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会話が続かない,原因と改善策,心理的な問題

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会話が続かない,原因と改善策,心理

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「会話が続かない」です。

会話が続かない

りがない,持つ方法を知りたい」

相談者
33歳 男性

お悩みの内容
私は話すのが苦手で、会話が続かないという悩みに長年苦しんできました。特に、仕事では後輩とうまく信頼関係を築けず、近寄りがたい上司だと思われています。

また女性との話すとき、何を話していいかわからず、あたふたしてしまいます。沈黙が続いて気まずくなってしまい、明らかに相手が退屈しているのがわかります。

会話が続くようになりたい、正直何から手をつければいいのかわかりません。トレーニング方法を教えて欲しいです。

何を話せばいいのかわからず、沈黙が多くなってしまうのですね。当コラムでは会話が続かない悩みについて、徹底解剖をしてその対策を体系的にお伝えします。目次は以下の通りです。

①会話が続かない,前提の話
②会話が続かない4大原因
③会話が続く展開スキル
④話題の発想力をつける
➄会話の基礎スキル
⑥雑談を楽しむ心を育てる

筆者は心理学の大学院で成人の雑談研究をしてきた専門家でもあります。最も得意とする分野になりますので是非最後までご一読ください。

①会話が続かない,前提の話

まずはじめに会話が続かない原因から解説していきます。

原因は複数ある

実は会話が続かないという問題は、単純に解決できるものではありません。なぜなら同じ会話が続かない原因は様々だからです。例えるなら、会話が続かないという悩みは、「野球が苦手です」という悩みと同レベルなのです。

野球がうまくなるには、キャッチボールをして、ルールを覚えて、筋トレをして、毎日練習をして、なかなか大変です。3か月ぐらい毎日練習をして、やっと形になってくるぐらいです。

長期戦で考える

「会話が続かない」という悩みも、「野球が苦手」と同じぐらい、長期的に努力する覚悟が必要です。体系的に学ぶ、長期戦で考える、何度も練習する、これらを意識することをぜひ大事にしてみてください。

これから紹介スキルは1つ1つのスキルの獲得に、それぞれ1週間程度かかります。トータルでは、少なくとも3か月はかかると思います。ブックマークをして焦らず1つ1つ着実にステップアップしていってください。

会話が続かない,トレーニング

②会話が続かない原因

当コーナーでは会話が続かない4つの原因をお伝えします。ご自身にどれぐらいあてはまるか、チェックしながら読んでみてください。

1.展開スキルの不足

展開スキルとは、話題を掘り下げたり、別の話題に展開したり、話題を参加者と共有するスキルになります。ドライブに例えると、どの目的地に向かうか、どの道路を使うかという、全体のロードマップ作りのようなものです。会話の展開スキルが不足している人は、散発的な会話はできますが、腰を据えて長時間話すのが苦手な傾向があります。

2.話題の発想力の不足

話題の発想力とは、会話をする際に、最初の話題を提供したり、次の話題を思いつく力を意味します。話題の発想力が不足している人は、何を話せばいいのかわからない、すぐに話が終わるという悩みを抱えがちです。話題の発想力はドライブに例えると、前に進むアクセルのようなものです。

3.基礎スキルの不足

基礎スキルとは、1つ1つの会話に対する、細かい返し方になります。車に例えると、ウインカーを出す、ブレーキ、ワイパー、など細かい技術になります。具体的には、オウム返し、肯定返し、質問の技術、間の取り方、5W発話力、などが挙げられます。基礎スキルが不足している人は、1つ1つの話題が雑になるため、会話全体の質が落ちてしまいます。

4.心理的な問題

会話が続かない人は、心のあり方としてそもそも雑談向きではない心理になっていることがあります。例えば、相手の話に興味を持てない、対人不安がある、無駄な時間だと思う、などが挙げられます。話題の展開法や基礎技術を勉強しても、そもそも会話を続ける気力がない状態なので、会話がストップしやすくなります。ドライブに例えると、ガソリンが不足してしまうようなイメージですね。

いかがでしたでしょうか。一言で会話が続かないと言っても、実は様々な原因があるのです。以下それぞれの原因に合わせて対策を解説しています。

会話が続かない原因

③会話が続く展開スキル

当コーナーでは会話が続く展開スキルを紹介します。以下、上から順に初学者向けとなります。レベルに合わせてご活用ください。

話題共有法

話題共有法とは、1つの話題を、相手と共有することで会話を続ける方法です。単純に会話のボリュームが2倍になるので初心者におすすめです。例えば、旅行の話題を使った場合、以下のように会話を展開します。

*****具体例①
会話の相手
「最近、京都に旅行に行ったんです。観光名所をたくさん回りましたよ。
 ↓
まずは京都の話をたくさんしてもらう 
一通り話し終わったら、自分の話をする
 ↓
自分の話
「私も実は京都の行ったことがあります。私が行ったところは・・・」
このように、同じ「京都」という話題で、自分も相手も話すように心がけます。

*****具体例②
自分の話
「私は、麺類が結構好きで、特にラーメンが大好きです。SNSでおいしそうなラーメンを見つけるとすぐに食べに行きます。」
 ↓
まずは自分の話をする 一通り話し終わったら、相手にも聞く
 ↓
「〇〇さんは、好きな麺類はありますか?」
 ↓
会話の相手
「私も実はラーメンが好きです。私の場合は、市販のラーメンをよく食べます。特に好きなのは・・・」
このように同じ「麺類」という話題で、自分も相手も話すように心がけます。

このように「1つの話題を自分も相手も」という意識を持ち、話題をお違い話し合う意識を持つようにしましょう。共通点が見つかることも多いので、おすすめです。

優しい気持ちになる

高級すし法

会話がすぐに終わる人の特徴として、回転すしのようにコロコロ話題を変えてしまう方がいます。これでは1つ1つの話題があっさりしたものになり、すぐに終わってしまいます。

ここで大事にしたいことが、話題を高級すしのように、じっくりと味わうように進めていく意識です。具体的には、オウム返しをする、肯定的に返す、すぐに質問しない、これらを意識して、会話を進めます。

例えば、仕事の話題を使った場合、以下のように会話を展開します。

*****NGな具体例

会話の相手
「最近、プロジェクトが成功して、チーム全員で祝ったんです 」

自分の話
オウム返し:
「おお!プロジェクトがうまくいったのですか~」
「そうですか・・・そうですか・・・次はどんなプロジェクトをするのですか」

こちらのNGな例ではすぐに質問をしてしまい、話題の質も変えてしまっています。相手ももっと祝勝会の様子を話したかったのに…という気持ちになりそうです。

*****OKな具体例

会話の相手
「最近、プロジェクトが成功して、チーム全員で祝ったんです 」

自分の話
オウム返し:
「おお!プロジェクトがうまくいったのですか~」

肯定返し:
「チームでやり遂げると、絆が深まりそうですね」

再びオウム返し:
「そうかそうか♪祝勝会かあ 楽しそう」

こちらのOKな例で会話をすると、相手の話をじっくりと味わい、深く掘り下げることができます。高級すし法は、すぐに話題を変えず、じっくり咀嚼するイメージで話題を進めていくのがコツです。高級すし法にしっかり取り組みたい方は、下記をご覧ください。

ウィペディア法

「ウィキペディアの原理で発話」とは、ウィキペディアのように、話の中の単語やフレーズにリンクを貼るようにして、会話を広げていく方法です。ウィキペディアの各ページには、関連するキーワードがリンクとして設置されています。

これをクリックすると、そのキーワードに関する詳細な情報が表示されます。この原理を会話に応用し、話題を広げるために使います。この原理を意識することで、会話が途切れることなくスムーズに進行します。

具体例① 自分が話す場合

「私の好きな食べ物は日高屋チゲ味噌ラーメンです。職場の近くにあるので、週に3日は通ってチゲ味噌ラーメンを食べています」

日高屋をクリックする!
「日高屋はここ10年ぐらい増えてきたラーメン屋さんで、リーズナブルな中華を手ごろな値段で食べられるので重宝しています。」

日高屋をクリックする!
チゲ味噌ラーメンは具がホルモン入りの野菜炒めで、ピリッと辛いスープがとてもおいしいです!

具体例② 相手が話す場合

「私は最近、ショート動画をよく見ています。特に旅行系の動画で、観光スポットを紹介する動画が好きです」

ショート動画をクリックする!
「ショート動画ですか!さくっと見れて楽しいですよね。ちなみに、TIKTOKですか?ユーチューブショートですか?」

観光スポットをクリックする!
「自分も行ったような気持になれそうだなあ。ちなみにどんな観光名所が紹介されていましたか?」

このように、ウィキペディアの原理で、「クリック」を意識しながら会話をすると、続きやすくなります。下記にウィキペディア法の練習問題を用意しました。理解を深めたい方は実際にトレーニングしてみてください。

発話の練習問題

以下の文章のどこにリンクを貼れるでしょうか。また、リンクを貼ったら、話を広げてみましょう。話題はあくまで1例なので、例文は変えてもOKです。

練習問題1

私の好きな食べ物は王将のチャーハンです。高田馬場にある王将によく行っています。

 ↓

自分が話す場合で考えてみよう

 ↓

解答例

・リンク候補
王将,チャーハン,高田馬場

・広げる話題を選択
チャーハン

・話題を広げる

私の好きな食べ物は王将のチャーハンです。高田馬場にある王将によく行っています。
 ↓(広げる)↓
どうして王将のチャーハンが好きかというと,具がたっぷり入っていて,炒め具合がちょうどよく感じるからです

練習問題2

私の仕事はスポーツ用品の営業です。最近はオリンピック効果で景気がいいです。

 ↓

自分が話す場合で考えてみよう

 ↓

解答例

・リンク候補
スポーツ用品,オリンピック,景気

・広げる話題を選択
スポーツ用品

・話題を広げる

私の仕事はスポーツ用品の営業です。最近はオリンピック効果で景気がいいです。
 ↓(広げる)↓
スポーツ用品としては、だいたい300種類ぐらいあります。例えば、サッカー、野球、めずらしいものだと馬術の商品もありますよ。

傾聴の練習問題

以下の文章のどこにリンクを貼れるでしょうか。また、リンクを貼ったら、単語を選び、5Wを使って質問を考えてみましょう。

練習問題1

私の好きな食べ物はガストのスイーツです。メニューが豊富で楽しいです。


相手の話を聞く場合で考えてみよう

 

解答例

・リンク候補
ガスト,スイーツ,メニュー

・単語を選ぶ
ガスト

・質問

ガストには月に何回ぐらい、行きますか?(時間)
ガストは家から近いですか?(場所)
ガストはにぎやかですか(登場人物)
ガストにいくきっかけはありますか(理由)

 

練習問題2

私は学生時代野球部でした。県大会まで進みました。


相手の話を聞く場合で考えてみよう



解答例

・リンク候補
野球部,県大会

・単語を選ぶ
野球部

・質問

野球は何年ぐらいやっていたのですか?(時間)
ポジションはどこでしたか?(場所)
部員は何人ぐらいでしたか?(登場人物)
県大会ではどんな試合になりましたか?(詳しく)

 

傾聴力

さげさげ法あげあげ法

話題の展開の最後に、さげさげ法、あげあげ法を紹介します。それぞれ以下の意味があります。

↓さげさげ法↓
抽象的な話題を細かくしていく方法

↑あげあげ法↑
抽象度を上げながら会話を続ける方法

さげさげ法、あげあげ法は、説明がやや長くなってしまうので、折りたたんで解説します。中級レベルなので、ある程度理解が深くなった方は参考にしてみてください。

さげさげ法,あげあげ法の使い方

↓さげさげ法↓の具体例
旅行先がテーマの話題でさげさげ法の例を見ていきましょう。

会話が続かない さげさげ法 例

更に会話を続けていく場合には、抽象度が高いところに着目して抽象度をさげていきます。
今回は「梨がり」にスポットを当てて抽象度を下げていきましょう。

会話が続かない さげさげ法 例

「梨狩り」をより具体的な「梨」にして話を進めています。ここまで抽象度が下げられれば十分に具体的になっていますが、仕上げとして最後に相手の気持ちが聞けるといいでしょう。

会話が続かない さげさげ法 例相手が感情を表現できたら会話がしっかり下げられたと判断できます。さげさげ法を使った会話の流れは以下の通りです。

会話が続かない さげさげ法 例

さげさげ法は、話し手になった場合も使えます。「抽象度を下げて具体的にする」ことを意識すると、自分の話題が膨らみ会話が続きやすくなります。

↑あげあげ法↑の具体例
「また食べたい」という感情を聞き出せたので、抽象度を上げて「鳥取」から改めてさげていきます。大枠は以下の通りです。

会話が続かない あげあげ法 例「鳥取」にスポットを当てて抽象度を下げていきます。

会話が続かない あげあげ法 例

感情が聞き出せたら、話題の抽象度をまた上げていきます。更に会話を続けたい場合は、関連性の高い抽象度の高い話題を選び広げていきましょう。たとえば「鳥取」から「長崎」の話題に広げることができます。

会話が続かない あげあげ法 例

さげさげ法あげあげ法それぞれ話題ごとに具体例を用意しました。興味がある方は下記を展開して参考にしてみてください。

さげさげ法:食べものに関する会話

会話が続かない さげさげ法 例

さげさげ法:仕事に関する会話

会話が続かない さげさげ法 例

あげあげ法:食べものに関する会話

抽象度を「パスタ」にあげて「お店」にスポットを当てて抽象度をさげていきます。

会話が続かない あげあげ法 例

感情が聞き出せたら、話題の抽象度をまた上げていきます。更に会話を続けたい場合は、関連性の高い抽象度の高い話題を選び広げていきましょう。
たとえば「パスタ」から「寿司」の話題に広げることができます。

あげあげ法:仕事に関する会話

抽象度を「経理食」にあげて「給料」にスポットを当てて抽象度をさげていきます。

会話が続かない あげあげ法 例

感情が聞き出せたら、話題の抽象度をまた上げていきます。更に会話を続けたい場合は、関連性の高い抽象度の高い話題を選び広げていきましょう。
たとえば「経理職」から「バイトの話題」の話題に広げることができます。

 

時系列話題法

時系列話題法とは、話題を時間の流れ(朝、昼、夕方、夜など)に沿って順番に進めることで、会話をスムーズに展開する方法です。この方法では、特定のテーマに基づいて話題を時間の順序で整理し、順番に話していきます。

時系列話題法はかなり時間を稼げるので、腰を据えて話をする場合にうってつけです。例えば、旅行のお題では以下のように話題を展開します。

事前準備
傾聴「旅行の準備は大変でしたか?」
発話「ええ、荷物をまとめるのに時間がかかりました。でも温泉でリラックスできるのを楽しみにしていました。」

初日の午前中
傾聴「初日の午前中はどう過ごしましたか?」
発話「朝早く出発して、道中のサービスエリアで美味しい朝食を食べました。」

午後の観光
傾聴「午後はどこを観光しましたか?」
発話「地元の観光地を巡って、特に名所の神社が印象的でした。」

旅館に到着
傾聴「旅館に到着した時の印象はどうでしたか?」
発話「とても風情があって、部屋からの眺めが素晴らしかったです。」

湯舟
傾聴「温泉の湯舟はどうでしたか?」
発話「お湯がちょうど良い温度で、身体の疲れが一気に取れました。」

夜のエンタメ
傾聴「夜はどんなエンタメを楽しみましたか?」
発話「旅館で地元の民謡ショーを見ました。とても楽しかったです。」

このように、時系列話題法を使って、話題を時間の流れに沿って順番に進めることで、会話がスムーズに展開しやすくなります。これにより、相手との自然で深い対話が可能になります。

時系列話題法をさらに深く知りたい方は、以下の動画を参考にしてみてください。

④話題の発想力をつける

次に話題を豊かに発想する手法を2つ紹介します。

日常話題発想法

日常話題発想法とは、日常生活の中で行っている活動を話題にする方法です。私はよく「話題がない」という悩みを相談されますが、そんなわけがありません!誰もが日常の中で、様々なことを日々経験しています。

日常話題発想法では、自分が過ごしている何気ない日常を切り取り話題にしていきます。具体的なステップとしては、以下を参考にしてみてください。

STEP① 日常を時間ごとに切り取る
例えば、午前中を参考にすると以下のように、細分化できます。
ハムエッグを食べた ニュースを見た(来週台風が来るらしい) 朝歯磨きをした 出勤した 電車でYOUTUBEを聞いていた

STEP② 素材を選んで話題にする
午前中だけでも、5つの話題ができそうです!具体例として2つ挙げます。

ハムエッグ
作り方のコツ、焼き加減、その他、サイドメニューの話などに発展できそうです。

歯磨き
気に入っている歯磨き粉 歯ブラシは堅い歯?柔らかい歯?その他、歯医者の話に発展させる。  

このように、何気ない日常も、それぞれを切り取ると立派な話題になるのです。「話題がない…」と感じる方は、ぜひ参考にしてみてください。

四季の話題発想法

四季の話題発想法とは、季節ごとに変わる出来事や行事、気候に関する話題を取り上げて会話を進める方法です。春夏秋冬の移り変わりに合わせて、関連する話題を展開しやすくします。

この方法では、四季それぞれの特徴や行事、風物詩について話すことで、自然に会話を進めます。例えば、春には桜や新年度、夏には海や花火、秋には紅葉や収穫、冬にはクリスマスや年末年始といった話題を取り上げます。

季節ごとの特有のイベントや気候の変化は、誰にとっても身近なものなので、共感を呼びやすく、自然な会話のきっかけとなります。


傾聴「桜の開花はいつ頃だと思いますか?」
発話「そうですね、例年だと4月上旬くらいでしょうか。楽しみですね。」

傾聴「暖かくなってきましたね。何か春の予定はありますか?」
発話「はい、友人とピクニックに行く予定です。」


傾聴「夏休みはどこかに行く予定ですか?」
発話「はい、今年は家族で海に行く計画を立てています。」

傾聴「今日は最高気温が35℃らしいですよ。暑さ対策はどうしていますか?」
発話「エアコンをつけっぱなしにしていますが、アイスも欠かせないですね。」


傾聴「紅葉はもう見に行きましたか?」
発話「はい、先週末に嵐山に行ってきました。すごく綺麗でした。」

傾聴「秋刀魚が美味しい季節ですね。最近食べましたか?」
発話「はい、先日食べました。脂がのっていて美味しかったです。」


傾聴「クリスマスの予定はありますか?」
発話「家族でホームパーティーをする予定です。あなたはどうですか?」

傾聴「大晦日は何をして過ごしますか?」
発話「毎年恒例で、家でテレビを見ながらゆっくり過ごします。」

このように、四季ごとの話題を取り上げることで、自然な流れで会話が進みます。四季の話題発想法は、季節感を感じながら、相手との交流を深めるための効果的な方法です。

四季の話題について以下の動画でも解説しています。さらに理解を深めたい方は参考にしてみてください。

➄会話の基礎スキルをつける

ここまで会話の展開、話題の発想について解説をしてきました。いうなれば会話の骨子の作り方を学んだ段階となります。ここからは、肉付けの部分で、会話の細かいスキルについてお伝えします。会話は大きく分けて、「傾聴」「発話」の2つから成り立ちます。

傾聴スキル

傾聴スキルとして重要なのは、「言い換えのオウム返し」「肯定返し法」「質問の技術」の3つが最低限必要になります。当コラムでは最も重要度が高い「言い換えのオウム返し」を紹介します。言い換えのオウム返しは、相手の話を意味を変えずに、別の言葉にして返す方法です。具体的には以下のように返します。

会話の相手
「先日、箱根に行ってきました。露天風呂がたくさんあって気持ちが良かったです。

傾聴‐言い換えのオウム返し
「おお~露天風呂は、リラックスできそうですね~」

会話の相手
「私は東野圭吾の本をよく読みます。特に出張中に新幹線で読むのが至福の時です。

傾聴‐言い換えのオウム返し
「社内で読む瞬間が充実しているのですね♪」

このように、相手の話を言い換えて受け止めると、それだけで会話の時間が増えていきます。また言い換えて返すと相手がうれしくなって、話を続けてくれるケースもたくさんあります。是非、会話をする際に意識してみてください。その他の傾聴スキルについては、以下のコラムを参考にしてみてください。

傾聴スキルの基礎

発話スキル

発話スキルとして重要なのは、「自分へ質問スキル」です。自分へ質問スキルとは、「好きな〇〇はというと?」「〇〇なのはなぜかというと?」と自分に質問をしていくことで積極的に話題を膨らませていく手法です。

具体的には以下のように返します。

自分の発話
「私は最近、DIY系の動画にハマっています。
   ↓
 特に好きな動画は何かというと
   ↓
小屋を作る系の動画です。庭に自作で、小屋を作っていく様子の動画なのですが、秘密基地間があってワクワクします。」

自分の発話
「朝食はパン派です。ほぼ100%パンですね!」
   ↓
 気に入っている食べ方はというと
   ↓
ラピュタ風のパンにして食べることです。たっぷりのハムとトロトロの目玉焼きをのせて食べればそれだけで幸せです。」

このように、本来なら相手がしてくれそうな質問を自分にしてしまうことで、話を膨らませていくことができます。その他の発話スキルについては、以下のコラムを参考にしてみてください。

発話・話すスキルの基礎

会話の基礎スキルの成長は、個人差があります。もともとスキルが高い方は、すぐにマスターしてしまいますが、かなりの口下手な方は、場合によっては1年近くのトレーニングが必要になります。しっかり研鑽を積みたい方は、ページ下部で紹介している講座に練習しにきてください。

傾聴力,エンパワーメント

⑥雑談を楽しむ心を育てる

最後に、雑談を楽しむための心構えを提案いたします。

相手の心を読みすぎない

読みすぎる人は、相手のちょっとした表情や言動から、深い意味を読み取ろうとしがちです。しかし、実際には相手はそこまで考えていないことも多いものです。また、過去の経験や思い込みから、相手の言葉を勝手に解釈してしまうこともあります。

一方、読みすぎない人は、相手の言葉や態度をそのまま受け止めます。深読みすることなく、相手が表面的に表現していることだけを信じるのです。そのため、相手との間に誤解が生じにくく、自然な会話が生まれます。

雑談を楽しむためには、相手の心を読みすぎず、ありのままの相手を受け入れることが大切です。相手の発言に込められた真意を探ろうとするのではなく、その言葉を素直に受け止めてみましょう。そうすることで、相手との距離を縮め、より深い信頼関係を築くことができるのです。

下記の動画では、心の読みすぎ癖を克服する方法をくわしく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

好奇心を育てる

好奇心は、雑談を楽しむための大切な要素の一つです。好奇心旺盛な人は、常に新しいことを学んだり、未知の世界を探求したりする意欲を持っています。好奇心は大きく分けて、伸展型好奇心と包括型好奇心の2つに分けられます。

伸展型好奇心
伸展型好奇心は、自己の成長を促すために新しい機会を探し求めるものです。未知の領域や新しい知識への挑戦を好んだり、困難な課題にも積極的に取り組んだりします。常に成長し、自己を高めようとする意欲が強いのが特徴です。

包括型好奇心
一方、包括型好奇心は、予期しない出来事でも積極的に受け入れようとします。変化や未知の状況を恐れず、多様な価値観や考え方を尊重します。自身の弱さや欠点を受け入れることもできます。予定外の出来事にも柔軟に対応できる柔軟性や、異なる文化や考え方に興味を持つ寛容な心が特徴です。

この2つの好奇心を育てる意識を持つことで、雑談に積極的に参加できるようになります。好奇心を高める方法をくわしく知りたい方は、下記をご覧ください。

好奇心コラム

固く考えすぎない

固く考えすぎる人は、常に完璧な会話しようとします。相手が何を考えているのか、自分が何を言うべきなのか、などと考え込んでしまい、なかなか言葉を発することができません。また、自分の発言が相手にどう受け止められるかを気にしすぎて、本来の自分らしさを出すことができないこともあります。

一方、気楽に考える人は、深く考えすぎずに、ありのままの自分を受け入れます。完璧な会話なんてないと分かっているので、肩の力を抜いてリラックスして話すことができます。また、相手の話に集中し、共感を示すことで、自然な会話の流れを作ることができます。雑談を楽しむためには、固く考えすぎず、気楽に考えることが大切です。

一期一会に感謝

雑談を楽しむためには、「一期一会」の精神を持つことが大切です。私たちは、偶然同じ場所に、同じ時間に居合わせ、会話をする機会を得ています。これは、まさに奇跡的なことです。二度とないこの瞬間を、私たちは大切にしなければなりません。

会話をする相手は、家族や友人とは限りません。初対面の人と話すことも多いでしょう。しかし、どんな相手であっても、その出会いに感謝し、心を込めて接することが大切です。一期一会を大切にすることで、雑談はより深く、味わい深いものになります。ぜひ、相手に敬意をもって会話を存分に楽しみましょう。

会話を続けるための練習

 

しっかり身につけたい方へ

当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、公認心理師による講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。

・会話が続く,ウィキペディア展開法練習
・会話が続く,あげあげ,さげさげ法
・誰でも話せる,四季の話題練習
・聞き上手・話し上手トレ

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^) 

会話が続かない悩みを解消,ウイキペディア展開法,コミュニケーション講座

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連