ストレス症状の種類と5つの対策,治し方
皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「ストレス症状の対策」についてご相談を頂きました。
相談者
37歳女性 結婚4年目
お悩みの内容
私は現在、正社員として働きながら、2歳児の子育てをしています。昔から真面目な方で、仕事も家事もきちんとやっている方だと思います。
ただ…ここ半年、子供の夜泣きと、仕事の厳しさで心が折れそうになっています。
最近は頭痛がひどく、余計にイライラして、夫や子供に、ヒステリックに怒ってしまいます。
自己嫌悪でさらに、ストレスをためてしまいます。どうすれば良いでしょうか。
子育てと仕事の両立は本当に大変だと思います。特に頭痛があり、感情面でもコントロールが効かないとのことで、充分注意すべき時期と思います。
当コラムでは、ストレス症状への対策を立てていきます。一緒に改善していきましょう。
ストレスと心と体の仕組み
まず初めにストレスと体の仕組みを簡単に理解していきましょう。私たちの体はストレスを感じると、体のパフォーマンスをあげようとして、心と体の仕組みを変化させていきます。
心理的な変化
心理的な変化としては
集中力があがる
目が覚め覚醒する
闘争心が増す
考える力が増す
などが挙げられます。例えば、試験を受ける時などは、重圧がかかりますが、それだけ集中力があがっていきます。
身体的な変化
生理的なメカニズムとしては、ストレス要因に遭遇した時に、体温調節などの生理機能を司る脳の視床下部(ししょうかぶ)周辺が活発になります。
視床下部からは副腎刺激ホルモンを分泌され、副腎が刺激されます。副腎からはストレスホルモンである
「コルチゾール」
「アドレナリン」
が分泌され様々な反応が起こります。その結果、
心拍数の増加
瞳孔が広がる
顔が赤らむ
口が乾く
汗が出る
などの体の変化が起こります。私たちの体はストレスを感じるとこのように心と体を変化させ、危機に対応しようとするのです。
ストレスと症状の種類
ストレスへの対処は短期的であれば効果を発揮することが多いのですが、体への負担が大きく、慢性化すると様々な問題が起こります。武田(2004)では、長期ストレスによって起こる症状を以下の3つのカテゴリーにまとめています。
1.行動異常的発症
ストレスが溜まると、非合理的、攻撃的、自己破壊的な行動が増えていきます。例えば、ヒステリックに他人に起こる、自傷行為をしてしまう、爪噛みが止まらない、ギャンブルにのめり込むなどが挙げられます。
2.心身症的発症
ストレスは、身体の機能を一時的に活性化させまずが、長期化するとマイナスの変化をもたらします。ストレスが続く状態は、走り続けているようなものなので、身体が疲れてしまうのです。
例えば 頭痛、不眠、消化器官の問題、脳梗塞、心疾患のリスクの増大などが挙げられます。
3.神経症的発症
過剰なストレスが掛かると、精神疾患のリスクも増大していきます。精神疾患は様々な種類がありますが、適応障害は必ずおさえておきましょう。適応障害は明確なストレス因がある場合に罹る精神疾患です。
例えば、残業が50時間を超えている、子育で過剰な負担がかかっている、上司のパワハラが続いているなどが挙げられます。
その他、うつ病、強迫障害、不安障害などほとんどの精神疾患とストレスは関連するので注意が必要です。
ストレス症状‐5つの改善策
このようにストレスは長期化慢性化すると様々な問題を引き起こします。ここからはストレス症状への5つの対策を解説していきます。
①医療機関の利用を視野に
②環境を整える
③ストレスコーピング力をつける
④体のメンテナンスをする
⑤心理療法を学ぶ
ご自身の生活にあてはまりそうな項目がありましたら参考にしてみてください。
①医療機関の利用を視野に
ストレス症状が重篤化している場合は、心療内科、福祉的な制度、医療の力を借りることもとても大事です。特に
不眠が続いている
倦怠感がある
頭痛などがある
消えてなくなりたいと思う
これらの感覚がある方は無理をせず医療の力を借りましょう。以下心療内科について関連動画を掲載します。参考にしてみてください。
②環境を整える
ストレスが慢性化しているときは、環境を改善することを大事にしてください。
長時間労働をやめる
ストレスがかかる人間関係から距離を置く
ネガティブなニュースを見すぎない
騒音が激しい家から引っ越す
このような対策が必要になってきます。自分が何にストレスを感じているか?を分析し、物理的な距離を置いたり、環境を帰ることも視野に入れましょう。
環境の整理の仕方については以下のコラムが役立つと思います。優先順位を決めて、心を整理したい方は参考にしてみてください。
③ストレスコーピング力をつける
ストレス症状についてはストレスコーピング力をつけることが大事です。ストレスコーピングはメンタルヘルスを改善する基本的な手法として発展してきた手法になります。代表的なものとしては、
情動解決型 問題解決型 認知評価型 社会支援型 身体的改善型 気晴らし型
の6つがあります。これらを学習すると、ストレスへの総合的な対処力を高めることができるのでオススメです。
詳しくは下記のコラムを参照ください。ストレスの仕組みとコーピングスキルを詳しく解説しています。
④体のメンテナンスをする
ストレス症状が強い場合は体が悲鳴をあげている証拠です。
・充分睡眠をとる
・適度な運動をする
・ストレッチをする
・太陽の光を浴びる
・食生活を安定させる
これらの対処が必要となります。体の面で無理をしている…と感じる方は下記のコラムを参照ください。
⑤心理療法を学ぶ
ストレスに強くなるには、心のあり方の改善も必要になります。心のあり方については心理療法の学習がおススメです。これまで心理学の世界では心の健康のために様々な手法が提唱されています。
複数の種類があるので、当コラムでは紹介して切れないので、お時間があるときに以下のサイトからご自身に合いそうな心理療法をぜひ発見してみてください。
私自身も日々の生活ですごく役になっています。
まとめ
今回はストレス症状について、基本的な知識と改善策を提案させて頂きました。ストレスは長期化すると、私たちの心と体を蝕んでいきます。
健康的なレベルのストレスまで改善され、気持ちよく日常をすごされることを願っています。
お知らせ
公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかりストレスマネジメントを学習したい方場合は、私たちが開催している心理学講座をオススメしています。講座では
・心理療法の基礎
・ストレスコーピングの学習
・柔軟な思考訓練
・暖かい人間関係を築く技術
など練習していきます。筆者の川島も講師をしています。詳しくは下記の看板をクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています(^^)。
↓詳細はこちらです↓
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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*出典・参考文献
・R.S.ラザルス(1990)ストレスとコーピング-ラザルス理論への招待 星和書店 p19
・武田(2004)第2章 心身症・神経症等に関する文献研究 心身症・神経症等の児童生徒の実態把握と教育的対応に関する文献研究 平成14年度~平成16年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))研究