チームワーク力を高める方法
皆さんこんにちは!現役経営者、公認心理師の川島です。私はこちらのコミュニケーション講座の講師として活動しています。今回は「チームワークを高める方法」をテーマに解説していきます。
当コラムでは心理学の研究などを紹介しながら、チームワークを高めるための8つの方法を解説していきます。
①ストロークで土台を作る
②目的を共有する
③漏れなくダブりなく
④交互作用を意識する
⑤チームダイアログを導入
⑥アサーティブの精神を共有
⑦成果を公平に分かち合う
⑧リーダーシップ力をつける
ご自身でも活用できそうなものを組み合わせてご活用ください。
チームワークを向上させる8つの方法
①ストロークで土台を作る
チームワークの土台は「無条件の肯定的ストローク」にあります。無条件の肯定的ストロークとは、「結果のありなしに関わらず、肯定的にかかわる」ことを意味します。具体的には、以下のようなやり方が挙げられます。
毎朝あいさつをする
お互い声を掛け合う
ミスをしても励ます
定期的に悩みを聴く機会を作る
このような懐の深いやり取りを作ると、チーム全体の信頼関係が向上し、結束を高めることができます。結果を出さない人はダメ!成績の良いメンバーだけを優遇!とした殺伐とした雰囲気を作るとメンバーは疑心暗鬼になり、気持ちよく仕事をすることができません。
このチームはお互いを助け合える、しっかり自分を認めてくれる、という雰囲気が、パフォーマンス発揮の土台になるのです。ぜひ以下のコラムを参考にしてみてください。
②目的を共有する
チームワークが悪い集団は、それぞれがバラバラの目的で行動している傾向があります。仕事の意義や会社が進むべき方向性が定まっていないと、チームワークがぎくしゃくしてしまいます。
縄田ら(2015)[1]は、自動車販売会社などのプロジェクトチームを対象に、コミュニケーションと目標が販売台数や利益にどう影響しているかを調査しました。結果の一部が下図となります。
上図は、日々のコミュニケーションを土台にして、目標が明確化されると、利益、販売台数、目標達成率が向上するという意味があります。目的を共有することは利益に直結しやすいことがわかります。
改善をするには、目的を共有する習慣をつくることが大事です。具体的には以下のようなやり方が挙げられます。
朝礼で今日1日の共通意識を述べる
経営理念を毎年リーダーから伝える
自分たちでチームの目標を作る
達成できたか定期的にチェックする
目的はTOPダウンではなく、一緒に創っていくこともおすすめです。目的を議論していく中でチームワークが育まれていきます。チームワークの芯は目的の共有にあります。徹底しましょう。
③漏れなくダブりなく
チームワークが悪い場合、役割分担がうまくできていない傾向にあります。例えば、コミュニケーション力はあっても数字に弱い人ばかりが集まると、抽象度が高い仕事になってしまいます。
改善するにはできる限り「異なるタイプの人材でチームを作る」「もれなくダブりなく配置する」ことを意識しましょう。具体的には、以下のようなチームを作るといいかもしれません。
営業力がある人
資料作りが上手い人
経理周りが強い人
IT周りが強い人
ユーモアがあり心を和ませる人
このように、それぞれ別々の長所を持ち、助け合えるチームを作るとお互いを尊重しあい、チームの結束力を高めることができます。
④漏れなくダブりなく
メンバー同士に掛け合わせによる化学反応も視野にいましょう。これは心理学では、「交互作用」と呼ばれます。「交互作用」は以下の意味があります。
異なる要素が組み合わされる事で生まれる価値
ここで、身近な食べ物「かき氷」で思考実験をしてみましょう。「宇治金時かき氷」は、3つの具材からできています。
・氷
・宇治シロップ
・金時
この3つの具材をバラバラで食べた場合、何点で評価しますか?まずいが0点、おいしいが100点で評価してみてください。
私の評価は
氷(60点)
宇治シロップ(20点)
金時(40点)
合計 120点
宇治シロップは、そのままだとても食べられません。では、3つの具材を合わせた「宇治金時かき氷」として食べたらそれぞれ何点になりますか。
私ならこんな感じになります。
氷(90点)
宇治シロップ(70点)
金時(80点)
合計 240点
このように、3つの要素を合わせたことで、互いの価値が高くなり合計が120点もアップしてしました。交互作用は、チームワークでも同じことがいえます。チーム内でメンバーのさまざまな個性が集まることで組み合わせの幅が広がり、さまざまな価値が生まれるのです。
⑤チームダイアログを導入
チームの連携がうまく取れない方は、行き当たりばったりでコミュニケーションをしてしまうことが多いです。その場の流れで、物事を決めてしまうと、方向性がまとまりにくく、チームにバラつきが生じます。
改善するには、チームダイアログコミュニケーションを導入することです。チームダイアログコミュニケーションとは、人々が互いに創造的なアイデアを出し合う対話を意味します。内容の決まっていない雑談とは違います。以下の図は、チームダイアログと雑談との比較です。
目的をしっかりと定め、それに向かって、計画的かつ創造的な話し合いをしていくのがチームダイアログなのです。秋保ら(2016)[2]は大学生・大学院生236名を対象に、学園祭で行われた模擬店の営業についての研究を行いました。
その結果、チームダイアログを多く行っていたチームほど、売上金額が上がったり、パフォーマンス効果が高い結果が出ていました。お互いのアイデアを活かしあえるようなコミュニケーションの機会をたくさん作るようにしましょう。
⑥アサーティブに話し合う
チームワークを発揮できない場合、コミュニケーションが一方的になっていることが多いです。一部のメンバーが一方的に主導権を握り、他のメンバーが我慢している状態が続くと、チームの均衡が乱れてしまいます。
改善するには、アサーティブに話し合うことが大切です。アサーティブとは、自他を尊重したコミュニケーション方法になります。例えば、以下のコミュニケーションが挙げられます。
相手の意見を聞き入れる
自分の意見も主張する
お互いを尊重する
というものです。アサーティブを取り入れることで、チームのコミュニケーションが円滑になります。報告・連絡・相談がスムーズになり、より労働意欲を高めることができます。
アサーティブをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
⑦成果を公平に分かち合う
チームワークが上手くいかない原因として、成果に偏りが出てしまうことが挙げられます。成果が公平でないと、メンバーに健全なモチベーションが生まれなくなってしまいます。
改善するには、成果を公平に分かち合うことです。報酬が不公平にならないような仕組みを導入することが大切です。具体的には、以下のようなやり方が挙げられます。
貢献度に応じて分配する
成果報酬を取り入れる
勤続年数によって昇給
などです。偏りが出るとチームの結束が崩れてしまいます。そのため、予め指標を作って、報酬が公平に行きわたるように設計しましょう。
⑧リーダーシップ力をつける
チームワークが乱れてしまう場合、リーダーシップを上手く発揮できていない可能性があります。リーダーシップがないと、方向性を統一したり、情報を共有しようと思っても、うまく伝えられなくなってしまいます。
改善するには、基礎的なリーダーシップ論を学ぶことが大切です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
PM理論
→目標達成能力、集団維持能力の強弱によって4つにリーダーシップをタイプ分けする理論
SL理論
→部下の習熟度や状況に合わせて4つにリーダーシップをタイプ分けする理論
XY理論
→X理論(性悪説)Y理論(性善説)の2つでモチベーションを管理する理論
フロー心理学
→どのような条件で人はフロー(没頭)に入れるか?を研究する心理学
このように、部下のマネジメント方法を多く把握しておくことで、リーダーシップを高めることができます。それぞれの理論についてより深く知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。
まとめ
私は24歳の頃に独立をしました。最初は1人で仕事をしていたのですが、成果を出しても喜びを共有する相手がいませんでした。いまは30人近くの仲間と一緒に、仕事をしていて、失敗したこと、成功したことを皆で共有できる嬉しさがあります。チームのすばらしさを日々実感しています。
チームワークを向上させるには、日々の積み重ねがとても大事です。ですがその積み重ねが花開いたとき、成果が出て心豊かに仕事ができると思います。皆さんがすばらしい仲間と出会い、強いチームワークを元に、成果を出されることを心から願っています。
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など練習していきます。筆者も講師をしています。皆様のご来場をお待ちしています。↓興味がある方は以下のお知らせをクリック♪↓
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連