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自己否定感が強いのは病気?原因・診断

自己否定感が強いと病気?原因・克服法・診断

はじめまして!公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回のテーマは「自己否定」です。

  • 改善するお悩み
  • ・自分が嫌い
  • ・自分を否定してしまう
  • ・自分の短所ばかりに目が行く
  • 全体の目次
  • 入門①自己否定の意味
  • 入門②自己一致・自己不一致
  • 入門③3つの方法で克服
  • 発展他人を好きになろう
  • 発展アドラー式で軽減
  • 発展診断・チェック
  • 助け合い掲示板

入門①~③を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。せひ入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

入門①-自己否定の意味

本コラムを読んでいる方の中には

「どうせ自分なんて…」
「何をしたってどうせ…」

このような自己否定の言葉が口癖になっている人がいるかもしれません。長い人生では、挫折や失敗もあります。時には、自分を肯定的に捉えられないこともあると思います。

意味

まずは、自己否定の意味について見ていきましょう。

自己否定とは、心理学辞典(2013)では以下のように解説しています。

願望や欲望を抑え込み、満足をあきらめるような行為のこと

自分自身がもつ権利や、自分が楽しむことを否定すること。多くの場合、罪悪感や低い自尊心に起因している

自分を否定して、気持ちや行動をあきらめてしまう事といえます。

自己否定とは以下は、自己否定のデメリットとメリットに関する研究です。以下気になる項目を、展開してみてください。

デメリット研究

他人を否定しやすい

自己否定しがちな人は、他人を否定してしまう恐れがあります。

細田ら(2009)は中学生305名を対象に、自己肯定感と他者肯定感の関連を調査しました。その結果、自己肯定感と他者肯定感は、正の相関になることが分かりました。

自己肯定感と他者肯定感

逆に言うと、自分を嫌いになったり自己否定が高くなると、他人も否定しやすいと考えることもできるのです。

失敗を気にしやすい

斎藤ら(2003)は大学生474名を対象に、自己評価と失敗過敏について調査を行いました。

その結果、自己評価が高くなると、失敗過敏が下がることが分かりました。失敗過敏とは、失敗を気にしすぎてしまうことです。

自己評価と失敗過敏の関係

この研究では、自己否定する状態は、失敗に敏感になりやすいことも示唆されています。

疑心暗鬼になる

斎藤ら(2003)は、大学生474名を対象に、自己評価と行動疑念についても調べています。

その結果が、自己評価が高いと行動疑念が下がることが分かりました。

自己評価と行動疑念の関係

逆にいうと、自己否定しがちな人は、自分の行動に疑心暗鬼になりやすく、自信をもって行動できない状態にあると推測でいます。

メリット研究

成長につながる

Deevyら(1992)によると、自己否定は自己成長につながると報告されている面もあります。

自己を否定しがちな人は、自分の至らないところに目が向くため、反省点がたくさん出てきます。その反省点を活用すれば、前に進んでいくことができるのです。

たとえば、ネガティブ思考がダイエットにどのような効果があるかを調べた研究(ガブリエル・エッティンゲン,1991)では、ネガティブ思考の方がダイエット効果が高いことが分かりました。

以下のグラフをご覧ください。ポジティブ思考の人と比べると、ネガティブ思考の人は、体重を大幅に減少させていることが分かります。

この研究では、ネガティブ思考はダイエットだけではなく、恋愛や仕事、勉強などでも同じような現象が確認されたと述べられています。加えて、ネガティブ思考を正しく使うことで成長に貢献できることも示唆されています。

つまり自己否定は、目標達成にはメリットがあると認識しておくといいでしょう。

人生を目的を明確にできる時期

アイデンティティの側面から、自己否定のプラス面を見ていきます。

人生では自己否定しやすい時期がいくつかあります。実はその時期は、深く自分と深く向き合うチャンスともいえるのです。

アイデンティティ研究家のマーシャ(1966)の理論によると、人生の目的を明確にするには、試練と挑戦が必要であるとされています。

・試練
自分の価値観を揺り動かす出来事で、自己否定しやすい時期です。

・挑戦
目標を定めそれに打ち込んでいる状態で、行動を伴い努力している状態です。

以下の図をご覧ください。横軸が試練の大きさ、縦軸が挑戦の大きさを示しています。

アイデンティティの確立ここで注目したいのが、試練と挑戦ともに大きい「アイデンティティの確立」です。

アイデンティティ確立に必要な要素

こちらは「人生の試練」を経験し「挑戦している」状態です。ポイントは、人生の試練において充分悩んで結論を出すということです。

つまり試練から、自己否定しやすい時期というのは「深く自分と向き合うチャンス」であるといえます。

たとえば、

・就職活動で不合格ばかり
・見た目を馬鹿にされた
・失恋をした

などの試練の出来事があった時期は、人生の目的を考えるチャンスと考える事ができます。

*動画解説もあります。面白かったらチャンネル登録をしてくださると励みになります!

 

入門②-自己一致・自己不一致

わたしたちはなぜ自己否定してしまうのでしょうか。

ここでヒントとなる、心理学者カールロジャーズが提唱した、自己一致、自己不一致という言葉を解説します。

自己一致とは?意味・特徴

自己一致とは、自己のなかに経験が意識的に統合されていること(心理学辞典,2013)と紹介されています。

簡単にまとめると、理想とする自分と現実の自分が近い状態のことです。

自己一致の理想と現実の関係

自己一致の特徴は、

・理想と現実は比較的近い
・自己否定感が低い自己肯定感が高い
・達成可能な理想がある

などです。たとえば、ダイエットで3㎏やせたい!と考えたとします。

自己一致とは?意味,特徴3㎏くらいのダイエットなら、達成できる現実的な範囲といえます。これぐらいの範囲なら、理想と自分のギャップを持っていることは健康的であるといえそうです。

自己不一致とは?意味・特徴

一方で自己不一致とは、現実の自分と理想とする自分がかなりずれている状態です。

自己不一致とは?理想と現実のギャップ

自己不一致の特徴は、

・理想と現実の差が大きい
・自己否定感が高い、自己肯定感が低い
・達成が厳しい理想がある

などです。たとえば、身長に強いコンプレックスを持つ女性がいたとします。

身長はある程度の努力で理想に近づけることができるかもしれません。しかし、基本的には親から受け継いでいたものです。

そうした本質的な自分らしさを受け入れられないときは、理想とのギャップから、自己否定を強めてしまいます。

原因は理想とのギャップ

小平(2002)は、自己否定や自己嫌悪は「なりたい自分と違う」という気持ちが関連していると報告しています。以下は、簡略化した図です。なりたい自分と自己嫌悪感の相関図

・姉より学力が低い…
・自分の顔が理想と違う…
・目標が達成できない…
・こんな自分じゃダメだ

これらの心理の裏側には「もっと自分は学力があるべき」「もっと美しく生まれたかった」という理想が隠れているのです。

自己否定の裏側には「理想の自分」がいること。そして理想の自分と現実の自分とのギャップから、自己否定が生まれていると捉えておきましょう。

ピークは10代

自己否定や自己嫌悪のピークは、10代で年を重ねると徐々に緩和されることが分かっています。

以下は弊社調査による、自己嫌悪感を持つ人の年代別のグラフです。自己嫌悪が最も多い年代は10代で、年齢とともに減っていることがわかります。

自己嫌悪,10代,20代

つまり、年齢を重ねると、徐々に自分のことを受け入れることができるため、自己否定や自己嫌悪が低くなるといえます。

若い時は理想に燃えていて、なりたい自分と現状の自分の間に大きな隔たりがあります。一方で年齢を重ねるにつれてだんだんと、理想の自分と現実の自分の距離感が近づいていくものと考えられます。

自分をリセットしたい気持ちが強い

佐藤(1999)は、自己嫌悪が年齢とともにどのように変化していくか調査を行いました。調査では、高校生(190名)と大学生(218名)を比較しています。

以下は「自己再生願望」の結果です。自己再生願望とは、自分をリセットしたいと思う傾向です。

自己否定の感情,自己再生願望

大学生と比較して、高校生の方が自己再生願望が高いことが分かりました。つまり、成長とともに、自分を受けやすくなると推測できます

自分を守る力

以下は「自己弁護の高さ」の結果です。自己弁護とは、ざっくりとですが、自分を守る力と捉えてください。

自己否定の感情,自己弁護

高校生と比較して、大学生の方が自己弁護が高いことが分かりました。つまり、年齢とともに自分を守る力、心を安定させる力が増えていくと推測されます。

*興味がある方は、佐藤(1999)の論文を参照ください。

理想と現実,自己嫌悪

入門③-自己否定を克服する方法

自己否定感を克服するには、どうすれば良いのでしょうか?

先程お伝えした通り、自己一致しているレベルの自己否定であれば、特に問題はありません。自分を否定して反省してチャレンジすることも人生を充実させる上でとても大事なことだからです。

しかし、自己不一致するぐらいまで、自己嫌悪が強くなってしまったら…問題はとても大きいです。そこで入門編としては最低限抑えて頂きたいことを解説していきます。

基本方針

・今の自分を肯定する
・理想を現実レベルにする
・あきらめる選択肢も持つ

今の自分をしっかり肯定すると、理想が少し穏やかになり、自己一致しやすくなります。

基本方針の全体イメージを下図に作成しました。概観してみてください。

自己否定感を克服する方法

まずは今の自分をしっかり認めることが基本になります。そのために、自分の長所を見つけたり、時にが周りから褒めてもらう体験が大事になってきます。

①リフレーミング

自己否定が強い人は、自分の短所ばかりに目がいく傾向があります。このような場合、リフレーミングが有効です。

リフレーミングとは、watzlawickら(1974)は以下のように解説しています。

古い枠組みに代えて、他の枠組を与えて、全体を見直すこと

少し難しいですね。簡単にまとめると、これまでのものごとを見る枠組みを変えて、違う枠組みで見ることと捉えてください。リフレーミングとは

短所は長所の裏返しともいえます。自己否定している部分は見方を変えると、自分の強みとなることが多くあります。

たとえば、私(川島)は20代の前半に引きこもりになってしまい、当時は精神的に病んでしまいました。しかし今ではその経験が武器となり、援助者として非常にプラスに働いています。

このように、自己否定しがちな経験も捉え方を変えるとプラスの側面が見えてくるのです。

「自分の短所ばかりに目が行く…」と人はリフレーミングコラムをご覧ください。

②コミュニティ

自己肯定感を育てにくい環境がある場合は、思い切って人間関係を再検討してみることも大事です。

たとえば、
・悪口ばかりを言う人
・あなたを馬鹿にする人
・過度に競争意識を持つ人

このような人が周囲にたくさんいたら、現実のあなたはズタズタになってしまいます。

自己否定が強い時の対処法環境づくりにおすすめなのは、褒め褒め君コミュニティを探してみる事です。私たち人間には、ほっとできるような受容的なコミュニティが必要です。

環境から見直したいという方は、ソーシャルサポートコラムを参考にしてみてください。

③スモールステップ

「理想の達成が難しい…」この現実を受け入れ、新たな目標を立てることは勇気がいる事です。しかし人生では、時にはあきらめることも大切です。

「あきらめる」は「明らかになる」と言い換えることもできます。たどり着けない目標で苦しみ続けるほど人生は長くはありません。自分の人生を幸福にするような目標を新たに立てていくようにしましょう。

自己否定の克服法

自己否定しがちな人は、目標の立て方や、行動が極端になり失敗しやすい傾向があります。高すぎる目標を立てる癖がある方は、少し理想を下げて、現実的にチャレンジしやすい目標に再設定するといいでしょう。

目標を達成しやすい方法を、自己効力感コラム「モールステップ法」で解説しています。良かったら参考にしてみてください。

発展編-自己否定感を克服

ここから先は自己否定をより深く理解したい方向けの内容です。

心理学の世界では、自己否定に関する研究が古くから行われており、さまざまな克服方法があります。発展編とでは、いくつか紹介させて頂きます。気になるタイトルがありましたら、ぜひリンク先のコラムを参考にしてみてください。

他人を好きになろう

心理学的に、自己否定は他者否定に結びつくことが分かっています。

自己否定しがちな人は、他人のあら捜しをしやすい心理状態にあります。しかし、他人のあら捜しをすればするほど、実は自己否定は高まるという悪循環になってしまうのです。

自分だけではなく他人への否定や嫌悪が強い感覚がある方は、こちらの動画を参考にしてみてください。

劣等感を味方につける

心理学者のアドラーは、自己否定に近い概念である劣等感について、前向きに活かすことができると主張しています。自己否定は、自分の味方になってくれる大事な感情でもあるのです。

自己否定感を前向きに活かしていきたい方は、こちらの動画を参考にしてみてください。

診断・チェック

今の心の状態を確認するため、診断を用意しました。自己否定を克服するうえで、今の心の状態を知ることはとても大切です。診断でチェックして、適切な方法で対処していきましょう。

まとめ+助け合い掲示板の活用

まとめ

自己否定感は、マイナスのイメージが強いかもしれません。しかしご紹介した通り、プラスの側面もあります。

長い人生の中では、自分を否定してしまうような経験もあるでしょう。その状況で悩んでいる自分をまずは受け入れ、上手に付合っていきましょう。

助け合い掲示板の活用

ページ下部には助け合い掲示板があります。当コラムは心理面の悩みが多く集います。お互いの悩みや経験談など相談してみましょう。*お互いを思いやったご投稿をよろしくお願いします。

講座のお知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・対人不安の改善
・暖かい人間関係を築くコツ
・無条件の肯定のコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。お知らせ失礼いたしました。

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
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*出典・参考文献
・ファンデンボス,G.R.(2013)APA 心理学大辞典,351,344
・水間玲子(1996)自己嫌悪感尺度の作成 教育心理学研究 44 296-302
・佐藤有耕(1999)青年期における自己嫌悪感の感情状態の発達的変化 青年心理学研究 11 1-18
水間玲子(2003)自己嫌悪感 と自己形成の関係 について -自己嫌悪感場面で喚起 される自己変容の志向に注目して-    教育心理学研究 51 43-53
・小平英志(2002)女子大学生における自己不一致と優越感・有能感,自 己嫌悪感との関連  ―理想自己 と義務 自己の相対的重要性の観点から― 実験社会心理学研究 41(2) 165-174
・荻野恒一(1978) 自己嫌悪のすすめ 青年心理 9 418-426
宮下一博・小林利宣(1981)青年期における「疎 外感」の発達と適応との関係 教育心理学研究 4 297-305
・Deevey, S..& Wall, L.J.(1992) How do lesbianwomen develop serenity? Health Care for Women International, 13, 199-208.