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束縛する彼氏に対処!

束縛する彼氏の心理と対処法①

はじめまして!精神保健福祉士の川島達史です。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「束縛」をテーマに解説を進めていきます。コラム①の目次は以下の通りです。

  • 束縛の放置は危険
  • 共依存とは何か
  • 彼氏の拘束が厳しい理由
  • 限界設定で無理なく適応
  • アサーションで素直に
  • ソーシャルサポートとは

コラムは全4回です。ちょっと大変ですが(^^;しっかりとお伝えしたいので、ぜひお付き合いください。

束縛の放置は危険

束縛がツライけれど、彼氏のことが好き・・・こんな状態で葛藤してはいませんか?好きな人であるほど、関係性が壊れるのが怖く、束縛が厳しい!とはなかなか伝えにくいですよね。。

しかし、束縛が長く続いている状況であれば注意が必要です。心理学の研究では、自分を抑え込み、過剰に誰かに合わせようとすると、さまざまな悪影響が発生することが分かっています。

メンタルへルスに悪影響

風間(2015)が大学生260名を対象に束縛されている状況に近い「自己抑制」などの指標と抑うつの関係を調べました。

その結果が以下の図です。

このように自己抑制が「高いとき」、抑うつも「高くなる」プラスの相関関係があることが分かりますね。(※相関関係をより深く知りたい方はコチラをご覧ください。)つまり、束縛されている状態で、「自分の気持ちを抑え込んでいる…」という感覚が傾向がある人は、注意が必要です。

共依存関係への発展

束縛されている状態で我慢が続いている場合、「共依存」という状態に陥っている可能性があります。共依存とは、「他者の行動や要求に集中する機能障害」と定義されています。(Whitfield,1989)

つまり、束縛のような他人の要求に過度に応えてしまう状態を意味するのですね。この共依存は、心理的な健康に悪影響をもたらすことが分かっています。

前田ら(2007)の研究では、共依存を「自己犠牲」と「未熟性」の2つの要素に分けています。福祉系大学生290名を対象に、

「抑うつ傾向」と、
「自己犠牲」・「未熟性」

との関連性を調べました。その結果が以下の図です。

 

束縛 彼氏

このように、抑うつ傾向も「高い」と共依存の2つの要素も「高くなる」というプラスの相関が表れていることが分かります。つまり、束縛の状態を我慢して、関係を続けていると、メンタルへルスに悪化する可能性があるのです。

相手の束縛に合わせていては自分自身が精神的に疲れてしまいます。好きな相手の要求に応えたいという気持ちは分かりますが、過剰に相手に合わせている場合はやはり対策が必要になってくるでしょう。

なぜ彼氏の制限が強まるのか

束縛はどのような心理状態で発生するのでしょうか。彼氏があなたの自由を制限するのには、実は心理的な「理由」があるのです。

見捨てられ不安とは?

束縛が激しい彼氏は、「見捨てられ不安」という状態に当てはまる可能性があります。

これは、アメリカ心理学会の精神疾患診断のDSMーIV―TRで、「境界性パーソナリティ障害」の診断基準の1つに設定されている構成概念です。正式には、

「現実に、または想像の中で、見捨てられることを避けようとするなりふりかまわぬ努力」

と定義されています。

つまり、「いつかは自分から離れてしまう、彼女から人から見捨てられるのではないか」という不安から過度に相手を束縛したり、好意を確認することを意味しています。

見捨てられ不安の主な原因は、幼少期での育ち方や環境、愛着などから挙げられます。愛着とは、成長の中でつくられる情緒的な感情のことです。

もう少し噛み砕くと、「安心感」「愛情」といった落ち着きをつくる感情のことをいいます。これらの感情が適切に、芽生えていると束縛することが少なくなります。

束縛 心理

実際に斎藤ら(2009)の研究では、「愛着行動」と束縛の原因の1つである、見捨てられ不安の関わりについて調査が行われています。大学生173名を対象に以下の4つの愛着行動について尺度で用いて調べました。

1.すねた伝達
相手が自分に希望にそぐわない振る舞いをするので、すねた素振りを
見せることで相手の注目をさそう愛着行動。

2.他者への懸念
本当は伝えたいことがあるのだが、本音を抑制しながら行う愛着行動。
拒絶されるのが怖いという本心を、束縛や攻撃的な表現で伝える。

3.近接性維持
束縛など相手と近い距離感を保とうとする愛着行動。

4.素直な伝達
自分の気持ちや感情を正直に伝える愛着行動。

これらの行動と「見捨てられ不安」の関連について実験を行ったところ、以下のような結果となりました。下図をご覧ください。

一番、見捨てられ不安と関わりが強いののは、「他者への懸念」で、その次が「すねた伝達」ですね。

やはり、自分の気持ちを素直に伝えず、察してほしい!といった束縛の原因である見捨てられ不安と関係しているようです。

自分に適切に自己評価ができなかったり、自分を認められないと素直な気持ちも表現できません。「自分は認められている」「自分は愛されている」という感覚を他人に求めることで不安から逃れようするため、近しい距離感を保つために束縛がが生じることがあります。

束縛への対処法

ここからは、束縛への対処法について考えていきます。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

対処法は大きく分けて、3つあります。

1.限界設定
2.アサーティブ
3.ソーシャルサポート

1つずつ見ていきましょう。

①限界設定

健康的に彼氏と付き合うには以下の3点が重要です。

①相手の気持ちを考える
まずは相手の状況や気持ちを考える

②限界設定を考える
自分がどこまで適応できるか考える

限界設定をする

③気持ちよく手伝う
一度決めたらその範囲内は気持ちよく手伝う

このようなステップで行います。ポイントは、「限界設定」です。限界設定とは「自分には、ここまでは適応するけど、ここから先は適応をしない」という基準の部分になります。

この部分をハッキリさせておくと、自分ができる範囲内で付き合うことができるので、束縛に苦しむことも少なくなります。

限界設定についてより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・過剰適応とは?
・Aさんの例
・練習問題で実践
束縛から抜け出すための「限界設定」のコツ②

②アサーション

・3つの自己表現タイプ
束縛する彼氏は、自分の気持ちを優先するタイプでしょうか。それとも、あなたの気持ちも汲み取ってコミュニケーションを取るタイプでしょうか。

実は、心理学では、自己表現には以下の3つタイプがあることが分かっています。

(1)アグレッシブ型ー攻撃的
自分の意見や気持ちを優先するタイプです。

(2)ノンアサーティブ型ー非主張的
相手の意見や気持ちやを優先するタイプです。

(3)アサーション型ー主張
自分と相手両方の意見や気持ちを尊重するタイプです。

このうち、束縛する彼氏はアグレッシブ型で、自己表現をしている可能性が高いです。束縛したい自分の気持ちが強すぎて、あなたがどう思うかまで考えられていないかもしれません。

一方で、自分の気持ちを抑えて相手に合わせてしまっている場合は、ノンアサーティブ型で自己表現をしている可能性があります。

自己表現の3つ

・アイメッセージとは
束縛を解除するためには「アサーション」に自分の気持ちを伝えていくことが大切です。このアサーションの分野で、頻繁に活用されるのがアイメッセージです。

相手に気持ちを伝える時に「私は…」を主語にしたメッセージを使っていく方法です。例えば、以下のような表現がよく使われます。

・(私は)もう少し自由になりたい
・(私は)そう言われると悲しい
・(私は)そう言われて辛かった

重要なのは、主語を「私」にすることです。主語を私にすることで、相手のテリトリーを守りつつ、柔らかい表現ができるようになります。アイメッセージのコツはあくまで、自分の感情を相手に表現するだけで、判断はいったん相手に任せることが特徴と言えます。

アサーションをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・ユーメッセージとは
・実践する際の3つのレベル
・練習問題で理解を深める
束縛彼氏とスムーズに話し合う「アサーション」とは③

③ソーシャルサポート

まずは、ソーシャルサポートの定義について見ていきましょう。ここでは心理学的な定義をいくつかご紹介していきます。

定義①Caplan (1974)
”家族、友人や隣人などの個人をとりまく
様々な人々からの有形、無形の援助を指す”

定義②心理学辞典(1999)
”ソーシャルサポートとは何かについて、まだ明確に定義はなされていない。(中略)
対人関係と人の心身の健康との関連についてさまざまな研究
をソーシャルサポート研究として総称しようという立場に立つ”

とされています。

つまり、ハッキリと定義されていないものの平たく言えば、周りの人たちから得られるサポートをソーシャルサポートと考えてよいでしょう。また、そのサポートは、物理的なものとは限らないということですね。

束縛されている状態は、人間関係が閉鎖的になりソーシャルサポートが得られにくくなります。その結果、相談できる人もできず、メンタルへルスに悪影響が出てしまいます。

ソーシャルサポートをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・サポートを得るには?
・コミュ二ティを増やす
・コミュニティの見つけ方
束縛を解消するための「ソーシャルサポート」④

束縛から抜け出そう

束縛から自由な関係へ

今回は、束縛について概観していきました。原因としては、彼氏の見捨てられ不安・攻撃的自己表現と自分の非主張的自己表現が挙げられます。コラム②からは、対処法をより深く解説していきます。1つ1つ問題を解消をしていきましょう。

次回は、束縛から抜け出すための「限界設定」について解説していきます。

★束縛は「限界設定」「アサーション」「ソーシャルサポート」で克服!

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社会人講座

目次

①束縛する彼氏-概観
②「限界設定」のコツ
③「アサーション」とは
④「ソーシャルサポート」

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
風間惇希 2015 大学生における過剰適応と抑うつの関連 青年心理学研究 27(1), 23-38
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
前田 直樹 長友 真実 田中 陽子 三浦 宏子(2007)福祉系大学生における共依存と心理的健康 九州保健福祉大学研究紀要 (8), 79-87, 2007-03 九州保健福祉大学
斎藤ら(2009)青年期における見捨てられ不安と愛着の関連性 千里金蘭大学紀要 6, 35-41