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心配性の特徴と原因、克服するための方法を心理の専門家が解説

心配性の特徴と原因、克服する方法①

はじめまして!臨床心理士の森、精神保健福祉士の川島です。私たちは現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

本コラムでは「心配性」について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。

  • 心配性とは何か
  • 心配性の原理
  • 影の側面-自尊心低下
  • 光の側面-脳が発達
  • 改善する3つの方法 
  • 診断とチェック

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^)それでは早速、心配性の基礎から解説させて頂きます。

心配性の意味や原因、克服する方法を心理の専門家が解説

心配性とは何か

皆さんは心配性についてどのようなイメージがありますか。一般的には不安に駆られて、あれこれ悩んでしまう性格という印象があると思います。心理学の世界では心配性という用語はあまり使わず、「神経症傾向」「対処的悲観傾向」という用語で考えていきます。

神経症とは

心理学辞典(1999)によれば、神経症傾向は次のように定義されています。

「神経症傾向とは、情動の過敏性を示す傾向、ストレッサーに対して神経症的混乱を引き起こしやすい傾向のことである。神経症傾向が強い人は、しばしば頭痛、消化不良、不眠、背中の痛みなど多くの心配や不安、不愉快な感じを持つ。」

少し難しい定義ですが、感情に振り回されやすく、多くの心配を抱えてしまう傾向と考えてよいでしょう。

対処的悲観性とは

心理学では、心配性を表す言葉として「対処的悲観性」というワードを用いることがあります。定義としては、以下の通りです。

「対処的悲観性とは,防衛的悲観主義とも呼ばれ,感じた不安を動機に変えて適切な対処行動をとり,最終的に成功するために有効な悲観的思考である。(細越寛樹,2012)」

つまり、不安にして適切な対処行動をとる思考ということですね。

心配性の原理

心配性をどのようなメカニズムで発生するのでしょうか。実は心配性は2つのステップで起こるということが分かっています。以下の図の緑色の文字をご覧ください。

心配性 克服

このように、心配性を起こるメカニズムは「①問題発見」「②制御困難」の2つの段階で発生するのです。(※ステップ①それぞれ詳しく見ていきましょう。

ステップ①:問題発見

心配性の入り口となるのは、危険や脅威を発見する能力です。例えば、家のカギをかけるのを忘れた!と気付いた時、泥棒に入られないか心配になります。一方で、心配性でない人は、カギをかけ忘れたことに気づいても「まぁ、誰も泥棒する人なんていないだろう」と気にすることはありません。

心配性 克服

このように、問題発見することは心配性のファーストステップとなるわけです。問題を発見できる能力は、努力の源泉になることもあるため心配性の強みとも言えますね。

ステップ②:制御困難

ステップ①で問題を発見したものの、それが「制御困難」になる場合、心配がさらに増強されてしまいます。例えば、カギを閉め忘れたという場合、すぐにチェックできれば心配を起こりません。

いっぽうで、時間がないなどでチェックできない場合は、ステップ①の「泥棒に入られないだろうか」という心配が増強されてしまいます。

つまり、問題に対して多くの対処法を知っていることで、心配性は軽減させてくれます。また、問題を発見した時に心配の振り回されるのではなく、その対処法を考えることで精神も安定するでしょう。

心配性のデメリット

心配性のデメリットから考えていきましょう。心配性については、①自尊心の低下、②不安や不眠の研究があります。

①自尊心の低下 

細越ら(2009)の研究では、大学生 379 名を対象に考え方が心身の健康にどのような影響を及ぼすか調査しました。その結果、悲観的に考える人は、自尊心が低いことがわかったのです。

心配性を克服

②不安が強い,不眠になりやすい

細越ら(2009)の同研究では、「不安や不眠」についての調査も行われています。悲観的に考える人ほど、不安や不眠を起こしやすいことが分かったのです。

デメリット

上図を見ると、楽観的に考える人の方が、不安と不眠のグラフが低いことが見て取れます。確かに上手くいった1日よりも、ミスをして後悔している日の方が寝付けないものです。 

③精神疾患になることも

心配性を放置しておくと、「全般性不安障害」という精神疾患を発病してしまう恐れがあります。全般性不安障害とは、簡単言うと、過剰な不安が長期的に続く症状のことを言います。主な症状としては、

身体症状
・緊張症状
・疲労感
・めまい
・ふらつき
・動悸

精神症状
・不安と心配
・不眠
・集中困難
・焦燥
・過覚醒

といったものが挙げられます。このように、身体症状にまで影響するほどの強い不安・心配が起きるのが特徴です。全般性不安障害をより詳しく知りたい方は、下記のガイドラインをご覧ください。

    「ICD-10診断ガイドライン」

心配性 症状

心配性のメリット

次に心配性の光の側面をみていきます。心配性の光の側面には、①脳の発達、②自己研鑽につながるというメリットがあります。

①脳が発達している証拠

心配できるというのは脳の発達が進んでいるとも言えます。心配は将来への予測する力でもあり、これはある程度の知的な力が必要となります。例えば、猫や犬はおそらく30秒後ぐらいの未来を考えることはあるかもしれませんが、1年後、2年後のことなど考えていないでしょう。

人間は思考が発達するほど、未来のことを考え、対処できるのです。そう捉えてみると心配性は、治したほうがいいネガティブなことだとは限りません。あれこれ考えながら問題を解決していくためのひとつの方法というポジティブな面もあります。

ここで年齢層が若い方向けの研究となりますが心配性に関する研究を見てみましょう。根本ら(1984)は小学生~大学生の心配性の実態について幅広い調査を行いました。下のグラフをご覧ください。

心配性

なんと小学生の半分近くが心配性であると感じているようです。高校生と大学生で65%を超えています。これは、成長するにつれて脳が発達しているためだと考えられます。

 

②自己研鑽に役に立つ

心配性の実態に迫った研究をいくつか紹介したいと思います。Daveyら(1992)は「心配性な方」は「問題焦点型の解決戦略」を好むとを示唆しました。つまり、心配性の人は、心配であるがゆえに積極的にどうやって問題を解決するか?考えているとも言えます。

ガブリエル・エッティンゲンの研究(1991)では、ネガティブ思考がダイエットにどれだけ影響を与えるか調査しました。実験では参加者の女性を、「ポジティブ、ネガティブ」の2つのグループに分けて1年後の体重を比べたのです。

その結果、下記の図のように、ネガティブ思考のグループが約11kgも痩せたのです。こうした、ネガティブ思考の影響は体重を落とすだけではなく、恋人関係や学業などの分野でも同様な現象が確認させれたと述べられています。

この研究では、ポジティブ思考のやり過ぎは逆効果であること、またネガティブ思考を正しく使うことで着実に目標達成できることが示唆されています。

やや雑な言い方になってしまいますが、心配性は問題解決場面などでは役立つが、過剰になるとメンタルヘルスに悪影響が大きいと考えると良いかもしれません。

心配性の特徴を理解して克服を目指そう

悩みを解消!3つの解決策

ここからは、心配性を克服するための解決策を3つお伝えします。一度に全部を読むのは大変なので、あてはまる項目からチェックしてみてください。

①反証力をつける!認知療法

起こりえない事まで心配
心配性の人の考え方の特徴は、「もし〜だったらどうしよう」と考えることにあります。起こりそうもないことをとりとめなく考えてしまうのです。とりこし苦労という言葉が示すように、「もし空が落ちてきたらどうしよう」と現実には起こりえない出来事まで心配していては、心がいくつあっても足りません。

現実に即して考える癖をつける
この問題を解消するには、心配に思っていることがどのくらい現実に起こりそうなのか、または起こりそうにないのかを考える癖をつけるとよいでしょう。

認知行動療法では「反証」と言われる練習をします。反証とは、自分の思考の歪みに気づくための方法で、考えが本当にそれでよいのか、他の見方はできないかなどと現実的な考えを導き出すための作業です。コラムでは、3つの質問に答えながら、心配性につながる考えを反証する練習をします。

取り越し苦労が多い…という方は、認知療法を学ぶことで心配性を軽減することができます。

認知療法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・認知行動療法とは
・心配性にどこまで効く?
・反証の具体的な方法
心配性の特徴・克服法「認知行動療法で反証」②臨床心理士が解説

②解決焦点型のコーピング

心配性は回避が増える
初めての人に会う、試験を受ける、人前で発表する…このような場面では心配になるのは当たり前ですね。“次々と考えが浮かんできて心細くなる”とネガティブに捉える人は、心配に飲まれて回避する癖がついてしまいがちです。頭に浮かんできたことをネガティブに捉えてしまうために、心配でいっぱいになってしまって行動できないのです。

心配性でも行動する方法
ちょっとストイックではありますが、心配な考えが浮かんだ時こそ、どうやって解決していこうかと前向きに捉え、実際に行動していくことが解決につながります。この心配な時こそ行動できるようにしていくものとして、「解決焦点型のコーピング」ををご紹介します。

心配性で行動できない…という方は、解決焦点型コーピングを学ぶことでやるべきことへアクションを起こすことができるようになります。

解決焦点型コーピングをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・解決志向ブリーフセラピーとは
・ブリーフセラピーで抑うつ減
・コーピングの3つの手順
心配性の克服法と効果「3つの質問で心配をポジティブに捉える」③

③マインドフルネスで心配性と上手く付き合う

心配性が止まらない=注意機能の低下?
心配症の方は、一度悲観的な思考に入るとなかなか抜け出せなくなってしまいます。いつまでも考え続け、やらなくてはならないことに手がつかなかったり、暗い気持ちにどっぷり浸かり続けることがあります。この状態は心理学に自動操縦と呼ばれます。マイナス感情に行動が支配されてしまうイメージですね。

マインドフルネスで注意を制御する
この問題へ対処するにはマインドフルネスで感情を「観察」すると効果的です。心配で心が埋め尽くされてしまいそうな時、自分の情動に注意を焦点づけることで心配を低減することができると考えられます。

心配性に振り回されてしまう…という方は、マインドフルネスを学ぶことで不安を客観視できるようになります。

マインドフルネスをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・マインドフルネスとは
・心配性を軽減させる
・足先に感覚を集中
心配性の克服法-感情に巻き込まれない方法とマインドフルネス療法④

④ネガティブ思考を味方に

こちらの動画ではネガティブ思考を活かす方法について解説しています。
チャンネル登録していただけると励みになります。

⑤専門機関で学ぶ

心配性は知識だけでなく、実践を通して改善していくことができます。私たち、精神保健福祉士、臨床心理士は、心配性、対人不安の改善を目指し、心理学講座を開催しています。心理学を体系的に勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。

執筆者も講師をしています(^^)
 ・心配性を改善 認知行動療法
 ・対人不安うまく付き合う方法
 ・不安のコントロール‐マインドフルネス療法
初学者向け心理学教教室を開催しています

改善できるのか?

このように心配性には光と影の側面がありますが、過剰な心配性の方は改善することも視野に入れましょう。

心配性の改善効果について見てみましょう。Michelら(2003)は、慢性的な心配が特徴である全般性不安障害の研究を行いました。研究の方法は、少人数で行う集団認知行動療法という心理療法を施した群施さなかった群とを分けて、不安や抑うつ、心配などを比較するものでした。結果は下の図の通りです。心配性 克服集団認知行動療法を施した群では、治療後に心配の度合いが大幅に改善しました。ここでは心配だけを取り上げていますが、その他の不安や抑うつなども改善されていました。

この研究から、集団認知行動療法が心配の改善に有効であることが示唆されます。また認知行動療法自体に心配を改善する効果もありますので、改善してみたいかたは一度学習してみると言いでしょう。

4つの方法で心配性を緩和

心次回以降のコラムでは、心配性に対処するための方法をご紹介していきます。まずは、コラム②では心配性に対処するための方法の1つ目「認知行動療法で現実に即して考える」について解説します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★心配性の特徴を理解して、適切な対処で緩和していこう!

目次

①心配性の特徴-概観
②「認知行動療法で反証」
③解決志向ブリーフセラピー
④マインドフルネス療法
⑤心配性簡易診断でチェック

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
Graham C. L. Davey, James Hampton, Jola Farrell, and Sue Davidson(1992)Some characteristics of worrying: Evidence for worrying and anxiety as separate constructs. Personality and Individual Differences, 13(2), 133-147.
Norem, J. K. (2001). Defensive pessimism, optimism, and pessimism. In E. C. Chang (Ed.), Optimism and pessimism: Implications for theory, research, and practice. Washington, D. C.: American Psychological Association. pp. 77-100.
悲観的思考を活用したポジティブな生き方 細越 寛樹 Anti-aging medicine 8(3), 393-397, 2012-06
黒田彩加・友惠眞理子・富田望・岸野有里・荒木美乃里・桶沼友子・熊野宏昭(2015)メタ認知的観点から見た抑うつ症状と心配の関連性の検討. 早稲田大学臨床心理学研究, 15(1), 65-72.
根本橘夫・毛利新治・寺島泰誉・中沢智・山本真理(1984)「心配性」の実証的一考察. 千葉大学教育学部研究紀要, 33, 25-43.
監訳 融道男・小見山実・大久保善朗・中根允文・岡崎祐士(2018)ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 新訂版 医学書院