コミュ力を上げる,鍛える方法
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「コミュ力を上げる,鍛える方法」をテーマに解説していきます。
はじめに筆者の自己紹介をさせて頂きます。私は心理学の大学院で成人の会話について研究をしてきました。その後、日本ではじめてコミュニケーション講座を開催し、現在17年目を迎えています。
当コラムはそんな私のフィールドワークであるコミュ力について、最低限押さえるべき知識やスキルをお伝えします。是非最後まで御一読ください。
コミュ力の2大目的
まずはじめに、コミュ力の土台となる基本的な方針をおさえましょう。
コミュニケーションと2つの目的
私たちが、コミュニケーションをするとき、その目的と必要なスキルは大きく分けて以下の2つがあります。
*問題解決のため
社会問題を解決する 商品を企画する ケガや病気を治す
*必要なスキル
論理的に話す 根拠を示す 因果関係を明確にする 建設的に議論する
*人間関係のため
仲良くなる 信頼関係を構築する 恋愛をする 親孝行
*必要なスキル
感情をくみ取る 共感する 愚痴を聞く 楽しい話をする 笑顔で話す 冗談を言う
私たちはこの2つの目的に応じて、コミュニケーションのやり方を柔軟に変えていく必要があります。
あなたのタイプは
ここで皆さんに質問があります。あなたの友人が、
昨日会社に遅刻したんだ・・・怒られて悲しい・・・
と話しました。あなたはどのように返しますか?直感的に答えてみてください。
考えてみましたか?
次に、以下の2つの発言のどちらに近かったか?判断してみてください。
どうして遅刻したの?
何分遅れたの?
ペナルティとかあるの?
いかがでしょうか。このような質問に近い方は、問題解決型のコミュニケーションを好むタイプです。
怒られると辛いよね。
結構落ち込んでるの?
たまには遅刻しちゃうよね。
このように相手の心情によりそうような言葉がけが思い浮かんだ場合は、人間関係型のコミュニケ‐ションを好む方と言えます。
正解は後者
今回の事例では正解は後者になります。なぜなら今回は友人は辛かった気持ちを分かってほしい…という人間関係構築型のやり取りをもとめているからです。前者の言葉が最初に思い浮かぶ方は、おそらく様々な場面で冷たい対応になってしまうので、要注意です。
ただし、前者の問題解決型の返し方が正解になる場面もあります。例えば、仕事上の上司と部下の会話であればOKです。なぜならビジネスにおいては遅刻が致命的な問題につながってしまうからです。
人間関係に特化
このようにコミュ力を向上させるには、問題解決・人間関係構築 の2つの目的に応じたスキルを獲得していく必要があります。
問題解決型のコミュ力については、膨大な量になってしまうので、こちらのビジネスコミュのカテゴリで解説しています。論理力、説明する力を高めたい方はクリックして気になるタイトルを精読してみてください。
人間関係の構築に関するコミュ力については当コラムでしっかり解説していきます。具体的には以下の4つのカテゴリで解説していきます。
①傾聴力を身に付ける
②発話力を身に付ける
③笑顔,アイコンタクト力UP
③相手を好きになること
それぞれについて関連するリンクを貼ってあります。成長させたい部分がある場合はご活用ください。
①傾聴スキルを鍛える
聴く力をつけると、相手の自己肯定感を向上させる、心を癒すことができる、信頼される、など人間関係の土台を固めることができます。
傾聴の基礎は受けとめ
傾聴スキルについて、初学者の方にまず意識をしてほしいことがあります。それは「いきなり質問しない」「受け止める意識を持つ」ということです。
例えば、会話の相手が
横浜の海の近くに住んでいます
と発言したとします。この時、
そっかあ…
横浜のどの辺ですか?
何年住んでいますか?
近いですか?
これらの返し方は全部NGです!!いきなり質問してしまっていますし、受け止めがありません。次に以下例を見てみましょう。
横浜ですか!住みやすそうですね。ちなみに横浜のどの辺ですか?
海の近くかあ~いいなあ。特に夏は楽しそうです。
え?海の近く?!私の実家も海の近くだからなつかしなあ~
いかがでしょうか。いきなり質問をしないで、受け止める意識を持つだけで傾聴の印象はかなり変わってきます。もう一度繰り返します!
・いきなり質問をしない
・まずは受けとめる!
この2点を是非意識してみてください!今回は最も傾聴で大事なことをお伝えしました。もっと傾聴についてじっくり練習したい方は下記を参照ください。
②発話スキルを鍛える
人間関係を築くには、傾聴だけでなく、発話も大事です。中村(1984)[1]は学生50人に対して自己開示と魅力について研究をしました。その結果の一部が下図となります。
こちらは自分のポジティブな話を60%程度する場合に相手から魅力的に見られやすいという意味があります。
その他、話がうまくなると、会話が盛り上がる、人となりが伝わる、警戒されにくくなる、というメリットがあります。
一問一答厳禁!
発話スキルの基礎は、一問一答は厳禁!、サービス精神を持つ、お土産をつけて返す!これが基礎となります。例えば会話の相手が
どこに住んでいますか?
と質問してくれたとしましょう。皆さんは普段どのように返していますか?少し想像してみましょう‥‥
想像してみましたか?もしあなたが
東村山です…
こんな感じで一言しか返していなかったら、これはイエローカードです!監督から選手交代を命じられてしまうかもしれません!
一問一答をしてしまうということは端的に言ってしまうと、サービス精神がない証拠なのです。質問に答えました!はいもういいでしょ?という感じで、相手に喜んでもらおうという気持ちがないのです。
すいませんいいすぎですね(^^;
お土産をつけよう
これに対して以下のように返したらどうでしょうか?
東村山に、8年住んでいます。東京にしては自然が豊かで、八国山という山があります。トトロのモデルにもなったところですよ!
こんな感じで、相手の質問に答えるだけでなく、会話の呼び水となるようなお土産をつけて返す意識を持ちましょう。繰り返しになりますが、
・一門一答は厳禁!
・サービス精神を持つ
・お土産をつけて返す!
この3つを意識するだけで、あなたの発話のスキルはグッと魅力的になるのです。是非今日から試してみてください。以下もっと話す練習をしたい方は下記のコラムを参照ください。
③笑顔,アイコンタクト力UP
話し上手、聴き上手になったら、さらに魅力的になるトレーニングにチャレンジしましょう。優先順が高いのは笑顔とアイコンタクトです。
笑顔は王様
人間関係の構築の王様は笑顔です。笑顔であるということは、
あなたといて楽しいです!
好意を持っています!
敵ではありません!味方です!
という態度の表れなのです。
梅野(2015)[2]は非言語コミュニケーションと好感の関係について、大学生230名に対して調査を行いました。その結果、笑顔は印象形成において一番大事であることが分かったのです。
もし笑顔が少ないな…と感じたら、以下のトレーニングにチャレンジしてみてください。
アイコンタクトも重要
笑顔の次に重要なのはアイコンタクトです。アイコンタクトには以下のポイントがあります。
会話の50%前後は相手をボヤっとみる
目が合う時間は1~2秒程度でOK
発話よりも傾聴の時に相手の目を見る
です。凝視はしなくてOKです。眼があってから1~2秒程度したら、気恥ずかしくそらしてもOKです。体の向きも重要です。目をそらしても体だけは相手に正対するように心がけましょう。
笑顔とアイコンタクトについては下記のコラムを参照ください。
④相手を好きになる
ここまで傾聴、発話、笑顔について基礎をトレーニングしてきました。仕上げとして心理面についても考えていきましょう。
返報性とは何か
心理学の世界では返報性という用語があります。返報性とは、自分の気持ちは、相手からも返ってくるという心理です。
自分が相手を好きになる
→相手も自分を好きになりやすい
自分が相手を嫌いになる
→相手も自分を嫌いになりやすい
自分が相手に心を開く
→相手も心を開きやすい
自分が相手に心を開かない
→相手も自分を警戒しがち
このように、自分の気持ちは、相手からも返ってくるのです。
相手を好きになる努力を
返報性の原理を前提とすれば、人間関係を築くための基本的な心がまえは相手を好きになることだとわかります。会話をするときは、相手のあら捜しをするのではなく、相手の長所、個性、魅力をたくさん探すように心がけましょう。
そうした気持ちは会話の端々に現れ、きっと相手はあなたと話すことに居心地の良さを感じてくれるはずです!返報性の原理について、詳しくは下記を参照ください。
診断してみよう
コミュニケーション能力を総合的に診断をしてみたい方はこちらの診断を参考にしてみてください。問題解決から人間関係構築力まで総合的に測ることができます。
まとめ
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!コミュ力を向上させることは確かに安易なことではありません。
しかし、努力してコミュ力をアップさせると、人間関係が充実したり、仕事がしやすくなったり、恋愛がうまくいったりと、メリットがたくさんあります。
当コラムをきっかけに、コミュ力をつけ、暖かい人間関係を築けることを心から願っています。
コミュニケーション講座のお知らせ
公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかりコミュ力を改善したい方は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では
・傾聴力Up練習
・自己開示練習
・心理学の学習
などたくさん練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています♪
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
自己開示の対人魅力に及ぼす効果 (2) 中村 雅彦 実験心理学研究 55 巻 1985