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職場の人間関係に疲れた時の対処法

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職場の人間関係に疲れた時の対処法

皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「職場の人間関係に疲れた」です。

 

相談者
32歳 女性

お悩みの内容
私は1年前に転職をしました。新しい仕事は、上司が厳しい人で、批判されてばかりです。同僚にも身に覚えがない噂を流されたりして、精神的に参っています。人間関係に疲れた時の対処法があったらおしえてほしいです。

職場の人間関係がうまくいかないと、毎日ストレスが溜まってしまいますよね。当コラムでは疲れた時の対処法をしっかり解説していきます。是非最後までご一読ください。

人間関係の悩みとストレス

厚生労働省(平成24年)[1]は、仕事や職業生活に関するストレスの原因について調査を行いました。その結果の一部が以下のグラフです。

職場のストレスは人間関係の問題が最も多い

上記の内容で最も多かったのは「職場の人間関係の問題」(41.3%)であることが分かります。日本の労働人口が6000万人であることを考えると、数千万単位の方が職場の人間関係で悩んでいると推測できます。

人間関係の悩みが長期化すると、適応障害うつ病につながる事もあります。しっかりと対策を立てる必要があります。

人間関係で疲れた時の対処法

ここからは職場の人間関係で疲れた時の対処法を12個紹介していきます。

①YESマンを辞める
②人の目を過剰に気にしない
③感情労働に注意
④2割サボる
⑤くだらない雑談も大事にする
⑥感謝の習慣を身につける
⑦相手への期待値を下げる
⑧過剰適応に気をつける
⑨緩いコミュニティに所属する
⑩悩み相談で回復する
⑪一人の時間を大切にする
⑫転職する・環境を変える

ご自身でも使えそうなものを組み合わせてご活用ください。

①YESマンを辞める 

理不尽な要求も我慢してしまう
嫌なことも笑顔で引き受ける
上司の誤った言動を指摘できない

このような傾向がある方は注意が必要です。周りの要求になんでも答える癖をつけると、自分の負担ばかりが増え、人間関係で疲れしまいます。

あてはまる方は「アサーティブ」な考え方を身に着けることをおすすめします。アサーティブとは、自分と相手を平等に尊重し、率直に話し合うことで、建設的な関係を築くという意味があります。

職場であっても、嫌なこと、理不尽なこと、不公平なことにはあなたはちゃんと主張する権利があるのです。上位の特徴にあてはまる方は以下のコラムを参照ください。
 

アサーティブコミュニケーションの基礎

断る,人間関係の疲れ

 

②人の目を過剰に気にしない

心理学者の堀井(2001)[2]は大学生271名を対象に、対人恐怖と青年の心理について調査を行いました。その結果が以下となります。
職場の人間関係に疲れた 原因公的自己意識とは人の目を気にする心理を意味します。具体的には以下のような心理が挙げられます。

上司の顔色を絶えずうかがってしまう
言葉遣いに気を使いすぎる
怒られないか?いつも気になる

このように人の目を気にしやすい人は、人間関係がある社会的場面で混乱しやすく、日々生きて行くことに疲れやすくなるのです。上記の図は女性の統計となっていますが、男性でも同じ傾向がありました。

もちろん、社会生活を送る上で人の目を気にすることも大切です。しかし、過剰に周囲を気にしてしまうと、自分自身が疲れ果ててしまいます。

あてはまる方は、人の目を意識する心理をおさえ、自分自身の気持ちに目を向ける意識を増やすことが大事です。例えば、上司の顔色をうかがって仕事をするのではなく、自分が成長しているか?に意識を向けて仕事をするなどが挙げられます。

上位の特徴にあてはまる方は以下のコラムを参照ください。

人の目を気にしない方法
公的自己意識を詳しく理解する

③感情労働に注意する

疲れているのに笑顔で対応する
嫌なことを笑顔で引き受ける
自分は悪くないのに謝る

このように自分の感情を素直に表現できない状態を感情労働状態といいます。人間関係に疲れやすい方は、本音を隠すことにエネルギーを使い、精神的に疲れてしまうのです。

あてはまる方は、無理に笑顔になることをやめ、素直な自己表現を心がけることです。必要以上に気を使いすぎて、疲れ果ててしまうよりも、本音ベースで付き合い、腹を割った関係を築いていくことが大事になります。

感情労働していることが多い…と感じる方は下記を参考にしてみてください。

感情労働への対策

 

④2割サボる

いつも笑顔でいなきゃと思う
沈黙になっていけないと思う
品よく見られたいといつも気を張る

このように人間関係で一生懸命になりすぎてしまう方は注意が必要です。人間関係を真剣に考えることはすばらしいことですが、スポーツと一緒で頑張すぎると疲れてしまいます。

あてはまる方は、2割をサボる意識を持つことをおすすめします。人間関係で疲れる方は、常に全力投球しないように心がけましょう。

詳しくは下記の動画を参考にしてみてください。

 

⑤くだらない雑談も大事にする 

会話が業務連絡だけ
仕事以外の会話をする空気がない
お互いプライベートの会話がない

このように雑談ができない職場は、お互いの心内がわからず、ストレスが溜まりやすくなります。

あてはまる方は、許される範囲で、屈託のない話題を提供してみることが大事です。始業時間前、昼休憩、仕事終了後、などタイミングをみてちょっと会話をするだけで随分和むものです。

雑談に対して苦手意識がある方は、以下のコラムを参照ください。楽しく雑談するコツを解説しています。

雑談力が上がる話し方を身に付けよう

 

⑥感謝の習慣を身に着ける

奥山・降矢ら(2008)[3]は看護師26名に対して、1か月間、笑顔や感謝の気持ちを習慣化してもらい、その効果を調査しました。その結果、実施前は、結果の一部が下図となります。

職場の人間関係に疲れた-感謝の習慣化

こちらの図を読み取ると、笑顔や感謝の習慣化により、同僚への信頼感が向上する、職場に前向きになる 職場が居心地のよいコミュニティになる効果が期待できます。一方で

上司がいつも怒ってばかりだ
どうせミスするに決まっている
同僚は足を引っ張ってばかりだ

このように職場の人たちに対して、常に不満を抱いていると疲れやすくなります。もちろん、問題意識を持つことは大切ですが、現状で自分が周りのたちから恩恵を受けている部分もあるはずです

そこで、職場の人たちの感謝できる部分に目を向けていきましょう。周囲に感謝することで、今はある対人関係のいい部分に気づくことができ、人間関係の疲れを緩和することができます。感謝の気持ちを増やす方法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。

感謝の気持ちを考える

 

⑦相手への期待値を下げる

手伝ってくれるのが当たり前
上司からの指示は絶対だ
遅刻なんてありえない

このように、人間関係で疲れやすい方は、相手への期待値が高いことが多いです。自分と他人は全く別の人間です。そのため、いくら自分が頑張っても相手が理想通りの対応してくれないことがあります。

相手の期待が大きいほど、それが満たされなかった時に怒りの感情を抱いてしまいます。以下の図は、期待値とイライラの関係を数値で表したものです。

アンガーマネジメント

このように、期待値「50」を下回ると人は相手にイライラし、人間関係で疲れを感じてしまうのです。そこで、まずは周りに対する期待値を下げることで、人間関係での疲れを改善していきましょう。「まあぼちぼち対応してくれればいいかっ!」と肩の力を抜いた付き合いができるといいですね。

他人に対してイライラしがち…と感じる方は以下のコラムを参照ください。

アンガーマネジメント法

 

⑧過剰適応に気をつける

上司の言うことにいつもしたがってしまう
私生活よりも会社をいつも優先する
会社に気を使って有休を消化しない

このように自分の限界を超えて、会社に適応をしようとすると、精神的にも肉体的にも消耗してしまいます。こうした状態は心理学で「過剰適応」と呼ぶことがあります。

そこで、まずはあらかじめ「限界を設定しておく」ことをおすすめします。ここまでは適応するが、それ以上は応じないという区切りを自分の中で決めておくことで、過剰適応も和らいでいきます。

過剰適応から逃れる方法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。

過剰適応とは?症状や職場での問題

 

⑨緩いコミュニティに所属

職場と家の往復の毎日
会社の人意外と話すことがない
プライベートは1人で過ごす
独り暮らしが長い

このように、所属しているコミュニティが会社だけだと、人間関係の疲れがダイレクトに精神的に響いてしまいます。

あてはまる方は、職場以外のコミュニティに所属することも大切です。緩いコミュニティに所属していれば、仮に職場の人間関係が悪くでも心は安定していられます。

会社以外の温かいコミュ二ティに参加する方法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。

温かいコミュニティを探す方法

コミュニティを探す

⑩悩み相談で回復 

悩みを打ち明けられない
自分一人で解決しようとする
相談できる相手がいない

このように職場の人間関係で疲れた時、悩みをひとりで抱え込んでしまう人は要注意です。誰にも相談できず、毎日その状態をじっと我慢することは人間関係での疲れを増幅してしまう可能性があります。

そこで、ソーシャルサポートを得ることか大切です。ソーシャルサポートとは、簡単に言えば、「周りからの支援のこと」です。

つまり、悩み抱えている時に、「相談に乗ってもらう」「励ましてもらう」ことで精神的なストレスを緩和することができるのです。職場の人間関係で疲れる人はソーシャルサポートを増やすことをお勧めします。

ソーシャルサポートの効果・得る方法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。

ソーシャルサポートとは?心理学の定

⑪一人の時間を大切にする

常に職場の人と一緒にいる
飲み会を断れない
ランチは常に同僚と食べる

このような状態が続くと、人によっては疲労も感じてしまうことがあります。会話の時間は楽しいものですが、人付き合いが過剰になっている場合は注意が必要です。

当てはまる方は、意識して一人の時間を作るようにしてみましょう。身体には「睡眠」という休息が必要なように、対人関係も一人で気を休める時間が必要なのです。

⑫転職する,環境を変える

パワハラが改善することがない
セクハラが横行している
残業が多く健康を害する

このような状況であれば、早めに現在の職場に見切りをつけた方が良いでしょう。また、今までご紹介した方法を使っても、状況が変わらない場合は転職が突破口になるかもしれません。

もちろん、転職した先が今よりも良い環境である保証はありません。しかし、対処しようのない環境に身を置き続けても、人間関係での疲れは溜まる一方です。

そこで、どうしようも無い場合は、転職するという選択肢も視野に入れておくと良いでしょう。

職場 人間関係 疲れた時

まとめ

12個の対処の中で活用できそうなものはありましたか?もし使えそう!と感じるものがありましたら、是非ご活用ください。皆さんが職場で温かい人間関係を築き、健康的な心でお仕事をされることを願っています。

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2件のコメント

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    • うめ
    • 2021年3月21日 6:31 PM

    なおさん
    自分を責めてしまうのですね。つらいですよね。

    返信する
    • なお
    • 2021年3月15日 2:11 PM

    昔よりも人間関係ひどくなってきた自己嫌悪つらい

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
 
[2]堀井 俊章(2001).青年期における自己意識と対人恐怖心性との関係 山形大学紀要. 教育科学
 
[3]奥山麻也・降矢奈保子・吉田絵美・菅原かなえ・沓澤佳代子・金谷春美 (2008).「笑顔の導入と「ありがとう」を言葉にすることで人間関係が向上するかの検討」,北海道社会保険病院,7,p14-17.