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信頼関係について臨床心理士が解説します

信頼関係


信頼関係を臨床心理士が解説①

信頼関係を専門家が解説します

当コラムは「信頼関係」をテーマに、臨床心理士であるケイセンが解説しています。私は臨床心理士として主に病院の精神科・神経内科や高校・中学で働いています。引きこもりや青年期のサブカルチャー研究もしており、更に今年は予備自衛官の幹部に衛生科として任官する予定です。

全部で5コラムあります。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

信頼関係とは?

信頼関係を築く皆さんは「信頼関係」という言葉を聞いてどのような印象を持つでしょうか?

相手の為なら自分を犠牲にできること、相手を裏切らないこと、相手に悪口を言わず味方をして仲良くしてくれることなど、いろいろなイメージを持つかと思います。実際、「信頼関係」という言葉はたくさんの意味で使われています。商取引や個人の財力について使われることもありますし、人間関係の親密さで使われたり、仕事の実力の評価で使われたり…本当にさまざまです。

そんなさまざまな意味で使われる「信頼関係」ですが、少し意味を大きくとらえて、「お互いの利益になれる人かどうか」という意味で考えてみましょう。利益というとお金の事と思いがちですが、友情や愛、お金に関わらない協力などというのも利益としてとらえることもできますので、「望ましいもの」という意味くらいにとらえておきましょう。

実際に心理学においても、「信頼関係」というものは多くの意味でとらえられてさまざまな分野での研究や理論があります。例えば社会心理学における古典的かつ伝統的な研究としても、信頼というテーマは扱われます。人はどのような時に相手に協力し、どのような時に協力をしないのか。どのような人が信頼されやすいのか。そもそも信頼とは何なのか。

このコラムでは、信頼関係についての少しの側面を紐解き、相手を信頼する手がかりについて、全5回のコラムで解説をしたいと思います。

信頼関係が築けないと不利益?

他人と信頼関係を築けないと、さまざまの意味で不利益になると考えられます。

・協力関係を形成しにくい
・親密な関係を形成しにくい
・孤独感で淋しくなりやすい

石田(1998)の研究は、シャイな人ほど対人行動を抑制し、多くの相互作用が展開できないために、高い親密さが感じられない傾向にあることを示しました。「恥をかいてしまうかもしれない」という考えは、他人からの否定的な評価を心配してしまうことと言えるでしょう。

信頼関係が築けないと孤独「他人が自分をよく思わないかもしれない」という想定をすることは、あまり他人を信頼できていないことの裏返しかもしれません。そうでなくても、他人を信頼していないと親密な関係を築きにくくなり、孤独感を感じやすくなるというのは容易に想像がつきますね。そして、孤独感を感じるということは自分にどのような影響があるのでしょうか。
 
Baumeister et al. (2002).の実験では、性格テストの結果から将来孤独になるということを知らせられると、集中を要する課題の成績が低下する傾向にあることが示されました。孤独について研究をしているCasioppo. (2002).もまた、孤独に関する研究を深めており、孤独は気分を落ち込ませたり思考力が落ちたりすることを指摘しています。

一人の時間が好きというのも自然な考えです。しかし、基本的に他人を信頼しないで孤独感が深まることは幸福感や思考力にまで影響してしまいます。他人を信頼して親密な関係を築くことが、普段の生活に欠かせないものであると考えることができるでしょう。中には友達は不要だという人もいるでしょうが、大部分の人はそうではありませんので、そういう人は例外として考えておきましょう。

信頼関係について知る実例

信頼関係について考えるために、まずはとても有名な「囚人のジレンマ」問題について考えてみましょう。

信頼関係で有名な囚人のジレンマ共謀した容疑をかけられている囚人AとBを自白させるために、2人それぞれに司法取引をもちかけます。

・2人が黙秘したら2人とも懲役2年。
・1人だけが罪を告白したら無罪放免。
 ただし、黙秘していた方は懲役10年。
・2人とも罪を告白したら懲役5年。

となります。そして、AとBは互いに意思を伝達する方法は一切ありません。

さて、これを読んでいる皆さんが仮にこの2人のうちの1人だったら、どのような行動を取るでしょうか。
 
相手が黙秘をすると思ったら、自分も黙秘をしてお互いに罪を軽減させますか?むしろ迷いなく自白をして、相手を犠牲にして自分の無罪を狙いますか?相手の黙秘を期待しつつも、心のどこかで裏切られる可能性を考えて、念のため自白しておきますか?でももし自白したのに相手が黙秘していたら…。

考えたらきりがありません。しかし、少し思慮を巡らせてみるといろいろなことに気づきます。

・お互いの仲はどのようなものだ?
・裏切ったら二度と信頼されないだろう
・この状況が2回目や3回目だとしたら?

そして、2回目、3回目だとして、それは同じ相手なのか、違う相手なのか?など、たくさんの背景状況によって選択に影響が出てきます。

結論だけを言ってしまうと、どんな相手であっても1回限りの状況であったなら、自白をした方がリスクを最小限に抑えられます。つまり他人を信頼しない方が損をしにくいのです。しかし、だからと言ってどんな状況であってもどんな相手であっても普段から信頼しない方が全体的に「得」になるでしょうか?

その答えについては、どのような理論的前提を置くかによってかなり変わってきてしまいます。言い換えれば「他人を信頼する」ということはそのくらい複雑な問題なのです。

信頼の判断は常に相手や状況に応じて変化するので、相手との信頼関係に確信をもって判断するための万能的な理論はありません。しかし、それでも信頼関係ついて少しの側面を知るだけで、日々の判断は大きく変わってくると思います。今回のコラムをきっかけとして、少しでも信頼関係についての考えを深め、今後それについて考える出発点にしてくださいね。

信頼関係を築けない原因と解決策

信頼関係が築けない原因は3つここまで読んだ皆さんの感想は、どのようなものでしょうか。もし「他人と親密になったり、信頼関係を築いた方が、自分にとってよさそうだ!だから相手を信頼しよう!」と思おうとしても、なかなか簡単に信頼関係を築けないケースが多いのも事実だと思います。

そこで、まず信頼関係が築けない原因と解決策について考えてみましょう。なお、全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

①信頼する習慣を身に付けよう

・他人を信頼する習慣がない
普段から相手と信頼関係を築く気持ちがないと、信頼できる相手かどうかを見抜けず、時には信頼関係をもつべき相手を信頼できないでいるかもしれません。これは考えてみたら当たり前のことかもしれませんね。

しかし、当たり前のことをなかなかできないのも人間というものです。世の中には、信頼できない人間というのも確実にたくさんいます。だからと言って全ての人間を疑ってかかってしまうと、信頼できる相手を逃してしまうことも多くなるでしょう。

・相手を見抜く力で信頼関係を
コラムでは、信頼関係をもつべき相手かどうかを見抜けるようになるためのコツをご紹介していきます。社会心理学を用いて信頼の本質についても詳しくご紹介していきますので、どんな人が信頼できる人なのか?どの人が信頼関係を築くのに適しているのか?など、信頼関係をもつべき相手かどうかを見抜く力を付けていきましょう。コラム②で詳しくご紹介していきます。

 

②信頼するための知識を身に付ける

・相手を信頼するための知識の不足
世の中には信頼できない人間がいるのも事実です。そのため、相手が自分を騙そうとしていないか?、搾取しようとしていないか?など疑うのも、自衛のために必要なことです。しかし、だからと言っていつでも誰でも疑うことは自衛とは言えず、貴重な協力関係を逃してしまうことにもなります。このような意識で信頼関係が築けない方は、信頼するための知識不足が原因かもしれません。

・手掛かりで上手な信頼関係を
貴重な信頼関係を築く機会を逃さないため、信頼できそうな人を見抜くコツを知っておくといいでしょう。参考になる「目標期待理論」を、先ほどご紹介した囚人のジレンマゲームをモデルにご紹介します。

相手と信頼関係を成立するために必要な事も学べます。そもそも信頼関係をもつということはどんなことで、人はどんな時に協力をするのか、そして相手と信頼関係をもつ事は本当に利益になるのか…コラム③の解説で確認していきましょう。

 

③自分の振る舞いで信頼度UP

・信頼される振る舞い方ができてない
ようやく相手を信頼することに決めたとしても、自分も相手に信頼される必要が出てきます。しかし、気づかないうちに自分の振る舞い方が他人にとっていまいち信頼しにくくなってることは、少なからずあるでしょう。

・信頼度UPのポイントを知ろう
信頼関係を持ちやすくするために、相手に合わせて自分の全てを変える必要はありません。しかし、時には相手が好むような接し方をすることも必要です。

一般的に、相手と自分に「共通点」があると親近感を抱きやすく互いを肯定的に捉える傾向があると言われています。そして「補足性」「外見」も意識することで、互いを魅力的に感じられるようになります。相手から、良い印象を持たれやすくなりたい!…という方はコラム④の解説を確認してみてください。

相手と良好な信頼関係を築こう

このように信頼関係が築けないのは「信頼の習慣」「相手を信頼するための知識」「自分の振る舞い」が原因の一つとして挙げられました。次回以降はこれらの原因の解決策について具体的にご紹介していきます。参考にして信頼関係を築いてくださいね。内容は以下の通りです。

コラム② 信頼関係を築くための習慣
コラム③ 信頼関係を築く2つの方法
コラム④ 信頼関係の上手な築き方

信頼関係の知識を深めることは、幸せになるカギとなります。しかし、そう簡単に他人を信頼することはできないかもしれません。これから紹介する信頼関係の知識を日々の生活の中で意識していくことで、少しずつ他人を見る目も変わることでしょう!次回の信頼関係コラムもお楽しみに!

★信頼関係を築くため、3つの原因に具体的な解決策で対処しよう

*参考文献
・石田靖彦(1998). 友人関係の親密化に及ぼすシャイネスの影響と孤独感 社会心理学研究 14( 1). 43-52,
・Casioppo, J. T., & Patrick, W. (2008). Lonliness : Human Nature and the Need for Social Connection. (カシオポ, J.T, & パトリック, W. 柴田裕之 (訳) (2010). 孤独の科学 ――人はなぜ寂しくなるのか―― 河出書房新社)
Baumeister, R. F., Twenge, J. M., Nuss, C. K. (2002). Effects of social exclusion on cognitive processes: Anticipated aloneness reduces intelligent thought.  Journal of Personality and Social Psychology, 83(4), 817-827.



3つの原因と具合的な解決策を確認しよう