寛容な人になる方法,対応
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「寛容な人になる方法」です。
相談者
31歳 男性
お悩みの内容
私は昔から他人に対してイライラしやすく、批判が多くなりがちです。仲良くなった友人とも喧嘩別れしてしまうことが何度もありました。もう少し寛容な人になりたいです。どうすれば良いでしょうか。
喧嘩別れを繰返してしまうのは辛いですね…。当コラムでは寛容さを身に着ける手法を紹介していきます。是非最後までご一読ください。
寛容性とは何か?
まずはじめに寛容さとは何かをおさえておきましょう。
寛容性の意味とは
寛容性とは以下のように定義されています。
相手に加罰する権利をもつ被害者が、加罰行為を控えること (Extine 2000)[1]
つまり、相手に罰を与える権利があったとしても、怒ることなく許してあげることを言います。
2種類の寛容性
心理学では、寛容性は2つの種類に分けられています。
①内的寛容性
心の面から相手を許してあげようと考えることを意味します。例えば、ミスをした部下に対して、心の底から許してあげることなどが挙げられます。
②寛容行動
行動の面で相手を許そうとすることを意味します。例えば、部下がミスをしたから怒るのではなく、理由をよく聞いて、フォローをするなどが挙げられます。
寛容な人になる6つの方法
実際に寛容な人になるにはどうすれば良いのでしょうか?当コラムでは以下の6つを紹介させて頂きます。
①完璧を求めない
②自分を客観視する
③生活にゆとりを持つ
④何気ない会話を大事にする
⑤自己肯定感を育てる
⑥ユーモアを持つ
ご自身に役立ちそうなものを組み合わせて活用してください。
①完璧を求めない
寛容になれない人は、完璧主義で減点主義な傾向があります。
〇〇すべき!と考える
人のミスが気になる
長所よりも短所を見つける
このような傾向がある方は、仕事が遅い、ミスが多い、時間を守らない、など、相手のできなかったことに目が向いてしまい、寛容さが薄れてしまいます。
改善するには、できなかったことには片目をつぶり、できたことをしっかり確認していくことが大事です。
例えば、友人が5分遅刻してきた場合、すぐに責めるのではなく、「今までは遅刻はしなかった」という事実に目を向けていくようにします。
周りに完璧を求め減点法になることが多い…と感じる方は以下のコラムを参照ください。
②自分を客観視する
寛容になれない人は、イライラしたときに感情にまきこまれてしまい、つい一言多くなってしまう傾向があります。
遅刻するなんてありえない!
なんでそんなこともできないの!
いつも寝てばかりいないで手伝ってよ!
このような感情に任せた言葉を発してしまうと、人間関係に溝が生まれてしまいます。
改善するには、自分を客観視する「マインドフルネス力」を身につけることをおすすめします。マインドフルネス力をつけると、イライラが湧いてきたときに、その感情を冷静に捉えることができるようになります。
つい余計な言葉を言ってしまう・・・と感じる方は以下のコラムを参照ください。
③生活にゆとりを持つ
心理学の研究では、人は時間に追われると、イライラしやすくなることが示唆されています。切羽詰まったような感覚になって、人への当たりが厳しくなってしまうのです。
早く、早く!
この忙しい時に…
まだですか?
このような言葉で煽ってしまうと、相手は急かされた気分になり、不快感を覚えてしまうかもしれません。
改善するには、時間にゆとりを持つことが大切です。例えば、
月に2日は全く何もしない日を作る
思い切って食器洗い器を買う
集合時間をゆるめに設定する
納期はゆるめに設定する
などがあげられます。
このように意識してOFFの時間を作ることで、心に余裕が生まれ、周囲に対して寛容になることができます。時間に追われて、余裕がない…と感じる方は以下のコラムを参照ください。
④何気ない会話を大事にする
寛容になれない人は、日々の会話を大切にしない傾向にあります。
休憩時間も無言が続く
あいさつを交わさない
一緒にいてもお互いにスマホを見る
このような傾向にあると、信頼関係が構築されず、相手に対する寛容さが薄れてしまいます。
改善をするには、何気ない日常の会話を通して、親密な関係を築くことが大事です。実際に、高田・大渕(2009)[2]は、寛容性と親密さについて調べています。
その結果、親密度が高い方が寛容性が高いという結果になりました。何気ない天気の話、食事の話題、私的な会話を積み重ね、親密さを高めると、自然と相手に寛容になれるのです。
会話が苦手で親密な関係になれない…と感じる方は以下のコラムを参照ください。何気ない日常の会話を楽しくするコツを解説しています。
⑤自己肯定感を育てる
心理学の研究では、自己肯定感が低いと、他人を攻撃しやすくなるという報告があります。
自分に対してイライラする
自分に自信がない
うまくいかないことが多い
このように、自分を肯定できない状態だと、他人にも厳しくなってしまうのです。
改善するには、自己肯定感を高める方法を学ぶことが大切です。例えば、
自分の長所をしっかり認める
小さな勝利を積み重ねる
自分の成長を確認する
などの方法があります。他人に寛容になるには、まずは自分をしっかり肯定し、心に余裕を持てるようにしましょう。
自分を肯定できない…という方は、以下のコラムをご参照ください。
⑥ユーモアを持つ
寛容になれない人は、終始真面目になってしまい、周囲に対してとっつきにくい印象を与えてしまいます。
会話の中で笑いが生まれない
相手がいつも真顔で話しを聞く
周囲から真面目だとよく言われる
このようにユーモアがないと、気が張り詰めた感じになり、寛容な印象を与えられなくなります。実際に寛容さとユーモアの関連を調査した研究があります。
菊地ら(2010)[3]は大学生を対象に、遅刻してきた友人に対する寛容性と、ユーモアの関連について調べています。
その結果、ユーモアを使った方が、より相手に寛容になりやすい結果が出ています。つまり、寛容さにはある程度の笑いやユーモアも有効だということです。
まとめ
他人に寛容である人は、安心感があり、人間関係が豊かになります。皆さんが、当コラムで紹介した手法を活かし、お互いに優しく満たされた人間関係を築かれることを願っています。
しっかり身につけたい方へ
当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、公認心理師による講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。
・寛容な考えを身に着ける練習
・寛容な態度,完璧主義を和らげる
・何気ない会話を豊かにする練習
・自己肯定感を育てる,心に余裕を持つ
🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連