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毒親とは?生きづらさを緩和する方法

毒親とは?生きづらさを緩和する方法①

みなさんこんにちは、はじめまして臨床心理士の加賀です。私は、これまで臨床心理士として精神科・心療内科クリニックでカウンセリングを行ってきました。心理の専門家として皆さまのお役に立てられるような情報をお伝えしていきたいと思います。本コラムでは「毒親」について詳しく解説をしていきます。目次は以下の通りです。

  • 毒親とは?
  • 隠れた大きな問題
  • 心身への影響と特徴
  • 不適切養育が与える影響
  • 愛着スタイルとの関係
  • 連鎖のメカニズムと予防法

しっかりとその問題や対策についてお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

毒親とは?意味と特徴

Toxic Parents

皆さんは毒親という言葉をご存知でしょうか。この言葉は、子どもの人生を支配する親のことを意味します。元々は、「毒になる親(Toxic Parents)」(Forward, 1990玉置訳2001)という本からできた言葉だとされています。Toxicとは有毒のという意味で、Parentsは親という意味ですね。その後、毒親関連の書籍が多数出版されていきました。

隠れた大きな問題

UBERSUGGESTという検索サイトで調査したところ、年間50万件の検索がされていました。児童相談所における虐待の相談件数は平成29年で13万件前後となっています。毒親について、確実な統計はないものの、社会的に隠れた大きな問題になっていると言えそうです。

毒親の特徴

毒親の特徴には、以下のような点が挙げられます。

・子どもの自由を認めない
・理不尽なことで怒る
・自己都合で子どもをコントロール

個人差はありますが、共通点は、子ども自身を尊重せず必要な養育がされていないということだと思われます。子どものころは自分の育つ家と他の家庭を比較することができません。そのため親がおかしな事を言っても自分の親はおかしい、親のほうが悪いとは思えません。

親から理不尽なことで怒られたとしても、親の言うことが聞けない自分が悪いからと自分を責めてしまうのです。そのような体験を重ねていくことで、心身ともにさまざまな影響があることが分かっています。

毒親とは定義や意味

毒親育ち‐影響の拡大

毒親に育てられた子どもには、どんな影響があるのでしょうか。「毒親」という言葉は、専門用語に言い換えると「不適切養育」にあたると考えられます。人間にとって親子関係はとても大切なものですから、毒親≒不適切養育については古くから研究されてきました。不適切養育が与える影響について、さまざまな研究が行われています。

研究①精神疾患・薬物依存の危険

アメリカで8613名の成人を対象とした、大規模調査が行われました。その結果、幼少期に不適切養育を受けた子どもは、成人してから
・アルコール依存
・薬物依存
・各種精神疾患へのかかりやすさ
・退学や中退
などが多いことがわかっています(Duve et al., 2003)。

研究②社会的スキルへの悪影響

戸ヶ崎ら(1997)は、小学生524名を対象に、家庭の社会的スキルと児童の社会的スキルを質問紙で評価する調査が行いました。その結果、学校における社会的スキルと家庭における社会的スキルの間にはいずれも中程度の相関が認められました。

この研究では、社会的スキルは場面が異なっていても内容的にはほぼ同じような行動をとっていることがわかりました。人間関係などは家庭内で学ぶことも多いので親の社会的スキルの低さが子どもにも影響している様子が見られます。

毒親を持つこと子供には、どのような影響があるのでしょうか。心理学では、幼少期に形成される「愛着スタイル」に、毒親に育てられた子供の特徴がみられることが分かっています。愛着スタイルとは、幼少期に特定の養育者から継続的なかかわりを通して培われる行動や思考の傾向です。子ども時代に培われた愛着スタイルは、成人してからの対人関係にも大きな影響を与えます。

愛着スタイルには、4種類あります(中尾,加藤2004を参考に記述)。

愛着スタイルと毒親一番健康な「安定型」と、見捨てられ不安を持ちやすい「見捨てられ不安型」、そして、他者と距離を置く「関係構築回避型」、他者との関係を回避する「引きこもり型」の4種類です。毒親育ちの方は、「見捨てられ不安型」「関係構築回避型」になる事が多く、対人関係でのストレスが多いことが分かっています。

毒親育ちの問題

毒親の心理-メカニズム

皆さんは、なぜ毒親になってしまうのか気になりませんか?毒親の心理メカニズムに関する研究から、毒親の特徴を見ていきましょう。

研究①:毒親は人間関係のストレスが高い

浦山・金川・大木(2009)は、1歳6か月・3歳児検診に訪れた母親383名を対象に質問紙調査を行いました。この調査では、身近な人間関係のストレス感が不適切養育にどのように影響するのかを、「子供にストレスがある群」と「子供にストレスがない群」の2つの群に分け比較しています。研究の結果では、

子供にストレスがある母親は、
・夫に対するストレスが高い
・自分の親に対してストレスが高い
ことが分かりました。

以下のグラフは、「夫に対するストレス」の結果です。子供にストレスがある母親は、夫へのストレスがとても高いことが分かりますね。

母親の夫に対するストレス感つぎに「自分の親に対するストレス」の結果です。子供にストレスがある母親は、ストレスが無い母親と比較して約6倍のストレスを感じていることが分かります。

母親の自分の親に対するストレス感加えて浦山ら(2009)は、母親のストレスを軽減させるには、まず夫に関するストレスを緩和することが必要であり、そのことが子どもに対するストレス感の緩和に繋がるのではないかとも考察しています。

研究②原因帰属に癖がある

Montes et al., (2001)では、親の原因帰属と不適切養育の関係について報告しています。原因帰属とは、行動の原因をどこに置くかという考え方のことです。不適切この研究では、虐待リスクの高い親の子どもの違反行動に対する原因帰属には、子どもが親をわざと困らせようとしたことが報告されています。

しています。

「子どもが親をわざと困らせようとした」と分かりました。この場面以外でも他の状況でも生じる

毒親の原因帰属

また、日本では中谷(2016)が、幼稚園児の親296名を対象に、母親の原因帰属と不適切養育の関係を、質問紙調査で検討しています。この研究では、「不適切な養育 高群」と「不適切な養育 低群」の2つの群に分け比較しています。

以下のグラフは、子育ての困難場面で、母親の感情を出す高さを比較しています。不適切な養育 高群の方が、怒り・嫌悪の感情が現れやすい事が分かりますね。育児困難場面における母親の感情

この研究では、養育における「困難場面」を「①食事拒否」「②かんしゃく」「③トイレの失敗」の3つ設定しています。不適切な養育 高群は、親の思い通りに行動しない子供に対しては、嫌悪の感情を出す機会が多いと言えそうです。

続いて、困難場面での「意図性」の結果を見ていきましょう。こちらも不適切な養育 高群の方が、高いことが分かります。子育ての困難場面で「わざと私を困らせる」といった意図を、不適切な養育 高群の方が抱きやすいといえます。育児困難場面における母親の意図性

こちらは、困難場面での「家族の育児協力」の結果です。グラフの数値が高いほど、困難場面で家族の育児協力を得られている事になります。不適切な養育 高群は、家族の育児協力が低いことが分かります。

毒親と周囲の育児支援

以上のことから、困難場面の感情、帰属、背景では、不適切な養育の高群

・怒り、嫌悪が統計学的に有意に高い
・意図性が有意に高い
・家族の育児協力が有意に低い

以上のことが分かりました。

研究③夫婦不和・経済的な問題

アメリカで8,613名の成人を対象として大規模調査が行われました。その結果、幼少期に不適切養育を受けた子どもは、成人してからの
・アルコール依存・薬物依存
・退学や中退
・各種精神疾患リスクの増大
などが多いことがわかっています(Duve et al., 2003)。

また、Belsky(1980)というアメリカの研究者は、さまざまな領域で不適切養育について研究された結果を1本の論文にまとめて報告しています。この論文では、親の被虐待歴や抑うつ、そして子ども側の要因と考えられる育てにくさや障害などを調査したところ、夫婦不和や経済的問題など親子を取り巻く環境要因がリスク要因として指摘されました。

毒親の3つの要素

毒親に育てられた人の心理的安定法

毒親を持つこと子供には、どのような影響があるのでしょうか。心理学では、幼少期に形成される「愛着スタイル」に、毒親に育てられた子供の特徴がみられることが分かっています。愛着スタイルとは、幼少期に特定の養育者から継続的なかかわりを通して培われる行動や思考の傾向です。子ども時代に培われた愛着スタイルは、成人してからの対人関係にも大きな影響を与えます。

愛着スタイルには、4種類あります(中尾,加藤2004を参考に記述)。

愛着スタイルと毒親一番健康な「安定型」と、見捨てられ不安を持ちやすい「見捨てられ不安型」、そして、他者と距離を置く「関係構築回避型」、他者との関係を回避する「引きこもり型」の4種類です。毒親育ちの方は、「見捨てられ不安型」「関係構築回避型」になる事が多く、対人関係でのストレスが多いことが分かっています。

心理的安定法についてより詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。
・限界設定をする
・深い自己開示がカギ
・コミュニティへの所属
毒親に育てられた人の特徴と心理的改善の方法②

自分自身が毒親になっている場合の対策

子育てでは、自分が親にしてもらった行動をすることが多いとされています、これは「内的ワーキングモデル」の働きとされています。内的ワーキングモデルとは、過去に特定の他者との間に形成された関係性のテンプレートのようなものです。他者が自分に対してどのように働きかけるかということを様々な経験を通して学びます。それをもとに様々な人間関係を形成していくと言われています。

この内的ワーキングモデルは、特別な経験がない限りは変化しにくいことが知られています。そのため、不適切養育に関しても幼少期から形成された内的ワーキングモデルによって、親子間の虐待―被虐待という関係の質が次世代、つまり自分と自分の子どもとの関係に伝達され、養育関係の連鎖が生まれる結果となることが多い(Buchanan 1996)といわれています。

子育てするうえで、毒親にならないためにはどんな方法があるのでしょうか。

毒親にならない方法をより詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。
・まずは夫婦関係から
・感情コントロール法
・ソーシャルサポートを持とう
毒親の特徴と解決策-心理学の専門家が解説③

毒親ストレスを解消して毎日に安心感!

今回は毒親をテーマに、毒親とは何か?国内外で分かっている毒親についての研究結果を解説してきました。毒親に育てられた経験は、大人になってからの対人関係に大きく影響します。毒親の理解を深めて、対人関係での不安やストレスを少しでも減らしていきましょう。

次回は、「毒親に育てられた人の特徴と対処法」を解説します。

★毒親とは?理解を深めて対人関係の不安を軽減しよう
人間関係講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・Belsky, J. (1980). Child maltreatment: An ecological integration. American psychologist, 35(4), 320.
・Buchanan, A. (1996). Cycles of child maltreatment: Facts, fallacies and interventions. Wiley.
・Dube, S. R., Felitti, V. J., Dong, M., Chapman, D. P., Giles, W. H., & Anda, R. F. (2003). Childhood abuse, neglect, and household dysfunction and the risk of illicit drug use: the adverse childhood experiences study. Pediatrics, 111(3), 564-572.
・戸ヶ崎 泰子.坂野 雄二(1997).母親の養育態度が小学生の社会的スキル と学校適応にお よぼす影響――積極的拒否型の養育態度の観点から――Japanese Journal of Educational Psychology,45, 173-182 
・石毛みどり, & 無藤隆. (2005). 中学生における精神的健康とレジリエンスおよびソーシャル・サポートとの関連. 教育心理学研究, 53(3), 356-367. 
・神谷慶, & 幸田るみ子. (2016). 大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連. ストレス科学研究, 31, 41-48. 
・久保田まり. (2010). 児童虐待における世代間連鎖の問題と援助的介入の方略: 発達臨床心理学的視点から. 季刊・社会保障研究, 45(4), 373-384.
・浦山晶美, 金川克子, & 大木秀一. (2009). 母親の身近な人間関係におけるストレス感と不適切な養育行動の関連性について. 石川看護雑誌, 6, 11-17.
・岡本真なみ. (2018). 怒りをコントロールする 「アンガーマネジメント」(第 3 回) 6 秒待てる自分づくり. 金融財政事情, 69(17), 68-69.
・Milan, S., Lewis, J., Ethier, K., Kershaw, T., & Ickovics, J. R. (2004). The impact of physical maltreatment history on the adolescent mother–infant relationship: Mediating and moderating effects during the transition to early parenthood. Journal of Abnormal Child Psychology, 32(3), 249-261.
・Montes, M. P., de Paúl, J., & Milner, J. S. (2001). Evaluations, attributions, affect, and disciplinary choices in mothers at high and low risk for child physical abuse. Child Abuse & Neglect, 25(8), 1015-1036.
・中谷奈美子. (2015). 子どもの行動に対する母親の帰属と不適切な養育――感情を媒介として――. 心理学研究, 87-14074.