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恨みの意味-消えない,晴らす方法

恨みの意味-消えない,晴らす方法

はじめまして!公認心理師の川島です。
今回のテーマは
「恨み」
です。


改善するお悩み
・恨みが消えない
・晴らす方法を知りたい
・前向きになりたい
全体の目次
・恨みとは何か
・心理学の研究
・改善する5つの方法

はじめに

誰かから理不尽な扱いを受けたとき、私たちの心は、暗くすさみ、納得できない気持ちでいっぱいになります。

そして、恨みは攻撃性を帯びしている感情です。仕返しをしたくなったり、それがかなわなければ身近な誰かにぶつけてしまうことすらあります。

攻撃をしてしまったら、傷つくのは結局は自分になります。自分を守ってほしいです。当コラムではそんな恨みを健康的に処理するという視点から解説をしていきます。

恨み,意味

恨みの意味とは

意味

まずは恨みの意味から考えていきましょう。心理学者の山野(1987)は次のように定義しています。

だれかにひどい仕打ちをされて不快になった思いを、辛抱し続けた結果でてくる感情

つまり、恨みとは不快な出来事からすぐに生まれるわけではなく、ある程度時間が経過して生まれる感情のようです。

恨みとは?

恨みが起こりやす状況

鈴木(2018)の研究によると恨みは3つの条件で起こりやすいことが分かっています。

・許せなさ
相手を許せない気持ちがあるときに起こります。自分の大事なものを奪った、快楽のために使われた、人間的な扱いを受けなかったなど非倫理的な行い、理不尽な行いがあるときに人は相手を許せなくなります。

・どうしようもなさ
一方で恨みは過ぐには解消できない事情があったりします。例えばいじめの問題であれば、仕返しをすればいじめが増長してしまうことがあります。恨みが長期化するのはすぐに解決できないという事情もあるのです。

・不公正感
自分だけが不幸な目に合っている、自分だけは不利益を被っていると感じる場合に恨みは大きくなります。例えば、みんなで頑張って達成したプロジェクトなのに、自分だけボーナスが出ないなどが挙げられます。

愛されたい心理

 恨みの根底には、意外なことに甘えの感情もあるそうです。“甘え”の研究で有名な精神分析家 土井建郎(2007)によると、

・愛されたい
・気持ちをわかってほしい
・自分の都合に合わせてもらいたい

という甘えの感情が満たされない時に、憎しみや怒りが生まれ、甘えの感情が表現されず押さえ込まれた結果、恨みの感情が出るということです。

そして、甘えと恨みの感情が混ざり合い「すねる」「ひがむ」「ひねくれる」など被害者意識につながるということです。

恨みと甘えの関係

「どうしようもない…」という、無力感や諦めといった内向的な感情も生じることが予想されるため、当事者は苦悩を体験している可能性があると言えそうです。

恨みと研究

恨みの感情は私たちの生活にどのような影響を与えるのでしょうか?いくつか研究を紹介いたします。興味がある項目があったら展開してみてください。

澤田(2013)は、小中学生のいじめがなぜ起こるのか、助長されるのかという研究をしています。小中学生1,707人を対象に質問紙調査を行いました。

この研究では、友達からいじめに誘われた際、いじめに関わる子供は「いじめ傍観者」「いじめ支援者」「いじめ強化者」の3タイプに分けられるとしています。

以下は、恨みの強い子どものいじめ参加役割についてまとめています。( )内の数値が他群と比較した相対的な結果です。

恨み感情が強い子どもは、いじめに参加する「いじめ支援者」と、いじめに積極的に加わる「いじめ強化者」に多いことが分かりました。

恨みが強い子のいじめの特徴この結果は、恨みが強い人が、いじめの支援者やいじめの強化者に回ることが多く、積極的にいじめを助長する立場に回る可能性を示しました。

以上の研究から、同じネガティブ感情を持っていても恨み感情の方がいじめに直接的に参加するなど攻撃性が強いことがわかりました。

恨みとは相手への感情なので敵意とも解釈できます。

敵意とは、他者に対する否定的な信念、態度、猜疑心、不信感、恨み(佐々木・山崎,2002)であるといわれています。ここでは、敵意≒恨み感情として生活の質(Quality of life; QOL)との関連をみていきます。

橋本・織田(2008)は、286名の大学生を対象に質問紙による調査を行いました。質問紙では、敵意とQOLを測定するものが用いられています。QOLは以下の項目で構成されています。

身体的:睡眠、食事、身体の痛みなど
心理的:生活の中での楽しみなど
社会的:対人関係など
環境的:安全感など

調査の結果、敵意がすべてのQOLの項目と、中程度から強い負の関係にあることが分かりました。

敵意とQOLとの相関係数

つまり、敵意≒恨みにより生活の質全般が下がる可能性が高いということです。また特に、心理的QOLが下がっていることから、敵意≒恨みが強くなってくると抑うつを強める恐れもあります。

Googleで「恨み」「犯罪」というキーワードで検索すると300万件以上ヒットします。ここでは、恨みの感情と攻撃性について、研究結果をもとに見てみましょう。法務省が公開している研究報告からご紹介します。

この研究では、殺人を犯した52名(51名男性:1名女性)の犯行動機の内訳を表しています。

殺人理由に関する法務省の統計

この研究報告では、犯行動機の第2位に「他者に対する恨みや怒りを晴らす」とあります。第1位の「自分の現状に対する不満」に関しても、社会や周囲に分かって欲しいという気持ちが、恨みの感情につながるとも読み取ることもできるかもしれません。

 

恨みを改善する5つの方法

ここからは恨みを改善する方法を考えていきたいと思います。恨みは強い感情であるため、すぐに解決できるということはありません。

一方で、丁寧に対処して1つ1つ整理していけば乗り越えていける感情であるとも思います。以下の4つのやり方について使えそうだなと思うものがあったら参考にしてみてください。

 

自分を大事にすると決意

まずはじめに、自分を大事にすることを決意しましょう。恨みをそのまま誰かにぶつけていると、大概の場合は自分にとっても不幸な結果になってしまいます。

暴言を吐く、物理的な行動にでる、物を壊す、自傷行為をすることがないように気を付けましょう。

まずは恨みから自分自身を守る!と堅く決意をしてください。

自分を大事にする

メタ認知

時に理不尽な扱いを受けて相手を攻撃したくなったとしても、その攻撃性をそのまま発揮してしまわないようにすることです。

そのためには自分自身の状況を客観的に把握して、恨みで我を忘れないようにしなくてはなりません。恨みで攻撃性が出てきて、誰かに当たってしまう、行動に移しそうになってしまう方は、下記のコラム参考にしてみてください。

メタ認知コラム

恨みに気がtく

反芻をやめる

心理学の世界ではネガティブ反芻(はんすう)という言葉を使うことがあります。ネガティブ反すうとは何度も繰り返し嫌な出来事を思い出してしまうことを意味します。

ネガティブ反芻が多い方は、1度の体験を何度も自分の頭の中で再体験してしまい、抑うつ感を高めてしまうことがあります。

1つの対策として、ある程度区切りをつけて、別のことを考える思考ストップ法があります。何度も思い出してしまう…という方は以下のコラムを参考にしてみてください。

思考停止法,ストップ法

 

昇華とは?

昇華は、自分の中で受け入れがたい欲求があった時に、社会的に望ましい方向に変化させ発散させていく心の働きのことです。たとえば、いじめにあった経験があったとします。

恨み⇒マイナスに使う人
いじめの経験に恨みをもち、暴言などを吐くなど攻撃的になります。恨みの結果的に自分もマイナスの状況になってしまいます。

恨み⇒昇華できる人
いじめの経験から、いじめのない社会をつくるための勉強を始めたとしたら、社会貢献のための活動の原動力できます。

このようにマイナスの心理をプラスの行動に役立てることを昇華と言います。恨みの感情を抱いた時は、ポジティブな出来事へ変えるチャンスでもあるのです。

*例を示しながら動画解説もしています。

リフレーミング

昇華をする際には、様々な視点を足していくことが大事です。困難を乗り越えていく人の考え方などを学習しておくと大きなヒントになると思います。

昇華と合わせて思考の引き出しを増やしてみましょう。

リフレーミング力をつける

 

まとめとお知らせ

まとめ

最後に、これまで「恨み」コラムにお付き合いして頂き、ありがとうございました。新しいことを生活に取り入れ、これまでの習慣を変えるのはなかなか大変なことです。

焦らず、できそうなことから根気強く取り組んでみて下さい。

講座のお知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・土井建郎(2007)「甘え」の構造, 弘文堂 
・神谷慶, & 幸田るみ子. (2016). 大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連. ストレス科学研究, 2016005.
・澤田匡人・中野信子(2015)正しい恨みの晴らし方,ポプラ社.
・澤田匡人. (2013, July). PD-012 いじめ被害者に対する妬みと恨みが参加役割に及ぼす影響: いじめ被勧誘者の態度に基づく類型化を通じて (人格, ポスター発表). In 日本教育心理学会総会発表論文集 第 55 回総会発表論文集 (p. 275). 一般社団法人 日本教育心理学会.
・鈴木拓朗. (2018). 「恨み」 とは何であるのか?. 感情心理学研究26(Supplement), ps34-ps34.
・橋本空, & 織田正美. (2008). 大学生における攻撃性と Quality of Life の関連性. 健康心理学研究21(2), 49-56.
・山野保(1987)「恨み」の心理―その洞察と解消のために,創元社