好奇心を持つ,旺盛になる6つの方法
皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「好奇心を持つ方法」についてご相談を頂きました。
相談者
33歳男性
お悩みの内容
私は昔から好奇心が少ない方でした。知らない話題が出ても、興味を持つことができず、質問が思い浮かびません。そのせいか会話が苦痛で、恋愛でも苦戦しています。
新しいことにチャレンジしないので、プライベートでも同じ日々の繰り返しになってしまいます。こんな自分を変えたいです。好奇心を持つ秘訣を知りたいです。
知らない話題が出た時に、好奇心を持つことができないと、自分も相手も楽しく気持ちになれないですよね。当コラムでは、好奇心の性質と向上させる方法を紹介させて頂きます。
ご自身に合いそうなものを日々の生活の中に取り入れてみてください。
好奇心の2つ意味
まず初めに好奇心とは何か理解するところから始めていきましょう。好奇心には、
拡散的好奇心
特殊好奇心
の2つの種類があります。
①拡散的好奇心
拡散的好奇心とは以下のように定義されています。
特定の目標を定めず新しい情報を幅広く求める状態
具体的には以下の内容があてはまります
・新しいことに挑戦するのが好きだ
・新しいアイデアをあれこれ考える
・何事にも興味関心が強い
(西川ら,2015 を参考)
例えば、ネットサーフィンをしていると、つぎつぎに情報を求め、クリックが止まらなくなることがありますよね。このような状態は、拡散的好奇心が刺激されていると言えるでしょう。
②特殊的好奇心
次に、特殊好奇心について解説します。特殊好奇心とは以下のように定義できます。
特定の目標を定め、既知の情報を深く掘り下げる状態
具体的には以下のような項目が当てはまります。
・1つの学問を究める
・疑問に思うことは調べ尽くす
・表面的な理解ではものたりない
このような感覚が強い方は特殊好奇心が強いと言えそうです。
目新しいものに興味を持ち、いろいろな対象に興味を持つ拡散的好奇心は、探究への入り口です。そしてそこから膨らませ、深めていくのが特殊好奇心なのです。
好奇心が強い人の長所
好奇心が強い人には様々な長所があります。
学ぶ意欲が強い
好奇心があると、学ぶ意欲が強くなることが分かっています。斎藤(2014)は大学生129名を対象に好奇心と考える力の関連を調べました。その結果が以下の図となります。
このように、拡散的好奇心が強いと「探求心」「論理的思考」「客観性」が強いという結果になったようです。ちなみに特殊好奇心も同じような結果になっていました。
好奇心がある方は、物事を知る意欲と、様々な角度から検証していく心が育っていると言えそうです。
健康的である
好奇心を持つことは健康にも影響を与えます。
スタンフォード大学医療センターのSwan( 1996 ) は、60歳から80歳(平均70.6歳)のアメリカ人1,118人を対象に、好奇心と健康との関連を調べる調査を行いました。調査は5年間に渡って行われました。
結果の一部を図にしてみました。
難しい図となりますが、がんや年齢の高さは死亡リスクと関連していると言えます。一方で好奇心があると死亡リスクを下げるという結果になっていました。好奇心があると体も健康的になると言えるのです。
好奇心を高める方法
ここからは好奇心を高める方法を6つ紹介します。
・とりあえず聞く法
・おもしろそう!を口癖に
・聞いた話を使って得をする
・むずむず好奇心ツリーを創る
・好奇心ベース実施法
・フロー状態で長続き
当コラムでは概観を解説しました。もっと深く知りたい!と感じる場合はリンク先をクリックしてみてください。
①とりあえず聞く・調べる法
新しい知識や話題に対して好奇心を持てない場合、1つ振り返ってみてほしいことがあります。それは
とりあえず聞いてみたか
とりあえず調べてみたか
とりあえず試してみたか
ということです。なぜなら
詳しく聞いた上で
→興味を持てない
そもそも話題を聞かない
→興味を持てない
この2つは非常に大きいな差があるからです。下記の図は、人間の興味や好奇心の動きを整理したものです。
理解度ゼロのときは、何も知らない状態で、好奇心は刺激されにくいです。それどころか警戒心が湧いてきて、不安もある状態です。
それでもあきらめず、とりあえず聞いてみるか、調べてみるかと、理解を進めていくと、だんだんと興味が芽生えていきます。
心理学的には60%ぐらいのラインが好奇心のピークがきます。知らない状態でも、知りすぎても好奇心は少ないのです。
そこで大事になるのが、とりあえず聞く、調べるという行為なのです。くわず嫌いをしてしまう方は以下の具体例を参考にしてみてください。
それでは、とりあえず聞く・調べる法を事例で理解していきましょう。
登場人物①:コウキさん
食わずぎらいする性格
登場人物②:スミレさん
とりあえず聞く・調べてみる性格
事例
コウキさんとスミレさんは、時代の流行に疎い会社員です。ある日の飲み会で、周囲がキャッシュレスの話で盛り上がっていました。コウキさんとスミレさんは全く話についていけず、周りがわいわい話しているなか2人は沈黙してしまいました。
ここで2人の対応の仕方を比較してみましょう。
①コウキさん
→キャッシュレス?現金のほうがいい…と考える
→知らない話題に入っていけない…
→ひたすら食事をする
→そのまま沈黙しつづける
②スミレさん
→どんどん文明は進んでいくなあ~
→とりあえずどんなものか聞いてみよう
キャッシュレスってどんな仕組みですか?
どんなアプリがあるんですか?
どんなメリットがあるんですか?
とりあえず質問してみる。または調べてみる。
→決済が楽になり、時間節約になった
どちらがいいかは個人の判断ですが、とりあえず聞く・調べるというスタンスを取っていく方が、さまざまな情報が集まっていきます。関心のなかった話題でも、話を聞いてるうちにだんだんと好奇心が芽生えてくることも多いのです。
②面白そう!を口癖に
心理学の世界では、初頭効果という言葉があります。初頭効果とは、初めの印象がずっと響くという効果を意味します。
好奇心が旺盛な人は、とりあえず知らない話題が出たときに、
面白そう!
興味あります!
と宣言する方が多いです。もちろん本心で言っている方もいると思いますが、口癖になっている方もいると思います。とりあえず面白そうと宣言しておくと、人は面白い部分を探そうと必死に努力していきます。
逆に、
つまらなそう!
知らない,興味ない!
と宣言してしまうと、面白い部分を探す努力をしないモードになってしまいます。
乱暴な議論となってしまいますが、私たちの脳の構造は、99%は同じです。ほとんど同じような脳を持っている人が、興味を持っていることなので。
ちゃんと理解すればきっと楽しめる部分がある!と楽観的に考えることも必要です。知らないことが出てきたら、最初の言葉でシャットダウンせず、とりあえず面白そう!と宣言することで、自分の好奇心を刺激するようにしましょう。
③聞いた話で得をする
知らない話題、知らない知識を得ることで実際得をすることも大事になります。例えば、知らない話題を覚えたら、その知識を拝借して他の人との会話に使わせてもらってもいいかもしれません。
知らない知識を勉強したら、思い切って友人に話してみてもいいかもしれません。積極的な方であれば、YOUTUBEやSNSで発信してみてもいいかもしれません。
ようは知らない知識を得ると、生活が豊かになることを実感する必要があります。そうすると好奇心を持って聞いたり調べたりすることは、楽しいことだということが体感的に理解できるようになっていきます。
④好奇心ツリーを作ろう!
4つ目は本格的な手法として「好奇心ツリー」を紹介します。具体的には、好奇心の「種」を見つけ、それを大きな森に育てていくワークです。
まずは調べたいテーマを木の幹にします。その枝にはっぱをつけていくような感じで、どんどん調査をしていきます。木が育っていくと好奇心が刺激されていくことが実感できます。
好奇心ツリーについて詳しく知りたい方は下記をご参照ください
・それぞれの枝に葉っぱを付ける
・調べることで葉っぱを増やしていこう
好奇心ツリーで興味関心を発見!
⑤好奇心ベース実践法
私たちは何か行動するときに、大きく分けて課題ベースで行動することと、好奇心ベースで行動することの2つがあります。例えば、英語がうまくなりたい…という目標があったとします。
ある人は単語を10個覚えようと考えました。これは課題ベースです。
ある人は映画を見てかっこいいい外国人の話し方を真似しよう!と考えました。これは好奇心ベースです。
このように、課題ベースは着実に力が付く一方で、好奇心を持続させるのが難しい場合もあります。そんなときは、思い切って面白そうだな!という感情をベースに実践してみるのも1つの手です。
課題を設定するとストイックになってしまい長続きしない…という方は下記のコラムも参照ください。
⑥フロー状態を創ろう
心理学の世界では、のめり込み集中している状態をフロー状態を呼ぶことがあります。フロー状態を創るには、課題の難易度の適切さと、能力をしっかり発揮していくことが大事になります。
例えば、勉強をするときは、
・できるかできないか微妙だな
・ギリギリとけるかな
・頑張ればできるかも?
と感じられるような難易度の問題が最も好奇心維持に効果的です。フロー状態を作り出すコツは下記のコラムで解説しました。参考にしてみてください。
まとめ
好奇心を持つことができないというお悩みはかなり多いと思います。ただ解決策でもお伝えした通り、最初から100%の好奇心を持つ必要はありません。
最初は、お試しで聴いてみよう。調べてみよう。というぐらいでOKです。とにかくまずは初めてみることです。理解がすすんでくると、あれ?意外と面白いかも!!と言えるタイミングがきっとくると思いますよ♪
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・フロー心理学の学習
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2件のコメント
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現代が好奇心を持ちにくいと、私も感じています。
更に年齢を重ねていくと頭が硬くなり、興味のないことには反応が鈍ります。
娘の好奇心についていけるように、好奇心を鍛える方法のコラムを読んで、取り組みたいと思います。収入も寿命ものびるんですものね(笑)でもスモールステップ方はちょっと難しそうです…コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
ブログ→
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Twitter→*出典・参考文献
知的好奇心尺度の作成 西川一二, 雨宮俊彦 教育心理学研究 2015 63 巻 412-425
古屋 健 2017 大学生の学業遅延傾向に関わる性格特性について 立正大学心理学研究所紀要
Swan, G. E., & Carmelli, D. (1996). Curiosity and mortality in aging adults:A 5-year follow-up of the Western Collaborative Group Study. Psychology and Aging, 11(3), 449.
あまり当てはまりませんんでした。