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基本的信頼感とは?意味

基本的信頼感の意味とは?心理的影響,エリクソンの発達段階

はじめまして!公認心理師の川島です。今回のテーマは
「基本的信頼感」
です。


対象となる方
・基本的信頼感の意味を理解
・研究を見てみたい
・チェックしてみたい

  • 全体の目次
  • 基本的信頼感とは?
  • チェック項目
  • 抑うつ,活動性への影響
  • 回復は可能!
  • 発展‐愛着障害,根拠なき自信

入門①~③を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

①基本的信頼感の意味とは?

エリクソンの定義

基本的信頼感はアメリカの心理学者であるエリクソンによって提唱された概念です。Erikson (1959)は基本的信頼感を以下のように定義しています。

生後1か年の経験から獲得される社会や他者に関しての筋の通った信頼 、 自己に関する信頼する価値、という感覚を意味する(一部簡略化)。

基本的信頼感は、生まれてから1年間に原型ができるとされ、その後の心理的な発達に広く影響されるとされています。以下の図はエリクソンの発達段階を図にしたものです。

アイデンティティ

このように、乳児期の0~1才半の間に、基本的信頼感は構築されるのです。この時期に母子関係から十分な愛情を得られれば「自分はなんとかやっていける」という信頼感が得られます。

他者に対する信頼

基本的信頼感はさらに2種類に分けられます。1つが、

他者に対する信頼
reasonable trustfulness 

です。他者に対する基本的信頼感とは、社会や他人に対する信頼で、性善説のようなものです。

皆さんは、人間は基本的には信じられる生き物だという感覚はありますでしょうか。もしある場合は、他者に対する信頼が強いと言えるかもしれません。

信頼関係 孤独感

自己に対する信頼

基本的信頼感にはもう1つ種類があります。それは

自己に対する信頼
trust worthiness 

です。自己に対する信頼とは、私には生きる価値がある、私には愛される価値があるといった信頼です。

よく根拠のない自信がある!という方がいますが、これは心理学的には自己に対する信頼が強いと言い換えることができそうです。

皆さんは、なんやかんや言って、自分はやっていけるという自信はありますでしょうか。もしある場合は自己に対する信頼が強いと言えそうです。

基本的信頼感

②尺度,チェック

もう少し基本的信頼感の中味を見ていきましょう。谷 (1996)は「基本的信頼感尺度」を作成しています。尺度項目は以下のようになります。

下記に当てはまる項目が多いほど基本的信頼感があると言えそうです。

1.失敗しても自分を隠さない
2.自信がなくなることはない
3.見捨てられたかもとは思わない
4.人生に対して不安はない
5.すぐに立ち直ることができる
6.自分を十分に信頼している
7.困った時には援助が期待できる
8.人は関わり合いで生きている
9.人間は信頼できるものである
10.周囲の人々に支えられている
11.頼りにできる人が多い

*わかりやすくするため一部改変しています。正確に理解したい方は出典をご覧下さい。

皆さんは上記にどれぐらい当てはまりますでしょうか。項目が多ければ、基本的信頼感が高いといえます。

信頼の定義

③基本的信頼感の心理的影響

基本的信頼感は心理的にどのような影響があるのでしょうか。実はたくさんのメンタルヘルス指標に影響があることがわかっています。

三好(2007)は大学生285名を対象に、質問紙を用いて、精神的健康と基本的信頼感など項目の関わりを調べました。その結果は以下の通りです。

基本的信頼感とは

図の⇔は相関関係を表しています。以下それぞれ解説していきます。

抑うつ感になりにくい

基本的信頼感があると、抑うつになりにくいと言えます。私たちは落ち込んだときや、挫折した時、世の中全般に対する信頼があれば、きっとなんとかなる!という感覚になることができます。

敵意を持ちにくい

基本的信頼感が強い方は、世の中はなんやかんや言って味方が多いという感覚があります。そのため、わざわざ敵意を出して警戒する必要はなく、穏やかに人間関係を築くことができます。

活発になる

世の中全般に対する信頼がある方は、必要以上に警戒をしないので、行動の幅が広くなります。きっと私のことは受け入れてくれる人がいるという感覚があると、仕事や恋愛で積極的になることができます。

 

このように、基本的信頼感は、メンタルへルスを安定させ、人間関係の向上も期待できるだけではなく、活気まで湧いてくるという優れた性質があるようです。

基本的信頼感,回復

④基本的信頼感は回復できる

直接研究は少ない

基本的信頼感の獲得は幼少期の人間関係がベースになると言われています。この点、大人になってから回復できるか?という疑問が上がりますが、これは残念ながら研究があまりありません。

基本的信頼感が実際人生のどの程度の影響があるのか?回復できるのか?は詳細な研究はないのが現状です。

サポートを受ける方は回復しやすい

一方で基本的信頼感に近い概念での研究では回復できる可能性を予測できます。例えば、近接概念である、自己肯定感研究では、充実した人間関係がある人は、サポートを受ける方ほど高いことが分かっています。

細田ら(2009)の研究では、中学生305名を対象に以下の3つのソーシャルサポートと自己肯定感の関係について調査しました。

その結果が以下の図です。数字は相関係数といい、数値が大きいほど関係が強いことを意味します。

ソーシャルサポート 効果

図を見ると、父親、母親、友人、教師のいずれのソーシャルサポートもプラスになっていることがわかります。ソーシャルサポートに満たされた人は、自己肯定感が高くなりやすいという結果になっています。

もし家庭で問題があったとしても、周りの方で暖かい触れ合いが多かった方はわりと安心感が強くなる傾向があります。おじいちゃんに愛された、恩師に認めてもらった、職場で尊敬できる上司に認めてもらった・・・こういった体験は基本的信頼感の回復につながると思います。

まとめ

現場感覚となりますが、やはり幼少期の家庭環境が悪かった方は、比較的基本的信頼感が低いように感じています。人を信じることができない、自己開示が怖い、これらの問題の根っこの部分にあると感じています。

一方で、

仲の良い友人ができた
信頼できるパートナーができた
面倒見の良い上司と出会った

これらの肯定的な出会いと体験を繰返していくことで、基本的信頼感を回復されている方を何人も見てきました。基本的信頼感は永続的なものではなく、回復可能と実感しています。

発展‐関連コラム,動画

愛着障害

基本的信頼感の獲得を失敗すると、対人関係で問題を抱えやすいと言われていますが、これは愛着障害の問題と非常によく似ています。興味がある方は、こちらの愛着障害コラムも参照ください。

自己効力感

もし自分に対する信頼がないと感じる場合は、自己効力感を向上させることである程度回復できるかもしれません。自分に漠然と自信を持てない…という方はこちらの自己効力感コラムを参照ください。

人が嫌い

漠然と他人に対して、敵意を持ちやすい、嫌いになりやすいという方は、他者に対する信頼が低くなっているかもしれません。こちらの人間嫌いコラムで対策などをお伝えしています。

根拠のない自信の正体

おまけ動画で、根拠のない自信と基本的信頼感について動画で解説しました。良かったら参考にしてみてください(^^)

 

講座のお知らせ

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助け合い掲示板

1件のコメント

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    • グラス
    • 2019年9月17日 7:17 PM

    基本的信頼感は低いですね。
    人生に対して不安はありますね。
    困った時に援助が期待できる、頼りにできる、信頼できる人は少ないです。
    周囲の人々に支えられているとは思いますね、人は関わり合いがあるから生きていけると思います。
    自分を十分に信頼できずに自信がなくなることもありますし立ち直ることができない事もありますね。
    自分から相手を信頼してみようと思います。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
Erikson ,E .H .(1959).ldentity and the life cycle.NewYork : W .W ,Norton & Company.(Reissue ,1980.)
三好(2007)人格特性的 自己効力感と精神的健康との関連 青年心理学 研究 2007,19,21−31

基本的信頼感尺度の作成 谷冬彦 日本心理学会第60回大会発表論文集, 1996 310, 1996