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脱フュージョンのやり方,エクササイズ

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脱フュージョンのやり方,エクササイズ

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「脱フュージョンのやり方」についてご相談を頂きました。

相談者
31歳 女性

お悩みの内容
私は昔から思い込みが激しく、一人で空回りをすることが多いです。例えば、恋人の些細な行動から浮気を疑ってしまう、ちょっとした体調不良を大きな病気と勘違いしてしまう、など数えきれないほどあります。

ネットで検索していたところ、「脱フュージョン」という言葉が私に合っている気がしました。詳しく教えてください。

思い込みが激しいと、悩まなくても良いことに悩んでしまい、辛いですね。当コラムでは脱フュージョンのエクササイズをしっかり解説していきます。是非最後までご一読ください。

脱フュージョンとは,意味

まずは、脱フュージョンとは何かについて、意味を詳しく解説していきます。

意味

脱フュージョンとは、スティーブン・C・ヘイズ博士によって創設されたアクセプタンス&コミットメント・セラピーによってつくられた造語です。

ヘイズ博士(2014)は脱フュージョンを以下のように定義しています。

①思考は自動的に行動に影響を及ぼすことがある
②思考の影響を減らし
③言語以外の行動基準を効果的に機能させる

意味は理解できますでしょうか?難しいですよね(^^; それぞれ詳しく解説していきます。

スティーブン・C・ヘイズ 脱フュージョン

①思考は行動に影響する

私たちの思考は現実世界との混同を起こすことがあります。例えば、SNSで、ある一人が、自分を批判してきたとしましょう。この批判が強かったために、

私はみんなに批判されている

と心の中でつぶやいたとします。そうしてその言葉を繰り返すうちに、周りがみんな敵に見えてきました。この思考がおかしいことはすぐわかりますね。

しかし、繰り返し続けると、思考の世界と、現実世界がごっちゃになってくるのです。これを認知的フュージョンと言います。

②思考の影響を減らす

ヘイズ博士の定義には、「思考の影響を減らす」という文言があります。私たちは、思考することで、よりよく生きているつもりでも、時に思考は暴走し、自分を苦しめます。

そんなときは、現実を正しく見て、自分の世界だけではなく、俯瞰をし、現実を正しく認識した上で行動していくことが必要になるのです。

③言語以外の行動基準

私たちは場当たり的な思考だけで行動をするわけではなく、根底にある価値観や目的を元に行動することができます。

例えば、「嫌われているに違いない」と言葉で思い込んでいたとしても、「人と豊かに関係を築きたい」という価値観を大事にできれば、積極的に人と関わることができるのです。

このように言葉の思い込み以外の行動基準を強くしていくことも大事になります。

これらの3つの視点が脱フュージョンの基本となります。

 

脱フュージョン 歴史

脱フュージョンのやり方

それでは実際に、脱フュージョンの技法を紹介していきます。初歩的なエクササイズとしては以下の5つを意識してみてください。

① 方向性を確認する
② マインドの確認
③ 価値の確認
④ 客観的に眺める
⑤ だつふゅやるべきことをやる

①方向性を確認する

まずは大きな方向性を確認していきます。具体的には、認知的フュージョンから脱フュージョンの状態に移行することを目指していきます。

は現実を表し、黄色思い込みを表すとすると、認知的フュージョンの状態の方は以下のようになります。

思考と現実が混ざる

このように、黄色が混ざって、黄緑になるように、思考と現実が入り交ざってしまうのですね。一方で、脱フュージョンできている方は以下のようになります。

 

脱フュージョン 意味

まずは認知的フュージョンの状態から脱フュージョンの状態を目指すことを、意識しておきましょう。

 

②.マインドの確認

脱フュージョンでは、現実と感情や思考を区別するために、感情や思考は、”マインド”として扱います。

①自分の中のマインドは今何と言っている?
②それについてどんな意見を持っているか
③今この瞬間自分が何を考えているのか、意識できるか
④自分のマインドが今何をしているのか意識する

少し難しいですが、「マインド」はあくまで「マインド」であることに気がついて、現実と混同しないようにする感覚です。

 

③.マインドの有効性に目を向ける

次に、マインドの考えがどれだけ有効的なものか、自分に問いかけていきます。

①その考えにしがみついているとメリットはあるか。
②思考の言うことに従って行動すれば、豊かで充実した生活が手に入るか
③マインドに従えば、自分の人生は変わるか?それとも、今までのように行き詰ったままか

自分の考えが、人生にとって本当に意味があることなのか?冷静に確かめていきます。

脱フュージョン,ACT

④.客観的に眺める

マインドを確認し、自分にとって価値が低い考えであると結論がでたら、その考えと距離を置くようにします。距離を置くやり方ですが、様々な手法があります。

もっとも簡単なやり方は、紙に自分の顔を書いて、吹き出しを書きます。そして、自分が考えていることを書いてみるだけでOKです。これだけでも考えを客観視していることになります。

もっと様々な手法を知りたい方は、脱フュージョンと近い概念のマインドフルネス心理学のエクササイズを参考にしてみてください。

マインドフルネス療法,エクササイズ

 

.やるべきことをやる

脱フュージョンの仕上げは、大事にしている行動基準を元に、現実の行動に落とし込むことです。例えば、「嫌われているに違いない」と思いこみ、人間関係を避けている人がいたとしたら、その考えと距離を置き、

「挨拶をする」「おはようと声をかける」「おつかれさまと声をかける」「遊びにさそう」

など、自分の人生にとって前向きな行動をするようにしていきます。こうした行動により、自分の考えが、思い込みであったことがわかるケースもたくさんあります。

繰り返しになりますが、一過性の思い込みの考えでなく、現実に即した大事な価値観を元にした行動をする!ということを意識しましょう。

脱フュージョンについて、もう1例作成しました。理解を深めたい方は展開して学習してみてください。


・太郎さん 社会人3年目
・大学時代に花子さんと出会い付き合いはじめる
・花子さんから突然、見た目が嫌いとふられる
・自分の容姿が気になるようになる 

脱フュージョン

1.マインドの確認

脱フュージョンの基本はまずは自分の思考を確認することが大事です。太郎さんは自分の考えを紙に書き出しました。

「女性は見た目で判断する」
「僕の見た目は悪いに違いない」
「僕は女性と二度と恋愛できない」

という考えがあることに気が付きました。そうして、その考えがあることで、異性とまともに話すことができないこともわかりました。

失恋

2.思考の有効性に目を向ける

太郎さんはこれらの考えが自分の人生にどのような影響を与えるか?考えました。

この考えを持つ限りは、自分の見た目にコンプレックスを持ち続けることになります。今後も異性と話すことはできなそうです。

自分のマインドは、現実の自分も苦しめ、幸せになれそうではありませんでした。

太郎さんは冷静に脱フュージョンすると、現実を再検討しはじめました。「女性は見た目で判断する」これは正しいことでしょうか?現実的でしょうか?太郎さんは考えました。

街中に出ると、言葉は悪いですが、美女と野獣カップルがたくさんいることに気が付きます。そうして様々な検討を加えた結果、太郎さんは以下のような人生哲学を作り直すことにしました。

今回の彼女は見た目で判断されてしまった。これは1つの教訓として、自分磨きをしよう。ただ見た目だけがすべてではない。自分自身の価値観を磨いて、女性に好かれるように成長していけばきっと新しい女性ができるはずだ。自分のマインドに支配されず、幸せになる行動をしよう。

脱フュージョンは特に混乱しているとき、不安に駆られているときに有効です。自分の考えに気が付き、その有効性を冷静に考えてみてくださいね。

 

まとめ

今回は脱フュージョンについて解説をしてきました。私たちは感情の生き物なので、不安や恐怖にかられ、ついつい非現実的な考えに捉われてしまいます。

そんな時は、脱フュージョンのエクササイズを活かして、現実的で健康的な行動がとれるようにしていきましょう!応援しています。

 

心理学講座のお知らせ

ここまでは脱フュージョンの基礎について解説をしてきました。ここからは「講座のお知らせ」と「発展編」になります。

講座のお知らせ

公認心理師の元で、自分を客観視する練習をしたい方は、私たちが開催している心理学講座をオススメしています。講座では

・マインドフルネス練習
・現実と思考をわける練習
・思考をほぐす練習
・性格診断で自己理解を深める

など練習していきます。興味がある方は下記のお知らせをクリックして頂けると幸いです。たくさんの仲間もできますよ♪是非お待ちしています。

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ACTとは何か

脱フュージョンはアクセプタンス&コミットメントセラピーから派生した考えです。歴史や哲学を知りたい方は以下を展開してみてください。

脱フュージョンを理解するには、ACTの哲学を理解することが近道になります。ACTでは以下の生き方を目指します。

「不安を受け入れて、価値のある人生に向かって行動する」

困難な気分を排除するのではなく、むしろオープンな態度を取ります。さらには、不快な気持ちと共に、価値づけられた行動を取れるように促していきます。

このような心理状態のことを「心理的柔軟性」と呼びます。以下の図は、ACTの6つのコアプロセスを示したものです。

脱フュージョンとは

このように、心理的柔軟性を獲得するために「脱フュージョン」が用いられるのです。自分の思考を観察し、現実と思考を分けることで、不安に囚われない心を作ることができます。

・1982年
これまでの認知行動療法は、マイナスで極端な”思考を修正する”ことが主な目的でした。しかし、この手法に限界を感じたヘイズは、”思考を観察する”方法を研究し、ACTを考案しました。

・2008年
2008年までは、ACTの信ぴょう性は示されておらず、「効果を裏付ける根拠はごく一部で、解析方法に問題がある」という結論にどどまります。(Öst, Lars-Göran,2008)

・2015年
それから7年後、ACTは一般的な治療よりも優れていることが報告されます。その効果量は、これまでの認知行動療法と変わらないほどでした。(A-Tjak, JGら,2015)

この時期から新しい認知行動療法の1つとしてACTが注目され始めます。

 

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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・Öst, Lars-Göran (2008). “Efficacy of the third wave of behavioral therapies: A systematic review and meta-analysis”. Behaviour Research and Therapy 46 (3): 296–321. doi:10.1016/j.brat.2007.12.005. PMID 18258216.
・A-Tjak, JG; Davis, ML; Morina, N; Powers, MB; Smits, JA; Emmelkamp, PM (2015). “A meta-analysis of the efficacy of acceptance and commitment therapy for clinically relevant mental and physical health problems.”. Psychotherapy and psychosomatics 84 (1): 30–6. doi:10.1159/000365764. PMID 25547522.
・画像出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Steven_C._Hayes
ラス・ハリス(2012)よくわかるACTアクセプタンス&コミットメントセラピー明日からつかえるACT入門
ヘイズ,S. C.,ストローサル,K. D.,&ウィルソン,K. G.
武藤 崇・三田村仰・大月 友(監訳)2014 アクセプタンス&コミットメント・セラピー 第2版 星和書店