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憂鬱になる原因

憂鬱になる原因と対処法-精神保健福祉士が解説①

こんにちは、はじめまして精神保健福祉士の川島です。私は、これまで精神保健福祉士としてカウンセリングを行ってきました。その経験や心理学の知識の中から皆さまのお役に立てられるような情報をお伝えしていきたいと思います。 コラム①では

  • うつ病のリスク
  • 長期化と健康への影響
  • ネガティブ反芻
  • フィンクの危機理論
  • リフレーミング
  • 憂鬱ループから抜け出す

について解説します。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。

憂鬱と人生への影響

人生は長いものです。楽しいこともあれば、苦労もあり、ときに憂鬱になるのがこともあるでしょう。ずっと幸福であることは理想かもしれないですが、憂鬱な気持ちがあるからこそ人生はドラマチックに展開していくのだと考えています。その意味で、憂鬱な気持ちは短期的なものであればそこまで気にしなくても大丈夫です。しかし。憂鬱な状態が長く続いている場合には、注意が必要です。

憂鬱な気持ちとうつ病

・小さなサインを見逃さない

うつ病になると、憂鬱な気持ちがひどくなり、何をするにもやる気が起きなくなって日々の生活もままならない状態になってしまいます。普段の小さなマイナス思考から深刻なものまで、連続線上にあると言われており、些細な憂鬱がうつ症状につながる可能性は充分にあります。

強い抑うつ気分、嬉しさや意欲の喪失、疲れやすさなどが一般的な症状であり、当てはまる場合は早めの改善が必要です。憂鬱は精神疾患の手前のサインです。心の黄色信号として適切に対処しましょう。

・うつ病と自殺リスク

警察庁の平成29年の自殺統計によれば、うつ病による自殺がもっとも多いことがわかっています。

上図は、健康問題での自殺の原因を調査したものです。身体の病気や統合失調よりもうつ病の方が多い傾向にあることが分かります。また、押谷, 山田, & 高橋 (1994)では、うつなどの精神疾患を持つ87名の患者さんに対して、うつ病と周期性についての研究を報告しています。その結果、「うつ病は12、24カ月前後に再発しやすい」と結論づけられています。再発にも注意しなくてはなりません。

憂鬱は寿命にも影響する

憂鬱な気持ちの近接概念である、ネガティブ思考の影響について紹介します。アメリカのデューク大学で2005年にブルメット氏らが発表した論文をご紹介します。ブルメット氏は冠動脈疾患の患者(866名)に対して事前にアンケートを行い、

・ポジティブ思考のグループ
・ネガティブ思考のグループ

に分けました。その後、約11.4年間の追跡調査を行ったところ、ポジティブ思考の人の方がネガティブ思考の人よりも約22%も生存率が高いことが判明したのです。気の持ちようだけで寿命が変わるのは驚きですね。また別の研究では、憂鬱な気持ちは身体の調子を整える「自律神経」に関係していることもわかっています。

エレーヌ・フォックス(2014)は、脳科学や心理学の知見からネガティブ思考が気持ちがどれだけ心身に影響を与えるか研究をしています。彼女の研究で引用された調査の1つに女性修道師の寿命調査があります。

この調査では、180人(平均年齢22才時)の女性修道師の手記を分析しました。女性修道師は日々手記を残す習慣がありました。その中でも、ポジティブな内容の手記を残す人もいれば、憂鬱な内容の手記を書く人もいたようです。

そして60年後の健康状態を比較しました。結果は、前向きな感情が多いポジティブシンキングを大切にしていた女性修道師のほうが生存率は高く、10年以上長生きしていたのです。健康というと、睡眠や食事、運動などを気にするものですが、精神的な健康にも意識を向けたいところです。

①心理的問題・ネガティブ思考と憂鬱

私たちはなぜ憂鬱な気持ちになってしまうのでしょうか?大きな原因としては「心理的な問題」「生理的な問題」の2つに分けられます。

特にネガティブな考えがぐるぐる回っている状態が続くと社交不安や抑うつ状態を悪化させる可能性があるので注意が必要です(城月, 笹川, & 野村,2007; 長谷川, 金築& 根建,2009)。

神谷・幸田(2016)は、「ネガティブ思考」が与える心理的な影響について研究しました。下図は論文を一部改変して作成した図です。少し眺めてみてください。

過去現在否定的と自己否定が、ネガティブな反すう思考や将来否定を高めていることが考えられます。ネガティブ反すう思考とは、ぐるぐるとマイナスな考えを何度も繰り返してしまう考え方の癖を意味します。

さらに将来否定とネガティブ反すうが高まると、抑うつ気分が強くなってしまいます。自分を否定的に認識したり、「過去や現在に対して」マイナスになると、「将来まで」否定しがちになります。その結果、憂鬱な気分が大きくなってしまうのです。過剰な自己否定や、過去や現在をマイナスに捉えている場合は注意が必要です。

②生理的な問題・季節との関連

何かショックなときに憂鬱になるのはごく自然な反応ですが、その反応に季節や周期があることに思い当たる点はありませんか?これまでの研究から、抑うつには季節や周期に関連があることが報告されています。

・不照条件が影響?

例えば福岡(2003)では、国内外の研究論文を検討し、また、具体的な調査事例として国内の自殺、交通事故、犯罪、それぞれの発生件数と各種の起床要素との関係について調べています。

その結果
・自殺件数と不照日数とは関連がある
・自殺は社会的環境や行事などの季節性とも関係がある

といったことが判明しました。すなわち、日光などの生理的な問題と、社会的にストレスがかかりやすい時期(繁忙期や入社時期)に憂鬱な気分になりやすいと言えるでしょう。

憂鬱になる原因と対処法!

本コラムでは、憂鬱との付き合い方について心理学の知見から対処法を提案させて頂きます。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

①フィンクの危機理論を知る

憂鬱する抑えるのはNG 
憂鬱な気持ちが好きない人はいないはずです。誰でも晴れやかな気持ちをキープしたいと考えるのは自然です。しかし、冒頭でご説明した通り、気分が沈むことも人生には必要なことなのです。

回復の4ステップ 
フィンクの危機理論とは、危機の過程と、各過程でのサポーターがするべきことを示したもので「1:衝撃・2:防御的退行・3:承認・4:適応」の4段階があります。コラムでは、この理論を詳しくご説明して憂鬱への対処法を学びます。

健康的にマイナス思考になるための手かがりが見つかることでしょう。健康的にマイナス思考になるって表現がおかしいですかね。。。フィンク理論を学びたい方は、コラム②を参考にしてみてくださいね。

②リフレーミングで憂鬱をプラスに

認知の偏りをなくす
気分沈むが多い、また1度落ち込むと、そこからなかなか復帰できないという方は、ネガティブ思考をする癖ができている可能性があります。どんな時でもまず、物事のネガティブな要素に目を向けてしてしまうという方は要注意です。人が憂鬱になる場合の「思考・感情・行動」は、相互作用した状況で次の図のようにあります。

例えば、
上司に強く叱られた時に落ち込むと

思考
→自分は使えない!
 無能だ!

感情
→悔しい、悲しい
 情けない

行動
→逃げることが多くなる
 挑戦しなくなる

などの思考や行動に直結します。このような状況では、必要以上に憂鬱になったります。それが行動につながると、自分の思うような結果につながらないことも多くあります。

プラス認知に修正しよう
本コラムでは、物事のプラス面に目を向ける「リフレーミング」をご紹介します。リフレーミングとは、物事の枠組みを捉え方を変えるテクニックです。ネガティブ思考が出てきたら、その思考をプラスの枠組みから捉えなおしてみましょう!新たな方法や気づきが得られるかもしれません。憂鬱な考えをリフレーミングしたい方は、コラム③を確認してみてくださいね。

③憂鬱思考のループを止める

「ネガティブ反すう」している
マイナスな考えが何度もループしてしまう人は、「ネガティブ反すう」傾向が強いと言えます。多くの人は憂鬱な出来事が起こっても、少し時間を置けば忘れてしまいます。しかし、ネガティブ反すう思考が強い人はマイナス思考をぐるぐると頭の中で嫌な気持ちやイメージを思い出してしまいます。

反すうを和らげよう
ネガティブ反すうを和らげるには、焦らず自分のペースで考えることが大切です。当コラムでは、ネガティブ反すうを止める具体的なテクニックをご紹介します。憂鬱な考えが頭を支配している・・・という方はコラム④の解説と練習問題に取り組んでみてくださいね。

④やる気の仕組を理解する

モチベーションがない
憂鬱な気持ちが癒えない原因としては、やる気のメカニズムについて把握していないことが挙げられます。今のやる気のでない状態は、どんな問題から発生しているのかを知ることで、スムーズかつ的確に対策することができます。

3つの憂鬱タイプを知る
やる気を出すため自分の無気力状態のタイプを知ることが大切です。そこで、当コラムでは、やる気がでない3つのパターンに触れながら、その解決策と提示していきます。モチベーションを上げる方法を知りたい・・・という方はコラム⑤をチェックしてみてください。

憂鬱な気持ちは4つの方法で改善!

憂鬱になる原因は、「憂鬱を抑えつける」「ネガティブな認知」「反すう思考」「やる気がでない」ことが原因になることが多いようです。

次回は、憂鬱をなる原因の対処法1つ目の「フィンクの危機理論」をより詳しく学びます。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★憂鬱な気分が長期化する場合は、早めの対処が必要!

警察庁 平成29年中における自殺の状況
大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連. ストレス科学研究, 31, 41-48.神谷慶, & 幸田るみ子. (2016). 
エレーヌ フォックス 2014 脳科学は人格を変えられるのか? 文藝春秋
Gabrile Oettingen & Thomas A. Wadden 1991 Expectation, fantasy, and weight loss : Is the impact of positive thinking always positive? Cognitive Therapy and Research Volume 15, Issue2
尾崎真奈美 2013 与える喜びの心理学:ポジティブ心理学第2世代 Journal of International Society of Life Information Science 31(1)



対処法を学ぼう