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自己嫌悪に陥る原因とは?解消するための方法を心理の専門家が解説

自己嫌悪の意味とは?診断もあり①

はじめまして!公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回のテーマは「自己嫌悪」です。


対象となるお悩み
・自分が嫌い
・自信がない
・自分は短所だらけと感じる

具体的には
入門①自己嫌悪の意味
入門②理想と現実のギャップ
入門③乗り越える3つの方法
発展-他人を好きになる
  アドラー流劣等感克服
  自己嫌悪診断   
お悩み相談掲示板

という流れで解説していきます。入門①~④を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

入門①自己嫌悪の意味とは

自己嫌悪の意味とは

当コラムを読んでいる皆さんの中には「自己嫌悪」になっている方もいるかもしれません。人生は長いものです。その中で失敗や挫折をする時期があると思います。

自己嫌悪は心理学的にはどのような意味があるのでしょうか。いくつか見ていきましょう。

否定的な感情や事象が自分自身に由来するとし,自分が自分自身のことをいやだと感じること” 水間(1996)

”今の自分がいやだと感じること”佐藤(1994)

このように、自分が自分のことを「いやだ」と感じることという意味が多く見られます。

自己嫌悪には実はデメリットとメリットの2つがあります。以下気になる項目がありましたら、展開してみてください。

デメリット研究

他人を嫌いになりやすい

自己嫌悪の状態では、他人も嫌いになってしまう恐れがあります。細田ら(2009)は中学生305名を対象に「自己肯定感」と「他者肯定感」の関連を調査しました。その結果が以下の図です。

このように、自己肯定感と他者肯定感が「正の相関」を示していることが分かります。正の相関とは、片方が増加すると、他方も増加する関係のことを意味します

逆に言うと、自己嫌悪が高くなると、他人を嫌いになりやすいと考えることもできるのです。

失敗を気にしやすくなる

斎藤ら(2003)は自己評価と失敗過敏について、大学生474名を対象に調査を行いました。その結果が以下の図です。

自己評価が高くなると、失敗を気にしすぎてしまう「失敗過敏」が下がるという結果になっています。逆に言えば、自己嫌悪の状態だと失敗が気になることも示唆されています。

疑心暗鬼になる

斎藤ら(2003)の研究によると自己評価と行動疑念にはマイナスの相関があることが分かっています。

マイナスの相関とは、自己評価が下がると、行動疑念が上がるという意味です。すなわち自己嫌悪の方は、自分の行動に疑心暗鬼になりやすく、自信をもって行動できない状態にあると推測されます。

メリット研究

成長につながる

実は「自己嫌悪は自己成長にもつながる」(Deevyら,1992)と報告されている面もあります。「自己嫌悪」は、至らないと思うところや、課題点に目が向くので反省点がたくさん出てきます。その反省点を上手く活用していければ日常生活での問題を解決し、前に進んでいくことができます。

ガブリエル・エッティンゲン(1991)は、ネガティブ思考がダイエットにどのような効果を与えるかを調べました。

その結果、上の図のように、ネガティブ思考の女性の方が約11kgも体重を落とすことができたのです。このような、ネガティブシンキングの影響はダイエットだけではなく、異性との関係や勉強などでも同じような現象が確認されたと述べています。

この研究では、過剰なポジティブシンキングは逆効果であること、またネガティブシンキングを正しく使うことで成長に貢献できることが示唆されています。

この結果から、自己嫌悪は「目標達成」にはメリットもある!と認識しておくと良いでしょう。

アイデンティティ研究家のマーシャ(1966)の理論をもとにすると、人生の目的を明確にするためには
「試練」
「挑戦」
が必要であるとされています。

・試練(挫折)
危機とは自分の価値観を揺り動かす出来事で、自己嫌悪になりやすい時期です。例えば、就職活動で落ち続ける、容姿を馬鹿にされる、大失恋をしたなど。

・挑戦
積極的関与とは目標を定め、それに打ち込んでいる。行動を伴い努力していることを意味します。

その上で、下図をご覧下さい。解説の前にそれぞれどのような意味があるか考えてみましょう。少し難しい図ですので、まずはざっと目を通してみてください。アイデンティティの確立ここで重要なのが

アイデンティティ確立に必要な要素

の部分です。こちらは
「人生の試練」を経験し
「挑戦している」状態です。

「人生の試練において充分悩んで結論を出す」とアイデンティティが確立しやすいというのがポイントですね。挫折をして、自己嫌悪になる時期は、実は「深く自分と向き合うチャンス」であることがわかります。

*当コーナーは動画解説もあります。面白かったらチャンネル登録をしてくださると励みになります!

入門② 理想と現実のギャップ

自己嫌悪はなぜ起こるのでしょうか?ここでヒントになるのが、心理学者のカールロジャーズが提唱した、自己一致、自己不一致ということばです。

自己一致とは何か?

自己一致とは、理想とする自分と、現実の自分が近い状態です。

自己嫌悪,自己一致

自己一致の状態は以下のような特徴があります。
・理想と現実は比較的近い
・自己嫌悪は少なく自己肯定感が高い
・達成できそうな理想を持っている

例えば、あと2キロ痩せたい!と考えている人がいたとしましょう。2キロぐらいであれば、現実的な範囲内で、達成しているイメージができる範囲です。

人間はある程度の目標を持っていた方が、いきいきと活動できるものです。これぐらいの範囲であれば、理想と自分のギャップを持っていることは健康的であるといえそうです。

自己不一致とは何か?

これに対して自己不一致とは、現実の自分と、理想とする自分がかなりずれている状態になります。

自己不一致,自己嫌悪

自己一致の状態は以下のような特徴があります。
・理想と現実の差が大きい
・自己嫌悪は大きく、自己肯定感が低い
・達成するにはかなり厳しい理想を持っている

例えば、肌の色に強いコンプレックスを持っている女性がいたとします。

このような理想と現実からくる自己嫌悪は自分自身を苦しめます。肌の色はある程度の変化は可能かもしれないですが、基本的には親から受け継いでいたものです。

そうした本質的な自分らしさを受け入れられないときは、いつまでも苦しむことになってしまうのです。

小平(2002)は「なりたい自分と違う」という気持ちが関連していると報告しています。簡略化して図で表すとこのような感じです。なりたい自分と自己嫌悪感の相関図

・僕は周りと比べて学力が低い
・自分の見た目が嫌だ
・目標を達成できなかった・・・
・こんな自分じゃダメと思う

これらの心理の裏側には「もっと僕は学力があるべきなのに」「もっとかわいく生まれたかったのに」という理想が隠れているのです。

自己嫌悪の裏側には「理想とする自分」がいる、そして「現実との自分」とのギャップによって自己嫌悪が生まれるとまずは抑ておきましょう。

自己嫌悪のピークは10代で成長するにしたがって徐々に受け入れられることが分かっています。以下は弊社の調査になりますが、10代がピークで段々と減ってきていることがわかります。

自己嫌悪,10代,20代

年齢を重ねると、徐々に自分のことを受け入れられるようになってくると言えそうです。若い時は理想に燃えていて、なりたい自分と、現状の自分の間に大きな隔たりがあります。

一方で年齢を重ねるにつれてだんだんと、理想の自分と現実の自分の距離感が近づいていくものと考えられます。

 

高校生は大学生より自己嫌悪傾向

佐藤(1999)は、高校生、大学生を対象に自己嫌悪が年齢とともに、どのように変化していくか調査を行いました。以下の図は、自己再生願望の高さを比較したものになります。自己再生願望とは、自分をリセットしたいと思う傾向を意味します。

その結果、高校生の方が自己再生願望が高く、自己嫌悪に陥ったときに自分をリセットしたい気持ちが強いということを表しています。

高校生は大学生より自分を守るのが苦手

以下の図は、自己弁護の高さについて比較したものになります。自己弁護とは、ざっくりとですが、自分を守る力を意味します。

このように、大学生の方が自己弁護が高く、自分を守る力が向上していることがわかりました。成長するにつれて、心を安定させる力が増えていくと推測されます。

*興味がある方は、佐藤(1999)の論文を参照ください。

理想と現実,自己嫌悪

入門③-自己嫌悪を乗り越える方法

自己嫌悪を改善するには、具体的にはどうすれば良いのでしょうか?先程お伝えした通り、自己一致しているレベルの自己嫌悪であれば、特に問題はありません。

自分を否定して反省してチャレンジすることも人生を充実させる上でとても大事なことだからです。

しかし、自己不一致するぐらいまで、自己嫌悪が強くなってしまったら…問題はとても大きいです。そこで入門編としては最低限抑えて頂きたいことを解説していきます。

基本方針

自己嫌悪が強すぎる場合の基本方針ですが以下の3点です。

・今の自分をしっかり肯定する
・理想を現実的にする
・時にあきらめる選択肢も持つ

現実の自分を肯定すると、自然と理想が少し穏やかになり、自己一致しやすくなるのです。まずは今の自分をしっかり認めていく!というのが基本中の基本になります。そのためには自分の長所を見つけたり、時に周りから褒めてもらう体験が大事になってきます。

基本方針の全体イメージを下図に作成しました。概観してみてください。

自己嫌悪乗り越える

リフレーミングで長所探し

自分を肯定するためにできることは、いくつかあります。自分が嫌いという想いを強く持ってしまう人は、自分の短所ばかりに目がいってしまう傾向があります。このような場合「リフレーミング」が有効です。

リフレーミングとは、
「これまでのものごとを見る枠組みを変えて、違う枠組みで見ること」
を指しています。

短所は実は、長所の裏返しで、自己嫌悪に感じている部分は見方を変えると、自分の強みであることが多々あるのです。例えば、私川島の例でいえば、私は20代の前半に引きこもりになってしまったことがあります。

当日は精神的に病んでしまったのですが、今ではその経験が武器になって、援助者として非常にプラスに働いています。このように、自己嫌悪と感じる部分を、今一度入門②で再考してみましょう。

自己嫌悪に陥る心理と立ち直る方法・リフレーミング

 

イラスト:リフレーミングで自分の良い所に向き合えている人

ほっとできるコミュニティに所属しよう

もしあなたの周りに、悪口ばかりを言う人、あなたを馬鹿にする人、過度に競争意識を持つ人がたくさんいたら、現実のあなたは、ズタズタになってしまいます。

周りの環境が悪いと感じる場合、自己肯定感を育てにくい環境だと感じる場合は、思い切って、人間関係をいったん再検討してみることも大事です。

オススメなのが、褒め褒め君コミュニティを探してみる事です。人間には、ほっとできるような受容的なコミュニティが必要です。環境から見直したいという方は以下のコラムを参考にしてみてください。

「ソーシャルサポート褒め褒め君を探そう」

現実的な目標に再設定する

また人生は時にあきらめることも大事です。「あきらめる」とは言い換えると「明らかになる」とも言えます。あきらめることは確かに勇気が必要です。しかし、たどり着けない目標で苦しみ続けるほど人生は長くはありません。

理想を達成することが難しいことが明らかになった…と受け入れ、また、自分の人生を幸福にするような目標を新しく立てていくようにしましょう。もちろん簡単なことではないですが…

自己嫌悪を改善する上では、自己嫌悪が強い方は、目標の立て方や、行動が極端になり失敗しやすい傾向があります。高すぎる目標を立てる癖がある方は、少し理想を下げて、現実的にチャレンジしやすい目標に再設定する気持ちを持ちましょう。

こちらの自己効力感コラムすモールステップ法で成果の出やすい方法を解説しています。良かったら参考にしてみてください。

自己嫌悪改善-発展編

自己嫌悪研究は、心理学の世界でも古くからあり、様々な改善の手法があります。発展編としては、いくつか紹介させて頂きます。気になるタイトルがありましたら、ぜひリンク先のコラムを参考にしてみてください。

他人を好きを増やそう

心理学的に、自己嫌悪は他者嫌悪に結びつくことが分かっています。自己嫌悪に陥っている方は、他人のあら捜しをしやすい心理状態にあります。

しかし、他人のあら捜しをすればするほど、実は自己嫌悪が強くなってしまうという悪循環になってしまうのです。自分だけではなく人が嫌いという感覚がある方はこちらの動画を参考にしてみてください。

劣等感を糧にする

心理学者のアドラーは、自己嫌悪に近い概念である劣等感は前向きに活かすことができると主張しています。自己嫌悪は実は自分の味方になってくれる大事な感情でもあります。

自己嫌悪を前向きに活かしていきたいと感じる方はこちらの動画を参考にしてみてください。

お知らせ

ここで少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち公認心理師・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。

もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

次回の自己嫌悪コラムは、自己嫌悪の意味や定義について解説していきます。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
水間玲子(1996)自己嫌悪感尺度の作成 教育心理学研究 44 296-302
佐藤有耕(1999)青年期における自己嫌悪感の感情状態の発達的変化 青年心理学研究 11 1-18
水間玲子(2003)自己嫌悪感 と自己形成の関係 について -自己嫌悪感場面で喚起 される自己変容の志向に注目して-    教育心理学研究 51 43-53
小平英志(2002)女子大学生における自己不一致と優越感・有能感,自 己嫌悪感との関連  ―理想自己 と義務 自己の相対的重要性の観点から― 実験社会心理学研究 41(2) 165-174
荻野恒一(1978) 自己嫌悪のすすめ 青年心理 9 418-426
宮下一博・小林利宣(1981)青年期における「疎 外感」の発達と適応との関係 教育心理学研究 4 297-305
Deevey, S..& Wall, L.J.(1992) How do lesbianwomen develop serenity? Health Care for Women International, 13, 199-208.