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気分が落ち込む時の対処法,過ごし方

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気分が落ち込む時の対処法,過ごし方

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「気分が落ち込む時の対処法」についてご相談を頂きました。

相談者
36歳 女性

お悩みの内容
私は現在、経理職として働いています。昔から明るい性格ではなく、ネガティブなところがあります。理由があるときはもちろん、何気ない日々でも、落ち込むこともあります。

ここ数年、不眠気味で体が重い感じがあります。どうすればいいでしょうか。

日常的に気分が落ち込んでいるのはとても心の負担になりますね。当コラムでしっかり対策を立てていきましょう。具体的には

①自己治癒力が基本
②無理に元気にならなくてOK
③周りに助けを求める
④リフレーミング
⑤思考停止法を試す
⑥体のメンテナンスも大事に
⑦認知行動療法
⑧精神疾患に注意する

の8つの手法を紹介させて頂きます。まずはざっと読んでみて、興味がある項目がありましたら、リンクをクリックしてみてください。

①自己治癒力が基本

人生に試練はつきもの

人生はいつも楽しいことが起こるわけではありません。

・仕事で失敗する
・失恋する
・死別や離婚
・体の病気になる

など、様々な試練が降りかかってきます。そんな時は

・ネガティブな気持ちで一杯になる
・行動する気が起きない
・人と会いたくない

など、気分が落ち込むものです。私も今までたくさんありました。。。七転び八起きということわざがありますが、起きる間もなく挫折が続き、もう勘弁してくれ…という気持ちになることもあるでしょう。

フィンクの回復の4段階

理由がある程度明確な場合は、短期的であれば落ち込むのは自然なことと言って良いでしょう。気分が落ち込む時期があるからこそ、人は自分と向き合い、人生の深さを知り、一度しかない人生を味わい尽くすことができるのです。

気分の落ち込みは、人間を成長させてくれる感情なのです。心理学者のフィンク (Fink, S.L.)(1967)[1]は、心の整理には4つの段階があると主張しています。

気分が落ち込む

①衝撃期

大切なものをなくした時、チャレンジに失敗したとき、失恋したとき、私たちの心は落ち込んだ気持ちになります。この時期を衝撃期とよびます。

②防衛的退行

衝撃期のあと、私たちは現実が受け入れられず、心理的に葛藤します。考え方を変えたり、ああでもないこうでもない、と試行錯誤していきます。

③承認期

自分の心と向き合い、少しずつ落ち込む出来事と折り合いがついていきます。何が起きたのか、何が原因だったのか、だんだんと整理ができてきます。

④適応期

少しずつ穏やかさを取り戻し、好きなことや新しいことを始めるなど、自分にとってプラスになることを取り入れられるようになっていきます。悲しい出来事を前向きに解釈して、生きる糧にしていきます。

 

自然に身を任せる

落ち込む時期は、無理に明るくなろうと思っても、なかなかうまくいかないものです。時間の流れに任せて、じっくり自分と向き合えば、自然と心は落ち着いてくるものです。

無理に明るく振る舞う必要はなく、落ち込むときは素直に落ち込むことも大事にしてください。

気分が落ち込む 仕事

②無理に元気にならなくてOK

抑圧とは何か

辛い出来事があり、受け止められないことがあったとき、人は気分が落ち込む状態をいったん保留することがあります。特に

①衝撃期
②防衛的退行の際に

「抑圧」

という心の防衛規制 (defence mechanism) が働くことがあります。防衛機制は,フロイトが提唱しましたが,抑圧だけではなく,合理化,同一視,投影,反動形成,逃避,代償,退行,昇華があります。

この中で,人間は,抑圧を最も頻繁に用いると言われていますが,抑圧とは、本来なら落ち込むべきことを心の奥底にいったんしまうイメージです。

 

自然な回復が基本

しかし、人間の心の防衛機制には限界があります。

気分が落ち込むのを抑えるには、とてもエネルギーがいるのです。落ち込むべき時に落ち込まず、空元気で強引に心の底に抑圧すると、心の問題が体に表れてしまうことがあります。

例えば、胃潰瘍になってしまったり、月経不順が起こるのですが、心身症という病気になることもあります。ちゃんと理由があればちゃんと落ち込むことも、自然な流れとして大事なのです。

防衛機制について理解を深めたい方は以下のコラムを参照ください。

防衛機制の意味とは

落ち込む気持ちを相談

 

③周りに助けを求める

落ち込む時期は、誰にも会いたくなくなるものです。一人の時間を大事にすることも必要です。

しかし一方で、孤独な時間が長期化しないようにも注意しましょう。問題を一人で抱え込んでしまうと、悩みが心の中にたまってしまい、精神的に疲れてしまいます。

心理学の世界では、受け止めてくれる人に悩みをしっかりと語ると、心が整理され安定することがわかっています。これはカタルシスと呼ばれる現象です。私たちは日々助け合って生きています。甘える時は甘えて良いのです。

もし、悩みを相談する場所がない…と感じたら、以下のコラム参考にしてみてください。助けを求めるヒントになると思います。

ソーシャルサポートの必要性

 

④リフレーミング力をつける

①から③のように、落ち込んだ時期は、最初は無理にもがくことなく、ゆったりと構えながら心が整理されていくのを大事にします。そうすると、落ち込む気持ちがある程度整理されてきます。

心が整理されてきたら、今まで起きてきた出来事を、前向きにリフレーミングをしていくことが大事です。リフレーミングとは、「出来事を別の視点で捉え直すこと」です。

例えば、友人を強い口調で責めすぎて喧嘩別れしてしまったとしたら、「この別れを繰返さないためにも、次はもうすこし穏やかに話し合うようにしよう」という形で前向きに意味付けをしていきます。

リフレーミングについては以下のコラムで解説しています。過去の出来事を前向きに捉えなおしたいと感じる方は参考にしてみてください。

リフレーミング力をつける

リフレーミング力

思考停止法を試す

落ち込む気分は、短期的になら自然に身を任せてOkです。一方で、長期化している場合は、思考停止法という手法を試してみるのも1つの手です。思考停止法は、適度なところで意図的にネガティブな考えをストップさせる手法です。

1つの例としては「落ち込むのはあと5分!」と宣言してしまいます。そして、実際に5分経ったら気持ちを切り替え、仕事や趣味の時間にあてます。

詳しいやり方は以下のコラムで解説しました。落ち込むような考えを何度もしてしまう・・・という方は参考にしてみてください。

思考停止法

 

神谷・幸田(2016)[2]は、「ネガティブ思考」による心理的な影響について研究しました。下図は論文を一部改変して作成した図です。少し眺めてみてください。

過去現在否定と自己否定が、ネガティブな反すう思考や将来否定を強めているいることが考えられます。結果的に抑うつ気分を増幅させていることがわかります。「反すう」とは,ネガティブなエピソード(イベント)を繰り返し思い返しては,落ち込むということを繰り返すことです。牛などが一度飲み込んだものを胃から口に戻して,再び噛んでからまた飲み込みという「反芻」から来ています。

このような悪循環を断ち切るためには、思考停止法も有効です。

 

⑥体のメンテナンスも大事に

体と心はつながっています。運動不足になる、食事が偏る、睡眠が乱れる、疲れがたまると、心もまた落ち込みやすくなります。体の健康は心の健康につながり、落ち込む気持ちの防波堤になります。

例えば、1日15分でも、公園を散歩すれば気分はいくばくか晴れやかになるものです。ゆったりとしたエクササイズも良いでしょう。たまには自分にご褒美で、甘くておいしい桃でも食べましょう。思い切って羽毛布団を買うのもいいかもしれません。

以下のコラムでは、身体のストレスに焦点をあてた改善法を紹介しています。最近、身体も疲れているな…と感じる方は以下のコラムを参考にしてみてください。

ストレス発散,体と心のメンテナンス

気分が落ち込む,食事で改善

⑦認知行動療法を学ぶ

認知行動療法とは

ここまでは、気分が落ち込む場合の様々な手法をお伝えしました。そのうえで、体系的にしっかり心理療法を学び、心の強さのベースアップを測りたい方は、認知行動療法がおすすめです。

認知行動療法は、考え方をしっかりと整理し、落ち込みやすい考え方を柔軟にほぐしていく手法です。世界的に使われている手法で、最近では保険適応もされている、とても実証性の高い心理療法です。

思考の歪みを修正する

例えば、認知療法では「思考の歪み」を改善していきます。思考の歪みには代表的なものとしては10種類あります。その1つに「過度の悲観」と言われるものがあります。過度の悲観とは、実際にはほとんど起こらないような確率の物にすごく悩んでしまう「考え方の癖」を意味します。

認知療法では、このような思考の歪みを改善する練習をしていきます。この機会に代表的な心理療法を学習し、メンタルヘルスの土台を固めたい方は以下のコラムもぜひ参考にしてみてください。

認知行動療法の基礎

 

⑧精神疾患の知識をつけよう

気分が落ち込む、消えてなくなりたい、不眠が続いている、無気力になっている、などの症状が続く場合は、精神疾患の可能性もあります。念のため以下の2つは抑えておきましょう。

適応障害

適応障害は、はっきりとしたストレス要因がある場合に起こる精神疾患です。ストレスの強い環境に居続けることで、気分の落ち込み、不安感、不眠などの症状が出現します。また、仕事や学校に通うことが困難になり、引きこもりがちになる方もいます。

・落ち込む理由がはっきりしている
・気分の落ち込みが深刻である

という方は下記のコラムを参照ください。

適応障害の基礎と対策

 

うつ病の危険性

先程紹介した適応障害は、理由がはっきりしている場合に診断されます。一方で、理由がはっきりしていない場合はうつ病と診断されることもあります。

うつ病とは、眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、食欲不振、無気力、といった症状が出現する精神疾患です。

適応障害は理由がはっきりしている分、対処もしやすいのですが、うつ病は理由がはっきりしないこともあり、長期化したり、重症化しやすいという特徴があります。

・落ち込む理由がはっきりしない
・気分の落ち込みが深刻である

という方は以下のコラムを参照ください。

うつ病の基礎知識と対策

 

症状が重たい方へ

落ち込みが強い場合、医療機関の受診を検討しましょう。特に「消えてなくなりたい」という感覚がある方は、緊急性が高いです。心療内科か精神科の受診を視野に入れてください。

気分が落ち込む 仕事

心理学講座のお知らせ

気分の落ち込みやすさを公認心理師の元でしっかり改善したい場合は、私たちが開催している心理学講座をオススメしています。講座では

・前向きな考え方を追加する方法
・認知行動療法
・リフレーミング練習

など行っていきます。興味がある方は下記のお知らせをクリックして頂けると幸いです。たくさんの仲間で支え合いながらワークを行っています。是非お待ちしています。

    ↓詳細はこちらをクリック↓
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助け合い掲示板

2件のコメント

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    • 美穂
    • 2019年10月22日 8:35 PM

    拝見して、ほんの少し気分が晴れました。
    今は44歳ですが、若い頃から自分に自信がなく、ネガティブ思考で、落ち込むと中々立ち直れず、一人ベッドで号泣し、どうせ私なんか。私はダメだなぁ。
    等と考えてしまい、今もまさにそんな心理状況でした。
    川島さんのコラムは対処法を検索していて見つけましたが、出会えて良かったです。
    他のコラムやブログ等も読ませていただきます。
    今回は読ませていただけて、感謝しています。ありがとうございました。

    返信する
    • べり
    • 2019年3月13日 8:59 PM

    気分の落ち込みと日照時間との関係は実感しています。
    冬は特に落ち込みやすいし、浮上しにくいです。

    今年の冬も同様でした。抑鬱の改善を考える余裕はないです。
    それでも改善を目指すべきなんでしょうか?
    これって一般的でない質問ですかね(苦笑)

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] Fink, S.L. (1967). Crisis and motivation: A theoretical model. Archives of Physical Medcine & Rehabilitation, 48,592-597
 
[2] 神谷 慶・幸田 るみ子 (2016). 大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連 ストレス科学研究, 31, 41-48.