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ノイローゼ(神経症)の症状と治療法

ノイローゼとは?症状や意味、治療法と克服した事例

はじめまして!学校心理士・応用心理士の栗本です。私は心理学の大学院を卒業し、カウンセリングや教育相談を行っています。本コラムでは「ノイローゼ」について詳しく解説をしていきます。

  • ノイローゼとは?意味や歴史
  • 神経症の症状と種類
  • ツボ刺激で症状が改善した事例
  • 克服法の効果とメリット
  • ストレスの原因は「自動思考」
  • 認知の歪みをチェック

しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

早速ですが、みなさんは「ノイローゼ」と聞いて何をイメージするでしょうか。

たとえば、
・育児ノイローゼ
・テレフォンノイローゼ
・子ども騒音ノイローゼ
など、さまざまな場面で使われています。いずれも「苦しい感じがする」「孤独で暗い…」など、辛い症状をイメージする方が多いのではないでしょうか。育児ノイローゼなどを解説

ノイローゼとは、我々の生活にとても関連深い専門用語です。「ノイローゼ」ついて正しい知識を得ることで、自分の生活や大切な人の生活に役立つと思います。このコラムでは、「ノイローゼ」について知りたい方向けに、正しい知識を解説していきます。

ノイローゼとは?

ノイローゼ(Neurose)とは、ドイツ語の「ノイローゼ(Neurose)」、英語の「ニュ-ロシス(neurosis)」に由来した言葉です。医学や心理学の発展によって生まれた用語で、過去には神経衰弱(Neurasthenia)を指す医学用語と使われていました。

ノイローゼの歴史

・1700年代後半
ノイローゼは、英国の医師ウィリアム・カレン(1712~1790)が、精神機能を障害する神経疾患全般に用いた「精神病」のひとつでした。その後、医学の発達に伴い、脳器質疾患、内分泌疾患などが独立した疾患として「精神病」から除外され、さらに内因性精神病(精神病性障害)が区別されました。そして最後に残ったその他の精神疾患が「神経症」や「ノイローゼ」と呼ばれました。

・1900年代
神経症やノイローゼは、ジークムント・フロイト(1856~1939)によって再定義されました。当時の主な神経症には、不安神経症、恐怖症、強迫神経症、抑うつ神経症、神経衰弱、ヒステリー、心気症などが含まれており、日本でも「ノイローゼ」という言葉は、一般でも広く使われていました。

・現在
神経症から、パニック障害、強迫性障害などの生物学的な基盤を持つ障害が独立し、次第に神経症の概念は解体されました。そして「ノイローゼ」という言葉は、多種多様な疾患を含んでいることから、精神医学の分野では通常使用されなくなりました。

現在のノイローゼ

現在のノイローゼは、神経症を指します。定義は以下の通りです。

*心理学辞典(2013)
「はっきりとした不安または継続的で不合理な心配、脅迫観念、脅迫的行動、解離状態、神経質で抑うつ的な反応といった苦悩に満ちた感情的な症状によって特徴づけられるさまざまな精神障害の総称」

少し分かりにくいですね。要約すると「ストレスによって精神や身体にいろいろな症状が現れ日常生活に支障が出る状態」と捉えるといいでしょう。

たとえば、
超高層ビルで「怖い!」と思う人は多いと思います。しかし家の階段でも同じように「怖い!」と思ってしまうと、日常生活を送っていくことが大変になってしまいます。

ノイローゼと神経症このような強い不安や恐怖が離れず、日常生活に支障が出る状態が神経症=ノイローゼです。

ノイローゼの症状

ノイローゼ(神経症)の症状には、

・恐怖
・不安
・パニック発作
・強迫観念
・抑うつ
・記憶の喪失
・別人格の形成
・攻撃性
・こだわりの強い考え
・息切れ、動悸、吐き気、頭痛、腹痛、自律神経失調

などがあります。そしてノイローゼ(神経症)には、パニック障害、強迫症、社交不安障害、全般性不安障害、身体表現性障害(心気症)、解離性障害など、さまざまなものが含まれています。

ノーイローゼの症状

ノイローゼの種類

ノイローゼ(神経症)の種類としては、以下のようなものがあります。

・パニック障害
理由もなく激しい不安に襲われ(不安発作、パニック)、動悸や頻脈など身体の反応も伴う

・全般性不安障害
何となく漠然とした不安に常にとりつかれている状態

・抑うつ神経症
何となく気分がふさぐ、重苦しい、悲観的といった気分がずっと続く

・心気症
自分の体に常に注意を払って、実際には病気でないのに、病気であると思い込む

・解離性障害・転換性障害(ヒステリ-)
本人自身が気づかない心のゆがみによって、運動や感覚機能、意識などに障害が起こる

・強迫神経症
自分では不必要、不合理であるとわかっていながら、ある考えやイメ-ジを打ち消したり、衝動、行為などをやめる事ができない

このように、ノイローゼ(神経症)には多くの症状があります。ノイローゼの原因となるストレスは、分かるものもあれば、本人が意識していないものもあり、診察や心理カウンセリングの中で徐々に分かることもあります。そのため、気になる症状があれば医師に相談してくださいね。

原因とカウンセリング

過去の治療方法・事例

ノイローゼの診断や治療方法は、昔と今では変わってきました。昔は、ノイローゼへのアプローチには様々な方法が取られてきたようです。ここでは、過去のノイローゼ治療で行われた「針灸療法」と「電気針治療」の事例についてご紹介します。

事例① 針治療で症状が改善

駒形(1963)は「針灸療法」がノイローゼに効果的であることを報告しています。

針灸療法とは、簡単に表現すると、問題がある患部や経穴(ツボ)に鍼や灸を使って刺激を与え、病気の治癒や予防をめざす治療法です。これは、人が本来持つ「自然治癒力」や「免疫力」を高めて治療から病気やケガの予防にまで効果があるとされています。この論文では「針灸療法」によるノイローゼへのアプローチ方法と効果を、以下の流れで述べています。

ノイローゼ針治療の手順

針灸治療のツボを刺激することで、神経の高ぶりを静めてノイローゼを改善したことがわかります。

事例② 電気針で症状を克服

森川(1964)は「電気針治療」がノイローゼに効果を示した報告をしています。

電気針治療とは、簡単に表現すると、問題がある患部や経穴(ツボ)に針を使って、電気刺激を与え、病気の癒や予防をめざす治療法です。これは、人が本来持つ「自然治癒力」や「免疫力」を活性化させて、治療だけでなく病気やケガの予防にまで効果があるとされています。この論文では「電気針治療」によるノイローゼへのアプローチ方法と効果を、以下の流れで述べています。

<患者さん>
・当時中学1年生
・小学校4年生の時、盗難の被害
・気持ちが塞ぎ込み、頭痛がするようになる
・無ロになり、人に会うのを嫌うようになった
・小学校5年生の時、症状が強くなり神経科を受診

<治療の過程>

ノイローゼ電気治療の流れ

電気針治療で幹部やツボに電気刺激をすることで、ノイローゼを克服したことがわかります。

ノイローゼの治療法と事例ご紹介した治療方法は、約60年以上も前の事例ですので、現代的な意訳も加えています。しかし昔からノイローゼに対する治療が行われていた事がわかります。

現在の克服法「認知行動療法」

現在行われているノイローゼの克服法は、精神療法や薬物療法が一般的です。中でも、「認知行動療法」など思考の歪みを修正していく方法が主流です。

認知行動療法とは、不適切な言動や考え方を修正して、セルフコントロールを学ぶとともに、自立した生活を送ることができるようにする心理学的治療法です。「現実の受け取り方」や「ものの見方」を認知といい、この認知に働きかけて、心のストレスを軽くしていく治療法が「認知行動療法」となります。

原因は極端な自動思考

この認知には、「自動思考」があります。

自動思考とは、何かの出来事があった時に思い浮かぶ考えやイメージのことです。私たちは、自動思考によって、気持ちが動いたり行動に変化が生まれます。

この自動思考が極端で飛躍的な解釈の考え方だと、本人にとってストレスや生きづらさの原因になるしまうことが少なくありません。たとえば、メールの返事が来ないという出来事の場合で見てみましょう。

出来事と認知の歪み

このような極端な考え方を、認知の歪み(思考の歪み)と言います。極端な自動思考によって、物事の捉え方が変化してしまうのです。

認知の歪みの種類

認知の歪みを引き起こす自動思考について、代表的なものをご紹介します。

①根拠のない決めつけ
確たる証拠がないのに、自分の思いつきをあたかも正しいと思い込む

②白黒思考
物事を全てハッキリさせないと気が済まなくなり、白か黒かという極端な思考を持つ

白黒思考による認知の歪み

③部分的焦点つけ
自分が目につくことだけで短絡的な結論を導き出す

④過大評価・過小評価
関心があることは過大に受け止め、反対に自分の予想や想像に合わない部分は小さく思う

⑤べき思考
「こうするべき」「こうあるべき」と決めつけ、「べき」に基づく行動をしてしまう

べき思考

⑥極端な一般化
とても少ない数なのに、世の中の多くのことが同様の結果になると決めつける

⑦自己関連づけ
良くないことが起きると、全て自分のせいと思い込み自分を責める

⑧情緒的な理由づけ
そのときの自分の感情の動きだけで、実際の現実も感情だけで判断する

⑨自分で実現してしまう予言
自分で否定的な予測をたて自分の行動を決める。その結果、否定的な予測通りに事が運び、やはり自分の予測は正しいと思い込む

このような自動思考をしがちな人とは、ノイローゼの症状になりやすい傾向があるかもしれません。ノイローゼの症状で、つらくなったときには、まずは、自分の「認知の歪み」に気づいて、バランスの良い考え方に変えていく事が大切です。

バランスの良い思考

考え方を変えてみよう!

認知行動療法で、極端な自動思考をバランスのよい新しい考え方に変えることで、その時感じているストレスを和らげることができます。辛くなったときに少し立ち止まり、自分に無理のない範囲で新しい考えに変えていきましょう。認知行動療法で、ストレスを和らげる方法を学ぶことで楽な気持ちになり、もっと自分らしく生きられる可能性がでてきます。

あなたが悪いわけではありません。「出来事」は変えられませんが、「考え」は変えられます。”自分がノイローゼかも・・・”と思ったら、ぜひ試してみてください。

ノイローゼの症状を克服しよう

今回は、ノイローゼとは何なのか?ノイローゼの歴史や症状、過去の治療法を交えながら症状を克服した事例などをご紹介しました。いかがでしたか。

ノイローゼとは、とても簡単に表現すると「不安が強かったり、恐怖が離れなかったりすることで、日常生活を送ることが不便なほどになると、「病的」になってしまっている状態」のことでしたね。

我々は、日常生活の中でさまざまな出来事が起こります。その出来事によって気持ちが不安定になることは、とても自然なことです。その不安定な状態が、日常生活に支障が出る程に「病的」になることもあります。ですが、もともとはごく自然なことから生まれたものです。その気持ちを切り替える方法や、療法を活用していくことで、よりよい生活を送っていくことができます。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・ファンデンボス,G.R.(2013)APA 心理学大辞典,444
・赤羽 幸兵衛 1961 ノイローゼとその療法 日本鍼灸治療学会 10,2.
・駒形 恵作 1963 精神身体医学より見たる針灸療法 自律神経雑誌 10,7,6-8.
・長尾 道江 1962 ノイローゼの治験 良導絡 26,5.
・森川 隆 1964 ノイローゼの一例報告 良導絡 104,14.
・高梨 葉子 2002 認知行動療法を用いたうつ病の再発予防に関する研究 東京慈恵会医科大学雑誌 117,405-417.
・近森 高明 1999 二つの「時代病」―神経衰弱とノイローゼの流行にみる人間観の変容 京都社会学年報 (7), 193-208, 12.