>
>
>
人が嫌いな原因と3つの対処法

人が嫌いな原因と3つの対処法【診断あり】‐精神保健福祉士が解説①

はじめまして!こんにちは精神保健福祉士の川島です。現在、精神疾患を抱える方へのカウンセリングや心理学の講義を行っています。当コラムは「人が嫌い」をテーマに専門家が解説をしています。全部で5コラムあります。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。コラム1ではまずは「人が嫌い」の理解からはじめ、コラム2~5では対処法を解説します。

不安感に正しく対処しよう

日常を送る中で、人と嫌いな気持ち抱くことは、誰にでも少なからずあるでしょう。例えば、以下の体験をしたことはありませんか?

・会話で緊張してしまう 
・知らない人と話すと疲れる

・他人にどう見られるかが気になる
・会話中に手が震えたり、赤面する

これらの症状に該当する方は注意が必要です。人と嫌いな状態が続くと、人と接することが困難になってしまい、深刻な状態になると対人恐怖症などを発症してしまうこともあります。病的なレベルまで行くと、「自分はおかしい顔や容姿をしている(容貌恐怖)」「他人の目線に恐怖を感じる(視線恐怖)」などの症状に発展することもあります。

迷惑をかけない日本の文化

日本の文化として「人に迷惑をかけてはいけない」といった教えをよくに耳にします。こうした日本人の感覚は対人不安になりやすいと考えられてきました。森田正馬という心理療法家は最初の対人恐怖の治療家と言われています。

もう100年近く前のことなり、世界的にもめずらしい研究でした。森田の研究をベースとしてその後日本では人と嫌いと近い意味として「対人恐怖」について様々な研究が行われてきました。

音羽ら(2015)は人が嫌いな特徴を以下の2つに分けています。

「自己主体性」による「恐怖」
“人前で恥をかく”といった自分主体の考え方

「他者主体性」による「恐怖」
“相手に迷惑をかける”という相手主体の考え方

皆さんはいかがでしょうか?人が嫌いという気持ちは人それぞれですが、大きく分けると、恥をかきたくないか・・・他人に迷惑をかけたくないか・・・の2つあるわけですね。

人が嫌いとメンタルヘルス

人が嫌いという気持ちは誰にでも心のどこかに持っているものなのですが、具体的に心理的にどのような影響があるのでしょうか?堀井(2014)は大学生4461人を対象として、対人恐怖心性について調査を行いました。その結果、下図のような結果になり、対人恐怖心性は、様々な恐怖の感情と関連していることがわかります。

この図では、0.85、0.82・・・という数字が示されています。これは統計的な影響の強さを表す数字なのですが、心理学の世界では0.4未満以下は弱い影響、0.4~0.7はある程度影響、0.7以上でかなり影響すると考えます。対人恐怖心性は、孤立恐怖、自己視線恐怖、加害恐怖、登校回避に影響することがわかります。

*親密恐怖ってなに?

上記の図の親密恐怖は、「親密になることに恐怖を抱く」という恐怖症です。親密恐怖の方は初対面のシチュエーションであればOKなのですが、関係が深くなるほど、恐怖が高まっていくという心性を持っています。心理学的には見捨てられ不安と言ったりします。親密になるにつれて、逆に自分は見捨てられるのではないか?という気持ちが敏感になり、これ以上親密になるのは怖いという感情が高まっていきます。

周りからのサポートが大切

人が嫌いな人ば周りからソーシャルサポートを得られる機会が少ないかもしれません。特に励ましてもらったり、悩み相談できる相手がいると「他人の良い部分」に目を向けられるようになることが分かっています。

細田ら(2009)の研究では、中学生305名を対象にソーシャルサポートの種類と自己肯定感についての関連を調査しました。

上記の図のように、どのソーシャルサポートも他者肯定感を高める効果がありますが、特に両親からのサポートからが得られるとより他人の良い部分に目を向けられることが分かります。両親から「励まし」「応援」などの情緒的なサポートをもらっている人は、別の人間関係でも他人を受け入れやすくなるのです。

さらに、同研究では、ソーシャルが得られると人間嫌いが和らぐだけでなく、自分も好きになれることが分かっています。下記の図は、ソーシャルサポートと自己肯定感、他者肯定感の関連を示したものです。

すべての数字に置いて「正の相関」が確認できます。つまり、ソーシャルサポートが得られることで「他人が好き」になり、その結果、「自分も好きになる」のです。その逆もしかり。このように、ソーシャルサポートと自他肯定感は、相互に影響し合っていると考えることができるのです。

人が嫌いは見過ごされがち

普段の生活や仕事に支障が出るほど人が嫌いといった感情は、心理学で「社交不安症」に分類されます。社交不安症の原因はさまざまですが、小学校でいじめを経験した、彼女がフラれて心に傷を負った、仲間外れにされたなどが発症原因になるケースが多いです。

また、社交不安症を発症した人の約75%が15歳以下で発症しています(図1)。同じことが精神保健疫学調査(1993)やこころの健康についての疫学調査(2006)でも示唆されています。

図1. 社交不安障害の発症年齢(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアルより、一部改変)

しかし、社交不安症の特徴は、早期発見が難しいことです。治療が遅くなってしまい、発症年齢と専門機関に訪れた年齢が大きく異なるケースが多くあります。発症は15歳までがほとんどなのですが、なかなか悩みを公にすることができず、何年もこじらせてしまうのです。実際に15歳以下の人が「人間嫌い」という悩みで専門機関に通っている姿はイメージしずらいでしょう。

ある研究では、発症年齢と10年以上ずれた30代半ばで医療機関や心理相談を行っている機関に足を運ぶ傾向があることが報告されています。こうした相談の遅れが症状を深刻化させる要因にもなると言えます。

音羽・森田(2015)は個人の性格や日本特有の文化要因などによって社交不安症が見逃されるケースが多くあると述べています。また、社交不安症はうつ病や自殺といった他の精神的な問題と関連があることも分かっています。

コミュニケーション講座について♪

コラム1は折り返し地点です!ここで少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

人が嫌いを克服する3つの方法

人間嫌いの原因と対処法は、3つに分けることができます。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね。

①完璧主義はポジディブに

マイナス完璧主義が原因
皆さんはコミュニケーションの中で「ミスをしたらダメだ」という気持ちはありますか?もちろん、誰にでもある気持ち少なからずあると思いますが、ネガティブななことを過剰に気にしている場合は注意が必要です。失敗してはならない・・・という気持ちが強い完璧主義を「消極的完璧主義」と呼ぶケースがあります。消極的完璧主義は、対人恐怖と関係があることがわかりつつあります。

積極的な完璧主義を目指そう
この消極的完璧主義には「消極的→積極的に変えていく」のが適切な改善策となります。「積極的な完璧主義」とはどんな意味があるのでしょうか?「失敗してはいけない」と考えることが多いという方はコラム②で答えをチェックしてみてくださいね。

②ポジティブに目を向ける

ネガティブばかりに注目する
皆さんは人付き合いについてポジティブな印象を持っているでしょうか?それともネガティブな印象が強いでしょうか。例えば、飲み会などの集まりに参加した帰る道中・・・「楽しかったな~、また参加したいな」と思うことが多いでしょうか?それとも「もう行きたくない、一人でいた方がいい」と思うことが多いでしょうか。

実は人と嫌いな特徴として、コミュニケーションのネガティブ面に注目するという傾向があります。人間関係の悪影響を進んで考えることで、会話への不安が大きくなってしまい、無意識に人が嫌いになってしまうのです。人間は一度●●と考えると、なかなか固定概念を取り払えず、それを裏付ける情報だけに注目してしまうのです。

考え方を変える
人が嫌いな感情や不安感が大きくなっている時は、視点を多く持つことが大切です。1つの考え方にこだわらず、複数の視点を持って柔軟に考える事が大切です。当コラムでは、広い視野を持つテクニックを具体的にご紹介します。いつも人のネガティブな部分に注目してしまう…という方はコラム③を確認してみてくださいね。

③自分を貫くことも大切

自意識過剰になってしまう
人が嫌いといった対人不安な傾向の人は「周りにどう思われているか気になっている状態」と言えます。周りの視線を気にすることで、「自分は無能でダメ人間だ」と自分を必要以上に責めてしまい、人が嫌いな気持ちを強めてしまいます。

自分評価を正しくしよう
このようマイナス思考は「周りにどう見られるか?」から起こっているので、自分で正しく「自己評価」することが大切です。当コラムでは、適切はする方法として承認欲求の解説と例、人と嫌いが晴れない時のポジディブな捉え方を詳しく解説します。周りの目が気になって萎縮してしまう・・・という方はコラム④を確認してみてください。

人が嫌い!を3つの方法で克服

人が嫌いな原因は「マイナスな完璧主義」「ネガティブばかりに注目する」「自意識過剰になってしまう」3つがありましたね。

コミュニケーションにおける不安や焦りは恐怖へとつながり、人が嫌いを増大させ苦しい状態を長続きさせてしまいます。今後、ご紹介する人が嫌いな気持ちの対処法を把握することで、人が嫌いな時の克服法をマスターしてくださいね。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

次回は、人が嫌いを克服する1つ目の方法「積極的完璧主義を目指す」についてご紹介していきます。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★ 人が嫌いは深刻化する前に対処!3つの方法で克服しよう

*出典・参考文献
中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究 細田 絢,田嶌 誠一 2009 年 57 巻 3 号 p. 309-323
音羽健二・森田正哉(2015),「特集:社交不安症<総説> 『社交不安症の疫学 -その概念の変遷と歴史-』」,不安症研究,7(1),p18-28.

  • 日本精神神経学会 監修 (2014) DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル
  • 音羽健司・森田正哉 (2015) 社交不安症の疫学―その概念の変遷と歴史―

堀井 俊章 横浜国立大学教育人間科学部紀要.  横浜国立大学教育人間科学部 編 16, 135-143, 2014-02