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行動力を高める方法

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行動力を高める7つの方法

皆さんこんにちは。現役経営者、公認心理師の川島達史です。私は現在こちらのコミュニケーション講座の講師として活動しています。今回は「行動力がない」というお悩みを相談頂きました。

行動力がない

相談者
32歳 男性

お悩みの内容
私は入社8年目の会社員です。昔から新しいことに挑戦するのが苦手です。例えば、会議で発言をしようと思っても、不安で尻込みしてしまいます。先日上司から、もう少し行動力を増やすように!と釘をさされてしまいました。積極的に行動するための心構えがあったら知りたいです。

不安に感じ、挑戦できない感覚があるのですね。当コラムでは、現役経営者、公認心理師としての立場から、行動力を高める方法を7つ提案させて頂きます。

① スモールステップを徹底する
② 失敗よりも成功イメージ
③ 決断に納期を設定する
④ ゼロリスクを求めない
⑤ 迷ったらGOを原則
⑥ 恐怖突入する
⑦ フロー状態を維持する

ご自身でも活用できそうなものを組み合わせてご活用ください。

行動力を高める7つの方法

①行動のハードルを下げる

行動力が低い人は、最初から大きな目標を立ててしまう傾向があります。大きな目標を立てることはすばらしいですが、やる気を失うリスクもあるので注意が必要です。

例えば、私のクライアントの方に、ITの試験でスランプに陥っている方がいました。話を聞くと、

今日は4時間勉強しなきゃ
今日は半日勉強しなきゃ

と最初から大きな目標を掲げる癖がありました。そこで相談の上で、

とりあえず教科書を開く
とりあえず教科書を2行だけ読む
2行が終わったら、また2行読んでみる

このようなやり方をおすすめしました。とりあえず教科書を開いてみる。これならなんとかできますよね。開いたら、2行読んでみる、これもできそうですね。読み終わったら、もう2行だけ読んでみる。このように小さな目標を作って、進めていくのです。

このように小さな目標をつくって、1つ1つ積み重ねていく習慣をつけ、クライアントの方は勉強時間を延ばすことができました。私のアドバイスがどれぐらい効果があったかはわからないですが、結果的にはITの試験に見事合格することができました。

意欲が湧いてこない時は、目の前のごく小さな作業からこなすことで、意外と行動できることもあるのです。詳しいやり方は、以下のコラムの中盤にある「不安階層表の作り方」で詳しく解説しています。是非参考にしてみてください。

行動療法,不安階層表

 

不信感を少しづつ減らしていこう

②失敗よりも成功イメージ

行動できない方は、失敗をイメージしやすい傾向にあります。例えば、以下のような結果を想像してしまいます。

どうせ自分には無理
失敗するに違いない
嫌われたらどうしよう

このように行動する前から考えると、不安を感じやすく、行動を回避しがちになります。一方で、行動できる方は、成功をイメージする傾向にあります。例えば、以下のような結果を想像します。

きっとうまくいく
自分なら成功できるだろう
あの人なら喜んでもらえるはず

すると、早く成果を得たくなり、積極的に行動するようになります。また、心理学では「ワレンダ効果」というものがあり、成功確率が上がることがわかっています。失敗への恐怖心をさらに和らげたい方は、以下のコラムをご参照ください。

失敗が怖い心理を克服する6つの方法

③決断に納期を設定する

行動力が不足している方は、決断を先延ばしする傾向があります。決断を遅らせてしまうと、どんどんやる気が薄れていき、最終的に行動しない…という結果になりやすくなります。そこで、おすすめなのが、「決断に納期を設ける」ことです。

具体的には、

1.選択肢を3つに絞る
選択肢を全て挙げます。次に、実行できるかどうか、メリットなどを考えながら2つか3つに絞ります。

2.決断の納期を決める
「2分以内に答えを出す」「3日後までに決める」など、決断の納期を決めます。

3.迷いながらも行動
時間がきたら、エイヤ!で決断し、行動していきます。

4.行動できた自分を褒める
成功・失敗に関係なく、決断できた自分を称え、後悔しないようにします。

このように決断に納期を設けると、行動力を高めることができます。詳しくは下記のコラムの前半に練習問題があります。是非参考にしてみてください。

決断力をつける方法

④ゼロリスクを求めない

行動できない方は以下の傾向があります。

最善の選択でなければならない
デメリットがない選択をしたい
万が一ケガをすることも

このような思考に陥ると、最高の選択を探し求め、いつまでも行動できない状態が続いてしまいます。あてはまる方は、最善の行動よりも、ベターな行動をとることを習慣にすることをおすすめします。

特にビジネスの世界では、100%正しくて、リスクゼロの行動など存在しません。ある程度リサーチをして、メリットがデメリットを上回っているのであれば、積極的に挑戦していきましょう。

ベターな決断でOk

⑤迷ったらGOを原則

行動力がない方は、興味があることを見つけた時に、行動すべきか否か迷ってしまうことも多いと思います。そんな時は、とりあえず行動してみた方が後悔は少なくなることがわかっています。

上市ら(2004)[1]は大学生70名に対して、好きな異性に告白した場合と、しなかった場合の後悔の大きさを調べています。その結果の一部が以下の図です。

決断力と後悔

図を見ると、結果に関わらず「告白した」方が「告白しなかった」よりも短期、長期のどちらも後悔が小さいことがわかります。人生は一度しかありせん。迷ったら、すぐに行動してしまった方が後悔がない人生を歩むことができるのです。

⑥恐怖突入する

心理学には恐怖突入という言葉があります。意味としては以下の通りです。

不安や恐怖があったとしても、実際チャレンジすると意外と大したことはないものだ。だから積極的に行動しよう。

これは日本の心理療法家として有名な、森田正馬の考え方です。行動力がない方は、不安や恐怖に囚われ、アクションを起こせないことが多々あります。しかし、行動してみれば、想像していたような不安は現実にならないことも多いのです。

私自身、行動する前は恐怖心が現れることもありますが、そんな時は「恐怖突入だ~」と言い聞かせて行動するようにしています。恐怖突入に興味がある方は下記のコラムを参照ください。

森田療法の基礎

⑦フロー状態を維持する

行動力を維持するには、「フロー状態」に入ることがとても大切になります。フロー状態とは、ハンガリー系アメリカ人の心理学者ミハイ・チクセントミハイ(Csikszentmihalyi, M.R.)が1975年[2]に提唱しました。

要約すると、”没頭していて、あっという間に時間が過ぎている状態”のことを意味します。例えば、

1日中ゲームに没頭
スポーツで高度に集中
YouTubeを時間を忘れて見続ける

などがフロー状態になります。このフロー状態に入ることができると、行動することが楽しくなり、一度始めたことが継続しやすくなります。

フロー状態に入るには、「少し頑張れば、達成できそうな目標設定」が重要になります。自分のスキルに見合った目標を作ることで、努力と達成感がキープされ、充実感が得られやすくなるのです。

フロー状態についてより深く知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。

フロー心理学とは

まとめ

ビジネスにおいて、行動力がない人は土俵にすら上がれません。行動する前は不安が出てくるものですが、思い切ってチャレンジすれば、成功、失敗に関わらず後悔はしないものです。人生は一度しかありません。積極的に挑戦をして、やり切った!と思えるようにしていきましょう。心から応援しています。

もっと学びたい方へ

当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、現役経営者、公認心理師による講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。

・行動力をつける,心理学の学習
・失敗よりも成功をイメージする練習
・恐怖突入の理解,実際に行動する
・自分に自信をつける,プレゼンへ挑戦

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^) 

行動力を高める方法,コミュニケーション講座

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]上市秀雄, 楠見孝(2004).後悔の時間的変化と対処方法 74 巻 6 号 p. 487-495
 
[2]Csikszentmihalyi, M. (1975). Beyond boredom and anxiety: Experiencing flow in work and play. Hoboken, NJ: Jossey-Bass Publishers.