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ストレス症状の種類と6つの対策,治し方

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ストレス症状への対策,治し方

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「ストレス症状の対策」についてご相談を頂きました。

ストレス症状

相談者
37歳女性 結婚4年目 

お悩みの内容
私は現在、正社員として働きながら、2歳児の子育てをしています。昔から真面目な方で、仕事も家事もきちんとやっている方だと思います。

ただ…ここ半年、子供の夜泣きと、仕事の厳しさで心が折れそうになっています。最近は頭痛がひどく、余計にイライラして、夫や子供に、ヒステリックに怒ってしまいます。自己嫌悪でさらに、ストレスをためてしまいます。どうすれば良いでしょうか。

子育てと仕事の両立は本当に大変だと思います。特に頭痛があり、感情面でもコントロールが効かないとのことで、充分注意すべき時期と思います。当コラムでは、ストレス症状への対策を立てていきます。一緒に改善していきましょう。

ヤーキーズ・ドットソンの法則

まず初めにストレスを理解する上で重要な、ヤーキーズ・ドットソン(1908)[1]の法則を理解しましょう。まずは以下の図をご覧ください。

ストレスとパフォーマンスの関係を表した図

上図のように、ストレスは中程度だともっともパフォーマンスを活性化させます。具体的には以下のようなメリットをもたらします。

心理的な変化としては

集中力があがる
目が覚め覚醒する
闘争心が増す
考える力が増す

などが挙げられます。例えば、試験を受ける時などは、重圧がかかりますが、それだけ集中力があがっていきます。

ストレス,集中力

生理的なメカニズムとしては、ストレス要因に遭遇した時に、体温調節などの生理機能を司る脳の視床下部(ししょうかぶ)周辺が活発になります。

視床下部からは副腎刺激ホルモンを分泌され、副腎が刺激されます。副腎からはストレスホルモンである
「コルチゾール」「アドレナリン」が分泌され様々な反応が起こります。その結果、

心拍数の増加
瞳孔が広がる
身体機能が増加する

など、体を変化させ、危機に対応しようとするのです。

このように適切なストレスは、心理面、身体面で課題に対処する力を高めます。その結果、

仕事で力を発揮する
スポーツで良い成績を残す
勉強を頑張れる

などの、前向きな行動をすることができます。

 

ストレス症状,身体の仕組み

 

一方で、ストレスは小さすぎると、無気力や集中力の低下をもたらします。大きすぎる場合は、次のコーナーで挙げるような様々な問題を引き起こします。

ヤーキーズ・ドットソンの法則とは

 

ストレスと症状の種類

武田(2004)[2]は、長期ストレスによって起こる症状を以下の3つのカテゴリーにまとめています。
心身症・神経症などに関する文献研究

 

神経症的発症

過剰なストレスが掛かると、精神疾患のリスクも増大していきます。例えば、

適応障害 うつ病強迫障害 不安障害

などが挙げられます。特に適応障害はストレスの影響を強く受けます。適応障害は明確なストレス因がある場合に罹る精神疾患です。

例えば、残業が50時間を超えている、子育で過剰な負担がかかっている、上司のパワハラが続いているなどが挙げられます。

心身症的発症

ストレスは、身体の機能を一時的に活性化させまずが、長期化するとマイナスの変化をもたらします。ストレスが続く状態は、走り続けているようなものなので、身体が疲れてしまうのです。例えば、

頭痛 不眠 消化器官の問題
脳梗塞 心疾患

のリスクの増大などが挙げられます。

行動異常的発症

ストレスが溜まると、非合理的、攻撃的、自己破壊的な行動が増えていきます。例えば、

ヒステリックに他人に怒る
自傷行為をしてしまう
爪噛みが止まらない
ギャンブルにのめり込む

などが挙げられます。

このようにストレスは長期化、慢性化すると様々な問題を引き起こすので注意が必要です。

 

ストレス症状‐6つの対策

ここからはストレス症状への6つの対策を解説していきます。

①医療機関の利用を視野に
②環境を整える
③ストレスコーピング力をつける
④体のメンテナンスをする
⑤心理療法を学ぶ
⑥ソーシャルサポート

ご自身の生活にあてはまりそうな項目がありましたら参考にしてみてください。

①医療機関の利用を視野に

ストレス症状が重篤化している場合は、心療内科、福祉的な制度、医療の力を借りることもとても大事です。特に

不眠が続いている
倦怠感がある
頭痛などがある
消えてなくなりたいと思う

これらの感覚がある方は無理をせず医療の力を借りましょう。以下心療内科について関連動画を掲載します。参考にしてみてください。



②環境を整える

ストレスが慢性化しているときは、環境を改善することを大事にしてください。

長時間労働をやめる
ストレスがかかる人間関係から距離を置く
ネガティブなニュースを見すぎない
騒音が激しい家から引っ越す

このような対策が必要になってきます。自分が何にストレスを感じているか?を分析し、物理的な距離を置いたり、環境を帰ることも視野に入れましょう。

環境の整理の仕方については以下のコラムが役立つと思います。優先順位を決めて、心を整理したい方は参考にしてみてください。

環境を整え心を整理する方法

③ストレスコーピング力をつける

ストレス症状についてはストレスコーピング力をつけることが大事です。ストレスコーピングはメンタルヘルスを改善する基本的な手法として発展してきた手法になります。代表的なものとしては、

情動解決型 問題解決型 認知評価型 社会支援型 身体的改善型 気晴らし型

の6つがあります。これらを学習すると、ストレスへの総合的な対処力を高めることができるのでオススメです。

詳しくは下記のコラムを参照ください。ストレスの仕組みとコーピングスキルを詳しく解説しています。

ストレスコーピング力を向上させる

ストレスコーピング
④体のメンテナンスをする

ストレス症状が強い場合は体が悲鳴をあげている証拠です。

充分睡眠をとる
適度な運動をする
ストレッチをする
太陽の光を浴びる
食生活を安定させる

これらの対処が必要となります。体の面で無理をしている…と感じる方は下記のコラムを参照ください。

ストレス発散,身体のストレスコーピング

 

⑤心理療法を学ぶ

ストレスに強くなるには、心のあり方の改善も必要になります。心のあり方については心理療法の学習がおススメです。これまで心理学の世界では心の健康のために様々な手法が提唱されています。

複数の種類があるので、当コラムでは紹介しきれないので、お時間があるときに以下のサイトからご自身に合いそうな心理療法をぜひ発見してみてください。

私自身も日々の生活ですごく役になっています。

心理療法の成り立ち,種類

 

➅ソーシャルサポートをもらう

ストレスを溜めやすい方は悩みを一人で抱えてしまう傾向があります。しかし、困った時はお互い様です。甘える時は甘えることも大事です。

ストレスを軽くする上では、日ごろの何気ない人間関係がとても大事です。辛い時に悩みを相談したり、自分の話を聴いてもらう関係があると随分気持ちが楽になるものです。

具体的には、周りの人達を見まわして、悩みを相談できそうな人、困った時に頼れる人に声をかけてみましょう。意外と温かい言葉をかけてくれることがあるはずです。また現代ではSNSが発達していて、ネット上でも悩みを共有するという選択肢もあります。

孤独で悩みを抱え込みやすい・・・と感じる方は以下のコラムを参照ください。

ソーシャルサポートを受ける方法

 

まとめ

今回はストレス症状について、基本的な知識と改善策を提案させて頂きました。ストレスは長期化すると、私たちの心と体を蝕んでいきます。健康的なレベルのストレスまで改善され、気持ちよく日常をすごされることを願っています。

お知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかりストレスマネジメントを学習したい方場合は、私たちが開催している心理学講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・ストレスコーピングの学習
・柔軟な思考訓練
・暖かい人間関係を築く技術

など練習していきます。筆者の川島も講師をしています。詳しくは下記の看板をクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています(^^)。

↓詳細はこちらです↓

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


YouTube→
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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]Yerkes RM, Dodson JD(1908).The relation of strength of stimulus to rapidity of habit-formation . Journal of Comparative Neurology and Psychology
 
[2]武田鉄郎(2004).心身症 第2章心身症・神経症等の児童生徒の実態把握と教育的対応 特殊教育学研究42 (2) ,159-165