チームワーク力を高めるコミュニケーション法
皆さんこんにちは。
現役経営者,公認心理師の川島達史です。
当コラムのテーマは
「チームワーク力を高める方法」
です!

はじめに
私は15年前に独立をして、全くの個人で会社を設立しました。個人で仕事をするのは、気楽ではあるのですが、やはり仕事の幅が小さく、限界を感じました。
現在は会社も大きくなり、様々な方とチームを組んでプロジェクトを進めています。一人で仕事をするよりも、はるかに大きなことができるようになったと実感しています。
チームを組んで仕事をする力は社会人に必須のスキルです。ぜひ当コラムで基本を抑えていきましょう。
チームワークの定義
チームワークの意味とは?
まずはじめにチームワークの意味から抑えていきましょう。Dickinson(1997)はチームワークを以下のように定義しています。
チーム内での情報共有や活動の相互調整のために行われる、対人的行動の総称
とされています。さらに、チームの特徴として、3つのことが示されています。
1.メンバー間の相互作用
メンバー同士で「ありがとう」「おはよう」などの感情交流を行ったり、お互いにサポートし合うこと指します。感情交流のないチームは殺伐としやすく、円滑なチームワークが取りにくくなります。
2.課題の相互依存性
個々のメンバーの強みを生かして、課題に取り組むことを指します。個人個人の強みを生かすことで、お互いに協力し合ながら課題に取り組んで行きます。それぞれの特性、能力を相互に活かすことでチームの力を無駄なく発揮することができます。
3.目的目標の共有
目的・目標をこまめに共有することを指します。目的が共有できていないと、チームの考え方や意見にまとまりがなくなり、無駄な行動が多くなってしまいます。目的までの進捗度や、期限など頻繁にチームで振り返りをすることが大切です。
チームワークを向上させる7つの方法
ここからはチームワーク力を高めるための7つの方法を提案させて頂きます。
①リーダーを決める
②目的を共有する
③役割を分担する,交互作用
④日々のストロークを大事に
⑤チームダイアログを導入
⑥アサーティブに話しあう
⑦成果を公平に分かち合う
ご自身に活かせそうなものを組み合わせてみてください。
①リーダーを決める
まずはじめにリーダーを決めましょう。リーダーがいるとチーム意志の調整が促進されます。
具体的には、
・モチベーションを上げる
・心理的な配慮をする
・チームの方向性が一致する
などのメリットが挙げられます。リーダーがいなければまとまりがなくなり、一体感のないチームになってしまいます。
リーダーに必要なスキルを詳しく知りたい方は、下記ご覧ください。
②目的を共有する
次に目的を共有するようにしましょう。チームワークには、同じ目的にチーム全体に向かっていることがとても大切です。目的をはき違えた人が1人でも居ると、チームワークに乱れが生じてしまいます。
そこで、
・朝礼
・夕礼
・ミーティング
などを開いて、定期的に目的の共有を心がけましょう。特に朝礼・夕礼などは目的までの進捗を報告したり、1日のノルマを共有・振り返りをするのに適しています。
できる限り、1日に1度は目的の共有の時間を取るようにしましょう。以下、目的の明確化がどれだけ成果につながるかを解説しました。気になる方はチェックしてみてください。
縄田ら(2015)の研究では、自動車販売会社などのプロジェクトチームを対象に、コミュニケーションと目標が販売台数や利益にどう影響しているかを調査しました。
その結果、コミュニケーションを行うことを土台にして、目標が明確化されます。さらに、目標が共有されることで、チームのパフォーマンスが上がるといった図式が示されています。
つまり、相互にコミュニケーションを取ることで、目標を再確認したり修正することで、目標が明確化され、パフォーマンスの向上につながるのです。
③役割を分担,交互作用
3つ目は役割分担をすることです。チームのメンバーを適材適所に配置し、1人1人の強みを生かしていきましょう。できる限り、「もれなくダブりなく」配置することを意識しましょう。
例えば、
・プレゼンが上手い人は3人で十分
・意思決定が得意な人は1人で十分
・資料作成が全員不得意=危険
このように、もれなくダブりなくメンバーを揃えることが大切です。また、メンバー同士に掛け合わせによる化学反応も視野にいましょう。これは心理学では、「交互作用」と呼ばれます。
交互作用をより深く知りたい方は、下記を展開して確認してみてください。
チームワークを考える上で必ず抑えるべき概念があります。それは交互作用です。心理辞典(2013)では「交互作用」について、以下のように解説しています。
交互作用効果とは、分散分析において2つ以上の独立変数が、従属変数に対して、それぞれが単独で与える効果の和を超えて特別に組み合わせ効果を与えること。
少し難しいですね。平たくまとめると、交互作用とは、異なる要素が組み合わされる事で生まれる価値のことです。
ここで、身近な食べ物「かき氷」で思考実験をしてみましょう。「宇治金時かき氷」は、3つの具材からできています。
・氷
・宇治シロップ
・金時
この3つの具材をバラバラで食べた場合、何点で評価しますか?まずいが0点、おいしいが100点で評価してみてください。
私の評価は
氷(60点)
宇治シロップ(20点)
金時(40点)
合計 120点
宇治シロップは、そのままだとても食べられません。では、3つの具材を合わせた「宇治金時かき氷」として食べたらそれぞれ何点になりますか。
私ならこんな感じになります。
氷(90点)
宇治シロップ(70点)
金時(80点)
合計 240点
このように、3つの要素を合わせたことで、互いの価値が高くなり合計が120点もアップしてしました。
交互作用は、チームワークでも同じことがいえます。チーム内でメンバーのさまざまな個性が集まることで組み合わせの幅が広がり、さまざまな価値が生まれるのです。
なぜ?チームを組むのか?それはこの交互作用を生み出すからに他なりません。もしあなたがリーダーであるならば、必ずこの交互作用を意識しましょう。
④日々のストロークを大事に
4つ目は、ストロークを大切にすることです。ストロークとは、「人との関わり全般のこと」を意味します。
例えば、
・あいさつをする
・アイコンタクトをする
・励ます,応援する
などが挙げられます。
もしあなたのチームが、挨拶がなく、お互い警戒しあうような空気感があったら黄色信号です。ぜひ以下のコラムを参考にしてみてください。
⑤チームダイアログを導入
5つ目は、チームダイアログコミュニケーションを導入することです。
チームダイアログコミュニケーションとは、人々が互いに創造的なアイデアを出し合う対話を意味します。内容の決まっていない雑談とは違います。チームダイアログと雑談との比較です。
目的をしっかりと定め、それに向かって、計画的かつ創造的な話し合いをしていくのがチームダイアログなのです。以下、チームダイアログの効果について解説しています。気になる方は、展開してチェックしてみてください。
チームダイアログに関して、秋保ら(2016)はその効果について検証しています。秋保らは、学園祭で行われた模擬店の営業についての研究を行いました。
その結果、チームダイアログを多く行っていたチームほど、売上金額が上がったり、パフォーマンス効果が高い結果が出ています。
事務的なコミュニケーションではなく、相互に助け合えるコミュニケーションが大事だということが分かります!
⑥アサーティブに話し合う
6つ目はアサーティブに話し合うことです。アサーティブとは、自他を尊重したコミュニケーション方法になります。例えば、
・相手の意見を聞き入れる
・自分の意見も主張する
・お互いを尊重する
というものです。アサーティブを取り入れることで、チームのコミュニケーションが円滑になります。報告・連絡・相談がスムーズになり、より労働意欲を高めることができます。
アサーティブをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
⑦成果を公平に分かち合う
7つ目は成果を公平に分かち合うことです。報酬が不公平にならないような仕組みを導入することが大切です。例えば、
・貢献度に応じて分配する
・成果報酬を取り入れる
・勤続年数によって昇給
などです。偏りが出るとチームの結束が崩れてしまいます。そのため、予め指標を作って、報酬が全体に行きわたるように設計しましょう。
まとめ+助け合い掲示板の活用
まとめ
チームワークを高めるための解説は以上です。チームを上手くまとめたいけど、メンバーと思うようにいかない。など、1つのチームをまとめることがだれでも難しいことです。
しかし、チームの特性やコミュニケーションの取り方のポイントを押さえることで、よりまとまりのあるチームに活かすことができます。
皆さんがチームワークの良い仲間と出会い、一緒に成果を出していくことを応援しています!
関連コラム
チームには核となるリーダーが必要です。もしあなたがリーダーになったとしたら、リーダーシップ論の基礎を抑えておくことをおススメします。以下のコラムを参考にしてみてください。
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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*出典・参考文献
田原直美,三沢良,山口裕幸(2013) チーム・コミュニケーションとチームワークとの関連に関する検討 実験社会心理学研究 53(1), 38-51
秋保亮太,縄田健悟,中里陽子,菊地,梓,長池和代,山口裕幸(2016) メンタルモデルを共有しているチームは対話せずとも成果を挙げる:共有メンタルモデルとチーム・ダイアログがチーム・パフォーマンスへ及ぼす効果 実験社会心理学研究 55(2), 101-109
縄田健悟,山口裕幸,波多野徹,青島未佳(2015) 企業組織において高業績を導くチーム・プロセスの解明 心理学研究 85(6), 529-539
Dickinson, T. L., & Mclntyre, R. M. (1997). A conceptual framework for teamwork measurement. In M. T. Brannick, E. Salas, & C. Prince (Eds.), Team Perfor-mance Assessment and Measurement: Theory, Methods, and Applications. Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates, pp. 19–43