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毒親育ちの特徴と対策

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毒親育ちの特徴と対策

皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「毒親育ちの対処法」です。

毒親育ち

相談者
28歳 男性

お悩みの内容
私はいわゆる毒親の元で育ちました。褒められた経験が一切なく、いつも否定されてきた記憶しかありません。その影響からか人間不信になってる感覚があります。対処法を知りたいです。

心が休まる暇がなく、人を信じられない感覚になっているのですね。当コラムでは

・毒親はなぜ生まれてしまうのか?
・過去の記憶を乗り越えるには?
・前向きに生きていくには?

しっかり解説していきます。是非最後までご一読ください。

毒親とは?意味と特徴

毒親の意味とは

毒親と言う用語をはじめに使ったのはスーザン・フォワードという心理療法士です。彼女は、子供を苦しめる親をToxic Parentsと名付けました。

Toxicとは有毒,毒性のという意味
Parentsとは親,両親という意味

があります。この2つの言葉を組み合わせて毒親と呼んで、社会に対して警鐘をならしたのです。

 

毒親になってしまう原因

毒親になってしまう原因は多岐に渡りますが、1つだけ言えることは、親自身も苦しんでいるということです。

子どもをないがしろにすることを、心から楽しめる人はいません。自分でもどうしようもないマイナス感情があり、その行き場が子供になってしまったのです。

ではなぜ親は、子供に理不尽な行いをしてしまうのでしょうか。以下、関連する研究を折りたたんで解説しました。気になるものがありましたら、展開してみてください。

浦山ら(2009)は、1歳6か月と3歳児検診に訪れた母親383名を対象に、身近な人間関係へのストレス感を質問紙で調査しています。下記は結果の一部です。

毒親とストレス

上記のように、子供にストレスを抱えている人は、自分の親に対するストレスも感じてしまうのです。

浦山ら(2009)の研究では、子供にストレスを抱えている人は、夫に対するストレスも高いことが分かりました。

夫にストレスを感じると、子どものストレスも増える

夫との関係が悪い人は、メンタルヘルスが悪くなりやすくなり、結果的に子供へ対して冷たくあたってしまう可能性があると言えそうです。

中谷(2016)は、幼稚園児の親296名を対象に不適切養育の関係を調査しました。その結果の一部が下記となります。

家族の子育て支援の状況

不適切な養育 高群は家族の育児協力が得られないことが分かります。毒親の方は、孤立した子育てになっている可能性が高いと言えます。

私も子育を3人育てていますが、一人では本当に大変です。家族の協力がない場合はキャパオーバーとなってしまい、子供に辛くあたってしまう場面も出てきてしまいます。

中谷(2016)は、幼稚園児の親296名を対象に、不適切養育の関係を調査しました。その結果の一部が下記となります。

母親の怒りや嫌悪のグラフ

不適切な養育 高群の方が、怒り・嫌悪の感情が現れやすい事が分かりますね。すなわち毒親となりやすい方は、感情をうまく自分の中でコントロールできず、そのまま吐き出してしまうと推測されます。

 

子供への影響

毒親に育てられた子どもには、どんな影響があるのでしょうか。以下これまでに行われた研究を解説しました。タイトルで気になるものがありましたら参考にしてみてください。

戸ヶ崎ら(1997)は、小学生524名を対象に、家庭の社会的スキルと児童の社会的スキルに関する調査を行いました。その結果、

「家庭における社会的スキル」と「学校における社会的スキル」

の間にはいずれも中程度の相関が認められました。つまり、家庭内の社会的にスキルに問題があると、学校の社会的スキルにも問題を抱えやすいと言えます。

人間関係を築く力は家庭内のコミュニケーションが基礎となります。親の社会的スキルが低いと子どもにも悪影響となるのです。

毒親に育てられた子供は見捨てられ不安が多いことが分かっています。見捨てられ不安とは、いつか相手がいなくなってしまうのではないか?という不安を意味します。

中尾・加藤(2006)は、大学生378名を対象に心理的な調査を行いました。その結果の一部が下部の図となります。

毒親が作る見捨てられ不安型の特徴

心理的に安定しているグループより、見捨てられ不安があるグループの方が「すねた伝達」をしやすいことがわかりました。

毒親に育てられた人は、いつか相手がいなくなるという不安があり、素直な言い方ができなくなっていると推測されます。

大坊ら(2003)は、大学生の男女449名を対象に、異性関係と愛着との関連性をアンケート調査しました。その結果の一部が下図となります。

毒親が作る見捨てられ回避型の特徴

まず用語の説明をします。愛着が不安定な回避型とは、人間関係で不信を持ちやすく、人と接することを避けがちな方を意味します。毒親育ちの方に多い傾向があります。

図を見ると回避型の人は、恋愛とは所詮アクセサリーのように「刹那的」であり、信頼や成長とは無縁だ、と考えやすいことが分かります。

これに対して愛着が安定していて回避傾向が少ない方は、恋愛で相手を大切に思う、相互関係、成長につながると考える傾向があることがわかりました。

(※金政・大坊ら(2003)の論文を参考に作成)。

公衆衛生学者のサンタナ(2003)は、8,613名の成人を対象に、過去の虐待の影響に関する調査を行いましました。その結果、幼少期に不適切養育を受けた人は、成長する過程で

アルコール依存
薬物依存
各種精神疾患へのかかりやすさ
退学や中退

などが多いことがわかりました(出典リンク)。家庭環境が悪いと、自暴自棄になりやすくなってしまうので注意が必要です。


毒親の原因帰属

毒親育ち‐心の回復への対策

ここまで紹介した研究のように、毒親に育てられた子供は、心理的な悪影響が続くと推測できます。このコラムを読んでいる方の中にも壮絶な過去を持っている方もいらっしゃると思います。

そこで、家庭環境が悪かった方向けに基本的な対策を8つお伝えします。

①共依存しないようにする
②限界設定をする
③物理的な距離を置く
④嘆きの仕事
⑤暖かいコミュニティに所属
⑥自助グループの活用
⑦メタ認知力をつける
⑧自分を肯定する癖をつける

ご自身でも使えそうなものを組み合わせてご活用ください。

*注意点
過去の話については綿密にアセスメントをしてから、その方に合った対策を立てていくのが通例です。当コラムで挙げる対策は、あくまで参考としてご活用ください。

 

①共依存しないようにする

毒親育ちの方でよくみられるのが共依存です。共依存には以下の意味があります。

閉鎖的でお互いが過剰に依存し合う、不健康な人間関係

典型的には、子供が親のいう事をなんでも聞いてしまうケースが挙げられます。親としては、子供に当たったり、お金の無心をすることで、精神的、物理的に一時的に満たされます。子供としては、私がいなくては親はどうにかなってしまうと、存在意義を見出すことになります。

親のいう事に一切逆らえない
絶えず顔色を窺ってしまう
物理的に援助してしまう

これらの傾向がある方は共依存になっている可能性があるため注意が必要です。あてはまる…と感じる方は以下のコラムを参照ください。

共依存関係への対策

 

②限界設定をする

毒親との関係については、限界設定が大事です。限界設定とは以下の意味があります。

ここまではOK、これ以上はNG、という線引き

例えば、親と言えど、

暴力をふるったら1年間は会わない
人格を否定するワードには必ず釘を刺す
お金は1円でも貸さない

などきちんと付き合い方にルールを設けることが大事になります。可能であれば親に宣言をしておくことも大事です。限界設定については下記を参照ください。

限界設定のやり方

 

③物理的な距離を置く

*同居のケース
同居をしている場合は、物理的な距離を置くのも1つの手段です。親はあなたが独り立ちをしようとすると、全力で止めてくるかもしれません。ですが、あなたの人生はあなたのものです。親と離れるという選択肢があるということも大事にしてください。

*既に独り立ちしているケース
既に独り立ちをしている場合は、無理に親に関わる必要はありません。たまに様子を見る程度でも充分です。特に親の精神状態が悪く、あなた自身も精神的に追い込まれている時は、共倒れになってしまいます。親と関われる心の余裕ができるまでは距離を置きましょう。

 

④嘆きの仕事

自分の過去と向き合う余裕が出たら、いつかは嘆きの仕事が必要になるかもしれません。嘆きの仕事とは以下の意味があります。

過去の思いを、吐き出し、泣くだけないて、辛い気持ちを整理する作業

心に強い負担となりますが、最終的に乗り越えていくには必要な作業ともいわれています。特にネグレクトや心的虐待を受けてきた方は、一人で解決するのは難しいかもしれません。

思い切って公認心理師や臨床心理士など専門家のカウンセリングを受けることも視野に入れましょう。

カウンセラーの探し方(動画)

 

嘆きの仕事,毒親

⑤暖かいコミュニティへの所属

心理学の研究では、親からの援助が不足していても、友人関係や恩師に恵まれると、心が安定していくことが分かっています。

もし今孤独な生活をしていて、殺伐とした感覚のある日々を過ごしていたら、ぜひ暖かいコミュニティを探してみましょう。詳しくは下記を参照ください。

暖かいコミュニティの探し方

 

⑥自助グループに参加する

全国には、精神的、物理的な暴力を受けたり、ネグレクトを受けてきた方向けの自助グループや支援団体があります。

同じような辛さや悩みを経験したもの同士が、互いに体験を振り返ることで、解決や克服を目指すことができることもあります。同じ体験をした人と意見を交換したい方は以下の団体など参考にしてみてください。

Adult Children Anonymous

メタ認知力をつける

幼少期の壮絶な経験から、人間不信が根底にあると感じていたら、その気持ちは人間関係を築くときに、顔を出すことがあります。この時大事なことは、自分を客観的に把握する力をつけておくことです。

この客観的に把握する力をメタ認知力と言います。メタ認知力がある方は、自分の感情に振り回されず、冷静に行動を制御することができます。例えば、

人間不信になっている自分がいるな…
見捨てられ不安が出ている自分がいるな…
裏切られたことに対して怒っている自分がいるな…

と自分自身をきちんと見つめなおします。このように一度自分を客観視すると、冷静になり、自暴自棄な行動をおさえることができます。

感情的になりやすい、冷静になるのが苦手、という方は以下のコラムを参照ください。

メタ認知力コラム

 

⑧自分を肯定する癖

私のカウンセリングの経験側となりますが、毒親育ちの方は、幼少期に精神的に否定されてきた方が多く、自分を褒めるのが苦手だと感じています。

あなたは、あなたの人生を肯定的に歩む権利があります。親の否定に区切りをつけ、自分の生き方を肯定し、幸せな人生を歩むことができるのです。

自分を肯定するのが苦手…と感じる方は以下のコラムを参照ください。自己肯定感を高める方法を解説しています。

自己肯定感を高める方法


まとめ

過去は取り戻せないですが、未来は自分自身で作り上げていくことができます。これからの人生についてはあなた自身で責任を持たなくてはならないのです。

最後は、親の呪縛から自分自身を開放し、自分の人生を、自分の意思で切り開いていく覚悟をしっかり持ちましょう。目の前にいる人と暖かい関係を築き、屈託なく笑える日々を過ごせるかは、自分次第なのです。

皆さんが過去の自分を整理し、温かい人間関係のある人生を歩むことを願っています。応援しています!


人間関係講座のお知らせ

最後にお知らせです。私たち、公認心理師、精神保健福祉士はコミュニケーション講座を開催しています。心理学や人間関係のワークを行い、切磋琢磨しています。具体的には以下のワークを行っています。

 ・心理学の学習
 ・暖かい人間関係を築くスキル
 ・暖かいコミュニティへの所属

気のいい仲間が多く、きっとほっとできる環境になると思います。気になる方は下記の看板をクリックください。是非お待ちしています(^^)

人間関係講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・Belsky, J. (1980). Child maltreatment: An ecological integration. American psychologist, 35(4), 320.
・Buchanan, A. (1996). Cycles of child maltreatment: Facts, fallacies and interventions. Wiley.
・Dube, S. R., Felitti, V. J., Dong, M., Chapman, D. P., Giles, W. H., & Anda, R. F. (2003). Childhood abuse, neglect, and household dysfunction and the risk of illicit drug use: the adverse childhood experiences study. Pediatrics, 111(3), 564-572.
・戸ヶ崎 泰子.坂野 雄二(1997).母親の養育態度が小学生の社会的スキル と学校適応にお よぼす影響――積極的拒否型の養育態度の観点から――Japanese Journal of Educational Psychology,45, 173-182 
・石毛みどり, & 無藤隆. (2005). 中学生における精神的健康とレジリエンスおよびソーシャル・サポートとの関連. 教育心理学研究, 53(3), 356-367. 
・神谷慶, & 幸田るみ子. (2016). 大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連. ストレス科学研究, 31, 41-48. 
・久保田まり. (2010). 児童虐待における世代間連鎖の問題と援助的介入の方略: 発達臨床心理学的視点から. 季刊・社会保障研究, 45(4), 373-384.
・浦山晶美, 金川克子, & 大木秀一. (2009). 母親の身近な人間関係におけるストレス感と不適切な養育行動の関連性について. 石川看護雑誌, 6, 11-17.
・岡本真なみ. (2018). 怒りをコントロールする 「アンガーマネジメント」(第 3 回) 6 秒待てる自分づくり. 金融財政事情, 69(17), 68-69.
・Milan, S., Lewis, J., Ethier, K., Kershaw, T., & Ickovics, J. R. (2004). The impact of physical maltreatment history on the adolescent mother–infant relationship: Mediating and moderating effects during the transition to early parenthood. Journal of Abnormal Child Psychology, 32(3), 249-261.
・Montes, M. P., de Paúl, J., & Milner, J. S. (2001). Evaluations, attributions, affect, and disciplinary choices in mothers at high and low risk for child physical abuse. Child Abuse & Neglect, 25(8), 1015-1036.
・中谷奈美子. (2015). 子どもの行動に対する母親の帰属と不適切な養育――感情を媒介として――. 心理学研究, 87-14074.

・金政祐司・大坊郁夫(2003)青年期の愛着スタイルが親密な異性関係に及ぼす影響

・中尾達真・加藤和生(2004)” 一般他者” を想定した愛着スタイル尺度の信頼性と妥当性の検討 九州大学心理学研究 5 19-27