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フットインザドア法とは,具体例や使い方

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フットインザドア法とは,具体例や使い方

みなさんこんにちは!現役経営者,公認心理師の川島達史です。私はこちらのコミュニケーション講座で講師をしています。当コラムのテーマは「フットインザドア法の使い方」です。目次は以下の通りです。

①フットインザドア法とは
②研究,論文紹介
③なぜ効果があるのか
④ビジネスの具体例5つ
⑤練習してみよう
⑥関連ワード


フットインザドア法はビジネスの世界で使える心理学として有名です。フットインザドアを使いこないしたい!という方は、是非参考にしてみてください。

リピーター,フットインザドア

①フットインザドア法とは

フットインザドア法とは

フットインザドア法は、Freedmanによって1966に作られた造語です[1]。意味としては以下のようになります。

最初に小さな要求して、徐々に自分が意図する要求に近づける説得法

フットインザドア法は、別名「段階的要請法」とも呼ばれています。由来としては、訪問営業の方がドアに1歩だけ足を入れる様からとられています。

昔は、「お話だけでも!」とセールスマンが、訪問先の人にドアを閉められないように片足を入れることが多くありました。まずは片足だけ入れさせてもらう。その後、本格的な営業に入るイメージから取られました。

成功の鍵

フットインザドア法は、相手に対して少しずつ要求を強めていくことで、最終的に大きな同意を得るための効果的な手法です。この技術を利用する際は、相手の心理状態やニーズに配慮しながら、適切に活用することが成功のカギとなります。

注意が必要なのは、相手の信頼を損なわないようにすることです。小さな要求が適切で、相手にとっても負担にならないものでなければなりません。また、あまりにも頻繁にこの手法を使用すると、相手からの信頼を失い、逆効果となる可能性もあるため、適切なバランスを保つことが重要です。

②研究,論文紹介

フットインザドア法には様々な効果研究があります。

効果研究①

Freedman(1966)[1]らは、フットインザドア法について、以下のような2つの条件を用意して、承諾率を比較しました。

フットインザドア群
小さな交通安全のステッカーを貼ってもらう
(小さなお願い)
 ↓
安全運転を呼びかける看板を立てさせてほしいとお願いする
(大きなお願い)

大きなお願い群
いきなり安全運転を呼びかける看板を立てさせてほしいとお願いする
(大きなお願い)

両者の比較の結果、承諾率に以下のような差が出ました。

フットインザドア法群
47.4%%

大きなお願い群
16,7%

このようにFreedmanの研究では3倍前後の違いが出たのです。

効果研究②

こちら上下の研究と体裁を合わせてお願いします 

ハリスとギバート(1973年)の「フット・イン・ザ・ドア」実験では、募金活動において通行人に最初に「小銭をくれませんか?」という小さな要求をし、その後「紙幣を寄付してもらえませんか?」という大きな要求をしました。

最初の小さな要求に応じた通行人の約50%が、その後の大きな要求にも応じました。一方で、最初から大きな要求のみを行った場合、応じたのは約25%でした。この結果は、小さな「イエス」が後の大きな「イエス」につながる『一貫性の原理』を示しています(出典: Harris, R. J., & Gibbart, J. D., 1973, “Foot-in-the-Door Technique in Fundraising: A Field Experiment”)。

効果研究③

Chrisら(1980)[2]らは、フットインザドア法の効果について調査を行いました。具体的には、以下のような2つの条件を用意して、それぞれにどれくらい説得がうまくいくのかを比較しました。

フットインザドア群
すいませんが買い物の時にイライラすることについて2、3の質問にお答えくださいませんか?
(小さなお願い)
 ↓
ありがとうございます。それでは誠に申し訳ないのですけれども、近日中に30分ほどかかる質問紙調査に回答していただけないでしょうか?
(大きなお願い)

大きなお願い群
いきなりで申し訳ないのですが、買い物についての30分ほどかかる質問紙調査に回答していただけないでしょうか?
(大きなお願い)

両者の比較の結果、承諾率に以下のような差が出ました。

フットインザドア法群
67.3%

大きなお願い群
22.2%

このように、フットインザドアを使った群のほうが承諾率が高いことが分かりました。最初に小さな要求を飲ませることで、3倍近くも説得効果に差が出てしまうのです。

説得力を伸ばそう

③なぜ効果があるのか

フットインザドア法にはなぜ効果的なのでしょうか。

一貫性の法則

一貫性の法則とは、人は行動や考え方を変えずになるべく持続させようとする心理を意味します。最初に小さなYESを表明すると、次もYESを言いやすくなる心理が働きます。

単純接触効果

心理学の研究では、対象に触れる回数が多いほど好感を持つことが分かっています。フットインザドア法で一度、対象と触れると、2回目はより好感が高まった状態になり、承諾率が上がると予想されます。

単純接触効果とは

不安が軽減されている

私たちは新しい出来事に遭遇すると、不安を感じます。しかし、理解が深くなってくると段々とその不安は軽減されていきます。図で示すと以下のようになります。

フットインザドア

フットインザドア法を活用し、サービスや商品の理解を深めてもらうことで、不安を軽減し、興味を促進することができるのです。(*数字は筆者が作成したものです。)

④ビジネスの7つの具体例

フットインザドア法はビジネスで頻繁に使われています。例えば以下の5つが挙げられます。

①試供品
②試着
③試食
④無料体験
⑤追加販売
⑥アンケート依頼
⑦クーポン提供

それぞれ解説していきす。

①試供品

化粧品は既に愛用しているひとが多く、簡単には乗り換えません。そこで、まずは本格的な乗り換えの前に試供品を体験してもらいます。無料で体験してもらい、心理的なハードルを下げることで、自社商品に興味を持ってもらうのです。

②試着

洋服は実際に購入するまでにハードルが高いですが、まずは試着を用意することで、心理的なハードルを下げていきます。最近では試着可能なネットショップも増えてきました。まずは無料で着用できることをアピールすることで購買率も高まるのです。

③試食販売

食品は味や食感わからない…というのが販売までの大きな障壁になります。そこで、まずは試食を用意することで、商品を購入した後のイメージを体感してもらうのです。一般的にスーパーなどで行われることが多い傾向にあります。まずは味わってもらうことで、購買を促進する効果があります。

④無料体験

無料体験は、多方面で活用されており、ジムなどの講座の入会・ビデオオンデマンドなどの月額サービスの無料体験などが挙げられます。例えば、初月無料にすることでサービスの使用感を体験してもらい、購買までのハードルを下げるのです。

⑤追加販売

すでに購入歴があるお客さんに、追加で商品をセールスする販売方法です。具体的には、ジムの会員さんにサプリメントを販売する、美容室のお客さんにシャンプーをお勧めするなどがあります。まずは安い商品を購入してもらい、その後に関連する少し高めの商品をセールスしていくという方法になります。

⑦クーポン提供

最初に割引クーポンを提供し、顧客に店舗に足を運んでもらうことで、追加の商品やサービスの購入を促します。クーポン利用という小さな行動をきっかけに、顧客の購入意欲が高まります。

⑧無料登録

ソフトウェアやサービスでは、まず無料登録を行い、実際に使ってもらうことで顧客の関心を引き出します。無料で始められることで、使い続けるか有料プランに移行する心理的障壁が低くなります。

フットインザドア法,試食

⑤練習してみよう

ここからは練習問題に取り組んでみましょう。以下の状況になったと想像をしてフットインザドア法の文言を考えてみましょう。

練習問題1

あなたの状況
・新しくヨガの事務を開業する
・まだお客様が一人もいない
・駅前でチラシを配ることに
・すると中年女性が立ち止まってくれた

フットインザドア法で誘い文句を書いてみましょう。


解答例

ヨガのジムをオープンしました♪3回まで無料体験を実施しています!ぜひいらっしゃってくださいね。

 

練習問題2

あなたの状況
・あなたはあるカフェの店長です
・今月から新作のラテを販売しています
・しかしほとんど注文がありません

フットインザドア法としてはどのようなやり方があるでしょうか。

 

解答例

常連さんに無料で飲んでいただく
半額キャンペーンを実施する
店頭で試飲会を開く

⑥関連ワード

ドア・イン・ザ・フェイス

「ドア・イン・ザ・フェイス」テクニックは、アメリカの社会心理学者ロバート・チャルディーニが提唱した手法です。最初に大きな要求を提示し、相手がそれを断った後に、より小さな要求を出すことで、その要求を受け入れやすくなります。

チャルディーニの実験では、大学生に「毎週2年間、少年犯罪者を指導するボランティアをしてほしい」と大きな要求をし、ほとんどが拒否しました。その後、「週末に1回だけ少年を動物園に連れて行く」という小さな要求をすると、要求を受け入れた学生は最初の拒否後では50%に達しましたが、初めから小さな要求だけをした場合は17%にとどまりました。

この結果は、相手が最初の要求を断ったことで「断ったままでいるのは悪い」と感じ、次の要求に対して妥協しやすくなる『譲歩の原理』に基づいています

(出典:Cialdini, R. B., 1975, “The Door-in-the-Face Technique: Reciprocity Concession”)

フット・イン・ザ・マウス

アメリカの心理学者ハワード・ガードナーの実験では、電話でクッキーを購入するよう依頼する際、会話の前に「ご機嫌いかがですか?」と挨拶をした場合、回答率が「あいさつなしの10%」に対し「あいさつありでは25%」と2.5倍に増えました。

これは、挨拶によって相手に小さな「イエス」を引き出し、フット・イン・ザ・ドア効果と同様に『一貫性の原理』が働くためです。ただし、「機嫌が悪い」と答えた場合は逆効果となり、クッキーを購入する割合が下がってしまいます。

出典はこちら

https://core.ac.uk/download/pdf/129953360.pdf

まとめ

フットインザドア法はビジネスの世界で1日1回は見るぐらいメジャーな手法です。最初の敷居を低くして、是非たくさんの方に体験してもらいましょう。そうすればきっとあなたの商品の良さを理解してくれる方があらわれると思います。応援しています!

しっかり身につけたい方へ

当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、現役経営者、公認心理師による講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。

・フットインザドア法,実践練習
・説得理論の基礎を学ぶ
・プレゼンテーション実践練習
・ビジネスコミュ力UPトレーニング

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)

フットインザドア法とは,具体例や使い方,コミュニケーション講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]Freedman, J. L. & Fraser, S. C. (1966).Compliance without pressure: The foot-in- the-door technique. Journal of Personality and Social Psychology, 4, 195-202.
 
[2]Chris T. Allen, Charles D. Schewe, Gösta Wijk(1980).More on Self-Perception Theory’s Foot Technique in the Pre-Call/Mail Survey Setting Journal of Marketing Research Vol. 17, No. 4 , pp. 498-502