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先延ばし癖の意味とは?心理的な対策,

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先延ばし癖の原因と治し方

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「先延ばし癖を治したい」です。

先延ばし 

相談者
34歳 男性

お悩みの内容
私は現在、IT系の会社で働いています。ここ数年、先延ばしをして仕事に取り掛かれず、納期を守れないことが何回もありました。やらなくてはいけないことは分かっているのですが、どうしても先延ばししてしまいます。原因と対策を教えて欲しいです。

先延ばしをしてしまうことで、約束を守れなくなっているのですね。先延ばし癖は、心理学や精神医学の研究で様々な原因があることがわかっています。当コラムでは8つの原因と対策を解説させて頂きます。

① 計画を立てていない
② 目標を高く設定している
③ 目標を低く設定している
④ 努力の方向性を調整できない
⑤ 好奇心が不足している
⑥ 自動操縦されやすい
⑦ 衝動性がある
⑧ うつ病の可能性

ご自身にあてはまりそうな原因と対策を中心に取り組んでみてください。

先延ばしの8つの原因と治し方

①計画を立てていない

藤田(2010)は大学生161名を対象に、先延ばしをする心理について調査を行いました。その結果の一部が下図となります。

先延ばし

上図は、課題先延ばしをしやすい人ほど、プランニングをしていない傾向があることを意味しています。ここからは推測となりますが、計画を立てない人は、気分によってする・しないを決めるため、先延ばしをする機会が増えると考えられます。

対策としては、具体的なツールを使って計画をしっかり立てる習慣をつけることです。オススメなのが、「ブログを書く」「手帳を買う」「やる事リスト表を作る」「TODOアプリ」を使うなどが挙げられます。

頭の中で計画を立てるのではなく、可視化をして、いつまでになにをやるを毎日確認する習慣をつけましょう。


目標を高く設定している

先延ばし癖がある方の中には、目標を高く設定しすぎている方がいます。まずは以下の図をご覧ください。

やる気と目標

図の右側は目標が高すぎる場合の心理を表しています。目標が高すぎと、失敗する確率が高くなるので、不安を感じやすくなりやすくなります。また実際に行動をすると、挫折しやすいので、行動しようという気持ちが小さくなり、先延ばしをしやすくなってしまうのです。

対策としては「高すぎる目標を適度に低くする」「スモールステップ法」がおすすめです。例えば、今年中に副業で300万稼ぐという目標ですと、人によっては目標が大きすぎてかえって行動できないかもしれません。

この場合は「今年中に副業で36万円稼ぐ」とスモールステップを作ってみます。そしてスモールステップで「今月は3万円が目標だ。どんな副業がいいかな」とさらに目標を細かくしていきます。このように目標を手触り感のある大きさにすると、やる気が出てきます。

スモールステップをより深く知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。

行動療法コラム

 

理想と現実, 先延ばし

 

目標を低く設定している

先ほどは目標が高すぎる例を紹介しましたが、その逆で低く過ぎても、先延ばしをしやすくなります。先ほどの図をもう一度見てみましょう。

先延ばしと目標

このように、目標設定が低すぎると、作業が簡単すぎて、退屈になり、やる気が減退してしまうのです。

対策としては、「価値観を見直す」「人生を見直す」「日々の自分の感情を観察する」などを繰り返すことで、目標を再設定してうくことが大事になります。自分と向き合う時期が続くと目標が見つかり、エネルギッシュな日常を取り戻すことができます。

目標の見つけ方については以下のコラムで詳しく解説しました。是非ご一読ください。

アイデンティティを確立する方法

 

④努力の方向性を調整できない

藤田(2010)は大学生161名を対象に、先延ばしをする心理について調査を行いました。その結果の一部が下図となります。図の努力・モニタリングとは、「努力の方向性が正しいか」「努力を調整できているか」を意味します。

先延ばし

上図のように、課題先延ばしを「しやすい」ほど、努力・モニタリングが「不足している」という結果が出ています。ここからは推測となりますが、先延ばしをしやすい方は、自分の努力の方向性を深く考えないために、場当たり的に行動し、その結果成果が出なくなっていくため、やる気を失い、先延ばし傾向が高まると言えます。

対策としては、計画を実行した後に「今日の努力によって成果は出たか?」「成果が出た原因はなにか?」「苦手意識を感じた原因は何か」「どうすればやる気が出るか」など、自分の努力の方向性を軌道修正したり、調整していくことが大事になります。

客観的に自分を分析する力を高めるには、メタ認知のトレーニングをおすすめします。メタ認知とは、自分の感情や行動の深い部分を探る力を意味します。努力プランニングの基礎力を高めることができるので、以下のコラムも参照ください。

メタ認知力をつける方法

 

⑤好奇心が不足している

藤田ら(2006)は大学生142名を対象に、先延ばしをする心理について調査を行いました。その結果の一部が下図となります。右の「興味の低さによる他事優先」とは、課題への好奇心が低く、他のことを優先してしまうことを意味します。

先延ばし図を見ると、課題先延ばしをしやすい人は、興味が低く他のことを優先しやすいことがわかります。言い換えると先延ばしの裏側には興味のなさ、好奇心のなさが原因として考えられるのです。

好奇心を刺激する方法としては、様々な方法がありますが、1つのやり方として「目の前の課題」と「自分の好奇心」を結びつけるといいでしょう。例えば、「英単語10個を覚える→カッコイイ外国人のようになりたい」といった感じです。

好奇心を持つ方法をより深く知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。

好奇心コラム

 

⑥ 自動操縦されやすい

先延ばし傾向がある方は、感情の赴くままに行動している可能性があります。こうした、自動的に表れる思考や感情に流されてしまう状態を心理学では「自動操縦状態」と呼ぶことがあります(Teasdale,2002)。自動操縦状態になると、

・やりたくないことはやらない
・ゲームしたくなったらゲームする
・眠くなったら寝る

といった具合に、手近な誘惑に流されて、やるべきタスクを後回しにしてしまいます。

治し方としては、マインドフルネスを育むことが大切です。マインドフルネスとは、”今この瞬間の体験を受け入れ、あるがままに観察する”ことを意味します思考や感情を一歩引いた視点で眺めることで、誘惑に流されにくくなるのです。

実際に龍ら(2016)は、大学生246名を対象、マインドフルネスと先延ばしの関係について研究を行っています。その結果の一部が以下の図です。

マインドフルネスと先延ばし

右の「学業的遅延行動」とは、”勉強など先延ばしてしまう”ことを意味しています。

図のようにマインドフルネスが「高い」と、学業的遅延行動が「しにくくなる」ことがわかります。つまり、マインドフルネスを行うことで先延ばしが改善すると言えそうです。

マインドフルネスの理論や実践方法などを深く知りたい方は以下のコラムをご覧ください。

マインドフルネスコラムへ

マインドフルネス,先延ばし,MiMi様作成

⑦ 衝動性が高い可能性

先延ばし傾向が強い方は、衝動性が高いことがわかっています。藤田ら(2005)は、先延ばし傾向と失敗行動の関係について調査を行いました。大学生175名を対象に質問紙を用いて、調査を行いました。その結果が以下の図です。

先延ばし-ADHD

このように、課題先延ばしが「高い」ほど、衝動性が「高い」ことがわかります。衝動性が高い方は、目の前の興味がコロコロが変わってしまいまい。やるべきことを忘れてしまいます。

対策としては、感情のコントロール法を学び、冷静に物事を進める力をつけることをおすすめします。感情のコントロール法は複数ありますが、「考え方を現実的にする練習」「冷静になる呼吸法」「自分を客観視する訓練」などがおすすめです。詳しくは以下のコラムを参照ください。

衝動性を抑える,感情コントロール法

補足として、衝動性が顕著になると、ADHDと診断されることがあります。ADHDとは、発達障害の1種で”じっとしていられない””衝動的に行動する””不注意”などの傾向があります。理解を深めたい方は以下のコラムを参照ください。

ADHDの理解と衝動性

 

⑧うつ病の可能性

先延ばし癖がひどく、日常生活に支障をきたしている場合は、うつ病の可能性も考えられます。うつ病には以下のような症状が挙げられます。

・やる気が起きない
・無気力状態
・人生に意味を感じられない

このように日々の生活にやる気が起きず、やるべきことを先延ばしにしてしまいます。

抑うつ気分を改善するには、「心理療法」「良好な人間関係」「規則正しい生活」などが挙げられます。より深く知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。

うつ病とは何か,症状,対策

 

まとめ

心理学の研究では、先延ばしをして、課題を後回しにすると、後悔しやすいことが分かってます。当コラムで紹介した原因と対策を参考に、皆さんがやるべきことにしっかり取り組み、充実した日々を過ごされることを心から願っています。

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

出典・参考文献
・藤田 正(2010)メタ認知的方略と学習課題先延ばし行動の関係 教育実践総合センター研究紀要 19巻  81-86頁 奈良教育大学学術リポジトリNEAR
・藤田 正,岸田 麻里 (2006)大学生における先延ばし行動とその原因について 教育実践総合センター研究紀要 15巻 71-76頁 奈良教育大学学術リポジトリNEAR
・龍 祐吉,小川内 哲生,浜崎 隆司(2016)セルフ・コンパッションと学業的延引行動との関係 : 自己効力感と自律的動機づけを媒介要因として 応用教育心理学研究 33(1), 3-14, 2016-10 日本応用教育心理学会
・藤田 正(2005)先延ばし行動と失敗行動の関連について 教育実践総合センター研究紀要 14巻  43-46頁  奈良教育大学学術リポジトリNEAR

・Teasdale, J. D., Moore, R. G., Hayhurst, H., Pope, M.,Williams, S., & Segal, Z. V. (2002). Metacognitive awareness and prevention of relapse in depression: Empirical evidence. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 70, 275–287.