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恐怖心とは何か-生物学的要因

恐怖心の克服方法-上司,スポーツなど活用できる心理学

はじめまして!公認心理師の川島です。私は現在、こちらの心理学講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回のテーマは
「恐怖心」
です。

  • 改善するお悩み
  • 恐怖心が強い
  • 逃げ癖がある
  • 行動力がない

全体の目次
入門①恐怖心とは何か
入門②過剰な恐れと長期化に注意
入門③恐怖心の克服法
発展- 恐怖症コラム
発展- 緊張をほぐす
発展- 戦うか逃げるか反応
発展- 恐怖心と脳の関係

入門①~②を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

恐怖心とは何か

そもそも「恐怖心」とは何なのでしょうか。まずは心理学・生物学的な恐怖心の意味について解説していきましょう。

恐怖心の定義

心理学辞典(1999)では、恐怖心について以下の記述があります。

自己存在を脅かす可能性のある破局や危険を漠然と予想することに伴う深いな気分を不安という。漠然とした不安が何かに焦点化され対象が明確になったものを恐怖(fear)という。

少し難しい定義ですが、簡略化すれば、対象がハッキリとした不安を恐怖と呼ぶのですね。

例えば、目の前にサーベルタイガーが現れたとしましょう。すると、襲われてしまうのでは…と不安に思い恐怖を抱くはずです。こうした、不安の対象が明確な場合に、『恐怖心』が現れることが多いのです。

サーベルタイガー

グリーンバーグの3つの反応

グリーンバーグは恐怖心が起こった時の反応を以下3つに分けています。

・戦う
例)相手を倒そうと戦闘態勢に入る
・固まる
例)身を固くして守る 死んだふり
・逃げる
例)早い逃げ足を駆使して逃げる

特に、「固まる」「逃げる」も恐怖を覚えるとよく選択しますよね。このように恐怖心とは、人間としてある種生き延びるために自然な反応と言えます。

恐怖心を感じるからこそ、私たちは危険を予測し、それに基づいた行動を立てることができます。

私たちが人間関係に恐怖を頂き、逃げたくなったり、固まってしまうのは動物としての防衛反応なのですね。恐怖心とは今までの経験やできごとに基づいて学習をしていくもので、ある程度の「恐怖心」はとても大切なのです。

恐怖心と身体への影響

恐怖心は、自分の意思とは関係なく内臓の働きや体温などをコントロールしている「自律神経」に影響します。自律神経には以下の2つがあります。

・交感神経
緊張する、活力を上げる、心拍数が上がる

・副交感神経
リラックス、休息する、心拍数が下がる

恐怖心を感じると「交感神経」が優位になります。危機との遭遇に備えて、緊張したり、活力をアップさせます。自律神経についてより深く知りたい…という方は下記をご覧ください。
交感神経・副交感神経とは

過剰な恐れと長期化に注意

一方、この恐怖が暴走し、防衛反応が強すぎると日常生活に悪影響が出てきます。その1つに不安感受性の過剰が挙げられます。

不安感受性とは

不安感受性とは、不安症状に対する恐怖であり、不安に伴う感覚がネガティブな身体的、社会的、心理的な見方につながると言われています(Reiss, 1991)。不安感受性が過剰になると、

・不安障害
・抑うつ
・その他身体症状

につながると言われています(Jakupcak, M et al., 1991)。

プレゼンの例

例えば、プレゼンする時、「失敗するのでは…」「どもったらどうしよう」「上司に怒られるかも…」と考えているとします。この状態では、緊張感が高く、相手の反応が過剰に気になってしまいますよね。

少し緊張するな…程度で終わってしまうものも、不安感受性が高すぎると、

・汗が止まらない
・涙が出るぐらい怖い
・身体に不調を感じる。

と度を超えて恐怖を感じてしまうのです。不安感受性が高まっている中では、心身ともに過剰なストレスがかかり、それらが悪循環を引き起こす可能性があるのです。

恐怖体験は、心身に大きな影響を与えます。そして、その影響は、恐怖症や不安障害や抑うつなどにつながる可能性もあります。

恐怖心とは

恐怖心の克服法

ここからは恐怖心の克服法について考えていきましょう。心理学的によく使う解決策は、大きく分けると4つあります。まずは一通り知識として覚え、ご自身に合いそうなものを取り入れるようにしてみてください。

①現実検討能力

現実検討能力とは、感情や考えが現実的かどうかを検討する力です。私たちは、日々さまざまな感情・思考が浮かびます。その中には、起こりそうもない非現実なもの多くあります。

特に過剰に恐怖を感じている時は、極端な考え方に陥っていることが多いです。そこで、現実検討能力をつけて、必要以上に恐怖を膨らませないようにすることが大切です。

つい恐怖を膨らませてしまう…という方は下記を参照ください。
現実検討能力,反証とは何か?

②身体リラックス法

肩の荷を下ろすという言葉があるように、肩の動作は心のありようを表現できると言われています。そこで、肩を楽に動かし、ほぐすことでことで、こころを楽にすることができます。

恐怖場面で体がかたまっている…という感覚がある方は下記を参照ください。
漸進的筋弛緩-心身のリラックス法

③認知のゆがみに注意

認知のゆがみとは日々の生活に支障をきたすほどの、誤った考え方を指します。恐怖心の裏側には、認知のゆがみがあることが多く、現実的にしていくのが基本です。

そのために必要なのが、認知行動療法です。自分の誤った考え方に気づき、新しい考え方を追加していきます。これを繰り返すことで、視野が広がり、恐怖心を克服することができるのです。

少しのことでも恐怖を感じる…という方は下記を参照ください。
認知行動療法の基礎

④精神交互作用に注意

精神交互作用とは、簡単に言うと

「恐怖を感じてはいけないと思うと、余計に恐怖心が現れるメカニズム」

のことです。恐怖心が強い人は、恐れを感じないように努力します。一見いい心掛けのように見えますが、実は逆効果になってしまうのです。そこで、あるがままに感情を受け入れることが大切です。

恐怖心へのこだわりを緩め、ごく自然な反応として受け入れる態度を身に付けていきましょう。

恐怖でやるべきことを回避してしまう…という方は、下記を参照ください。
森田療法と「あるがまま」

発展-恐怖心と身体反応

ここでは、恐怖心についてさらに理解を深めたいという方向けに発展編コラムを用意しました。知識を深めることは恐怖心の軽減につながりますので、ぜひご一読ください。

発展 恐怖症を克服する

人はある特定の物や場所、状況に対して過度に恐怖心を持つことがあります。対人恐怖症の場合は、他人に関連する状況のみですが、もっと広い意味では恐怖症全般を考えていく必要があります。

特定の物、場所、状況が怖い…という方は下記をご覧ください。
恐怖症の種類と克服方法

発展 緊張をほぐす

恐怖心が強い状態を、軽減するには緊張との付き合い方を知ることが大切です。不安場面に直面した時に、適度な緊張に保つことで、高いパフォーマンスを発揮することができます。

大事な場面でガチガチに緊張してしまう…という方は下記をご覧ください。
緊張をほぐす方法

以下、恐怖心についての補足的な知識を解説しました。興味があるタイトルを展開してみてください。

 

恐怖心のメカニズムを知るうえで、外せないのがウォルター・B・キャノン(1929)よって提唱された戦うか逃げるか反応です。

戦うか逃げるか反応とは、

外敵に襲われるような緊急事態が起きたの生理的・心理的な反応

を意味します。

生理的なメカニズムとしては、ストレス要因に遭遇した時に、情動を司る脳の扁桃体(へんとうたい)と、体温調節などの生理機能を司る脳の視床下部(ししょうかぶ)が活発になります。

次に、ホルモンの分泌をうながす脳の下垂体(かすいたい)が、特定のホルモンを合成する副腎皮質を刺激するACTHを分泌させます。

その結果として、副腎皮質からストレスホルモンである「コルチゾール」と、体のパフォーマンスを高める「アドレナリン」が分泌され、様々な反応を起こすのです

先ほど、アドレナリンの分泌によって、緊急事態に有効なストレス反応が発生すると解説しました。このストレス反応は、「戦う」もしくは「逃げる」ために、体の機能を高めようと働くのです。

具体的には、身体的反応を引き起こします。

①心拍数の増加
②膀胱の弛緩
③視野が狭くなる
④震え
⑤瞳孔が広がる
⑥顔が赤らむ
⑦口が乾く
⑧消化が遅くなる
⑨耳が遠くなる

早く走ったり、敵の攻撃に備えるために血流量を上げて筋肉を緊張させます。そのため、心拍数が増加傾向になります。

また、より多くの情報を得るために瞳孔が開きます。過剰にストレスを感じると、自立神経のバランスが乱れ、胃痛や吐き気などの症状が表れることもあります。

ここまでの戦うか逃げるか反応をまとめたものが以下のインフォグラフィックです。

心と体、ストレスの関係

このように、ストレス要因によって恐怖心が引き起こされ、本能的に「戦うが逃げるか」の選択を迫られます。その結果、身体的な反応が現れるです。

人間は危機を乗り越えるために、運動能力や判断力を高める仕組みが備わっているわけです。

 

恐怖と脳の関係については古くから研究されてきました。現代までに分かっていることは以下の3点です。
①恐怖には反応プロセスがある
②神経伝達物質が関連している
③恐怖の中枢は扁桃体である

詳しく解説していきたいと思うのですが、長くなってしまうのでコラム1では、恐怖の反応プロセスであるジェセフ・ルドゥーの2経路説をお伝えします。動画で解説しました。参考にしてみてください。

 

恐れ 克服

まとめ+助け合い掲示板の活用

まとめ

恐怖心は、100%悪い感情ではありません。適度で一時的なものであればプラスの働きをもたらしてくれます。火事場の馬鹿力と言われるように、危機的状況ではパフォーマンスも向上してくれるものです。

ぜひ、過剰になりすぎないための対処を心掛けていきましょう。

助け合い掲示板の活用

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
Reiss, S. (1991). Expectancy model of fear, anxiety, and panic. Clinical psychology review, 11(2), 141-153.
・Jakupcak, M., Osborne, T., Michael, S., Cook, J., Albrizio, P., & McFall, M. (2006). Anxiety sensitivity and depression: mechanisms for understanding somatic complaints in veterans with posttraumatic stress disorder. Journal of traumatic stress, 19(4), 471-479. 
・フリー百科事典『wikipedia』戦うか逃げるか反応