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毒親とは?育てられた人の特徴と対策

毒親とは?育てられた人の特徴と対策

皆さんこんにちは。公認心理師の川島達史です。
本コラムでは
「毒親」
をテーマに解説していきます。

はじめに

家庭は心理的な安全基地であるはずです。外に出て、様々な体験をして、心理的に疲れたとき、家族と屈託のない会話をすることで、私たちはほっと一息つくことができます。

一方で毒親の家庭では
・暖かい感情交流がない
・過干渉,過保護である
・理不尽なことで怒る
・全く褒めない

このような状況が続きます。そして、生まれながらに毒親の元で育った方は、心が休まる暇がなく、人間不信に陥ります。大人になってからも過去の記憶に悩まされる方もいます。

一体毒親はなぜ生まれてしまうのか、また自分自身が過去の記憶を乗り越え前向きに生きていくのはどうすればいいのか?本コラムで皆さんと一緒に考えていけると幸いです。。

毒親とは?意味と特徴

毒親の意味とは

毒親と言う用語をはじめに使ったのはスーザン・フォワードという心理療法士です。彼女は、子供を苦しめる親をToxic Parentsと名付けたのです。

Toxicとは有毒,毒性のという意味
Parentsとは親,両親という意味

があります。この2つの言葉を組み合わせて毒親と呼んで、社会に対して警鐘をならしたのです。

*スーザンフォワードの様子はこちら

毒親になってしまう原因

なぜ親は、毒親になってしまうのでしょうか?その理由は多岐に渡りますが、1つだけ言えることは、親自身も苦しんできたということです。

子どもをないがしろにしている状態で心から楽しめる人はいません。自分でもどうしようもないマイナス感情が行き場を求め、結果的に子供が犠牲になっていると言えるのです。

以下、毒親に関連する研究をいくつか紹介させて頂きます。タイトルで気になるものがありましたら、展開してみてください。

浦山・金川・大木(2009)は、1歳6か月・3歳児検診に訪れた母親383名を対象に、身近な人間関係へのストレス感を質問紙で調査しています。下記は結果の一部です。

自分の親に対するストレス

その結果、子供にストレスを抱えている人は、自分の親に対するストレスも大きいことがわかったのです。

浦山・金川・大木(2009)の研究では、子供にストレスを抱えている人は、夫に対するストレスも高いことが分かりました。

夫に対するストレス

夫との関係が悪い人は、メンタルヘルスが悪くなりやすくなり、結果的に子供へ対して冷たくあたってしまう可能性があると言えそうです。

中谷(2016)は、幼稚園児の親296名を対象に不適切養育の関係を調査しました。その結果の一部が下記となります。

家族の子育て支援の状況

不適切な養育 高群は家族の育児協力が得られないことが分かります。私も子育を3人育てていますが、一人では本当に大変です。家族の協力がない場合はキャパオーバーとなってしまい、子供に辛くあたってしまう場面も出てきてしまいます。

中谷(2016)は、幼稚園児の親296名を対象に、母親の原因帰属と不適切養育の関係を調査しました。

以下のグラフは、子育てでの困難場面で、母親が怒りや嫌悪の感情をどれくらい出すかを
「不適切な養育 高群」
「不適切な養育 低群」
で比較しています。

その結果の一部が下記となります。

母親の怒りや嫌悪のグラフ

不適切な養育 高群の方が、怒り・嫌悪の感情が現れやすい事が分かりますね。すなわち毒親となりやすい方は、感情をうまく自分の中でコントロールできず、そのまま吐き出してしまうことが推測されます。

 

毒親の原因帰属

毒親育ち‐影響の拡大

毒親に育てられた子どもには、どんな影響があるのでしょうか。「毒親」という言葉は、専門用語に言い換えると「不適切養育」にあたると考えられます。

人間にとって親子関係はとても大切なものですから、毒親≒不適切養育については古くから研究されてきました。不適切養育が与える影響について、さまざまな研究が行われています。

タイトルで気になるものがありましたら参考にしてみてください。

アメリカで8,613名の成人を対象とした、大規模調査が行われました。

その結果、幼少期に不適切養育を受けた子どもは、成人してから
・アルコール依存
・薬物依存
・各種精神疾患へのかかりやすさ
・退学や中退
などが多いことがわかっています(Duve et al., 2003)。

戸ヶ崎ら(1997)は、小学生524名を対象に、家庭の社会的スキルと児童の社会的スキルを質問紙で評価する調査が行いました。

その結果、学校における社会的スキルと家庭における社会的スキルの間にはいずれも中程度の相関が認められました。

この研究では、社会的スキルは場面が異なっていても内容的にはほぼ同じような行動をとっていることがわかりました。

人間関係などは家庭内で学ぶことも多いので親の社会的スキルの低さが子どもにも影響している様子が見られます。

中尾・加藤(2006)は、大学生378名を対象に質問紙で愛着スタイルを測定し、愛着表現の行動パターンの違いを愛着スタイルごとに行いました。以下のグラフは、間接的に愛着行動を行う「すねた伝達」について、安定型と見捨てられ不安型を比較しています。安定型よりも、見捨てられ不安型の方が伸びていることがわかりますね。

毒親が作る見捨てられ不安型の特徴

つまり毒親育ちに多い、見捨てられ不安型は、振る舞いやしぐさなど曖昧なメッセージで愛着を相手に伝えようと言えそうです。

大坊ら(2003)は、大学生の男女449名を対象に、異性関係と愛着との関連性をアンケート調査しました。その結果、毒親育ちの成人に多い「回避型」愛着スタイルの人は、恋愛に対してネガティブなイメージが高いことが分かりました。以下をご覧ください。毒親育ちの成人に多い「回避型」の人は、恋愛とは所詮アクセサリーのように「刹那的」であり、信頼や成長とは無縁だ、と考えやすいことが分かります。(※金政・大坊ら(2003)の論文を参考に作成)。

毒親が作る見捨てられ回避型の特徴

 

心の回復を図る対策

ここからは、家庭環境が悪かった方向けに対策をお伝えします。過去の清算については通常数年単位で行っていくものです。焦らずじっくり考えていきましょう。

・物理的な距離を置く
・限界設定をする
・メタ認知力をつける
・嘆きの仕事
・暖かいコミュニティに所属
・人生を切り開く覚悟

*注意点
過去の話については通常綿密にアセスメントをしてから、その方に合った対策を立てていくのが通例です。当コラムで挙げる対策は、あくまでカウンセリングの中で検討されるよくある対策になります。

物理的な距離を置く

*同居のケース

もし現在も親との関係が悪く、同居をしている場合は、可能であれば物理的な距離を置くのも1つの手段です。親は親で問題を抱えているため、あなたが独り立ちをしようとすると、全力で止めてくるかもしれません。それでもあなたはあなたの人生を歩むため、まずは親と離れるという選択肢を持つようにしましょう。

*既に独り立ちしているケース

既に独り立ちをしている場合は、無理に親に関わる必要はありません。たまに様子を見る程度でも充分です。稀に子にお金の無心を行う親もいますが、親孝行として現実的に援助できる範囲内にしましょう。

恩返しは大事ですが、あなたはあなたの新しい家族のための準備をしなくてはならないのです。

限界設定をする

親との関係については、限界設定が大事です。限界設定とは、「ここまではOK、これ以上はNG」という線引きをしっかりすることです。

例えば親と言えど、暴力をふるったら、1年間は合わない、などきちんと付き合い方にルールを設けることが大事になります。可能であれば親に宣言をしておくことも大事です。

限界設定については下記を参照ください。

限界設定のやり方

メタ認知力をつける

もしあなたが根底に人間不信あるとしたら、その気持ちは現実に人間関係を築くときに、顔を出すことがあります。この時大事なことは、自分を客観的に把握する力をつけておくことです。

この客観的に把握する力をメタ認知力と言います。メタ認知力がある方は、自分の感情に振り回されず、冷静に行動を制御することができます。

例えば、恋人がちょっとした嘘をついたとき、怒鳴りたく衝動に駆られたら、自分自身をきちんと見つめなおします。あ・・・人間不信が出ている・・・これをそのままぶつけると相手を傷つけてしまう・・・

こんな感じで自分をいさめることができます。感情的になりやすい、相手をつい傷つけてしまう、という方は以下のコラムを参照ください。

メタ認知力コラム

嘆きの仕事

ある程度自分の過去と向き合う余裕が出たら、いつかは嘆きの仕事が必要になるかもしれません。嘆きの仕事とは、過去の思いを自己開示をして、泣くだけないて、辛い気持ちを充分整理する作業になります。

心に強い負担となりますが、最終的に乗り越えていくには必要な作業ともいわれています。特にネグレクトや心的虐待を受けてきた方は、一人で解決するのは難しいかもしれません。

思い切って公認心理師や臨床心理士など専門家のカウンセリングを受けることも視野に入れましょう。

暖かいコミュニティへの所属

心理学の研究では、親からの援助が不足していても、友人関係や恩師に恵まれると、心が安定していくことが分かっています。もし今孤独な生活をしていて、殺伐とした感覚のある日々を過ごしていたら、ぜひ暖かいコミュニティを探してみましょう。詳しくは下記を参照ください。

暖かいコミュニティの探し方

人生は自分で切り開く

過去は取り戻せないですが、これからの人生は自分自身で作り上げていくことができます。これからの人生についてはあなた自身で責任を持たなくてはなりません。

最後は、親の呪縛から自分自身を開放し、自分の人生を自分の意思で切り開いていく覚悟をしっかり持ちましょう。

つらいドロドロしたマイナス感情に支配され、周りを困らせて生きるのか?それともドロドロした感情とうまく付き合いながら、どうにか前向きに感情を切り替え、目の前にいる人と暖かい関係を築き、屈託なく笑える日々を過ごせるかは、自分自身なのです。

そしてできれば、皆さんが後者であってほしいと節に願います。

お知らせ

最後にお知らせです。私たち、公認心理師、精神保健福祉士はコミュニケーション講座を開催しています。心理学や人間関係のワークを行い、切磋琢磨しています。具体的には以下のワークを行っています。

 ・心理学の学習
 ・暖かい人間関係を築くスキル
 ・暖かいコミュニティへの所属

気のいい仲間が多く、きっとほっとできる環境になると思います。気になる方は下記の看板をクリックください。是非お待ちしています(^^)

人間関係講座

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・Belsky, J. (1980). Child maltreatment: An ecological integration. American psychologist, 35(4), 320.
・Buchanan, A. (1996). Cycles of child maltreatment: Facts, fallacies and interventions. Wiley.
・Dube, S. R., Felitti, V. J., Dong, M., Chapman, D. P., Giles, W. H., & Anda, R. F. (2003). Childhood abuse, neglect, and household dysfunction and the risk of illicit drug use: the adverse childhood experiences study. Pediatrics, 111(3), 564-572.
・戸ヶ崎 泰子.坂野 雄二(1997).母親の養育態度が小学生の社会的スキル と学校適応にお よぼす影響――積極的拒否型の養育態度の観点から――Japanese Journal of Educational Psychology,45, 173-182 
・石毛みどり, & 無藤隆. (2005). 中学生における精神的健康とレジリエンスおよびソーシャル・サポートとの関連. 教育心理学研究, 53(3), 356-367. 
・神谷慶, & 幸田るみ子. (2016). 大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連. ストレス科学研究, 31, 41-48. 
・久保田まり. (2010). 児童虐待における世代間連鎖の問題と援助的介入の方略: 発達臨床心理学的視点から. 季刊・社会保障研究, 45(4), 373-384.
・浦山晶美, 金川克子, & 大木秀一. (2009). 母親の身近な人間関係におけるストレス感と不適切な養育行動の関連性について. 石川看護雑誌, 6, 11-17.
・岡本真なみ. (2018). 怒りをコントロールする 「アンガーマネジメント」(第 3 回) 6 秒待てる自分づくり. 金融財政事情, 69(17), 68-69.
・Milan, S., Lewis, J., Ethier, K., Kershaw, T., & Ickovics, J. R. (2004). The impact of physical maltreatment history on the adolescent mother–infant relationship: Mediating and moderating effects during the transition to early parenthood. Journal of Abnormal Child Psychology, 32(3), 249-261.
・Montes, M. P., de Paúl, J., & Milner, J. S. (2001). Evaluations, attributions, affect, and disciplinary choices in mothers at high and low risk for child physical abuse. Child Abuse & Neglect, 25(8), 1015-1036.
・中谷奈美子. (2015). 子どもの行動に対する母親の帰属と不適切な養育――感情を媒介として――. 心理学研究, 87-14074.

・金政祐司・大坊郁夫(2003)青年期の愛着スタイルが親密な異性関係に及ぼす影響

・中尾達真・加藤和生(2004)” 一般他者” を想定した愛着スタイル尺度の信頼性と妥当性の検討 九州大学心理学研究 5 19-27