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子どもが愛着障害かもしれない,診断基準や症状,治し方

子どもが愛着障害かもしれない,診断基準や症状,治し方

皆さんこんにちは。
臨床心理士の竹元、精神保健福祉士の川島です。

今回のお悩み相談
「子供の愛着障害かもしれない」
です。

相談者
30歳女性
夫婦共働き
4歳の女の子がいる

お悩みの内容
子どもの警戒心が強く悩んでいます。保育園に迎えに行っても、喜ぶそぶりを見せません。抱っこをしても嫌がることが多々あります。精神科では愛着障害の可能性があると言われました。母親としての自信を失っています。

お子様が自分になついてくれないと不安になりますよね。当コラムでは愛着障害の問題について理解を深めて、基本的な対応策を抑えていきましょう。

愛着とは何か?

まずはじめに愛着とは何か?について抑えておきましょう。

愛着とは何か?

児童心理学の専門家であるボウルビィは、幼少期の母子の愛着形成がとても大事であることを主張しています。

ボウルビィは元々戦争で被災した孤児と関わっていました。その結果、戦争孤児には

 ・すぐにかんしゃくを起こす
 ・人との交流に無関心になる
 ・攻撃的になる
 ・見捨てられ不安が強くなる

という心理的な問題を抱えることが分かったのです。

養育環境に問題

ボウルビィはなぜこのような問題が起こったのか?と疑問を持ちました。そして戦争孤児をよく観察したのです。

その結果、戦争孤児には

・泣いたときにあやしてもらえない
・適切なタイミングでミルクをもらえない
・充分な愛情が注がれていない

という問題があることがわかったのです。

ネグレクト
情緒的交流がない状態
安定した保護者がいない

このような状況が続くと子供の心は乱れ、愛着不安が強くなっていきます。

愛着形成の重要性

愛着とは、深く心を惹かれ離れがたいと感じることを意味します。

幼少期の子供は泣いたりわめいたり、感情を親にぶつけてきます。その都度親が対応して、抱っこをしたり、なだめたり、時には、ダメなことはダメと話しあうことが大事です。

このように子供とぶつかり合っていくことで、私たちは擁護者と深く心を通わせ、私は愛されている、人は信頼に足る、安心感していいのだ!という確信を持つことができるのです。

子育ての難しさ

幼少期は親が適切なタイミングで関わることが大事になるのですが、一方で、現実問題として子育ての難しさもあります。

筆者の川島は3人の子育て期間中です。1人目の時はまだ余裕があり、絵本など頻繁に読んでいましたが、3人となるとほとんど時間が取れなくなっています。

3人同時に泣き止まないときもあり、そんなときはイライラすることもあります。

私は心理学の専門家ですので、メンタルコントロールはできる方だと思いますが、一般の方であれば、心理的に追い込まれてしまうこともよくわかります。

2種類の愛着障害

話を先に進めましょう。

愛着形成に問題を抱える幼児は愛着障害と診断されることがあります。愛着障害には大きく分けて以下の2種類があります。

反応性愛着障害

反応性愛着障害とは

・励ましても素直に喜ばない
・親への警戒や悲しみがある
・人と目を合わせず抱き着く

などの特徴がみられる障害です。直感的な表現では、警戒心があり、素直に甘えることができないような状態の幼児が当てはまります。

反応性愛着障害の意味,詳しい説明

反応性愛着障害

脱抑制愛着障害

脱抑制愛着障害とは

・過剰な愛情要求
・誰とでも愛着を求める
・過度になれなれしい

などがみられる障害です。直感的には、通常の人懐っこさを超え、過剰な愛情要求がみられる幼児に診断されることがあります。

脱抑制愛着障害の意味,詳しい説明

有病率の実態

実は医療機関で診断されることは稀で、虐待などの環境下でも、愛着障害と診断される方は実際の10%程度という説もあります。

平成30年度,児童虐待相談対応件数によると、相談件数は16万件前後であり、相当な数の子供が潜在的な愛着障害の可能性があると考えられます。

アダルトチルドレン・人数

発達障害との混同

愛着障害は発達障害と混同されることがあります。なぜなら、ADHDや自閉症スペクトラムなどと同じような行動をとることがありからです。

しかし、発達障害と愛着障害は対応の仕方が大きく異なります。発達障害は、生物学的な要因で起きた先天的脳機能の障害と考えられている一方で、愛着障害は、後天的な心理社会的要因によるものが大きいとされています。

山本・米澤(2018)は、愛着障害が根底にあるにもかかわらず、発達障害として対応しているケースが存在することを指摘しています。

その結果、抱えている問題が長期化する、および、1つの問題を解決しても新しい問題が浮上するといった事態が生じると述べています。

大人になってからの影響

愛着障害は基本的には子供につく診断名ですが、その影響は生涯にわたります。成人になってからの影響について、1つ例を挙げたいと思います。

丹羽(2005)は、大学1年生628名を対象に、「大学入学時の対人関係不安と愛着不安」について調査を実施しました。

丹羽は大学生を
・愛着不安高い群
→親などとの重要な他者と情緒的に問題を抱える群

・愛着不安低い群
→情緒的に健康的な関係を築いている群

2つグループに分けました。

その後、2つのグループが大学にうまくなじめているかを調査しました。その結果、以下のような特徴があることがわかりました。

対人不安と愛着図を見てもわかるように、入学直後は、愛着不安高群が対人不安が強く、その傾向は3か月後も持続していることがわかります。このように、愛着は実際に社会適応の土台になっていると考えられるのです。

私はこれまで様々な方のカウンセリングを行ってきましたが、これは現場感覚でも非常に強く感じています。

 

子育てのコツ

ここからは健康的な愛着形成のための子育てのコツを5つ提案させていただきます。実は筆者の私も、4歳、3歳、1歳の子育て期間中です。公認心理師の私自身も心がけていることです。

子育て期間中の方、独身の方も将来役に立つと思います。よかったら参考にしてみてくださいね。

 

抱っこと心拍数の変化

1つ目は抱っこ作戦です。情緒的な結びつきは抱っこ抜きでは語れないほど重要です。ここで赤ちゃんを抱っこするとどれぐらいリラックスするのか?研究データを見ていきましょう。

愛着障害 治し方

Esposito(2013)は生後6か月の子どもを持つ母親13組を対象に研究を行いました。

具体的には母親が赤ちゃんを腕に抱いて約30秒ごとに「座る・立って歩く」という動作を繰り返し、泣く量を測定しました。その結果を図に示しました。

愛着障害

母親が歩いている時は、座っている時に比べ、泣く量(%)が約10分の1に低下することを見いだしました。

自発的な動きの変化

続いて、赤ちゃんの自発的運動の変化を見ていきましょう。自発的な動きとは、遊び、観察歩行、癇癪などが挙げられます。以下の図をご覧ください。

愛着障害 母親

この図からもわかるように、自発的な動きが約5分の1に減少することを証明しました。泣く量や自発的な動きが減少するということは赤ちゃんがリラックスしたという証拠です。

Esposito(2013)らの研究グループでは、赤ちゃんが泣いたときに抱いて5分間歩くことがお勧めされています。

*講師の雑感 子育て期間中は、家事労働、仕事に追われ、意外とゆったり抱っこする時間を捻出できないですよね。ただやはり1日の何分間かはしっかりスキンシップする時間をとるようにしましょう。

ストロークとは何か?

2つ目に無条件の肯定作戦をお伝えします。心理療法の1つにストロークという概念を紹介します。ストロークとは「人との関わり方」を意味します。

あいまいな概念なので、解説を読みながら感覚をつかんで頂けると幸いです。

ストロークは

条件付き肯定的ストローク」
無条件の肯定的ストローク」

の2つに分けられます。まずは「条件付きストローク」について説明します。条件付きの肯定的ストロークの例を挙げます。

・泣き止んだから褒める
・片づけをしから褒める
・おしっこをトイレでしたことを褒める

これらはすべて「条件付き」ストロークですね。条件付きでも肯定的ストロークは嬉しいものです。褒められるポイントがある場合は相手に伝えましょう。

条件つきは不安-無条件は安心

しかし、条件付きにはデメリットがあります。それは

「条件付きのストロークでは真の安心は得られない」

という点です。例えば、トイレでおしっこをしたときだけ抱っこをして、トイレでおしっこをしなかったときに抱っこをしなかったとしたら、子どもは「おしっこができない僕は愛されていないのかも・・・」と感じとってしまうかもしれません。

少々極端な例ですが、〇〇したから褒めてくれる…という行動が多いと、子供は本当の意味での安心を得ることができないのです。
孤独になるのなせ

これに対して「無条件の肯定的ストローク」は存在自体を肯定するため、「僕はここにいていいんだ」という感覚を育てることができます。無条件の肯定的ストロークには条件が不要です。

「どんな時でもあなたと私は肯定されている」

という感覚です。どんな時でも・・・というのがカギですね。何か特別なことしなくても良いのです。〇〇だから・・△△だから・・・という理由はいらないのです。

無条件に「人と自分は同じく愛される存在だ」という気持ちを育てることが愛着障害を予防してくれます。


愛着と指しゃぶり

ここで典型的な無条件のストロークと条件付きのストロークを列挙してみます。参考にしてみてください

・感謝
小さなことでも
ありがとうと伝える

・存在の肯定
抱きしめる
うなづく
だっこ

・非言語の褒める態度
微笑む
相手の目を見る
二の腕に触れる

・傾聴態度
論理的に正しくなくても
相手の話をひとまず聞く
相手の話を受け止める

・価値観の尊重
頭ごなしに否定しない
なるほど〇〇という考えがあるのか
あなたはそう感じているのね。

・条件つき感謝
おかたずけをうまくできたときだけ感謝する
何もしてくれない時は感謝しない

・条件付き存在の肯定
ちゃんと着替えられた時だけ
ニコニコ接する
日によって反応が変わる

・条件つき非言語
手伝ってくれた時だけ頭をなでる
勉強した時だけ目を見る

・傾聴態度
論理的に正しいことだけ肯定する
間違っていたらすべて否定

・価値観の尊重
相手の考えを尊重しない
論理的な正しさのみ肯定する

*講師の雑感 無条件のストロークは懐が深く、愛着形成の土台となります。〇〇できたから…ではなく、無条件に抱っこしたり、名前を読んだり、頭をなでるなど、大事にしましょう。

当コラムで紹介させて頂いたストロークについて理解深めたい方はこちらのストロークコラムを参照ください。

夫婦関係と子供の抑うつ

菅原ら(2002)の研究では、1360名の母親を対象に、夫婦関係が子どものメンタルヘルスにどのような影響を与えるか調査をしました。

その結果、上図のように「父親と母親がお互いに愛情を持っている」場合、家族の雰囲気がよくなり、子どもの抑うつ傾向が低くなることが分かっています。

また、母親が父親に対して愛情を持っていると、子どもに対しても暖かく接することができ、その暖かさが子どもの抑うつ傾向を下げるのです。

*講師の雑感 子どもは夫婦関係をよく見ています。夫婦同士が冗談をいったり、愛情を交換し合うことで、子供も安心して育っていくことができるのです。私も今日は奥さんにプレゼントを買いに行こうかな。

子育ての基盤は円満な夫婦関係にあります。パートナーと険悪になりやすい…と感じる方はこちらの夫婦喧嘩コラムを参考にしてみてください。

試行錯誤の重要性

親になると、抱っこする機会がたくさんあります。ただ最初の方はうまく、抱っこできません。

なんとなく居心地が悪いと赤ちゃんは泣いたりしますよね。この時、親と赤ちゃんは、無意識のうちにお互いが試行錯誤を始めます。赤ちゃんは体を揺らし、親は重心をずらしたりします。

この試行錯誤をすることで、安心した状態を2人で追及していくのです。そうしてある時、お互いの努力が実り、心地よい体の感覚を得ることができて、赤ちゃんは泣き止みます。

この共同作業によって安心した位置を獲得できると、私たちはお互い信頼できる・・・という基本的信頼感を築くことができます。

輸送反応とリラックス

Esposito(2013)はマウスを使った子育ての実験を行っています。ほ乳類が子育てをするときによく見られる行動に、口で子どもを加えて運ぶ「輸送反応」があります。

この動きを実験者がまねて、子供マウスの首の後ろをつまむと、マウスは体を丸めて、運びやすくなる姿勢をとるのです。

親が運びやすいように子どもが子育てに協力している表れだと解釈しています。この時、子供マウスは心拍数の低下がが見られ、リラックスしていることがわかりました。

しっかり体を丸めるには子どもも練習が必要で親が何度も運んでくれるに従って上手く体を丸めて運ばれる姿勢を取れるようになるということです。

*講師の雑感 子育てが上手くいくには、親も子も反復的な練習をして、「育てる」「育てられる」ということをお互い行うことで、信頼関係の源を作り上げていくのです。

愛着障害 予防

愛着障害は基本的には幼児向けの障害です。大人になってから診断を受けることはありません。しかし、心理学の世界では子供の頃の養育環境が大人になっても影響することがわかっています。

この点、世代間で同じような養育スタイルをとってしまうことがあります。もしご両親の養育環境に問題があったかもしれないと感じる方は、コラム③を参考にしてみてください。

大人の愛着障害はどうやって治療する

*講師の雑感 虐待やアダルトチルドレンの問題は世代間で続いていく可能性があります。自分自身の愛着に関する問題も整理しておく必要があります。

 

まとめとお知らせ

まとめ

今回は子供の愛着障害について対策をお伝えしました。

・抱っこをたくさんする
・無条件の肯定をたくさんする
・夫婦関係を大事にする
・親も未完成,一緒に成長する
・自分の愛着不安を改善

この5つを守ればきっとお子様はすくすくと健康な心をもって育っていくと思います(^^)私も子育て頑張ります!

お知らせ

子育てを健康的にするには、親の心の状態やコミュニケーションのあり方を健康的にしておく必要があります。

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・対人不安の改善
・暖かい人間関係を築くコツ
・無条件の肯定のコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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