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落ち込む時期の過ごし方‐対処法、落ち込む原因や予防法を解説

落ち込む


落ち込むときの対処法、落ち込みの原因や予防法-心理の専門家が解説①

「落ち込む」について専門家が解説! 

みなさんこんにちは、はじめまして臨床心理士の加賀です。私は、これまで臨床心理士として精神科・心療内科クリニックでカウンセリングを行ってきました。その経験や心理学の知識の中から皆さまのお役に立てられるような情報をお伝えしていきたいと思います。 

当コラムでは「落ち込む」という気持ちについて詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。気分が落ち込む原因・対処法を専門家が解説

落ち込む時間の長期化に注意

誰でも仕事や恋愛、人間関係で悪循環に陥り、ズーンと落ち込んでしまうことがあるでしょう。そんな時は

・ネガティブ思考が止まらなくなる
・行動する気が起きない
・人間関係がうまくいかない

など、七転八倒してしまうものです。私も今までたくさんありました(^^; 人生は長いものです。その過程の中で落ち込むことは避けては通れない体験と言ってもいいかもしれません。

その意味で落ち込むこと、それ自体は短期的であれば問題ないと言い切っていいと思います。落ち込むことは人生を味わい尽くす上でとても自然な感情なのです。

しかし・・・もし長期的に落ち込んでいる場合は注意が必要です。落ち込む時間は自然に対処すればある程度の期間で改善していくものですが、対処を誤り長期化すると

・抑うつが強くなる
・気分障害につながる。
・対人関係に不安が強くなる

など発展していくこともあります。特に落ち込んでいる時に、ネガティブ思考をぐるぐる巡らせている状態が続くと社交不安や抑うつを強めることになるので注意が必要です(城月, 笹川, & 野村,2007; 長谷川, 金築& 根建,2009)。

落ち込むと外出意欲の低下?

Philip ら(2017)が発表したアメリカの研究では、大学を卒業した86人を対象に、
「ネガティブな感情」と「家にいる時間」
の関連を調査しました。その結果、ネガティブな感情が強い人は家で過ごす時間は長く不安が大きいことがわかりました。すなわち

ネガティブ感情が強い状況が続く
→1人で過ごす時間が増える
→不安が高まる
→外出する意欲が低下する

という悪循環があると言えます。外出する意欲が低下するとさらにひとりで過ごす時間が増え、ネガティブ思考が強まる恐れがあるので悩みが大きくなる悪循環に陥るかもしれません。

皆さんはいかがでしょうか?悩みを一人で抱え混んでいませんか?特に孤独感の研究などでも1人ぼっちになると希望を失いやすく将来への希望を持てないことが分かっています。その分落ち込む時間が増えると推測されるので注意が必要です。気分が落ち込む原因に家にいる時間の長さも影響している

「落ち込む」は季節や周期が関係する

落ち込むに近い概念として「抑鬱」という言葉を使うことがあります。何かショックなときに落ち込むというのは自然な反応ですが、落ち込む季節や周期があることに思い当たる点はありませんか?これまでの研究から、抑鬱には季節や周期に関連があることが報告されています。

例えば福岡(2003)では、国内外の研究論文を検討し、また、具体的な調査事例として国内の自殺、交通事故、犯罪、それぞれの発生件数と各種の起床要素との関係について調査されました。

その結果
・自殺件数と不照日数とは関連がある
・自殺は社会的環境や行事などの季節性とも関係がある

ということがわかりました。すなわち、日光などの生理的な問題と、社会的にストレスがかかりやすい時期(繁忙期や入社時期)に落ち込むという気持ちが起こりやすいと言えるでしょう。

気分の落ち込みは季節や周期の影響を受ける

また、押谷, 山田, & 高橋 (1994)では、うつなどの精神疾患を持つ87名の患者さんに対して、うつ病と周期性についての研究を報告しています。その結果、

・躁病は12カ月後に再発した。
・うつ病は12、24カ月前後に再発しやすい

ということがわかりました。 以上の結果から、周期性に関しては統計学的に一定の周期性があることが確認されたということです。

このように落ち込む気持ちと季節に関係については諸説ありますが、個人ごとに一定の法則があることはわかっています。自分自身、調子の悪い時期や周期などを確認しておくと対処がしやすいので、定期的に自分のメンタルヘルスをチェックしておくことをお勧めします。

気分の落ち込む原因は季節や周期も影響している

 

落ち込むときの対処法セルフチェック 

落ち込むときの対処法セルフチェックをご用意しましたのでぜひトライしてみてください。落ちこむときの対処法に関する問題の中から、あなたの普段の性格や行動を表しているかをお答えください。以下の項目の中から最も当てはまるものを一つ選んで項目の得点を合計してくださいね。落ち込むときの対処法をセルフ診断・チェック

セルフチェックの傾向と対策 

0-14点
落ち込むときの対処「問題は低め傾向」
落ち込むときの解決法の問題が低めの傾向にあります。時には落ち込むこともあると思いますが、自分でできる対処法を試みる、人に相談するなどうまく対処している様子がうかがえます。これからも日常生活の中でセルフケアを積極的に増やしていくことがおすすめです。

15-29点
落ち込むときの対処「問題は中程度」
落ち込むときの解決法の問題は中程度であることが考えられます。あなたの持っている解決方法が他者を頼るものばかり、自分ひとりで行うものばかりだとときに行き詰まりを感じることもあるかもしれません。バランスの良い解決方法のレパートリーを持っておくことがおすすめです。

30点以上
落ち込むときの対処「問題は強い傾向」
30点以上の人は、落ち込むときの解決法の問題が強い傾向にあります。落ち込んだ時に自分一人で問題を抱え込みやすい、いったん落ち込むととことんネガティブになってしまう傾向が見受けられます。日常生活の中で落ち込むことは自然なことですが、あまり自分をしんどくさせすぎないような思考や行動を選んでみましょう。 

 

気持ちが落ち込む時の原因・対処法

セルフチェックの結果はいかがでしたでしょうか。あまりいい結果が出なくても、現状を知ることが大切です。そこで本コラムでは、落ち込むときに解決できない原因と対処法を提案させて頂きます。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

①フィンクの危機理論

落ち込む気持ちを無視はNG 
落ち込む感情は誰でも嫌なものです。進んで落ち込む人などいないでしょう。しかし、1つ抑えておくべきことがあります。それは落ち込むという感情を無視すると問題に発展するということです。確かに自分にとって落ち込む状況は、大変なことです。しかし、落ち込むということも人生には必要なことなのです。

例えば、異性に振られて失恋したとします。この時、本当は落ち込んでいるのに、カラ元気を装い、だれかれ構わず再び出会いに行ってしまうような場合は注意が必要です。落ち込むべき時に落ち込まないと、その問題は不安定な心理状態やコミュニケーションのあり方につながってしまうのです。

4つのプロセスで心の回復 
心理的な危機を乗り越えるプロセスを理論的に説明しているモデルに「フィンクの危機モデル」があります。フィンクの危機理論とは、危機の過程と、各過程で援助者がするべきことを示したもので「1:衝撃・2:防御的退行・3:承認・4:適応」の4段階から構成されます。

コラムでは、この理論をベースにしたワークをご紹介します。このワークを行うことで、健康的に落ち込むヒントが見つかるでしょう。健康的に落ち込むって表現はむちゃくちゃですね。。。フィンクの危機モデルを勉強してみたい方は、コラム②を参考にしてみてくださいね。

②リフレーミングでポジティブ思考へ

ネガティブな自動思考
落ち込むことが多い、落ち込むとなかなか回復できないという方は、思考傾向がネガティブなことが多いと言われています。どんな状況でもまず、物事のネガティブな面に注目してしまうという方は要注意です。人が落ち込むときの「思考・感情・行動」は、相互作用した状況で次の図のようにあります。落ち込む時の思考・感情・行動の関係

例えば、
上司に怒られた時に落ち込むと

思考
→自分はだめだ!
 能力がない!

感情
→悲しい
 情けない

行動
→逃げ腰な行動
 挑戦しなくなる

などの思考や行動に繋がります。このような状況では、物事を必要以上にネガティブに捉え、それが行動につながり、自分の思うような結果につながらないかもしれません。

ポジティブ思考に修正しよう
本コラムでは、思考の部分のプラスの感受性を強化する「リフレーミング」をご紹介します。リフレーミングとは、物事の枠組みを捉えなおす方法です。ネガティブ思考が出てきたらその思考をポジティブな枠組みから捉えなおしてみましょう!新たな手立てや発見が得られるかもしれません。ネガティブな思考をリフレーミングしてみたい方は、コラム③を確認してみてくださいね。

③ソーシャルサポートで問題解決

問題をひとりで抱えがち  
いったん落ち込むとなかなか回復できないという方は問題を一人で抱え込む傾向にあると言われています。問題を一人で抱え込んでしまうと、余裕がなくなり、物事を多角的な面から見ることが難しくなります。問題をひとりで抱え込み負担に感じてしまうことが多い人は要注意です。

問題を多角的な面から解決しよう
世の中にはたくさんのソーシャルサポートが存在します。ソーシャルサポートとは、社会的関係の中でやりとりされる支援のことをいいます。そこで本コラムでは、問題を一人で抱え込むのではなく、さまざまなソーシャルサポートを使って問題を解決する方法をご紹介します。

ひとりで問題を抱えた場合、専門家のスキルを利用して問題を解決した場合の解決方法を比較してみてください。ソーシャルサポートを使って問題を解決することで多角的な視点からの解決方法が得られるでしょう!ソーシャルサポートの具体例や方法を知りたい方はコラム④を参考にしてみてくださいね。

気分が落ち込むときは3つの方法で対処

気分が落ち込む原因は、「落ち込む感情を無視する」「認知の偏り」「問題をひとりで抱え込む」ことが原因となることが多いようです。次回以降は、落ち込むときの対処法ついて考えていきます。

人は落ち込むことが多くなると、抑うつなどの感情障害や社交不安障害などの2次障害につながることがわかっています。生活の中で落ち込むことをなくすのは難しいことですが、新たな対処法を見つけること、対処法を変える事は可能です。

まずは自分の現状を知り、問題を振り返ること、対処方法を考えることでこれまでとは違う変化が見えてくるでしょう!

次回の落ち込むコラムは1つ目の解決策として「フィンクの危機理論」を学びます。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★落ち込む季節や周期が関係する!悩みが続くと新たな問題につながる! 
心理学講座

*出典・参考文献
押谷葉子, 山田尚登, & 高橋三郎. (1994). 感情障害エピソード反復の周期性と季節性. 精神医学, 36(11), 1197-1202.
樫村正美, & 岩満優美. (2007). 感情抑制傾向尺度の作成の試み. 健康心理学研究, 20(2), 30-41.
城月健太郎, 笹川智子, & 野村忍. (2007). ネガティブな反すうが社会不安傾向に与える影響. 健康心理学研究, 20(1), 42-48.
長谷川晃, 金築優, & 根建金男. (2009). 抑うつ的反すうに関するポジティブな信念の確信度と抑うつ的反すう傾向との関連性. パーソナリティ研究, 18(1), 21-34.



適切な方法で対処していきましょう