配慮に欠ける行動を改善する方法
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「配慮に欠ける行動を改善する方法」です。
相談者
28歳 男性
お悩みの内容
私は昔から、気が回らないほうです。先日、取引先への無礼を働いてしまったようで、上司から、配慮に欠ける行動を直しなさい!と怒られてしまいました。これから社会人として、もう少し気が利くようになりたいと考えています。アドバイスが欲しいです。
配慮に欠けると、周囲からマイナスの印象をもたれ、損してしまうことがありますよね。当コラムでは、配慮に行動を改善する方法をしっかりお伝えします。
改善法① モチベーションを上げよう
改善法② 感謝の気持ちを持つ
改善法③ 日々の会話がめちゃ大事!
改善法④ 声のトーンをよく読む
改善法⑤ 皺眉筋を見る
改善法⑥ 背景を想像する
改善法⑦ 相談しやすい声掛け
改善法⑧ 気持ちよく配慮ラインを決める
日々の生活に使えそうなものがありましたら、組み合わせて実践してみてください。
①モチベーションを上げよう
まずは配慮することのメリットを確認してモチベーションを挙げていきましょう。
浅野ら(2008)[1]は、配慮に近い概念として「協調性」という性格傾向の調査を行いました。その結果の一部が下図となります。
上記の図のように、配慮する習慣をつけると、人と積極的に関わる外向性が向上し、ポジティブな気持ちを増やすことがわかります。
配慮をすると、相手の笑顔をみれたり、感謝の気持ちをもらったりできます。その結果、相手が喜んでくれると、なんだか自分自身もうれしくなりますよね。配慮をすることは周りのためであり、あなた自身のためでもあるのです。
②感謝の気持ちを持つ
北村(2010)[2]は、女子大生82名を対象に、「ありがとう」を習慣にすると、どのような変化があるかを調査しました。その結果の一部が下図となります。
上記の図は、ありがとうと感謝することを習慣づけた後の方が、親切行動が増えていることを意味しています。
つまり、日々の人間関係に感謝をすると、相手を大事にする気持ちが芽生え、自然と配慮しやすくなるのです。感謝は配慮の土台となる感情であることをおさえておきましょう。
感謝の気持ちを育てたい!と感じる方は以下のコラムを参照ください。
③日々の会話が大事
同じ部署、家族、大事な人に配慮をしたい場合は、毎日の何気ない会話が大事になってきます。日々会話をしていくと、相手の感情の動きがよくわかるようになってきます。
今日は元気だなあ♪
今日はちょっと調子が悪そうだな…
顔色がいつもより悪いかも…
毎日接していると。これらの変化がわかってくるものです。もし相手の様子がおかしかったら、「疲れてる?」「何か困ってる?」など、声を掛けていきましょう。
特に聴き上手な人は、相手の真意を引き出し、気持ちに即した配慮ができます。傾聴のトレーニングに興味がある方は以下のコラムを参照ください。
④声のトーンをよく読む
心の状態を理解するのは難しい…と感じている方は、相手の声のトーンに意識を向けてみましょう。人の気持ちは「声のトーン」に出やすい傾向にあります。ざっくりと以下の2点に注目してみましょう。
前向きな状態と捉えていいでしょう 「嬉しい」「楽しい」など、プラス感情を持っています

後ろ向きな状態と考えられます 「つらい」「悲しい」など、マイナス感情を持っている可能性があります

声のトーンは、生まれつき低い人、高い人もいます。相手の普段の状態を把握しておくと、声のトーンから心の状態をつかむことができるようになります。
特に声のトーンが低い時ほど、何かしらのヘルプを必要としていることが多いです。声のトーンが低い場合は「配慮してほしいサインが出ているな」と感じ取るようにしましょう。
⑤皺眉筋を見る
声のトーンに加えて、眉間のシワを作る「皺眉筋(しゅうびきん)」も相手の気持ちを把握する時に役立ちます。皺眉筋は感情と直結している筋肉で、無意識のうちに本音が表れやすくなります。
会話中、相手の眉間にシワが寄っていたら、相手の言葉を鵜呑みにせず、本音を探りつつ配慮するようにしましょう。
たとえば、あなたが恋人に「動物園に行こうよ」と誘ったとします。恋人は「動物園かあ、いいよ」と言ってくれました。眉間に皺がなく、笑顔であれば言葉通りと捉えていいでしょう。

一方で、眉間に皺がある場合は、無理をしている可能性が高いので、「配慮してほしいサインが出ているな!」と感じ取るようにしましょう。

⑥背景を想像する
声のトーンが低く、皺眉筋に皺が寄っていたら、本音を想像し、適切な配慮をするようにします。たとえば
「お疲れさま~」
と言って帰ろうとしたら
「ああ・・・おつかれ」
と同僚が辛そうに返してきたとします。声のトーンが普段より低く、相手の眉間に皺があります。
このような場合、同僚の本音は
手伝って欲しい 相談したい 弱音を吐きたい
と言った気持ちがあると推測できます。こんな時は、
何か困ってる?
もしかして切羽詰まってる?
15分だったら手伝えるよ~!
といった配慮の言葉をかけるといいでしょう。
表情や声の違和感は、相手の本音を想像するきっかけとなります。そしてその本音を想像し、先回りして行動ができるようになると、相手は配慮ができるひとだなあと感じるのです。
なお、相手の真意を理解する力は、メンタライゼーション力と言います。相手の気持ちを理解する力を高めたい方は以下のコラムを参照ください。
⑦相談しやすい声掛け
相手の真意を読み取るのが苦手な方は、相手から相談しやすい空気を作っておくことも大事です。たとえば、
困ったら気軽に相談してくださいね
何かあれば遠慮なく声をかけて!
抱え込まないで、頼る時は頼ってね♪
など、前もって伝えておくと、相手も素直にあなたにしてほしいことを相談できるものです。声をかけやすい空気作りを心がけましょう。
⑧気持ちよく配慮ライン
配慮をするということは、少なからず相手のために時間を使うことになります。配慮をしすぎても自分の負担が多くなってしまいます。決して嫌々するものではないのです。
そこで「気持ちよく配慮ライン」を決めるようにしましょう。気持ちよく配慮ラインとは、以下の意味があります。
ここまでだったら気持ちよく配慮できます♪という基準のライン
例えば、以下のような基準を自分の中で設定しましょう。
残業を手伝うのは30分まで
悩みの相談は15分まで
雑談場面で周りを盛り上げるのは1回でOK
など自分の中で負担にならないと感じる範囲でサポートをしましょう。配慮はあくまであなたが楽しく手伝える範囲でOKなのです。配慮をどこまでするか?明確にした…という方は以下のコラムも後ほど読んでおきましょう。
まとめ
相手への配慮は、健康的な範囲内であれば、自分にとっても相手にとっても幸福感をもたらします。あなたが配慮をして、相手が笑顔になってくれた時、自分と相手の心には花が咲くのです。ぜひ、花咲かじいさんのように、配慮の花を咲かせていきましょう♪
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・配慮力の力を高めるトレーニング
・会話の力を高める,話しやすい人になる
・表情やしぐさを読み取る練習
・相手の気持ちを考える,共感トレーニング
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連