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考えすぎる性格を治す方法,やめる方法

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考えすぎる性格を治す方法

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「考えすぎる性格を治す方法,やめる方法」についてご相談を頂きました。

考えすぎ 治し方

相談者
35歳 男性

お悩みの内容
私はちょっとしたことでも考えすぎてしまう性格です。

例えば、日常生活では、何を食べるべきか?を考えて時間が過ぎてしまいます。コロナ騒動の時は、病気に罹ったらどうしようと考え、不安になってしまい、一切外出できなくなってしまいました。

考えるすぎることで、私は行動力を失っている気がします。どうすれば良いでしょうか。改善する方法があったら教えてください。

日々の出来事に対して、考えすぎる癖がついてしまっているのですね。当コラムでは、思い切って行動していくコツをお伝えします。一緒に改善していきましょう。

考えすぎる性格とは

まずはじめに、「考えすぎる性格」とは何かについて解説していきます。

ユングと内向性

考える性格について、古典的なものとしてスイスの精神医学者であるカール・ユング(1921)[1]の分類があります。ユングは、エネルギーが自分の内側に向かっていて、主観的認識を基準に行動する傾向にある人を「内向型」と説明しました。内向型の人は、

躊躇、反省が多い
受け身の姿勢
執筆や読書を好む

という特徴があるとされています。

ビッグファイブと神経質

ビッグファイブとは人間の性格を5つに分類する手法で、ルイス・ゴールドバーグ(1992)[2]らによって提唱されました。ビッグファイブの中には「神経症傾向」があります。神経症傾向とは、

未来をあれやこれやと心配する
人がどう思うかに敏感
ネガティブなことを頻繁に考える

という特徴があるとされています。

性格は遺伝する

最近の遺伝学研究では、人間の性格は概ね30~60%前後遺伝することが分かってきています。言い換えると、考えすぎる方は「生まれ持った性格特性が多少なりともある」と考えられます。

 

考えすぎる性格のメリット

考えすぎる性格は前向きに活用できる面があります。

リスクに強い

考えるすぎるということは、その分リスクを充分吟味できるということです。突拍子もない行動をしてしまい、大きな問題になることが少ないと言えます。

大局観がある

考え抜くことで、全体像が見えてくることがあります。すぐに行動をして失敗するよりも、精査して戦略的な設計図を描いて一気に物事を推し進めていく方もいます。

失礼な言動が少ない

相手の気持ちをよく考える分、失礼な言動が少ないということが挙げられます。こんなことを言ったら傷つくかも、もしかしたら本音は違うかも、と考えることで相手の気持ちに寄り添った話ができます。

論理的である

内向的で考えすぎる方は、論理的であることも分かっています。興味がある方は下記の研究を展開してみてください。

川原・松岡(2007)[3]らは、専門学校生・大学生・大学院生335人を対象に質問紙調査を実施しました。その結果、以下のように情報処理スタイルの違いが確認されました。

内向性群
合理性の尺度得点が直観性尺度得点よりも有意に高い

外向性群
直観性の尺度得点が合理性の尺度得点よりも有意に高い

この結果から、物事の情報処理の仕方に次のような違いがあることが分かりました。

内向型の人は
合理的に考える傾向がある

外向型の人は
直観的に処理する傾向がある

内向的な人は、メリットやデメリットをしっかりと吟味し、合理的に考える傾向があります。ネガティブな面から目を背けない姿勢が、思慮深さにつながっているのかもしれません。

また、内向的な人は、感情や思考をしっかり吟味できる性質があるので、論理性の高いトークをすることができます。そのため、芯の通った主張ができることが長所です。

 

考えすぎる性格のリスク

一方で考える過ぎることはリスクもあります。

人間関係で疲れる

メンタルヘルスが悪くなる傾向の1つに「心の読みすぎ癖」があります。必要以上に相手の気持ちを考えすぎると、人間関係で消耗しがちです。

悩み疲れる

何事も考えるタイプの方は、些細なことにも悩んでしまいます。例えば買い物をするときに、どちらにしようか悩み、購入した後も正解だったかと悩み続けてしまいます。

田中ら(2013)[4]は、意思決定スタイルが買い物にどのような影響を与えるかについて調査を行っています。その結果が以下の図になります。

考えすぎる性格と買い物充実感

図のように買い物の充実感は低いという結果が出ています。

考えすぎる性格の人は、時間をかけて熟考しながらベストな商品を選ぼうとします。しかし、結果的に選択肢が増え、選ばなかった選択に意識が向かいやすいのです。

 

決定が負担になる

考えるタイプの方は決断することにストレスを感じます。決定的な結論が出るまでは行動することができないので、中途半端な結論を出すことにストレスを感じてしまいます。

田中ら(2013)[4]は、優柔不断と決断に負担を感じる「認知的負担」について調査を行いました。

考えすぎる性格と認知的負担感

このように、優柔不断が高いと、認知的負担感も高くなっていることが分かります。

 

後悔しやすい

心理学の研究では、行動をしない人は後悔をしやすいことが分かっています。例えば、告白をしようか?しまいか?迷っているうちに、誰かが告白をしてしまい、好きな人とお付き合いできなかったというケースはよくあります。

考えているうちに、考えずに行動する人にどんどんチャンスを奪われてしまうこともあります。

考えすぎる性格

 

考えすぎる性格を治すコツ

では考えすぎる性格を克服するには、どうすればいいのでしょうか。今回は5つ紹介させて頂きます。

①完璧な回答を求めない
②思考停止法を活用する
③失敗から成功イメージへ
④スモールステップで行動
⑤恐怖突入法

①完璧な回答を求めない

考えすぎる方は、完璧な回答を求めすぎて、決断できないことがあります。情報を徹底的に吟味し、リスクがないと確信を持てるまで考えすぎてしまいます。

確かに情報を徹底的に吟味しすれば、リスクは小さくなりますが、それでもリスクを全くゼロにすることはできません。世の中のできごとのほとんどは完璧に予測できるものではなく「やってみなくてはわからない」ばかりです。

そこでオススメなのが、「よくわからないことは、とりあえずやってみる」という気持ちを持つことです。心理学の研究では、前向きな行動をすれば、例え失敗をしても後悔は少ないことが分かっています。

考えすぎて行動できなくなるよりも、実践を通して、経験値を積みながら成長していこうとすることが大切です。行動と後悔の関係について、理解を深めたい方は以下のコラムを参照ください。

後悔しない生き方のコツ

優柔不断,改善

 

②思考停止法を活用する

考えすぎる方は、ネガティブな想像を始めると止まらなくなる傾向はあります。悲観的な予測ばかり考え続けてしまう方は「思考停止法」がおススメです。思考停止法は、時間を区切り、ネガティブな考えを切り替える方法です。

例えば、
「悩むのはあと10分で終わりにする!」
「リスクを考えるのは今日で終わり!」
「電車を降りたら、切り替えて思い切って行動しよう!」

など、ネガティブな考えに具体的な制限時間を設けて、自分に言葉をかけていきます。悲観的な未来をいつも予測してしまうという方は、以下のコラムを参照ください。

思考停止法,ストップ法のやり方

 

③ポジティブなイメージも持つ

特に失敗するイメージが先行してしまう方は、行動するまでに相当な時間がかかってしまいますし、逃げてしまうことも多々あります。逃げるということは、経験値を積む機会を失うことにもなります。

大事なことは失敗を考えるだけでなく、成功した時のイメージもしていくことです。そうすればリスクだけでなく、メリットも感じるので、早く行動できるようになっていきます。

ポジティブなイメージを持って行動すると成功しやすくなり、ネガティブなイメージを持って行動すると失敗しやすくなることを「ワレンダ効果」と言います。失敗だけでなく、成功イメージをすることも大事にしてみてください。

関連コラムを2つ紹介させて頂きます。後程ご一読ください。

ワレンダ効果とは何か

失敗が怖いを改善

 

④スモールステップで行動

考えすぎてしまう方は、これからやろうとする行動に圧倒されてしまい、躊躇してしまうことがあります。これを改善するには、やるべき行動を小さくしていくことが大事です。

例えば、勉強をする前に
「この勉強に意味はあるのだろうか」
「ずっと継続できるのだろうか」
「将来役にたつのだろうか」

と考えすぎて、1秒も勉強できないとします。こんな時は
「とりあえず1ページ開こう」
「その次に前半だけ読んでみよう」
「その次に後半だけ読んでみよう」

という形で細かく区切って小さなステップを作っていくことが大事です。

大きな目標はハードルが高くなり、行動する前の不安が強くなりがちです。小さな目標にして、行動のハードルを下げてあげましょう。

スモールステップについては以下のコラムで解説をしました。参考にしてみてください。

行動力をつける!行動療法

 

スモールステップ

 

④恐怖突入法

最後は少々ストイックなやり方です。心理学の世界では「恐怖突入」という言葉があります。恐怖突入とは、「怖いと思う対象に思い切って飛び込んでみよう!」という考えです。

これは森田療法という日本人の心理療法家が考えた手法です。私たちは怖い、不安という感情があると、どうしても考えすぎてしまいます。そして行動しない理由を見つけてしまうのです。

しかし、あらゆる行動には恐怖や不安はつきまとうものです。そのたびに行動することをやめていたらいつまでたっても行動することはできません。

そこで森田は、思い切って恐怖の対象に突っ込んでみよ!と主張しているのです。なかなか思い切った考えですが、ひとつの選択肢としてぜひ持っておいてください。

しっかりと理解されたい方は以下のコラムを参照ください。

森田療法の基礎,恐怖突入

 

まとめ

今回は、考えすぎる性格の対処法についてお伝えしました。じっくり考えることは大事ですが、過剰にならないようにしましょう。

どっちみち失敗するのであれば、早く失敗してしまった方が効率が良いです。ある程度考えたら、後は流れに身を任せてやってみる!という思い切りが大切です。ぜひ、5つのコツを実践してみてください♪

 

講座のお知らせ

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]Jung, C. G. (1921). Psychologische Typen, Rascher Verlag, Zurich – translation H.G. Baynes, 1923.
 
[2]Hofstee, Willem K. and de Raad, Boele and Goldberg, Lewis R. (1992), Integration of the Big Five and circumplex approaches to trait structure. Journal of Personality and Social Psychology, 63, 143-163
 
[3]田中ら(2013).中高年者の意思決定スタイルが購買行動に与える影響に関する検討 生活科学研究 35巻 3-9p 文教大学
 
[4]川原正広, & 松岡和生 (2007). 外向型・内向型における注意機能特性と情報処理スタイルの関連性. 現代行動科学会誌, (23), 1-10.
 
[5]原田 貴史, 中村 明美, 友竹 正人, 大森 哲郎(2007).女性看護職の強迫傾向が主観的QOLに及ぼす影響 47 巻  1 号 p. 33-40