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無気力になる3大原因と改善するための対策,診断

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無気力になる3大原因と改善するための対策,診断

みなさんこんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。私は現在、初学者向け心理学講座の講師をしています。

今回のお悩み相談
「無気力を改善したい」

無気力,対策,改善

相談者
29歳 男性 会社員

お悩みの内容
私は元々明るい性格だったのですが、ここ1年元気が出ないです。仕事ではステップアップができず、無気力になっています。

プライベートでは、友人や長年付き合った恋人はいますが、なぜか虚しい気持ちが襲ってきます。どうすればいいでしょうか…

最近は不眠で食欲もなくなってきています。

日々の生活で元気が出ないのは辛いですね。元気がでない原因は様々なものがあります。

当コラムでは重要な論点と、改善策を提案させて頂きます。ご自身に合いそうなものを日々の生活の中に取り入れてみてください。

無気力の原因はかなりある

まず皆さんに最初にお伝えしたいことがあります。私たちが無気力になってしまうとき、その原因はかなりあるということです。さらに無気力は実は適当に扱うと深刻な問題を見過ごしてしまうこともあります。

ネット上では様々なアプローチが掛かれていますが、残念ながら総合的に記述したサイトはなく、間違った対処を提案しているコラムも散見されます。

心理師としては、こんな状態では悪化する人がいるのではないか…と心配しています。

誤った対処の危険性

そこで当コラムでは、心理学、精神医学の観点から無気力を分類し、それぞれに応じた対策を解説していきたいと思います。

中途半端に読むと、かえって間違えた対処法に行きついてしまうこともあります。まずは全体を読んでみて、当てはまると感じる箇所を精読頂けると幸いです。

無気力と3大原因

無気力になってしまう原因を大きく分けると、

① 学習性無力感型
② モラトリアム型
③ 精神疾患型

これらの3つがあります。無気力はこれらの要因が複雑に絡まり合って発生する症状です。以下それぞれについて、対処法と合わせて解説していきます。

①学習性無力感型

チェックしてみよう

まずは以下の項目にあてはまるか検討してみてください。

長期間ストレスにさらされている
(育児,長時間労働,日常的なDV,セクハラ)
挫折や失敗が続いている
仕事などで自分の裁量がない
自由を失っている感覚がある


複数あてはまる感覚がある方は、セリグマン(Martin E. P. Seligman)が提唱した「学習性無力感」にあてはまるかもしれません。

学習性無力感は、失敗や挫折が続き、自信を喪失することで、何をしても無駄だという心理状況になってしまうことを意味します。

学習性無力感とは

ミハイ・チクセントミハイは自分のスキルや作業の難易度によって、無気力になってしまうことを示唆しています。

縦軸「難易度」
横軸「スキルの高さ」

になります。以下の図を概観してみてください。

やや複雑な図ですが、無力感になりやすい方は

「難易度が高い」
「乗り越えるスキルが低い」

場合によく見られます。

改善策

学習性無力感についての改善策を以下にまとめました。全体を読んだ後に展開して、ご自身にあてはまる改善策がある場合は試してみてください。

① タスクを減らす
学習修正無力感の方はとにかくいろいろとを手を出しすぎて、にっちもさっちもうまく行かなくなっている方が非常に多いです。まずは優先順位を決めて、できること、できないことを明確にして、1つ1つ進めていくことをオススメします。

こちらのコラムで心を整理する方法を解説しています。参考にしてみてください。

② 断る力をつける
抱え込みすぎる方は、頑張ろうとするあまり、人から依頼された仕事た作業を抱え込みすぎることがあります。しかし、抱え込みすぎると、集中力が持たず、雑な仕事になってしまいます。

結果的に自分にとっても、相手にとってもうれしいことにはならないのです。断るべき時は、断る習慣を身につけましょう。詳しくはこちらの断り方コラムを参考にしてみてください。

③ 環境を変える
パワハラ、DV、仕事の相性が悪いなど、自分ではどうしようもない環境にある場合は、限界を見極め、環境を変えるのも1つの手段です。

例えば、仕事や結婚はあくまで、幸せになるためにするものです。もし仕事や結婚が自分自身を苦しめているのなら、なんのために働いているのか、本末転倒になってしまいます。

本当に努力をして、それでもダメな場合は、自分の中で環境を変える線引きも考えておきましょう。詳しくはこちらの限界設定コラムを参照ください。

④ 身体を休める
学習性無力感型の方は頑張りすぎて、不眠、体のだるさ、頭痛など体の不調を抱えていることがあります。体の健康は心の健康と深い結びつきがあります。

身体の調子が悪いな…と感じる方はこちらの心と体の健康-ストレス発散コラムを参考にしてみてください。

無気力症候群の問題

 

モラトリアム型

モラトリアム型とは

まずは以下の項目にあてはまるか検討してみてください。

目指す目標がない
目標を達成してしまった
(大学合格,就職が決まった,子育てが終わった)
力を発揮している感じがしない
人生が退屈だと思う


こちらにあてはまる感覚が多い方は、モラトリアム型の無気力にあてはまるかもしれません。モラトリアムとは、打ち込むものを探すための猶予期間という意味があります。

余力はあるものの、目標を見失ってる状態で、エネルギーのぶつけどころがない方に多く見られます。

モラトリアム型とは

ミハイ・チクセントミハイの図をもう一度見てみましょう。

右下の「退屈」は、「スキルが高く」「難易度が低い」状態です。このゾーンは、つまらない、飽きた!という心理状態になりやすくなります。心理学的には以下の言葉をよく使います。

・燃え尽き症候群
仕事、スポーツに対して一生懸命頑張って、結果が出たり、引退した後に起こります。

・空の巣症候群
主に子育てが終わった後に起こります。

・スチューデント・アパシー
学生(特に大学生)に多くみられる無気力症状です。受験という大きな目標を達成した後、次の目標を見つけ出せずに、喪失感をのもと勉強に無関心になります。

改善策

モラトリアム型の方は新たな目標を見つけることがカギとなります。元々能力が高い方が多いので一度目標を見つけると、びっくりするぐらい改善することもあります。

少し大変ですが自分と向き合い、新しい行動をすることで充実した日々に戻ることができるでしょう。改善策を以下にまとめました。

全体を読んだ後に展開して、ご自身にあてはまる改善策がある場合は試してみてください。

① モラトリアムを理解
モラトリアム型の方はまずは自分自身の状態を把握することをオススメします。
燃え尽き症候群
空の巣症候群
モラトリアム
このコラムで当てはまりそうなものを一読してみると良いでしょう。

② フロー状態を目指す
モラトリアム型の方の最大の課題は新しく打ち込むものを探していくという点にあります。打ち込むものを見つけると、心理学的に、ゾーンに入る、フロー状態になると言われています。

目標を見つけたい、日々を充実させたいという方はこちらのフロー状態,心理学コラムを参考にしてみてください。

③ 好奇心を持つ
モラトリアムになると、新しいことに興味がない…と一蹴して、調べることをしなくなる方がいます。最初はエンジンがかからなくてもOKです。まずは行動していく中で、だんだんと興味関心が湧いてくることもあります。

最近日々の繰り返しでワクワクしない…という方はこちらの好奇心コラムを参考にしてみてください。

④ 決断力をつける
モラトリアムになると、腰が重くなり、ついつい先延ばしにしてしまうことがあります。やろうと思っても、腰が重くて、気が付いたら時間が無くなっている…という方はこちらの決断力コラムを参考にしてみてください。

無気力症候群の特徴

精神疾患型

3つ目にあげられるのが精神疾患型です。無気力症候群は複数の精神疾患に見られる症状です。まずは以下の項目にあてはまるか検討してみてください。

消えてなくなりたいと思う
ぼうっとしてしまい支離滅裂なことをいう
若い時は元気だったが、高齢になり無気力になった
普段は平気だが、特定の場所に行くと極端に無気力になる


このような感覚がある方は、精神疾患型の無気力症候群の可能性があります。

精神疾患,むなしい

うつ病

うつ病の症状の一つとして「無気力症状」が挙げられます。日常生活全般に対してやる気が起きなくなるり、自分は無価値な人間だと感じます。

やらなきゃいけないとわかっていても体と心が鉛のように重く感じます。

気分障害

適応障害

仕事での挫折、失恋、パワハラ、家族との死別などがあったときに、絶望的な虚無感に襲われることがあります。このような場合は、適応障害と診断されることがあります。

学習性無力感型で強く症状が出るときに当てはまることがあります。

適応障害

統合失調症

統合失調症は考えや気持ちがまとまらなくなる心の病気です。陰性症状として虚無感を抱いているように見えることがあります。感情表現がなくなり、目を合わせない、無表情といった症状が発生します。

統合失調症

 

認知症

高齢になると脳機能が低下し、以前はアグレッシブだったのに、急に無気力になることがあります。

認知症

 

改善策

うつ病、適応障害、統合失調症、などに当てはまる可能性を感じた方は、心療内科か精神科を利用するのが基本となります。以下動画で解説をしました。上記の精神疾患にあてはまる方は参考にしてみてください。

下記の動画で心療内科、精神科、心理療法の基本的な知識を抑えましょう。

 

セルフチェック

無気力の深刻度を図るために簡易診断も用意しています。セルフチェックもしておきましょう。

まとめとお知らせ

まとめ

最後に私なりに無気力な時期の過ごし方をお伝えします。私は、やる気が出ないときは、出ないなりの生活を大事にしています。

例えば、私はなぜかトイレ掃除をすると気持ちが整理されます。新しい洗剤を買って、ブラシを買いに行き、しっかり洗うとなぜか気持ちがすっきりします。

少し心がほぐれたら、当コラムにあるように、自分の心を整理する時間にしています。参考まで♪

無気力な時期は必ず終わりが来ます。皆さんが心の整理をして、充実した日々を過ごされることを心から願っています。

お知らせ

最後にお知らせがあります。私たち公認心理師・精神保健福祉士は、メンタルヘルスの向上について心理学講座を開催しています。

心理学を体系的に勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。

執筆者も講師をしています(^^)
 ・心理療法の基礎
 ・前向きな思考を増やす方法
 ・やる気が戻るフロー心理学
 ・暖かい人間関係を築く練習

この機会に心理学をしっかり学んでみたい!という方におすすめです。詳しくは下記の看板からお待ちしています。

 

 

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4件のコメント

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    • ユリ
    • 2020年12月15日 5:42 PM

    はじめまして。
    投稿読ませていただきました。
    苦しい気持ちを抱えながらも、どうしたら現状を変えられるかと問題と向き合っている姿が頭に浮かんできました。
    ご両親は、あなたが学校へ行けない日が続くと当然心配されると思います。計算しながら休んだらいいと言ってくださってるようなので、そうしながら進級・卒業していけるのならそれでなんの問題もないとは思います。ただ、この先欠席が増えていきそうまたは現に欠席がかさんでいるのなら、保護者にあなたが学校へ行けない理由を話して、あなたにとってこれからどうしていくのが1番いいのかを一緒になって考えてもらうのが良いのではないかと私は考えます。子どもが苦しんでいる時にサポートをするのは親としての務めですし、相談・協力を得ることは変なことではありませんからね。

    返信する
    • ( ´∀`)
    • 2020年11月11日 9:21 PM

    自分と向きあって落ち着いたら両親に伝えてみてはどうでしょうか。
    時間をかけて考えることも大切だと思います。
    きっと同じ思いをしている方は沢山いるので新しい世界に踏み出してみると心から信頼し
    あえる人に出会うと思います。
    私も受験のときに同じく苦しい思いをし失敗してしまいました。
    なので、今志望校ではない学校に行っていますが自分に新しい世界ができました。
    生きている中で何があるかわからないので思いっきり別の視点から物事を見るのもいいと
    思います。
    自分の心の声を大切にしてあげてください!

    返信する
    • 杏風
    • 2020年11月10日 8:28 AM

    高1女子です
    念願の志望校に合格し友達もそこそこいて学校生活はかなり充実していたはずなのですが、“なんで勉強をしなきゃいけないの?” “生きている意味って何?” と急に思い始めてきました。最近では家の階段を上る時後ろから追いかけられてるような気がしてとても怖いです。自室にいてもベットの下に何かがいる気がして自分の安心できる場所がありません。夢の中でも幻覚?のようなものが見えて怖くて起きたこともあります。母は「単位落とさないように計算しながら休みなさい」 「休み続けていたらもっと行きずらくなるよ」と言うのですが正直もう家から1歩も出たくないです。既に4日間ほど家から出てません。原因を色々調べていく中で見つけたのが無気力症候群というものでした。セルフチェックができたのでやってみるとかなり可能性が高いと診断されました。
    これは親に伝えた方がいいのでしょうか
    長分失礼しました…

    返信する
    • 匿名
    • 2020年9月28日 1:09 AM

    私は受験を控えているというのに学業に対して全くやる気が出ません。
    勉強が嫌いだから勉強をしたくないと言うよりかは、勉強をしようと思ってもいざ勉強するとなると急に体がだるくなってしまいます、、
    そのせいで焦ってしまい、もっとやる気が出なくなります。
    2年前までは何時間勉強しても足りないと思っていたのに、今は10分も辛いです。
    どうしたら勉強をしようと思えるでしょう、😭

    最近は全てにやる気が出ません。このままだとおかしくなってしまいそうで怖いです、
    誰にも相談する勇気がでなくてここに書いてみようと思いました。語彙力なくて伝わらないかもしれないかな、、😂

    返信する
    • さき
    • 2020年7月3日 4:17 PM

    外に出ることができず、毎日お辛いのですね。負のスパイラルにはまってしまうと、抜け出すのは容易なことではないのだと思います。
    専門の方には相談されましたでしょうか。私の娘は、数ヵ月前に自ら命を絶とうとしましたが、メンタルクリニックで治療し、話を聞いてもらい、周りの人達に支えられながら、元気を取り戻しつつあります。一度試してみていかがですか。

    返信する
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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・桜井茂男・大谷住子 1995 完全主義は無気力を予測できるのか 奈良教育大学教育研究所紀要,31, 171–175.
・対人援助職従事者におけるバーンアウトと感情労働の関係性について 49 事例分析を通した検討
・ミハイ・チクセントミハイ著,今村浩明訳:フロー体験 喜びの現象学,新思索社,2000
・認知行動療法を学ぶ(下山晴彦編 金剛出版,2011)
・認知行動療法(坂野雄二 日本評論社,1995)
・よくわかる臨床心理学 山口 創著 川島書店
・自己志向的完全主義の特徴 : 精神的不健康に関する諸特性との関連から 2009 齋藤, 路子; 今野, 裕之; 沢崎, 達夫対人社会心理学研究. 9 P.91-P.100

・甲斐 裕子 永松 俊哉 山口 幸生  徳島 了 (2011)余暇身体活動および通勤時の歩行が勤労者の抑うつに及ぼす影響. 体力研究, 109, 1-8.