恋愛や片想いで嫉妬しない方法
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「嫉妬しない方法」です。
相談者
29歳 女性
お悩みの内容
私は現在付き合って3か月の恋人がいます。彼はすごく社交的な人で、女性の友人も多く、飲み会などにも定期的に行ってしまいます。
古くからの友人だから大丈夫…と彼は言っていますが、気が気ではありません。実は先日彼のスマフォをチェックしてしまいました。
特に浮気をしている形跡はなかったのですが、嫉妬深い自分がいやになります。嫉妬しない方法などありましたら教えてください。
彼を愛するがゆえに、嫉妬の心が強くなってしまうのですね。好きになる心は素晴らしいと思います。一方でスマートフォンチェックまでしてしまうのは、過剰な印象を受けます。
当コラムでは嫉妬しない方法を解説していきます。是非最後までご一読ください。
嫉妬の意味と種類
まずはじめに嫉妬はどのような感情なのか?把握するところから始めていきましょう。
嫉妬するとき
嫉妬には以下のような意味があります。
今、保持している価値ある関係が、誰かに奪われてしまうのでは、という自己防衛的な恐れ(White,1989)[1]
このように嫉妬とは、私たちが持っている何らかの価値を、他人に奪われる!と感じた時におこる感情と解釈できそうです。恋愛においては、
恋のライバルに奪われる
彼の愛情を別の人に奪われる
男友達が優先され、私との時間が奪われる
このように考えた時に嫉妬心が芽生えやすくなります。
嫉妬の影響
神野(2016)[2]は学生234名を対象に、恋愛における嫉妬尺度の作成をしました。その過程で、恋愛における嫉妬には以下の3つの種類があることがわかりました。以下筆者のアレンジも加えつつ紹介します。
猜疑的認知
疑り深い嫉妬を意味します。証拠がないにも関わらず、恋人を誰かに奪われてしまうと、疑り深くなり、悲観的な結果を想像をしがちです。現実離れした考えに発展し、悩まなくてもよいことで悩んでしまいます。
排他的感情
恋愛のライバルを排除したいと感じる嫉妬です。ライバルが恋人と会話をしていたり、微笑んだりすると不機嫌になります。エスカレートすると、恋人やライバルに対する怒りを持つこともあります。
警戒行動
恋人が浮気をしないように、予防をしたり、情報を集めようとします。過去に付き合った人数を必要以上に把握しようとしたり、行動をするときはどこに行ったか、誰にあったか、詳細に報告するように求めたりします。
嫉妬と心理学研究
嫉妬については心理学の世界で様々な研究があります。理解を深めたい方は、興味がある見出しをクリックしてみてください。
和田(2015)[3]は、大学生186名を対象に、恋愛で嫉妬した時の心理的影響を調査しました。その結果の一部が、以下の図になります。
図のように、女性の方が不安が大きいことがわかります。女性は男性に比べて、嫉妬した時に大きな不安を感じると言えそうです。
和田(2015)[3]は、大学生186名を対象に、恋愛で嫉妬した時の心理的影響を調査しました。その結果の一部が、以下の図になります。
図のように、男性よりも女性の方が怒りが大きいことがわかります。女性は嫉妬すると、パートナーや嫉妬の対象となる相手に対して、強い怒りを感じると考えられます。
神野(2014)[4]は、「青年の恋愛関係における嫉妬と自己愛の関連について」以下のような報告をしています。
「注目・賞賛欲求」と嫉妬傾向はいずれも有意な正の相関を示していました。これは注目されたいと願うと、同時に嫉妬しやすくなると推測されます。
和田(2015)[3]は、嫉妬後の相手とのコミュニケーションについて、調査を行いました。その結果が下図となります。
このように、男女とも「相手の反応確認」をよく用いることがわかりました。和田の考察によると、「相手の反応確認」という行動は欧米での研究からは抽出されず、日本特有のコミュニケーションと言えるとのことでした。
文化的な背景として、日本では“自分の感情を相手に直接ぶつける”ということに抵抗が強く、“相手の自分に対する気持ちをそれとなく確かめる”という穏やかな手法を取りやすいと言えそうです。
*用語の意味
・相手の反応確認
不安そうに振舞う傷ついたように見せる
・否認・回避
「嫉妬をしていない」と自分の感情を認めない平気なふりをして見せる
・非難けんか
話題を何度も持ち出して責める、恋人を非難する
・所有の表示
自分の恋人であることを、周囲の人に紹介して見せる
嫉妬しない7つの方法
嫉妬は大事な人を守ろうとする感情なので、持つことは自然です。しかし、コントロールが聞かず、衝動的な行動をとったり、疑り深くなりすぎると、結果的に大事な人の信頼を失い、あなた自身を傷つけることになります。
そこで当コラムでは、過剰な嫉妬をおさえる方法を7つ提案します。
①自分の感情に気が付く
②怒りのコントロールをする
③現実検討力を高める
④限界設定をする
⑤アサーティブに主張する
⑥見捨てられ不安への対処
⑦自己肯定感を高める
ご自身でも活用できそうなものを組み合わせて、参考にしてみてください。
①自分の感情に気がつく
嫉妬に駆られているときは、感情的になり、相手に怒りをぶつけたり、自暴自棄になってしまいます。ここで大事なことは、マインドフルネスの感覚を持つことです。
マインドフルネスとは、冷静に自分の感情に気がつき、観察することで冷静さを取り戻す手法を意味します。具体的には
今、私は嫉妬しているな
今、私はやきもちをやいているな
今、私は衝動的になってるな
と自分を客観的に眺めてみてください。自分の感情を観察すると、我を失った衝動的な行動を抑えることができます。
詳しいやり方は以下のコラムで詳しく解説しています。感情になると我を失いがち…と感じる方は参考にしてみてください。
②怒りのコントロールをする
嫉妬は怒りと結びつきやすい感情です。増大すると、暴言、暴力、自傷行為に結びつきます。そのため嫉妬心がある方は、怒りのコントロールを学ぶことをおすすめします。
怒りのコントロール法としては複数がありますが、当コラムでは、「冷静ワード」を用意する手法を紹介します。例えば以下のような言葉が挙げられます。
怒りをぶつけても解決しない
冷静になってから話し合おう
他人に怒るより、自分の人生を大事にしよう
嫉妬が大きくなりそうになったら、自分自身にフィットする考えを用意しておくことをおすすめします。
なおアンガーマネジメントの手法はたくさんあります。嫉妬をすると強い怒りを覚える…と感じる方は以下のコラムを参照ください。
③現実検討力を高める
嫉妬に駆られている時は、極端で非現実的な考え方が浮かんでいることがあります。
浮気するにちがいない
下心があるに決まっている
絶対に仕事ではない
根拠なく上記のように考えてしまっていたら、黄色信号です。ここで大事なのが「現実検討」をしてみることです。現実検討能力とは、
小さな根拠を大きくしていないか
それは現実的な考えか?
思い込みになっていないか?
を冷静に考えて行く姿勢を意味します。この3つの質問を自分に投げかけるだけで随分冷静になれると思います。嫉妬が強い時期に自分へ投げかけてみてください。
なお現実検討のトレーニングは以下のコラムで詳しく解説しています。思い込みが激しい…と感じる方は参考にしてみてください。
現実検討能力を高める
④限界設定をする
嫉妬に駆られる方は、自分の行動に限界設定をしておくことも大事です。限界設定とは
ここまではOk
これ以上はNG
という明確なルール
を意味します。具体的には
心配しても「今どこ」メールはしない
疑ったとしてもスマフォは見ない
好きな人のSNSを見るのは3日に1回
など行動の基準を明確にしておくようにしましょう。嫉妬が大きくなり、行動がエスカレートしていると感じる方は以下のコラムを参考にしてみてください。
限界設定のやり方とは
⑤アサーティブに主張する
もし実際に浮気の証拠があった場合は、嫉妬が大きくなるのは当然のことです。この時は我慢をせず、しっかりあなたの想いを主張しましょう。ただこの時、相手の人格を批判したり、感情的に怒りをぶつけても、建設的な話し合いは難しいでしょう。
ここでおすすめなのが、アサーティブに話し合う姿勢を持つことです。アサーティブとは、
自分と他人を尊重しながら建設的に話し合う
ことを意味します。例えば、主張をするときは、
私は心配している…
私は寂しい…
私は残念に思う
と自分を主語にして主張をすると柔らかい主張のやり方になります。これはアイメッセージと言います。このような建設的に主張する技術は以下のコラムで複数紹介しています。
パートナーと実際に話し合いたい…と感じる方は以下のコラムを参照ください。
⑥見捨てられ不安に気が付く
嫉妬心が強い方の根底には見捨てられ不安がある可能性があります。見捨てられ不安とは、いつかこの人がいなくなってしまうのではないか…という心の動きです。
特に幼少期の家庭環境が悪かった方に見られる心理です。恋人関係、友人関係、問わず、ある程度仲良くなってくると嫉妬しやすくなる方は、下記のコラムを参照ください。
見捨てられ不安コラム
⑦自己肯定感を高める
嫉妬しやすい方は、自己肯定感が不足しているという研究もあります。自己肯定感が不足していると、
こんな自分を好きになってくれるのは彼だけ
彼がいなくなったら誰も私を好きになってくれない
彼を誰にも取られたくない
という心理になります。
一方で、自分に自信がある方は、どっしりと構え、「なんやかんや自分には魅力があるから大丈夫♪」と嫉妬に焦らずゆったり相手と付き合うことができます。
自己肯定感を高めて行きたい方は以下のコラムを参照ください。
まとめ
当コラムでは嫉妬をしない方法を7つ紹介していきました。嫉妬は相手を好きであるという気持ちの裏返しです。好きと言う気持ち自体は極めて健康的です。
一方で、嫉妬心は放っておくと心の中でどんどん膨らんでしまいます。そして自分自身も望まないような行動を感情に任せて行ってしまうこともあります。
皆さんが冷静に嫉妬心をコントロールして、健康な恋愛を進めてほしいと切に願っています。
しっかり身につけたい方へ
当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、公認心理師による講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。
・嫉妬の心のコントロール法を学ぶ
・カッとならない,アンガーマネジメント
・自分の気持ちを伝える,主張練習
・健康的な人間関係を築くトレーニング
🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連