相槌を打つ10の方法,種類や心理
皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「相槌を打つのがうまくなる方法」です。
相談者
23歳 女性 受付窓口
お悩みの内容
最近友人から、早口で相手の話を聴かないと言われてしまいました。特に「はいはいはい」と連続して言ってしまうのが気に障るようです。確かに、相槌が単調で自分でもあまりよくないと思います。
あと私は現在、金融系の会社に勤めています。来月からお客様と直接接する窓口業務になりました。仕事上でも相槌を打つ機会が多くなりそうです。うまくなる方法を知りたいです。
相槌に自信がないと会話をするときに躊躇してしまいますよね。相槌は会話の基本で、人生で何十万回と使うスキルです。当コラムでは基本的なやり方をお伝えします。日々の会話にぜひ活かしてくださいね。
相槌とは何か
相槌の定義
そもそも相槌にはどのような意味があるのでしょうか。大辞林によると相槌の意味は以下のように掲載されています。
相手の話に調子を合わせてする応答
相手の話に何かリアクションをすること全般を相槌と捉えてよさそうですね。相槌の語源は、刀鍛冶で、師匠が槌を打つ合間に、弟子が槌を打つさまから来ていると言われています。
相槌の頻度と性差
前田(2003)[1]らは12名を対象に、会話におけるあいづち、うなずきについて、映像分析ソフトを使用して調査を行いました。具体的には1つのテーマについて5分以内で話し合うものでした。その結果の一部が下図となります。
こちらはある会話の課題が終了するまでのペア同士のあいづちやうなずきの量となります。こちらの研究は男女差を把握する研究ではなく統計的には検討されていませんが、上記を見ると、男性同士の会話は比較的あいづちやうなずきが少なく、女性は多いことがわかります。一方で男性の中でも、60回と多い人もいますが、13回しかしていない人もいて個人差がかなりあることがわかります。
補足として、筆者は社会人向けのコミュニケーション講座を開催していますが、相槌やうなずきはかなり個人差があると経験的に把握しています。この点は訓練でかなり改善するのでぜひ練習したいところです。
相槌と信頼関係の構築
相槌をしっかり打つとお互いの信頼感が向上します。言語学者の大塚(2011)[2]は相槌の心理的な効果を分析しました。
初対面の学生3名を2グループ作る
グループごとに約30分間の共通のテーマで会話する
参加者のあいづちの種類と使用数をチェック
その結果が下図の図です。
そして、グループでの会話について
・うまくできたか
・会話は楽しかったか
・相手に好感が持てたか
のについてアンケート調査を行いました。すると次のような違いが出たのです。
グループ1
・相槌が多かった
・3人のうち1人が聞き役になっている
・最終的に信頼関係が構築できた
グループ2
・相槌が少なかった
・聞き役がいなかった
・最終的に信頼関係が構築できなかった
お互いしっかり相槌を打つことが、ラポールを形成する大きな要素になると言えます。
相槌を打つのがうまくなる10の方法
ここからは実践的に相槌がうまくなる10の方法を解説していきます。
①はいの使いかた
②ええの使い方
③うんの使い方
④速度を合わせる
⑤表情を合わせる
⑥首の振り方
⑦体の向き
⑧バリエーションを増やす
⑨相槌+言い換え
⑩相槌+肯定
上から順に初心者向けで、下に行くにつれて上級者向けとなります。ご自身のレベルに合わせて、活用してください。
①はいの使い方
私たち心理職は、「はい、ええ、うん」をまずは徹底的に練習していきます。まずは「はい」から解説していきます。
「はい」丁寧な場面、目上の人に使う相槌です。
このまえさあ~
はい…
実はね…
はい…
先日札幌に出張に行ってね。ラーメンがおいしかったなあ
はい~!ラーメンおいしいですよね~
こんなイメージです。あまり多用すると印象が悪くなることがあるので連発は避けましょう。
②ええの使い方
ええは万能な相槌です。ええは相手の会話の邪魔にならないので、いつでも使えます。
実はね…
ええ…
昨日奮発してウナギを食べました~
ええ⤴ウナギ!
あなたはどう思いますか?
ええ…私もそう思います
こんなイメージですね。真面目な関係で使うと良いでしょう。
③うんの使い方
うんも万能な相槌です。ええと同じく相手の会話の邪魔にならないので、いつでも使えます。
ラーメンの中でも味噌ラーメンが大好きでして…
う~ん⤴みそかあ
あなたはどう思いますか?
う~ん!実は私もそう思っていました。
最近、仕事がうまく行かなくて悩んでいます。
うんうん…そうかあ…いま大変な時期なんだね…
こんなイメージですね。うんは言い方1つで様々なバリエーションがあるのが特徴です。筆者の川島はうんが一番多いですね。比較的フラットな関係でよく使います。ただし、「うん」は上下関係に厳しい人は馴れ馴れしく感じ方もいるので注意が必要です。
ここまで紹介した、はい、ええ、うんは相槌の基本です。相苦手な方はまずはこの3つから練習してきましょう。
④速度を合わせる
相槌を打つ際は速度にも気をつけましょう。目安は相手の発言と大体同じぐらいにするといいでしょう。例えば相手が、早口で話すタイプの場合は、相槌も早めでOKです。
逆に相手がゆったり話す方の場合は、相槌の数は少なめにして穏やかに返していくと安心感が出てきます。
⑤感情を合わせる
相槌を打つ際は、表情や声の抑揚も重要です。無表情でたんたんと返してしまうとすごく嘘くさい相槌になってしまいます。
楽しい会話の時は楽しい表情で返す、悩を相談された時は神妙な面持ちで返すなど、相手の感情に合わせて返すのが基本になります。感情表現が苦手…と感じる方は以下のコラムを参照ください。
⑥首の振り方
会話をしていると首を一切動かさずに相槌を打っている方がいます。これは印象が非常に悪いです。会話の相手がきちんとこちらを見て、穏やかな表情をしながら、うなずいてくれるだけで私たちは暖かい気持ちになります。しっかりと首をふって相槌を打つように心がけましょう。
⑦体の向き
言葉や表情で相槌がうまい方でも、身体があさってを向いている方がいます。体は相手の向けて、正対して話を聴くように心がけましょう。
⑧バリエーションを増やす
はい、ええ、うん、は相槌の基本ですが、それ以外にも相槌はたくさんの種類があります。
さすが 知らなかった すごい やるじゃん そうなんだ やばいじゃん 面白そう 興味あります 楽しそう わかります なるほど へ~ ほ~ なんと! ほんとに?! マジで? おお~っ! ああ~!
引き出しが多いほど豊かな会話になります。是非たくさんの相槌でにぎやかな会話を目指しましょう♪。
⑨相槌+言い変え
相槌には、言い換えの言葉を添えるとより効果的です。具体的には、相手の発言を少し言変えて返すと会話が弾みやすくなります。
ラーメンでも食べにいくか?
う~ん⤴いいですね!麺類食べたいです♪
最近、仕事がうまく行かなくて悩んでいます。
ええ…?問題を抱えているんだね…
このように、相槌だけでなく、相手の発言を少し言い換えて返すと、きちんと受け止めてくれているイメージになります。
⑩相槌+肯定
明るい会話の場合は、相手の発言に肯定的なメッセージを加えると好印象です。
実家は鳥取県です。自然が豊かです。
おお~鳥取ですか!自然が豊かだと心もいやされますね
最近、思い切って伊勢丹で傘を買いました。
ええ!興味あります。雨の日が楽しみになりますね。
相手の発言を返すときは、最後をプラスで終えるとすごく印象が良くなります。相槌に加えることを是非意識してみてください。
まとめ
相槌はコミュニケーションの土台です。会話が苦手な人はかなりの確率で相槌が苦手です。練習すると改善しやすいスキルなので、是非日常生活でもしっかり相槌を打つ意識を持ちましょう。
皆さんは温かい人間関係を築かれることを願っています。
人間関係講座のお知らせ
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・相槌の打ち方の練習
・言い換えのオウム返し練習
・共感的に話しを傾聴する練習
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などたくさん練習していきます。筆者も講師をしています。是非お待ちしています。↓詳しくは下記看板をクリックください♪↓
2件のコメント
相槌嫌いさん こんにちは。相槌については、やり方次第では確かに不快になってしまうと思います。
「うんうんうんうん」
激しく首を縦に振る
これは専門家のカウンセリングでもNGです。
一方で相手の発言の邪魔にならないように
穏やかにうなずいたり、
首をゆったり動かすのは安心感を与えます。