生理的に無理な人との結婚問題,旦那,男への対応
みなさんこんにちは。
公認心理師の川島です。
今回のテーマは
「生理的に無理…」
です。

はじめに
・良い人なのはわかるけど肌が触れると嫌…
・触られたくない…
・許せないしぐさがある…
・できれば近くに寄りたくない
これらのお悩みは圧倒的に女性に多いです。例えば、婚活中の女性ですと、性格、経済状況などすべて条件にあう男性が見つかったのに、毛深い・・というだけの理由でお断りしてしまうケースもあるようです。
当コラムでは、女性向けに生理的に無理の原理と、対策の仕方をしっかりとお伝えします。目次は以下の通りです。
・生理的に無理3つのルート
・嫌悪感研究
・改善する5つの方法
是非最後までご一読ください。
生理的に無理3つのルート
生理的に無理と感じるとき、その理由は大きく分けて3種類あります。
・本能系ルート‐ 病気を防ぐため
・本能系ルート‐ 良質な遺伝子を残す
・文化的ルート‐ 常識がない人への嫌悪
本能系ルート,病気を防ぐ
まず1つ目が本能系の生理的無理です。本能系は
煙草、タンを吐く、汗がいや、悪臭、口臭、服を洗っていない、フケ、病的な人
これら雑菌や衛生的にマイナスな場合に嫌な気持ちが芽生えます。講師の経験則ですが、80%ぐらいはこちらで悩む方が多いです。
生理的に無理な感覚は原始的なもの、先天的に備わっている感情です。
原始的な社会では、風邪をひいたり、感染症にかかるとそれが死に直結していたと言えます。それゆえ不潔なものについて、本能レベルでリスクを回避しようとするのです。
本能系ルート,良質な遺伝子を残す
2つ目は、遺伝的な生理的な無理です。遺伝系は
頭髪が薄い、低身長、毛深い、体格が貧弱
これらに対しての嫌悪感が挙げられます。
女性の生理的に無理な感覚には出産リスクが挙げられます。女性は生涯で出産できる子供の数は限られています。
そのため、遺伝的に不利な男性は避けて、できるだけ健康的で、容姿も頭も良い男性を選び、有利な子どもを産みたいと本能的に感じてしまうのです。
一方で、男性は女性に対して生理的に無理と感じることはそこまで多くありません。これは出産リスクがないからと言えそうです。
好みはありますが、特に肌が触れて嫌だ!と感じるところまではいかないのです。
文化的ルート,常識がない人への嫌悪
3つ目は文化的な生理的な無理です。
食べ方が汚い、ケチ、暴言、手を挙げる、奇妙な会話、ギャンブル依存
これら文化慣習からも私たちは生理的に無理と感じることがあります。
例えば、平気で列に割り込む人がいたとします。この時、私たちは人間性を疑い、この人とはやっていけないという気分にさせられます。
私たちは文化慣習の中でやっていいこと、悪いことを学び、そのルールから逸脱する人に対して、生理的に無理と感じるのです。
嫌悪感研究
心理学の分野では生理的に無理な感情に関連する研究がなされてきました。以下折りたたんで掲載をしたので、気になるタイトルがあったら展開してみてください。
羽成(2009)は男女ごとの嫌悪感情について調査をしました。その結果が以下の図です。
男性はオレンジ
女性は白
のグラフとなります。
上記のグラフのように、すべてのカテゴリーに共通していることは、女性の方が異性に対して生理的に無理と感じやすいということです。
生理的に無理に近い研究として、羽成(2012)は青年期の両親に対する嫌悪感を調べています。
実験では、大学生275名を対象に質問紙を用いて、「父親」「母親」「父親に近い年齢の知人男性」「自分に近い年齢の知人男性」に対する嫌悪感をメインに測定しました。
その結果の一部が下記のグラフです。
まず女性では、「父親に近い年齢の男性に対して最も嫌悪感を感じる」という結果となっています。おじさんには切ない結果となっていますね。。
見ず知らずのおじさんは第一印象で「生理に無理」と思われる可能性が高いようです。父親と自分の年齢に近い男性は、ほぼ僅差という感じです。
続いて男性の場合は、やはり「父親に近い年齢の男性のグラフ」がもっとも伸びています。おじさんは男女ともに嫌われるやすいというわけですね。。女性と違う点は母親が自分に近い年齢の男性よりも、嫌悪感が高いことです。
男性は友達同士でいる時のほうがストレスを感じない傾向があります。このように、父親に近い年齢の男性と生活をともにしたり、一緒に出かけることは「生理的に無理」と答える人が多いようです。
*監修の川島が動画でも解説しています。
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生理的に無理を改善する方法
ここまで生理的に無理な心理について解説をしてきました。特に女性のこの感覚は根が深く、せっかく好きになれそうな異性がいたとしても、一度思い込むとなかなか元に戻れないこともあったりします。
そこで、生理的に無理と感じたときの対策を5つ提案させて頂きます。
①解決できるものなのか考える
②関係性をまずは築く
③話しあう
④一緒に成長する
⑤限界設定をする
良かったら参考にしてみてください。
①解決できるものなのか?考える
まずは生理的に無理!と感じる対象が、「努力で改善できるものなのか?」を考えるようにしましょう。
例えば、
・靴が汚れる→綺麗な靴をプレゼントする
・食べ方が汚い→信頼関係を築いてから諭す
・ファッションが奇抜→指摘する
このように生理的に無理な状況は、改善できる可能性があります。一方で、顔の骨格、身長などは変えようがありません。。
これらがどうしても自分のタイプと合わないと感じる場合は残念ですが、関係を続けるのは難しいと判断できると思います。
②関係性をまずは築く
さて!解決できそうな対象の場合は、前向きに考えてOKです。ここで大事なことは、すぐにそれを直すことを要求しないことです。
例えば、
「初対面の人の鼻から鼻毛が出ている」
このとき、直球で鼻毛出ていますよ!と言われたら、この女性結構ずけずけ言ってくるなあ~と感じてしまうものです(私は面白がってしまいますが)。
そこで、まずは関係性を作ることが大切です。信頼関係を築く間、もしかしたら生理的に無理な状況は続くかもしれません。
しかし、将来的に直してもらえればOKと楽観的に考え、悪いところだけでなく、良い面も見るように心がけましょう。
③話しあう
相手との関係性がきちんとできたら、次に直してほしいところを伝えていきます。ただし、一気にはNGです!1つ1つ直してもらうようにしましょう。
例えば、まずは食べるときにくちゃくちゃ音を立てる癖を直してもらうことにして、それを告げていきます。信頼関係がちゃんとできていれば、主張してしまってOKです。
ここで大事なのは、アサーティブな精神を持つことです。アサーティブとは自他尊重のコミュニケーションを大事にすることです。
攻撃的にならず建設的な空気感を大事にして話しあうようにしてください。アサーティブについては後程下記を参照にしてみてください。
④自分も成長する旨を伝える
そして大事なことは、あなた自身も相手に何かできないか?提案するようにしましょう。
例えば、パートナーが太っていたら、私が健康的になれるメニューを考える!と提案してみるなど、共同作業にしてしまうのも絆を深めるチャンスになるかもしれません。
一緒にダイエットをしたり、筋トレをするのもいいかもしれないですね。相手に努力を要求する分、自分自身も何か相手が喜ぶ努力をすると良いでしょう。
⑤限界設定を伝える
残念ながら話し合いがうまく行かず、折り合いが合わないときも出てくるかもしれません。その際は、限界をきちんと相手に伝えることも大事です。
例えば、洋服を変えず毎回同じ服で、きちんと選択せずデートに来る男性がいたとします。要求をしても、のらりくらりと交わされてしまったら、「次同じ服だったら残念だけどもう会えない」と宣言するのです。
これは最後の手段ですが、自分自身の中で区切りをつけるためにも重要です。詳しくは下記を参照ください。
まとめ
生理的な無理な人と出会った時には、すぐに拒絶するのではなく、相手が「改善できるか?」を考えていきましょう。もし、相手が嫌いな部分を修正することができれば、後々大切なつながりとなるかもしれません。
少しだけ心を広くして、嫌だな~と感じる相手とも交わってみましょう。
以外にも深く付き合っていくなかで、隠れた魅力に気付いたり、素晴らしい人間性を兼ね備えていたりするものです。まずは、「試しに」という感覚で気楽に関わってみてくださいね。
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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出典・参考文献
・羽成,河野,伊藤,角田(2014)青年期の女性の父親に対する回避傾向 文化情報学部紀要,第 14巻
・羽成,河野,伊藤(2009)対人認知における嫌悪感情の分析椙山 女学園大学 文化情報学部紀要 9 (1), 59-65
・レイチェル・ハーツ(2012)あなたはなぜ「嫌悪感」をいだくのか 原書房