PDSAサイクルの意味とは?PDCAとの違い,ワークシートの使い方
皆さんこんにちは!
現役経営者,公認心理師の川島達史です。
当コラムのテーマは
「PDSA」
です!
はじめに
・PDSAについて知りたい
・PDSAを導入したい
・PDCAとの違いを知りたい
という方に向けて解説していきます。全体の目次は以下の通りです。
・PDSAサイクルとは
・ゴミ拾い企画の事例
・あなたの状況で実践
・確実に前へ進もう
PDSAを知りたい!導入したい!と考えている方は、ぜひ最後までご一読ください。
PDSAサイクルとは?
皆さんはPDSAサイクルという言葉を聞いたことはありますでしょうか?もしかすると、「え、PDCAじゃないの?」と思われた方もいるかもしれません。
それぞれ以下のような違いがあります。
PDCAサイクル
PDCAサイクルは、生産技術における品質管理などを継続的に改善していく手法です。1950年代に統計学者のW.エドワーズ・デミング博士が提唱しました。
具体的には以下の4つのステップで行います
①Plan (計画)
②Do (実施)
③Check(評価)
④Act (改善)
PDCAは、マニュアル化された生産ラインにおいて、安全性・効果性・効率性・を向上されるアプローチとして有効だと考えれています。
しかし、”Check”という表現では、単なる「点検・評価」になってしまいます。この点、点検だけでは新しい気づきや発見が得られず、新しい改善の発想が生まれにくい短所があります。
PDSAサイクル
そこで、1993年にデミングは”Check”を“Study”に修正し「学習」という概念を取り入れました。PDSAは、具体的には以下の4つのステップで行います。
①Plan (計画)
②Do (実施)
③Study(研究)
④Act (改善)
Check(評価)の部分が、Study(研究)に変わっていますね。データを分析し、解析し、比較することで、新たな課題や気づきを発見しやすくなります。
従来のPDCAサイクルでは、失敗したときのみ改善策を考えるという構造になっていました。Check(評価)のStudy(研究)にしたことで、成功しても、失敗しても、そこから何かを学び、改善することができるようになりました。
また、その学びから具体的な改善策も立てられるようになり、業務改善サイクルを回しやすくなったのです。
具体的な手順
PDSAサイクルをより詳細に見てみましょう。以下の小川(2017)のPDSAワークシートをご覧ください。
Studyの部分に「学びになったことは?」という項目が入っています。Checkでは単なる評価となっていますが、学習できたことを明確にしてくのがPDSAの特徴です。
PDSAサイクルの実行方法
PDSAワークシートを使った練習問題に取り組くんでみましょう。以下の花子さんの例に、PDSAサイクルを活用してみてください。
例題
・花子さんの状況
花子さんは,イベント企画会社の従業員 クライアントは環境保護を大切にしている
花子さんは企画が苦手で、「内容が一貫していない」と評価を受ける、
スケジュール通りに進まない
など仕事内容や方法に問題意識を感じる。
そこで、今回は方法を変えてPDSAワークシートを使用して仕事を進めることにしました。まずは、ざっくりとしたアイデアを考えることから始めました。
花子さんのアイデア
「ゴミ拾いイベントの企画」
①Plan(計画)
1:理念や価値観に沿っているか?
→花子さんの回答:はい。クライアントは環境保護を大切にしている。
2:解決したい問題は深刻か?
→花子さんの回答:はい。地球全体としては規模が小さいが、地域によっては深刻な場所もある。
3:この計画は実行できそうか?
→花子さんの回答:はい。ゴミ拾いであれば、コストもそこまでかからず実現性は高い。
これらの質問が「はい」でなければ、もう1度企画を考えなおします。ここで、花子さんは上司に企画をプレゼンし、結果はOKでした。
②Do(実施)
4:計画通りに進んでいるか?
→花子さんの回答:進捗が遅れ気味、ボランティアの誘導が思ったよりも大変。
5:計画通りに進めるには?
→花子さんの回答:ボランティアを4人1組にして、リーダーをつくり誘導に協力してもらう。
6:やり始めて分かったことは?
→花子さんの回答:ボランティアの方が、思ったよりも積極的に行動してくれる。
③Study(研究)
7:計画通りに終わったか?
→花子さんの回答:途中遅れ気味になったが、最終的には計画通りにできた。
8:自分は何をしたのか?
→花子さんの回答:ボランティアさんの誘導、ゴミの処理、自治体への申請。
9:学びになったことは?
→花子さんの回答:実施時間をもう少し長くして、余裕もたせておくと不測の事態にも対応できる。
④Act(改善)
10:改善すべきポイントは?
→ゴミを回収してくれる業者さんが少なかった。
企画段階でもう少し考えておくべきだった。
11:学びを次にどう活かすか?
→花子さんの回答:企画を実行するにあたり、何が必要になるかを十分に検討する。
12:もっと効率良くこなすには?
→花子さんの回答:あらかじめ定員を決めるなどして、イベント当日の状況を明確にさせておく。
花子さんは、いつも企画の方向性にまとまりが欠けていたり、期限内に終わらないという問題を抱えていましたが、PDSAワークシートを活用したこで、企画から運営まで客観的に進めることができました。
このシートにはじめから正解はありませんので、とにかくやってみて気づきを振り返りましょう。自分に眺めるよりも使っていくことが大切です!
実践!ワークシートに挑戦
それではここからは「PDSAワークシート」を実際に使って、目標達成を目指しましょう!
・ワーク
あなたが今行っている(これから行う)プロジェクトを書き出してみましょう
→
PDSAワークシートで実践してみよう!
①Plan(計画)
1:理念や価値観に沿っているか?
→
2:解決したい問題は深刻か?
→
3:この計画は実行できそうか?
→
②Do(実施)
4:計画通りに進んでいるか?
→
5:計画通りに進めるには?
→
6:やり始めて分かったことは?
→
③Study(研究)
7:計画通りに終わったか?
→
8:自分は何をしたのか?
→
9:学びになったことは?
→
④Act(改善)
10:改善すべきポイントは?
→
11:学びを次にどう活かすか?
→
12:もっと効率良くこなすには?
→
ワークはどうでしたか?実際にやってみることで意外と出来ていなかったことなどに気づくことが出来ます。また、文字で書いてみる、打ち出してみることで視覚化できより客観的に理解できるようになります。
発展編-PDSAサイクル
ここからはPDSAの発展編になります。よりPDSAの実践に役立つコラムをご紹介していきますので、気になる項目を参照してみてください。
①行動力コラム
最高のPlan(計画)を立てることができても、それをDo(実行)できなければ意味がありません。そのため、行動力は非常に大切になります。
行動力を高める方法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
②先延ばしコラム
PDSAを活用しても、重要なタスクを先延ばししてしまう…という場合は心理的な問題に原因があるかもしれません。物事への興味が不足していたり、理想が高すぎたりすると先延ばしが生じてしまいます。
先延ばしを改善したい!という方は下記をご覧ください。
確実に前へ進もう!
まとめ
今回はワークシートを用いてPDSAサイクルを実行する方法をご紹介していきました。何かプロジェクトを進める時には、ご紹介した12つの質問を活用することで客観的に進めることができるようになります。
つねに振り返りを行うことで、着実に物事を進めていきましょう。
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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出典・参考文献
小川恵里佳, 高垣マユミ, & 清水誠. (2017). メタ認知的活動を促すことが科学概念形成に及ぼす効果: 中学校第 1 学年 「物質の状態変化」 の学習を事例にして< 教育科学. 埼玉大学紀要. 教育学部, 66(1), 13-26.