発話力①話し方のトレーニング法「1問1答を改善」
皆さんこんにちは!現役経営者,公認心理師の川島達史です。
当コラムは、発話トレーニング法を解説しています。コラムは全部で以下の7つあります。
・1問1答を改善
・5W発話法
・感情発話法
・具体例活用法
・繰り返し表現
・~ぐらい法
・強調言葉くっつけ法
今回は、「1問1答を改善する」をお伝えします。
発話力を鍛えるメリット
まずは、発話力をつけるメリットを解説していきます。
発話力は意外と簡単
1つ目のメリットは、発話は傾聴に比べると成果が出やすいと言えます。何を言っているんだ…と突っ込まれそうですね。傾聴で1つ例を考えてみましょう。
皆さんは会話の相手に
「好きな旅行先はどこですか?」
と質問をしたとします。このとき相手の回答は千差万別です。
「鳥取です」
「ハワイです」
「旅行はしません・・・」
パターンが無限にあることがわかります。それぞれに応じた返し方をする必要があり難しいですね。実は傾聴の方が簡単に見えて、即興性が求められるのです。
この点、発話は比較的ストックがしやすく万能です。会話がつながらなくなったら、箱根に入った話をしよう!と準備ができるのです。
傾聴は即興性が求められますが、発話は準備しやすい点でメリットが大きいことを抑えておきましょう。
発話力で傾聴力も伸びる
発話ができると結果的に傾聴スキルを伸ばすことにもつながります。
例えば、
会話の相手が次のように発話したとします。
「今日は、人気店の手作りパンを食べてとても美味しかった」
発話が苦手な方の場合、
「美味しかったんですね」
「へー人気店のパン食べたんだ」
「手作りパンだったんだね」
など、返しがシンプルになりがちです。しかし、発話力があれば
「へー、手作りで美味しいっていいね。安心して食べられるし、人気店なら味もはずれがなさそう。今度行ってみたいからよかったらぜひ教えて~。ちなみに、おすすめのパンある?」
こんな返し方もできます。このように、発話力があれば、傾聴スキルを高めることもできます。このように、発話はコミュニケーション能力を伸ばすメリットが多くあるのです。
メンタルヘルスの向上
発話はメンタルヘルスにとても良いことが分かっています。例えば「自信をつける効果」が期待できます。
・自分の話題で笑いがとれた
・自分で会話ができた
と成功体験を得ることができるため自信をつけることができます。そのほか、
・対人不安を減らす
・ネガティブな気持ちを減らす
・抑うつを減らす
・孤独感を減らす
などの効果が期待できます。
発話と心理的効果については様々な研究があります。少しマニアックな話になってしまいますので折りたたんで掲載します。気になる方は展開してみてください。
高木(2004)が大学生306名に「自己開示と孤独感との関係」について調査研究を行いました。下記の図は、自己開示の量と孤独感の相関について示しています。
研究では、男女ともに、自己開示の量と孤独感はマイナスの相関にある事がわかりました。自己開示の量が増えると孤独感が小さくなり、逆に自己開示の量が減ると孤独感が大きくなります。
話し方-3つの禁止事項
それでは早速発話力を鍛えるトレーニングに進みます。まず初めに「3つの禁止」を抑えておきましょう。
「~ない」をやめよう
会話で一番良くないのが「知らない」「興味がない」「○○はやらない」など「~ない」という返しです。
例えば
「旅行は好きですか?」
という質問に対して
「う~んいかないです…」
正直な返しだとしても、話し方としては一番NGです。。。これでは、会話が広がらないうえ、相手が話をしたくないのかな…と思ってしまったり、嫌悪感を抱かれてしまう可能性もあります。
この点、「ない」ことが事実の場合は「ない⇒ある」と言い換えて返すよう心がけるといいですね。
例えば、「旅行は最近してないですが、町ブラは結構していますよ~最近気にいている町は…」という感じで少しアレンジ返すと印象UPです。
「ない」よりも「ある」を意識して返すようにしましょう。
1問1答をやめる
2つ目は、返しが一言で終わってしまう1問1答です。
例えば
「好きな料理はなんですか?」
「ラーメンです・・・」
どちらもNGです。
このように1つの質問に対して、ひと言で返してしまう会話は、質問した相手にとても負担です。次の質問に関して気を使ってしまったり、話をする気が無いのでは…と、マイナスの印象を持たれてしうまう場合もあります。
「1問1答」の対処には、そんでもって法がおすすめです。
先ほどの例のケースなら
「ラーメンです。(そんでもって)・・・・」とつぶやきをしてみましょう。
↓
↓
いかがですか?何か言葉がでてきませんか。
↓
↓
どうでしょうか?私の場合
「ラーメンです。(そんでもって)豚骨系のスープが好きなので○○店によく行きますねー」
このように”そんでもって”とつぶやくと、返しの言葉に情報がプラスされていきます。
慣れないうちは言葉が出てこないかもしれませんが、私の経験だと7割くらいは改善できましたね。1問1答になる癖がある方はぜひ試してみてください。
質問の待ち癖を改める
3つ目は、相手からの質問を待つクセです。
「質問されるまでは話はしない!」
「相手からの会話を待ってから話そう」
このような消極的な気持ちでは、コミュニケーション能力を伸ばすチャンスを逃してしまいます。会話では相手からの質問を待つだけではなく、自分から話題を提供する姿勢を作っていきましょう。
自分から積極的に話題を提供する姿勢そのものが、コミュニケーション能力を高めてくれます。
繰り返しになりますが
・一問一答をやめる
・そんでもってとつぶやく
・質問待ち癖をやめる
この3点をまずは基礎として覚えておきましょう♪
もっと話し方をトレーニング
今回は、発話力の重要性・効果、3つの禁止事項について、ご紹介しました。次回からは、発話力を鍛える「話し方のトレーニング法」を具体的に解説していきます。ぜひ実践して発話力を身につけていきましょう。
5W発話法
5Wで話の土台を作る発話法です。発話が短文になってしまう!何を話せばいいのかわからない…という方に、おすすめの話し方トレーニング法です。
感情発話法
発話に「どのように感じるか」を織り交ぜて発話するコミュニケーション方法です。面白みのある会話には必ず感情が織り交ぜられています。発話が少し無機質だなー、面白みが欠けているかも…と思う方は、発話にぜひ取り入れて発話力を鍛えていきましょう。
具体例を加えよう
発話力がない方は話が抽象的に終わる特徴があります。話のボリュームが少ない方は、とにかく具体的に話す癖をつけると効果的です。
繰り返し表現法
自分が発した言葉について、言葉を変えてもう一度話す発話法です。伝えたい重要な気持ちは、1回だけでなく繰り返し伝えることで強調することができるのです。
発話に苦手意識がある方、話がすぐに終わってしまう方、会話が淡泊になってしまう方におすすめです。
~ぐらい法
「~ぐらい法」とは、~ぐらい・~ほどをプラスして発話の表現を膨らませる発話法です。「~くらい」を使って例えを交えることで、発話の感情表現をより分かりやすくしてくれます。
強調言葉くっつけ法
伝えたい表現を強調するために言葉をプラスしていく方法です。伝えたい感情を強調することができるため、相手に気持ちが伝わりやすく印象も残りやすくなります。また、強調した箇所が明確になるため、話し方にメリハリを出す効果もあります。
お知らせ
もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかりコミュニケーション能力をアップさせたい場合は、私たちが開催している講座をオススメしています。講座では
・心理療法の基礎学習
・人間関係のトレーニング
・問題解決型コミュニケーション
など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています♪
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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*出典・参考文献
・大学生の自己開示と孤独感の関係 高木浩人 2006
・成人用ソーシャルスキル自己評定尺度の構成 相川充 藤田正美 2005