, 楠見 孝(2004)後悔の時間的変化と対処方法意思決定スタイルと行動選択との関連性 The Japanese Journal of Psychology, Vol. 74, No. 6, 487-495

自己の否定的評価に関わる恥・罪悪感の覚知と心身健康との関連
佐伯素子 – 感情心理学研究, 2008