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自己効力感の意味とは?尺度のセルフ診断と高める方法を臨床心理士が解説

自己効力感


自己効力感の意味とは?尺度のセルフ診断と高める方法-臨床心理士監修①

自己効力感について専門家が解説

はじめまして、臨床心理士の亀井です!私は心理士として、精神疾患を抱える方のカウンセリングや、発達障害を抱える方のソーシャルスキルトレーニングを行っています。本コラムでは「自己効力感」について詳しく解説をしていきます。全部で5コラムあります。しっかりとお伝えしたいので8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが、ぜひお付き合いください。自己効力感について専門家が解説しています

自己効力感ってなんだろう?

自己効力感は、1977年、カナダの心理学者であるバンデューラによって概念化されました。

バンデューラは
「人は刺激に反応しているのではなく、その刺激を自分なりに解釈したり予測した上で反応している」

という基本的な考えを持っています。簡単に言えば、何か出来事があったときに、その出来事が私たちの行動を決めるのではなく、その出来事について予測したり解釈する私たちの考え方が、行動を決めると考えたのです。

そして予期機能には、次の2つがあります。
・結果予期
ある行動によってどのような結果になるかを予期する
・効力予期
ある結果を出すために必要な行動がどの程度うまくできるかを予期する

この2つめの「効力予期を持っている」と認知したとき、その人は「自己効力感がある」といえるのです。専門領域ではセルフ・エフィカシー(self-efficacy)と言ったりもします。なんとなく字面から想像できるかもしれませんが、ざっくり言ってしまえば、「自分は○○ができる!」と考えることです。

以下、
・自己効力感が低いとどうなるのか
・自己効力感のセルフチェック
・どうすれば自己効力感が高まるのか
について確認していきましょう!自己効力感を高める方法を確認しよう

自己効力感の低下は抑うつにつながる?

自己効力感が低いと、どんな問題があるのでしょう?自己効力感が「自分は○○できる」という考えだとすると、自己効力感が低い人は「自分は○○できる気がしない」と考えてしまうことになりますね。バンデューラによると、

自己効力感が低いときは
・無気力
・無感情
・無関心
になり、あきらめが早く、失望・落胆し、自己卑下や劣等感を抱きやすくなり、抑うつ状態に陥ってしまいやすいといいます。自己効力感が低い問題について解説

一般的に、抑うつ状態に陥った人は、自分を過小評価し自分には能力がないと感じ、意欲がわかず、無気力になってしまうと言われています。

これは、先ほど挙げた自己効力感が低い人の特徴と一致しますね。他にも、抑うつ症状と自己効力感の関係を指摘する論文はたくさんあります。

臨床心理学者の坂野は、約1年にわたり、うつ病の症状変化にともなう自己効力感の変化を調査しました。その結果、うつ病患者は、通院・入院中は自己効力感が低く、症状の回復や通院終了・退院とともに自己効力感が高まることが明らかになりました。

自己効力感が低いと必ずうつ病になるわけではありません。しかし、自己効力感が低いと「何をやってもうまくいかない」とやる気がなくなり、「自分はダメな人間だ」などと考えてしまいがちになります。そういった考えは気分をより落ち込ませ、抑うつ症状につながる可能性もあるため、注意が必要です。

自己効力感の尺度チェック!

自己効力感の尺度をセルフチェックしてみましょう!次の10個の質問について、今のあなたに当てはまるかどうかを判断し、あてはまる場合はYes、あてはまらない場合はNoを選んでください。回答が終わったら、すべての項目の得点を合計してくださいね。
自己効力感の尺度チェック表それでは、結果をみていきましょう!

自己効力感の尺度チェックの解説

9〜10点:高い自己効力感
あなたは自信にあふれ、自分をよくコントロールできている人かもしれません。一方で、もしあなたが今まで大きな失敗をしたことがない人ならば、失敗には弱い側面も持ちあわせているかもしれません。

今ある自己効力感をしっかり維持できるよう、日常での工夫をお伝えしていきますので、ぜひ取り入れてみてください!

5〜8点:平均的な自己効力感
自己効力感が低いわけではありませんが、特定の物事に対してのみ自信があったり、なかったりするかもしれません。また、今は自己効力感を持てていることでも、何かのきっかけで揺らぐ可能性も十分にあります。

今ある自己効力感を維持し、さらに高めていけるよう、日常での工夫をお伝えしていきますので、ぜひ実践してみてください!

0〜4点:自己効力感が低い可能性がある
あなたは自分に自信が持てず、「きっと何をやってもうまくいかないだろう」なんて考えてしまってはいませんか?そういった考え方がクセになると、慢性的な気分の落ち込みや不安につながってしまう恐れがあります。自己効力感はちょっとした工夫で高めることができます。この後に紹介する方法を使って、自己効力感を高めていきましょう!

定期的にチェックしてみよう

自己効力感の尺度チェックの結果はいかがでしたか?よくない結果が出た人は不安になってしまっているかもしれませんね。

しかし結果は、あくまで「今」の傾向です。時間や状況によって変化するため、できれば月に一度ほど自己効力感の尺度チェックを行い、自分を見つめ直しましょう。

自己効力感を高める4つの情報源

ここでは、自己効力感が低い原因と高める方法について考えていきたいと思います。実は、具体的な自己効力感を「下げる原因」というのは、複数あり、紹介しきれない部分もあります。そこで今回は特に影響が大きい、4つの経験について紹介させて頂きます。

自己効力感を高める4つの方法について解説

①成功体験を得る
まず最も重要なのは、実際に行動してみてそれが成功することです。ある行動がうまくいった場合、同様の行動については「またうまくいくだろう」と考えるようになります。その「またうまくいくだろう」という考えが、「自分は○○ができる」という自己効力感につながっていきます。

自己効力感を高めるために最も有効なのはこの「成功体験を得ること」です。次回以降のコラムで、成功体験を得るための具体的な方法をご紹介していきます!

②人の行動を観察する
次に重要なのは、うまくいった人の行動を観察し、代理的経験をすることです。人の行動を観察することで、「こうすればうまくいくんだ」「自分にもできそうだ」と学習でき、自己効力感を高めることができます。

逆に失敗している人を見た場合は、「自分も失敗するんじゃないか」と不安が高まり、自己効力感が低下してしまう可能性もあります。しかし、じっくり観察して、「自分ならこうしよう」と新たな対策を立てられるという点でも、代理的経験は有効です。

うまくいっている人の行動を観察して、手順やポイントをメモするといった工夫をしてみましょう!うまくいかなかった人の行動からは、失敗した原因を探ってみましょう!

③「できる」と人から言われる・自分に言い聞かせる
①や②に補助的に使うと有効なのが、言語的な説得です。人から「〇〇が上手だね」と言われると、自信に繋がりますよね。

成功体験をしたときに、周りから褒められる。代理的経験をしたときに、コツやポイントを言葉で説明してもらい、励ましてもらう。このように、自己効力感を高める上でも、言葉は非常に有効です。

周りからほめられた時は素直に受け取りましょう!また、自分で自分に言い聞かせてもOK!不安なことに挑戦する前、自分自身に「できる」「大丈夫」と言ってあげましょう!

④生理的な反応の変化を体験する
生理的反応が落ち着くことを体験する、または生理的に落ち着いているということを自覚することでも、自己効力感は高まります。

生理的反応とは、声が震えたり、赤面したり、胸がドキドキしたりすることです。緊張するシーンでも生理的に落ち着いていることが自覚できると「これならできるかもしれない」という自信が湧いてくるかもしれません。緊張しそうな場面では、深呼吸やストレッチを用いて緊張をほぐしてあげましょう!ちなみに「あがり症コラム⑦~やってみよう!簡単な腹式呼吸でリラックス〜」も参考になりますよ。自己効力感の尺度を高めていこう

自己効力感を高めていこう!

自己効力感について、理解は深まりましたか?自己効力感が高い人は、自分に関わるできごとは自分でコントロールできると考えます。そのため、問題解決に積極的に取り組み、ストレスに対しても自分に合った対処法を選択できるようになります。

自己効力感を高めることは、抑うつや不安の予防・改善につながるだけでなく、精神的な健康や、日々の充実感にもつながります。この機会にぜひ、自己効力感を高める方法を知り、実践してみてください!

次回以降の自己効力感コラムでは、成功体験を得るための具体的な方法についてお伝えしていきます!次回は、毎日の小さな成功体験の探し方です。お楽しみに!(次へ進むボタンはもう少し下にあります。)

★ 4つの方法で自己効力感を高めて、不安の予防や日々の充実を目指そう!
心理学講座

*出典・参考文献
Bandura, A. 1977 Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84, 191-215.
坂野雄二 1989 一般性セルフ・エフィカシー尺度の妥当性の検討 早稲田大学人間科学研究, 2, 91-98.
坂野雄二・前田基成 2002 セルフ・エフィカシーの臨床心理学 北大路書房
坂野雄二・東條光彦 1986 一般性セルフ・エフィカシー尺度作成の試み 行動療法研究, 12, 73-82.



4つの高める方法を実践しよう