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絶望感とは?意味や症状、乗り越える3つの方法

絶望感とは?意味や症状、乗り越える3つの方法

はじめまして!臨床心理士の加賀です。私は、これまで臨床心理士として精神科・心療内科クリニックでカウンセリングを行ってきました。今回は「絶望」についてについてお話していきます。コラム①は絶望について基礎的な話を5分程度させていただきます。目次は以下の通りです。

  • 絶望感とは?意味・症状
  • 8つの抑うつ症状とは【研究】
  • ネガティブな反復思考【研究】
  • 問題と3つの解決策
  • まとめ-絶望からの回復

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^)それでは早速、絶望の基礎から解説させて頂きます。

絶望感とは?意味や症状

絶望感の定義は、研究者によりさまざまです。

絶望感とは、
「自分の将来に望みがないという自己認知 (桜井・桜井,1992)」
「未来の不確実性や希望の欠如で構成されたもの(谷,2002)」
など定義されています。

共通するのは、未来に希望が見出せない状態を示している点です。未来に希望が見出せない状態が、精神的健康度を低下させることは研究でも明らかになっています。

・うつ症状が強くなり精神疾患にも…
ここで2つの研究を見ていきましょう。

まず一つ目は、Alloy et al., (1989) が行った、絶望したときの抑うつ症状を絶望感抑うつと呼び、その症状をまとめた研究です。

絶望したときの抑うつ症状

このような状況では、思考もネガティブになってしまいます。

次にご紹介する研究は、絶望して抑うつが強くなったときには、良い状況の時も物事を悪いほうに考えてしまうという報告です。

桜井・桜井(1992)は、大学生を対象に2つの質問紙を使用し、絶望しているときに成功場面・失敗場面でどのような原因帰属をする傾向があるかを調べたものです。結果を以下の表にまとめました。

成功場面・失敗場面での原因帰属をする傾向「内向性⇔外在性」
内在性とは、原因を自分の中に帰属のこと。外在性は、原因を外的な要因に帰属することで、まれに見る幸運などです。
「統御不可能性⇔統御可能性」
統御不可能性とは、原因を統御できないこと。統御可能性は、原因を統御できることです。

結果は、
1:成功場面の原因帰属様式と絶望感との間に、有意な負の相関が認められた

つまり、絶望感の強い人ほど成功したときの原因は、運やそのときの状況などに結びつけ、自分の努力や能力などは関係ないものとする傾向にあります。

2:絶望・抑うつ感が強い人は、失敗場面での統御不可能感に、有意な負の相関が認められた
つまり、絶望感や抑うつの強い人は、失敗場面では、状況に関わらずその原因をコントロールできないと考えていることを示しています。

この研究から絶望し抑うつが強いときには、思考もネガティブになっていることがわかります。

抑うつは必ずしも精神疾患の発生の兆候を示すものではないですが、精神状態の健康度を示す一指標であるとは考えられており(Kasl, 1973)、抑うつ状態が進行するとうつ病などにつながることも考えられます。

・絶望思考は不安を悪化させる!
もう一つ、絶望というネガティブな思考を何度も反復させることによる悪影響をご紹介します。

絶望的な思考を繰り返してしまうことに「ネガティブな反復思考」というものがあります。「ネガティブな反復思考」の特徴は次の通りです。

・否定的な側面を対象とする思考
・反復的かつ侵入的で制御困難
・心を占領すると考えられている

もし絶望的な考えが「ネガティブな反復思考」によって、いっぱいになってしまったら、どのような影響があるのでしょうか?

疋田ら, (2017)の研究では、大学生を対象としてネガティブな反復試行≒絶望がどのように抑うつや不安に影響するのかを研究し、その結果をモデル化しました。

ここでは、ネガティブな反復思考を絶望と考えます。

結果は、
「ネガティブな反復試行≒絶望は、抑うつおよび不安に対して抑うつ(.54)、不安(.41)に有意なパスが認められた」
つまりネガティブな反復試行≒絶望を行うことで抑うつおよび不安の状態が悪化することが示されたのです。

回避行動とネガティブな反復思考が抑うつと不安に及ぼす影響研究から次のことが理解できたと思います。

「絶望は抑うつと近い関係にあり、精神的健康度を低下させる可能性があること」

「絶望を繰り返し思考することで抑うつや不安を悪化させること」

つまりこころの健康はからだの健康につながっているので、絶望状態が続けば心身のバランスが崩れてしまうのでしょう。

このコラムでは、絶望がどのように心身に影響するのか?また絶望したときの対処法などを正しい知識を全5回にわたって解説していきたいと思います。

絶望の問題の3つの解決策!

それではここで、絶望から起こる問題について、具体的な解決策について考えていきましょう。絶望が強い原因と解決策は、大きく分けると3つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

①回復までの見通しを持つ!

回復までの見通しがつかない
絶望している人は、このしんどい気持ちや状況がずっと続くのではないかと未来を悲観して考えてしまいます。そしてそのこと自体がさらなる不安や恐怖につながってしまう可能性があるのです。では、この絶望した状態から回復していくには、どうしたらよいのでしょうか?

フィンクの適応理論で回復の見通しを立てる!
人はどのようにして危機的状態から回復するのかを理論化したモデルに、フィンクの適応理論があります。まずは、回復までの全体像をとらえ、自分がいまどのあたりにいるのか、今後どのように回復していくのかという全体像をとらえましょう!

そこで当コラムでは、絶望から回復する見通しを立てるためにフィンクの適応理論を練習問題を交えながらご紹介していきます。このままずっと絶望した状態が続くのではないか・・・と感じている方はコラム②をぜひ参考にしてくださいね。

②思考のバランスを取り戻す!

頭は破滅的思考でいっぱい
絶望している人の頭の中は、「もう自分はだめだ」「この先良いことなんて起こらない」など極端に思考のバランスが崩れた破滅的思考でいっぱいです。では、この破滅的思考を和らげるにはどうしたらよいのでしょうか?

認知療法で破滅的思考を和らげる
自分の極端な思考を修正する方法の1つに認知療法があります。認知療法とは、認知の偏りを振り返りバランスの良い認知に修正していく方法です。破滅的思考の認知の偏りは、確かな根拠もないのに物事を極端に悲観してしまう「結論の飛躍」の可能性があります。

そこで当コラムでは、破滅的思考を和らげるためのワークを練習問題を交えながらご紹介していきます。破滅的思考で頭がいっぱい・・・という方はコラム③をぜひ参考にしてくださいね。

③身近な人への相談も回復手段のひとつ!

自分ひとりで問題を抱え込む
絶望している人は、問題を自分ひとりで抱え込んでしまっている可能性が高いでしょう。そのようなときに自分ひとりで解決しようとしても心身共にストレスが溜まっている状態では良いアイディアは浮かんできません。これまでの報告で人の絶望した状態は2週間以上続くことはないといわれていますが、自分ひとりで抱え込むことでさらなる悪循環となる恐れも考えられます。

いろいろな人の力を借りて問題解決!
このコラムでは、身近に相談できる相手に相談して問題を解決する方法についても考えていきます。これまであまり人に相談することがなかった人は、どう相談すればよいのかわからないこともあると思います。

そこでどのように人に相談しながら問題を解決していけばいいのかを例題を用いながら考えていきます。身近な人に相談して問題を解決する方法を知りたい!という方は、コラム④をぜひ参考にしてくださいね。

絶望した状態から少しずつ回復

絶望感から引き起こされる問題の原因には「回復の見通しがつかない」「破滅的思考」「自分ひとりで問題を抱え込む」の3つが大きく関わっていることがわかりました。次回以降は、絶望感を解消していく具体的な方法について解説していきます。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

絶望感の強い人は、未来に希望が見出せない状態で抑うつ感が強まり、物事を悪い方向に考え自分を追い詰めてしまっている状態にあります。絶望している状態は、心身共にとても負担がかかっています。まずは、ゆっくり休むことが回復の第一歩です。そしてゆっくり休むためにも絶望感の解消方法に関する知識を安心材料にしていきましょう!

このコラムを読んで、無理せず自分に合った「絶望感の解消法」をぜひ見つけてくださいね。次回は、絶望感を解消する1つ目の「フィンクの適応理論で回復の見通しを立てる!」についてご紹介します。お楽しみに!

心理学講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Abramson, L. Y., Metalsky, G. I., & Alloy, L. B. (1989). Hopelessness depression: A theory-based subtype of depression. Psychological review, 96(2), 358.
Kasl, S. V. (1973). Mental health and work environment: An examination of the evidence. Journal of Occupational and Environmental Medicine, 15(6), 509-518.
大谷佳子, & 桜井茂男. (1995). 大学生における完全主義と抑うつ傾向および絶望感との関係. 心理学研究, 66(1), 41-47.
谷冬彦. (2002). 絶望感尺度の構造に関する研究. 神戸大学発達科学部研究紀要, 9(2), 17-27.
疋田一起, 山本竜也, 首藤祐介, & 坂井誠. (2017). 回避行動とネガティブな反復的思考が抑うつと不安に及ぼす影響. 中京大学心理学研究科・心理学部紀要= Chukyo University Bulletin of Psychology17(1), 47-52.