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決断力をつける方法

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決断力をつける方法

皆さんこんにちは!現役経営者、公認心理師の川島達史です。私は現在はこちらのコミュニケーション講座を開催しています。今回のテーマは「決断力」です。

経営者,決断力

私は24の時に独立をして、17年間、会社を経営してきました。会社経営は、時代の流れを読んで、エイヤ!と物事を進めていかなくてはなりません。

当コラムでは、決断力が向上するような対策を、実戦経験と心理学の視点を組み合わせて7つ提案させて頂きます。

①メリットを把握しよう
②選択のパラドクスを理解する
③選択肢を絞るコツ
④決断納期を設定する
⑤ベターな決断でOK
⑥スモールステップ決断
⑦恐怖突入すべし
⑧自分のタイプを知ろう

人生は決断の連続です。その時にきっとお役に立てると思います。ご自身でも使えそうなものを組み合わせてご活用ください。

決断力をつける

 

決断力をつける8つのやり方

それでは早速、決断力をつけるやり方を解説していきます。

①メリットを把握しよう

まずは決断力をつけるメリットを確認して、やる気を高めて行きましょう。以下、折りたたんで掲載しました。興味があるタイトルがあったら展開してみてください。

ビジネスの世界では「機会損失」という有名な用語があります。機会損失とは、本来なら得られるはずの、機会を失うことによる損失を意味します。例えば、以下のような状況が挙げられます。

すぐれたアイデアの提案を迷って決断できない
   ↓
気がついたら他の会社に実施されてしまう
本来なら自社が成功できたかもしれない
機会損失が発生してしまった

すぐれたアイデアの提案をすぐに決断
   ↓
会社で採用される
他の会社よりも先行して実施する
見事に成功する
社内の評価が向上する

このように、スピーディーな決断ができると、チャンスを逃さず活かしていくことができるのです。

決断力があり行動に起こせる方は、経験値が豊かになる傾向にあります。例えば、ビジネスではどちらの方が、成功しそうでしょうか。

太郎さん
副業チャレンジ →0回 0勝 0敗

花子さん
副業チャレンジ →6回 1勝 5敗

太郎さんは副業経験がないため経験値は全くありません。一方で、花子さんは決断力があり、どんどんチャレンジしました。5回連続で、失敗したものの、6回目にして成功しました。

花子さんは失敗しつつも、その過程で、経理のやり方、商品企画、広告の基礎を学んでいたのです。確かに失敗は多いですが、沢山失敗をすると経験値が豊かになり、成功する可能性が向上していきます。

上市ら(2004)[1]は大学生70名に対して「好きな異性に告白したか、しなかった」について行動の有無と後悔の大きさを調べています。その結果の一部が以下の図です。

決断力と後悔

図を見ると、結果を問わず、「告白した」方が「告白しなかった」よりも短期、長期のどちらも後悔が少ないことがわかります。人生は一度しかありせん。迷ったら決断して行動してしまった方が後悔がない人生を歩むことができるのです。

後悔しないための心理学

原田等(2007))[2]は女性看護師227名を対象にQOL(クオリティオブライフ)についての調査を行いました。QOLとは簡単にいうと人生の充実感を意味します。QOLとは生活全般の質を意味します。

決断力とQOL

結果の一部が上図となります。20代、30代、40代の方は、決断力があるほど、QOLが高くなりやすいことがわかります。逆に言えば、優柔不断であるほどQOLが低くなるともいえるのです。

20代、30代は就職、転職、日々の業務、そして恋愛や結婚などで大きな決断に迫られる状況が多くあります。この時に、先延ばしせず、決断していくことが人生の満足度を決める上で重要なポイントであると言えるでしょう。

(当研究は母集団が少なく、有意差は20代のみ確認されています。あくまで参考値として考えてください)

  

 

②選択のパラドクスを理解する

心理学者のバリー・シュワルツ(2002)[3]は、選択のパラドクスと言う概念を提唱しました。選択のパラドクスとは以下の意味があります。

情報や選択肢は、多ければ多いほど迷う
そして後悔もしやすくなってしまう

選択肢が多すぎると、決断力が鈍ります。そしてどうにか選択をしたとしても、選ばれなかったものに目が行き、決断に対して不信感を持ってしまうのです。多すぎる選択肢は、自分を苦しめるということをおさえましょう。

③選択枝を削るコツ

具体的には、まずは選択肢を全て挙げます。次に、心理学者のアルバート・バンデューラが提唱した行動決定における重要な要素である「自己効力感」「結果予期」の2つを考えましょう。[4]

「自己効力感」とは自分の実力で目標を達成できるか?という見込みを意味します。「結果予期」は仮に達成できたときに、見合った成果を期待できるか?を意味します。

目標に対して「自己効力感がある」「達成できた時の見返りがある」リストを中心に残すようにしましょう。比較表などを作って書いてみるのもおすすめです。

自己効力感について理解を深めたい方は以下の動画を参照ください。

アルバート・バンデューラと自己効力感

 

決断力をつける,選択肢を減らす

④決断納期を設定する

選択肢が絞られたら、決断に納期を決めてしまうことをおすすめします。

「2分以内に答えを出す」「今日の夜10時までに決断する」「3月20日が最終決断納期」「相手の答えを待つのはあと2日」

このように決断に納期を設けると、だらだらと先延ばしすることが減ります。そして実際納期がきたら、まだ迷いがあったとしても、エイや!で実行するようにします。また結果がどうあれ決断したこと自体には後悔しないように自分を励ます習慣をつけましょう。

以下②~④の対策について練習問題を作成しました。折り畳みを参考にしてみてください。

練習問題①

あなたの状況
・ランチタイムでメニューに迷う
・ギリギリの時間まで迷ってしまう
・仕事に戻るのに遅れてしまいそう
・すぐに決断したいと考えている

①選択をしぼる

②決断に納期

③迷ってても実行!

④後悔はご不要!

 

解答例

①選択をしぼる
*候補
パン、ラーメン、パスタ、ステーキか…

*パン
買いやすい(自己効力感 高い)けど
お腹が膨れないな(結果予期 低い)

*ステーキ
高くて買えない(自己効力感高い)
おいしいけどね(結果予期 低い)

よし!ラーメンかパスタにしよう

②決断に期限を決める
ラーメンかパスタ…あと2分以内には決めよう!

③迷ってても実行!
悩むところだが、今日はパスタで!!

④後悔はご不要!
ラーメンでもよかったかも、まぁ明日食べてみればいいか。

 

練習問題②

あなたの状況
・収入が減少している
・副業に興味がある
・どの副業にするか迷う

①選択をしぼる

②決断に期限を決める

③迷ってても実行!

④後悔はご不要!


解答例

①選択をしぼる
*候補
ECサイト 短期バイト ブログ YOUTUBE


*ECサイト 
サイト構築が難しい(自己効力感 低い)
あたれば大きいが(結果予期 高い)

*短期バイト
気軽にできる(自己効力感 高い)
あまりかせげない(結果予期 低い)

…いろいろあるが、あたると大きいブログかYUTUBEに絞る

②決断に期限を決める
日曜の夜10時にやるかやらないか決める

③迷ってても実行!
日曜の夜10時だ!迷うけどYOUTUBEにチャレンジするぞ!

④後悔はご不要!
意外と面白い。動画の作り方は本業にも活かせる。

  

 

⑤ベターな決断でOK

決断できない方は以下の傾向があります。

ベストな選択をしたい
リスクをゼロにしたい
100%正しい決断をしたい

このような思考に陥ると、確実な選択を探し求め、決断できない状態が続いてしまいます。あてはまる方は、ベストな決断よりも、ベターな決断を習慣にすることをおすすめします。

ビジネスの世界では、100%正しくて、リスクがない決断など存在しません。ある程度調査をして、そこそこよさそうな選択肢であれば、思い切ってチャレンジしてみるようにしましょう。

ベターな決断でOk

⑥スモールステップ決断法

決断力が低い人は、始めから大きな目標を達成しようとしてしまいがちです。すると、決断のリスクも高まり、優柔不断になりやすくなります。例えば、

ビルゲイツのような起業家になりたい
大きな市場を狙う必要がある
そのためには莫大な資金がいる

このように、目標が高すぎるとリスクに目が行きやすくなります。その結果、決断しづらい状況になってしまうのです。一方で、以下のように考えるとどうでしょうか。

まずはスマフォ代を稼ぐことを目標にする
自分の小遣いの範囲で試そう
失敗しても傷は浅い

このように、目標を小さくすると比較的リスクも小さくなり、決断しやすくなります。小さく決断をして、成果がでたら、次はもう少し高い目標を作っていけばOKと考えると決断もしやすいと思います。

⑦恐怖突入すべし!

心理療法の用語に1つに「恐怖突入」という言葉があります。恐怖突入には以下の意味があります。

不安や恐怖があったとしても、実際チャレンジすると意外と大したことはないものだ。だから積極的に行動しよう。

これは日本の心理療法家として有名な、森田正馬の考え方です。決断ができない方は、先にリスクが頭に浮かび、決断できないことが多々あります。しかし、実際行動してみると、意外とリスクは小さいこともよくあるのです。

私自身、決断する前は恐怖心が出ることもありますがそんな時は「恐怖突入だ~」と心の中でつぶやいて行動するようにしています。恐怖突入に興味がある方は下記のコラムを参照ください。

森田療法の基礎

恐怖突入

⑧自分のタイプを知ろう

心理学では、決断力の不足に関するタイプ研究があります。当コラムでは、斎藤・緑川(2015)の研究を土台として、4つのタイプと対策を解説しました。ご自身がどのタイプにあてはまるか検討し、対策も合わせて参考にしてみてください。

決断をする時に細かな事が気になってしまうタイプです。あらゆる状況を分析して、確実に間違わない選択をしようとします。判断に時間がかかってしまうのが特徴です。

*対策
決断納期法で期限を設ける 
ベターな選択でもOkとする

周囲の決断を見て、自分の選択を決めるタイプです。自分の価値観が定まっていない人、自己肯定感が低い方に見られます。

*対策
人生の哲学、自分なりの判断基準を作り、決断の基準とする
アイデンティティの確立法

自分に自信を持ち、自分の考えを信じて決断できるようにする
自己肯定感を向上させる方法

決断する前は「決断をすると失敗するのでは…」と不安になり、した後も「本当にこの選択で良かったのか…」と不安になるタイプです。

*対策
不安を生み出す考え方を改善する。本格的に改善したい方は認知療法がおすすめです。
認知療法の基礎

恐怖突入の意識を持ち、不安とうまく付き合いながら行動する。


現状維持をしたがる傾向が強く、決断を後回しにしてしまうタイプです。特に重要な問題であるほど、決定を延ばしにしてしまいます。

*対策
決断に納期を設ける
スモールステップを作り細目に決断する

先延ばしの心理と対策を本格的に学ぶ
先延ばし癖を改善する方法

  


ご自身にあてはまるタイプはありましたか?対策も合わせて参考にしてみてくだしさい。

まとめ

決断力の不足は、1つ1つ原因を取り除いていけば改善することができます。「期限を設定する」「ベターな選択でOk」「スモールステップで決断する」「恐怖突入!」などご自身に合う手法を試してみてください。皆さんがビジネスのチャンスを逃さず、経験豊富になることを応援しています。

しっかり身につけたい方へ

当コラムで紹介した方法は、現役経営者、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。

・決断力をつける,行動療法の学習
・恐怖心と折り合いをつける,森田療法
・自分に自信をつける,プレゼン練習
・ビジネスコミュニケーション力をつける

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^) 

決断力をつける方法,コミュニケーション講座

助け合い掲示板

1件のコメント

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    • 匿名
    • 2019年3月20日 1:40 PM

    当方40代です。
    歳を重ねるにつれ、優柔不断傾向がQOLに与える影響が弱まっていくという箇所が面白かったです。どんな理由があるか知りたいところです。
    私に決断力はあるかは不明ですが、決めたことに後悔はあまりありません。
    ただ完璧主義があるので、ベターなので選択を心がけるようにすると吉なんですね。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]上市ら(2004).後悔の時間的変化と対処方法 74 巻 6 号 p. 487-495
 
[2]原田 貴史, 中村 明美, 友竹 正人, 大森 哲郎(2007).女性看護職の強迫傾向が主観的QOLに及ぼす影響 47 巻 1 号 p. 33-40
 
[3]Schwartz, B., Ward, A., Monterosso, J., Lyubomirsky, S., White, K., & Lehman, D.(2002)「Maximizingversus satisficing : Happiness is a matter of choice.」 Journal of Personality and Social Psychology
 
[4]Bandura, A.(1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84, 191-215.