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気分が落ち込む時の対処法,過ごし方

気分が落ち込む時の対処法,過ごし方

皆さんこんにちは。
公認心理師、精神保健福祉士の川島達史です。

今回のお悩み相談は
「気分が落ち込む…対処法を知りたい…」
です。

相談者
30歳 女性
独身 経理職

お悩みの内容
私は現在、経理職として働いています。昔から明るい性格ではなく、ネガティブなところがあります。理由があるときはもちろん、何気ない日々で落ち込むこともあります。

ここ数年、不眠気味で体が重い感じがあります。どうすればいいでしょうか。

日常的に気分が落ち込んでいるのはとても心に負担になりますね。少し気になるのが、
 理由がある
 理由がない
にも関わらず落ち込んでいらっしゃるという点です。心理学的には理由が明確かで対応が変わってきます。当コラムでしっかり対策を立てていきましょう。

落ち込む理由が明確な場合

人生に試練はつきもの

まず初めに理由が明確な場合について考えていきましょう。

私たちは人生いつも楽しいことが起こるわけではありません。
・仕事で失敗する
・失恋する
・死別や離婚
・体の病気になる

様々な試練が降りかかってきます。そんな時は

・ネガティブ思考が止まらない
・行動する気が起きない
・人と会いたくない

など、気分が落ち込むものです。私も今までたくさんありました。。。七転び八起ということわざがありますが、起きる間もなく挫折が続き、もう勘弁してくれ…という気持ちになることもあるでしょう。

気分が落ち込む 仕事

フィンクの回復の4段階

ただ理由がある程度明確な場合は、短期的であれば問題ないと言って良いでしょう。

気分が落ち込む時期があるからこそ、人は自分と向き合い、人生の深さを知り、一度しかない人生を味わい尽くすことができるのです。

気分が落ち込むことは人間を成長させてくれる、とても自然な感情なのです。

 

心理学者のフィンクは心の整理には4つの段階があると主張しています。

気分が落ち込む

①衝撃期

大切なものをなくした時、チャレンジに失敗したとき、失恋したとき、私たちの心は落ち込んだ気持ちになります。この時期を衝撃期とよびます。

②防衛的退行

衝撃期のあと、私たちは現実が受け入れられず、心理的に葛藤します。考え方を変えたり、ああでもない、こうでもない、と試行錯誤していきます。

③承認期

自分の心と向き合い、少しずつ落ち込む出来事と折り合いがついていきます。何が起きたのか、何が原因だったのか、だんだんと整理ができてきます。

④適応期

少しずつ穏やかさを取り戻し、好きなことや新しいことを始めるなど、自分にとってプラスになることを取り入れるようになっていきます。悲しい出来事を前向きに解釈して生きる糧にしていきます。

抑圧とは何か

辛い出来事があり受け止められないことがあったとき、人は気分が落ち込む状態をいったん保留することがあります。特に

①衝撃期
②防衛的退行の際に

「抑圧」

という心の防衛機制が働くことがあります。抑圧とは、本来なら落ち込むべきことを心の奥底にいったんしまうイメージです。

自然な回復が基本

しかし、人間の心の防衛機制には限界があります。

気分が落ち込むのを抑えるには、とてもエネルギーがいるのです。落ち込むべき時に落ち込まず、空元気で強引に心の底に抑圧すると、心の問題が体に表れてしまうことがあります。

例えば、胃潰瘍になってしまったり、月経不順が起こるのですが、心身症という病気になることもあります。

この意味でちゃんと理由があれば、自然な流れとして落ち込むことが大事なのです。

落ち込む気持ちを相談

適応障害を抑えよう

一方で理由が明確な場合でも、

・消えてなくなりたい
・自殺願望が出てきた
・まったく無気力になっている

これらの感情がある場合は注意が必要です。特に多いのは適応障害と言われる精神疾患です。かなり強く落ち込んでいると感じる方は、以下に折りたたんだ適応障害の知識を抑えておきましょう。

 

落ち込む理由がない場合

気分が落ち込む時間は自然に対処すればある程度の期間で改善していくものです。
一方で、
・心の整理が長期間できない
・理由もなく落ち込むことを繰返す
・落ち込んだり楽しくなったりを繰返す
こともあります。

うつ病の危険性

先程紹介した適応障害は理由がはっきりしている場合に診断されます。一方で理由がはっきりしていない場合はうつ病と診断されることもあります。

うつ病とは眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった症状が出る精神疾患です。

適応障害は理由がはっきりしている分、対処もしやすいのですが、うつ病は理由がはっきりしないこともあり、長期化したり、重症化しやすいという特徴があります。

自殺リスク

特に、強く抑うつ感がある、喜びや興味が喪失している、とにかく疲れやすいと感じる方は要注意です。警察庁の平成29年の自殺統計によれば、うつ病による自殺がもっとも多いことがわかっています。

気分が落ち込む 上げる

上図は、健康問題での自殺の原因を調べたものです。身体の病気や統合失調よりもうつ病の方が多い傾向にあることがハッキリと出ています。

診断,チェック

緊急度を測れるように簡易診断を作成しました。ご自身の状態を把握したい方は参考にしてみてください。

症状が重たい方へ

落ち込みが強い、医療機関の利用を検討しましょう。特に消えてなくなりたい感覚がある方は、緊急性が高いです。心療内科か精神科の受診を視野に入れてください。

気分が落ち込む 仕事

気分が落ち込む‐6つの対処

ここまで、気分が落ち込む状態について理解を深めてきました。ここからは改善策をお伝えします。具体的には

①自己治癒力が基本
②周りに助けを求める
③ネガティブ反すう,思考停止法
④リフレーミング
⑤認知行動療法
⑥体のメンテナンスも大事に

の6つの手法を紹介させて頂きます。まずはざっと6つ読んでみて、興味がある項目がありましたら、リンクをクリックしてみてください。なお当コラムの改善策は、医療機関にいかないレベルの方向けの対処法となります。

 

①自己治癒力を基本とする

フィンクの危機理論をおさらいしましょう。人間は苦しい時期を
1衝撃
2防御的退行
3承認
4適応
の4段階で乗り越えていきます。落ち込む時期は、無理に明るく勤めようと思っても、なかなかうまくいかないものです。時間の流れに任せて、じっくり自分と向き合えば、自然と心は落ち着いてくるものです。

無理に明るく勤める必要はなく、落ち込むときは素直に落ち込むことも大事にしてください。

②周りに助けを求める

落ち込む時期は誰にも会いたくないものです。一人の時間を大事にすることも必要です。

一方で、孤独な時間が長期化しないようにも注意しましょう。問題を一人で抱え込んでしまうと、視野が狭くなって様々な角度から見ることが難しくなります。

世の中には多くのソーシャルサポートが存在します。ソーシャルサポートとは、社会的な関係の中でやりとりされる支援のことを意味します。

周りの助けを得られる環境ではない…という方は以下のコラム参考にしてみてください。

ソーシャルサポートの必要性

ネガティブ反すう,思考停止法

落ち込む時期は、いきすぎた自己否定や、過去や現在をネガティブに捉えやすい時期です。必要以上に否定的になっている方は注意が必要です。

神谷・幸田(2016)は、「ネガティブ思考」による心理的な影響について研究しました。下図は論文を一部改変して作成した図です。少し眺めてみてください。

過去現在否定的と自己否定が、ネガティブな反すう、思考や将来否定を強めているいることが考えられます。結果的に抑うつ気分を増幅させていることがわかります。

落ち込む時期が長くなっている方は、思考停止法が有効です。思考停止法は、適度なところで意図的にネガティブな考えをストップさせる手法です。

特にネガティブな考えが長時間続く方は下記のコラムを参考にしてみてください。

思考停止法

 

④リフレーミング

落ち込む気持ちがある程度整理されてきた時期は、今まで起きてきた出来事を前向きに意味付けしていくことが大事です。

前向きに意味付けする力を高めるには、リフレーミングの練習が有効です。前向きに考える引き出しを増やしたい方は以下のコラムを参照ください。

リフレーミング力をつける

 

⑤認知行動療法を学ぶ

上記の4つの提案は比較的短期間でできるものです。最後に紹介するのは認知行動療法という心理療法です。こちらは考え方をしっかりと整理し、落ち込みやすい考え方を柔軟にほぐしていく本格的な手法となります。

この機会に代表的な心理療法を学習し、メンタルヘルスの土台を固めたい方は以下のコラムもぜひ参考にしてみてください。

認知行動療法の基礎

⑥体のメンテナンスも大事に

落ち込む時期は内面に向かいがちです。ただ体と心はつながっています。運動不足になり、体がなまってくると心もまた落ち込みやすくなります。

適度な運動やエクササイズは大事にしておきましょう。心理学と絡めた体のメンテナンスに興味がある方は以下のコラムを参考にしてみてください。

ストレス発散,体と心のメンテナンス

お知らせ

最後にお知らせがあります。私たち公認心理師・精神保健福祉士は、心理面の改善や、対人不安、緊張の軽減を目指し、心理学講座を開催しています。

独学に限界を感じた方、心理学を体系的に勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。

執筆者も講師をしています(^^)
 ・落ち込む気持ちの軽減
 ・ネガティブな気持ちとの向き合い方
 ・心理療法の基礎学習

初学者向け心理学教講座

皆さんのご来場をぜひお待ちしています。

 

 

助け合い掲示板

2件のコメント

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    • 美穂
    • 2019年10月22日 8:35 PM

    拝見して、ほんの少し気分が晴れました。
    今は44歳ですが、若い頃から自分に自信がなく、ネガティブ思考で、落ち込むと中々立ち直れず、一人ベッドで号泣し、どうせ私なんか。私はダメだなぁ。
    等と考えてしまい、今もまさにそんな心理状況でした。
    川島さんのコラムは対処法を検索していて見つけましたが、出会えて良かったです。
    他のコラムやブログ等も読ませていただきます。
    今回は読ませていただけて、感謝しています。ありがとうございました。

    返信する
    • べり
    • 2019年3月13日 8:59 PM

    気分の落ち込みと日照時間との関係は実感しています。
    冬は特に落ち込みやすいし、浮上しにくいです。

    今年の冬も同様でした。抑鬱の改善を考える余裕はないです。
    それでも改善を目指すべきなんでしょうか?
    これって一般的でない質問ですかね(苦笑)

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
押谷葉子, 山田尚登, & 高橋三郎. (1994). 感情障害エピソード反復の周期性と季節性. 精神医学, 36(11), 1197-1202.
樫村正美, & 岩満優美. (2007). 感情抑制傾向尺度の作成の試み. 健康心理学研究, 20(2), 30-41.
城月健太郎, 笹川智子, & 野村忍. (2007). ネガティブな反すうが社会不安傾向に与える影響. 健康心理学研究, 20(1), 42-48.
長谷川晃, 金築優, & 根建金男. (2009). 抑うつ的反すうに関するポジティブな信念の確信度と抑うつ的反すう傾向との関連性. パーソナリティ研究, 18(1), 21-34.
厚生労働省 患者調査 2008年