真面目過ぎる性格を改善する方法
皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「真面目過ぎる性格を改善したい」です。
相談者
33歳 男性
お悩みの内容
私は昔から真面目な性格で、学校や会社でも遅刻したことがありません。高校時代は皆勤賞でした。仕事もきっちりするほうなので評価されてきました。
その一方で、部下が私といるとストレスを溜めていたようで、先日部署移動をしてしまいました。プライベートでは、堅苦しいと言われ、女性にモテません。。
もう少し、砕けた会話ができるようになって、温かい雰囲気のある男になりたいと考えています。ヒントを教えてください。
砕けた会話が苦手だとリラックスした関係を築きにくいですよね。そこで、当コラムでは、真面目な性格の方向けに、堅い雰囲気を改善する方法について解説をしていきます。
真面目な人の長所と短所
まずは自己理解を深めるために、真面目な人の長所と短所を確認していきましょう。以下折りたたんで記載したので気になる項目をクリックしてみてください。
長所
古屋(2017)は、性格得点と「勉強嫌悪」の関連について調べました。その結果が以下の図です。
このように勤勉性が増えると、勉強嫌悪が減るという相関が示されました。つまり誠実で真面目な人は、勉強を嫌がったり後回しにしない傾向があるということです。
古屋(2017)は、性格得点と「遅延行動」の関連について調べました。その結果が以下の図です。
上記のように勤勉性が増えると、遅延行動が減るという相関が示されました。つまり真面目な人は、遅刻することが少なく時間に正確な傾向があるということです。
古屋(2017)は、性格得点と「行動失敗」の関連について調べました。その結果が以下の図です。
図のように勤勉性が増えると、行動失敗が減るという相関が示されました。つまり真面目な人は、行動に失敗することが少ない傾向があると考えられます。
短所
有光(2001)は、大学生292名を対象に、罪悪感の性格特性をアンケート調査により明らかにしました。その結果が以下の図です。
罪悪感が強い人は「誠実性」が高い傾向にあることが分かりました。すなわち誠実で真面目であるほど、罪の意識で悩みやすいと言えそうです。
風間(2015)は大学生260名に対してメンタルヘルスの研究を行いました。その結果、自己抑制と抑うつに相関関係があることが分かりました。
このように、自己抑制が強いほど抑うつの傾向も高いことが分かりました。つまり自分の気持ちを抑えて相手に応えていこうとする真面目な人は、抑うつ状態になりやすいと言えます。
必要以上に我慢をしてしまう…という方は注意しましょう。
真面目な人は、緊張や興奮系の神経である交感神経が活性化することが多く、不眠症になったり、血圧が上昇しやすかったりします。
適度な緊張は体に活力をもたらしてくれますが、長期化している場合は体に様々な悪影響を及ぼすので注意が必要です。自律神経の働きをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
バランスを大事に
このように真面目な人には長所もあり短所もあります。人間関係が充実していて、心理的にも充実している人は特に問題はないでしょう。一方で、
人間関係でトラブルを抱えている
心が休まらない
追い込まれている感じがする
寝つきが悪い
身体の疲れがとりにくい
これらにあてはまる方は、真面目が過剰になっていると推測できます。以下の対策で、行き過ぎた真面目をほぐしていきましょう。
真面目過ぎる‐改善する5つの方法
ここからは真面目過ぎる心理を改善する方法を5つ提案させて頂きます。
①べき思考の改善
②失敗への恐怖を和らげる
③曖昧さ耐性を付ける
④2割サボる意識
⑤身体をほぐす
ご自身でも活用できそうなアイデアをご活用ください。
①べき思考の改善
まず1つ目は、べき思考を改善することです。
真面目すぎる人は「○○すべき」「○○しなければならない」といった考え方があります。こうした思考は、「べき思考」と呼ばれており、完璧主義な傾向を強め、メンタルへルスに悪影響を及ぼします。
改善するには、べき思考を緩めた考え方にシフトしていくことが大切です。例えば以下のような例が挙げられます。
会話で失敗してはならない
⇒なるべく楽しく話せればOK
仕事は完璧にこなすべき
⇒80%の完成度でOK
スピーチでは堂々と振る舞うべき
⇒自分の言いたいことをマイペースで言えればOK
このように、べき思考を和らげることで気楽に取り組めるようになります。べき思考の改善については、以下の動画で解説しました。良かったら参考にしてみてください。
②失敗への恐怖を和らげる
2つ目は、失敗への恐怖を和らげることです。真面目な人は、失敗してはいけない…、ミスをしてはいけない…という考え方で追い込まれていることがよくあります。
改善するには、失敗するイメージからうまく行くイメージに変えていくと効果的です。例えば以下のような例が挙げられます。
本番ではミスをしてはいけない
→本番では今までの練習通りリラックスして力を発揮しよう
会話の場面では間違った話題を提供してはいけない
→今日の会話では楽しい話題を皆にはなそう♪きっと笑ってくれるはずだ
このように、失敗を回避するイメージではなく、うまくイメージに変えると効果的です。失敗してはいけない…と考えることが多い方は以下のコラムを参照ください。
③曖昧さ耐性を付ける
真面目な人は白黒ハッキリつけたがる傾向があります。例えば、テスト70点だったにも関わらず、
100点でないなら自分はダメだ
と考えてしまいます。このように極端に考えてしまうと、はっきしりしない状況だといつもイライラしてしまいます。
一方で何事も気楽に取り組める人は曖昧さ耐性があります。曖昧さ耐性とは、曖昧な状況でもそのまま受け流せる心の強さを意味します。例えば、以下のように考えて行きます。
100点じゃなくてはいけない。70点ではだめだ!
→70点も取れた!まあまあでしょう
恋人が今日何をしていたかわからない。付き合っているのだから報告すべきだ!
→恋愛はミステリアスな部分があるほうがドキドキするものだ
といった具合に、曖昧な状況を受け止め、ほどほどで良しとするのです。その結果、いつも心に余裕がある状況になります。曖昧さ耐性を付ける方法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
④身体をほぐす
4つ目は、身体をほぐすことです。過度に真面目な人は、肩に力が入る、顔がこわばる、緊張で汗が噴き出すことがよくあります。。身体が力んでいると、心も緊張した状態になり、パフォーマンスが出しにくくなります。
身体をほぐす時によく用いられるものとして、漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)というリラクゼーション法があります。簡単なやり方としては以下の手順で行います。
拳を握ってグーを作ります
ギューッと拳を握ります
ゆっくり緊張をときます
余韻にひたります
このように、筋肉の緊張と弛緩を繰り返すと、力が抜けたことが明確になり、身体と心の緊張もほぐれていきます。体が堅くなりやすいと感じる方は、以下のコラムを参照ください。
⑤2割サボる意識
5つ目は、2割サボる意識を持つことです。常に100%の力で生きていては、いずれ体力が底を尽きてしまいます。マラソンで全力疾走するとバテてしまうように、普段の生活でもペース配分を考える必要があります。そこで、
たまには残業をお願いする
2か月に1回ぐらいは遅刻OK
体がキツイ時は休む
など2割ほど手を抜くようにしましょう。
例えば、Googleでは「20%ルール」という規則があり、仕事内の20%は自由にやって良いという取り決めになっているそうです。
ある程度、個人の自由に任せることで新しい発見やアイデアにつながるとのことで導入しているようです。上手くサボる方法をより詳しく知りたい方は以下の動画をご覧ください。
まとめ
真面目なことは社会生活を送る上で大切です。しかし、過剰になると、ストレスを溜まり、人間関係でもトラブルを抱えやすくなります。
肩の力を抜いていい場面では、ほぐした考え方も大事にしましょう。皆さんがリラックスした考え方を持ち、柔軟な人間関係を築かれることを願っています。応援しています!
人間関係講座のお知らせ
堅い雰囲気を改善し、ほぐれた会話の練習をしたい方は、公認心理師が主催する弊社の人間関係講座をおすすめします。講座では
・相手をほめる練習
・聴き上手になる練習
・肩の力をぬいた会話練習
・温かい笑顔の練習
などたくさんのワークを行います。筆者も講師をしています。皆様の御来場をお待ちしています。↓興味がある方は下記の看板をクリック♪↓
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
ブログ→
YouTube→
Twitter→
*出典・参考文献
・有光(2001)罪悪感, 羞恥心と性格特性の関係 性格心理学研究 9(2), 71-86, 2001 日本パーソナリティ心理学会
・姜信善・南朱里(2015) 個人志向性・社会志向性が友人関係満足に及ぼす影響についての検討 兵庫教育大学人間発達科学部紀要
・風間惇希 2015 大学生における過剰適応と抑うつの関連 青年心理学研究 27(1), 23-38
・古屋(2017)大学生の学業遅延傾向に関わる性格特性について 立正大学心理学研究所紀要 第15号 33-45 古屋:大学生の学業遅延
・O’Connor, L. E., Berry, J. W., Weiss, J., & Gilbert, P. (2002). Guilt, fear, submission, and empathy in depression. Journal of affective disorders, 71(1), 19-27.
・Browne, Evangeli, & Greenberg, 2012