ネガティブ思考を改善する3つの方法-臨床心理士が専門解説①
ネガティブ思考を専門家が解説します
みなさんはじめまして!臨床心理士の兵働、出典担当の橋爪です。私たちは臨床心理士として精神疾患を抱える方へのカウンセリングや精神保健に関する活動を行っています。
当コラムは「ネガティブ思考」をテーマに専門家が解説をしています。全部で5コラムあります。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。
日本人はネガティブ思考が強い?
神谷・幸田(2016)は、人間の思考が気分の落ち込みや抑うつ気分といった精神症状にどう結び付くかを研究しました。下図は神谷・幸田(2016)の論文を一部改変して作成した図です。自己否定と過去現在否定的が、将来否定やネガティブな反すう思考を強めていることが考えられます。
ネガティブ反すう思考とは、ネガティブなことをぐるぐると何度も考えてしまう思考の癖を意味します。例、飲み会で孤立した→何度も、何度も失敗を頭のなかで思い出してしまうなどがあたります。
つまり、
①自分を否定する思考、過去や現在を否定的にとらえる思考が強くなる
②将来へのネガティブな思考や、何度もネガティブ思考を繰り返す
③最終的には抑うつ気分が強められる
というプロセスをたどることになります。
ネガティブ思考が生存率に影響?
ネガティブ思考は健康に悪影響を及ぼすことがわかっています。アメリカのデューク大学で2005年にブルメット氏らが発表した論文をご紹介します。ブルメット氏は冠動脈疾患の患者(866名)に対して事前にアンケートを行い、ポジティブ思考の人とネガティブ思考の人に分けました。その後、約11.4年間追跡調査を行ったところ、ポジティブ思考の人の方がネガティブ思考の人よりも約22%も生存率が高いことわかったのです。
ネガティブ思考は長期化すると問題
ネガティブ思考は誰でも抱くものです。ネガティブであることは、危機を回避する上で重要な感情なので、健康的な範囲内であれば問題ありません。
しかし、ネガティブな思考ばかりに囚われ、それが長期化してしていたら問題です。例えば、夜眠れない、抑うつ状態になる、意欲や集中力の低下が起こる場合は気を付けなくてはなりません。
また、ネガティブな発言が多いと人間関係も失敗することが多くなり、人間関係で失敗もしやすくなります。会話の端々にマイナスの発言が続くと、段々と人が離れてしまい、孤立しやすくなってしまいます。
診断!あなたのネガティブ思考はどのくらい?
ネガティブ思考診断
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2018年4月開始、現在集計中。
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*ネガティブ思考のメリット
ネガティブ思考が強いと言えます。ネガティブ思考は一見悪いと思われがちですが、リスクをしっかりと考えることができる、危険を回避できるというメリットもあります。例えば、医療現場などではミスを犯さないために必要な思考であると言えるでしょう。職種によっては相性の良い職場もたくさんあると言えます。
*注意点
ネガティブ思考は、仕事や特定の作業などではプラスに働くこともありますが、長時間持続している場合は抑うつにつながるなどメンタルヘルスに悪影響を及ぼします。長い期間、ネガティブ思考になっていると感じる方は以下のコラムの対処法を参考にしてみてください。また精神的にかなりつらい場合は心療内科や精神科の受診も検討してみると良いでしょう。
*ネガティブ思考のメリット
ネガティブ思考がやや強いと言えます。ネガティブ思考は一見悪いと思われがちですが、リスクをしっかりと考えることができる、危険を回避できるというメリットもあります。例えば、医療現場などではミスを犯さないために必要な思考であると言えるでしょう。職種によっては相性の良い職場もたくさんあると言えます。
*注意点
ネガティブ思考は、仕事や特定の作業などではプラスに働くこともありますが、長時間持続している場合は抑うつにつながるなどメンタルヘルスに悪影響を及ぼします。長い期間、ネガティブ思考になっていると感じる方は以下のコラムの対処法を参考にしてみてください。
*ネガティブ思考が中程度の場合のメリット
ネガティブ思考は中程度と言えます。周りの出来事に対して、中庸であり、メリットとデメリットの両面からバランスよく考える方が多いでしょう。考えが極端にブレることがないので、安定的であると言えます。
*注意点
ネガティブ思考は、仕事や特定の作業などではプラスに働くこともありますが、長時間持続している場合は抑うつにつながるなどメンタルヘルスに悪影響を及ぼします。現時点では問題はないですが、予防策をあらかじめ知りたいと感じる方は以下のコラムの対処法を参考にしてみてください。
*ネガティブ思考がほぼない場合のメリット
ネガティブ思考はほぼないと言えます。ネガティブ思考が少ない方は、抑うつなどの症状が少なく、メンタルヘルスが良好な傾向があります。感情面ではポジティブな方が多く前向きに生きている方が多いでしょう。
*注意点
一方でネガティブ思考は、仕事や特定の作業などではプラスに働くこともあります。医療機関やミスが重大なリスクにつながる場面では、ややネガティブな予測なども検討してみると良いでしょう。
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ネガティブ思考を強める原因と対処法
ネガティブ思考を強めてしまう原因と解決策は、大きく分けると3つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪
①視野を広げてネガティブ思考改善
ネガティブな自責
ネガティブ思考が強い人は、上手くいかなかった事があると、その原因を自分のネガティブな部分のせいにしてしまう傾向があります。例えば、仕事で失敗したとします。ネガティブな自責が強い方は、必要以上に自分の能力の無さに注目してしまい、自信を失ってしまうのです。
様々な視点で考える
ネガティブな自責を軽くするには、多角的に考える習慣を身つけることです。様々な視点を持って考える事で責任の原因を自分ばかりに押しつける事が無くなります。
具体的には、ネガティブな自責を改善するために原因帰属理論を学びます。「原因帰属」とは、人が何に原因を求めるかという心理的な方向性を意味します。近年では、認知心理学の方法論や理論の研究として進められています。自分のダメな部分にいつも注目してしまう…という方は、コラム②の解説と練習問題に取り組んでみてください。
②ネガティブ反すうを抑える
「ネガティブ反すう」傾向が高い
ネガティブ思考が強い人は、「ネガティブ反すう」傾向が高くなります。多くの人はマイナスの出来事を、忘れてしまったり別の考えに切り替わったりします。しかし、ネガティブ思考が強い人は悪い出来事を繰り返し考え、何度もその嫌な感覚を思い出してしまいます。
反すうから抜けだそう
ネガティブ反すうを減らすには、焦らず自分のペースで対応する事が大切です。当コラムでは、ネガティブ反すうから抜け出すための方法を具体的にご紹介します。
ネガティブな記憶を何度も思い出してしまう・・・という方はコラム③の解説と練習問題に取り組んでみてくださいね。
③コラム法で整理する
視野が狭くなっている
ネガティブ思考が強い人は、なんでもマイナス面を考えてしまう、偏った思考パターンがあります。このような思考パターンは認知の歪みといわれます。もし皆さんが、どんな出来事でも、マイナス面を見つけてしまうとしたら要注意です。ネガティブがさらに、新たなネガティブを生みだしてしまい悪循環になってしまいます。
コラム法でネガティブ思考を抑える
当コラムでは、認知の歪みの対処法として「コラム法」という認知療法をご紹介します。コラム法で気持ちを整理することで、自分の考えをネガティブ、ポジティブ両面から物事を見る癖が身に付きます。悪いことばかり考えてしまう…という方はコラム④での手順と練習問題を確認してみてください。
ネガティブ思考を改善する方法
このように「ネガティブな自責が強い」「ネガティブ反すう傾向が高い」「認知の歪み」が、ネガティブ思考を強める原因となることが多いようです。
ネガティブ思考は健康な範囲であれば問題ありませんが、長期化すると人間関係がうまくいかなくなったり、心身のバランスを崩すことにもなりかねません。
ネガティブ思考を改善できると、自分や他人の言動にいちいち左右されることが少なくなり、物事にも積極的にチャレンジできるようになります。そのため、人間関係や仕事の幅も広がり、心と身体の健康状態も保つことができると思います。ネガティブ思考コラムを通して目指していきましょう!
次回は、ネガティブ思考を改善する「視野を広く持つ」についてご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)
*引用文献
神谷慶, & 幸田るみ子. (2016). 大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連. ストレス科学研究, 31, 41-48.