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笑うの効果とは?苦手を克服する方法

笑うことの効果・苦手になる原因・対処法①

はじめまして!精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は、「笑う」についてお話していきます。コラム①の目次はこちらです。

  • 笑うことの効果・できない問題
  • 笑いと感情の関係
  • 3つのアプローチで自然な笑顔
  • 体調の整え方
  • 表情筋を動かすトレーニング
  • 3つの心理的ケア

全5回のコラムを読み終わった後は、ミニスマイル博士になっていることをお約束しましょう。なお当コラムは動画バージョンもあります。もし気に入って頂いたら最後にチャンネル登録マーク が出来ていますのでご登録頂けると励みになります!

笑うことの効果

皆さんは笑うことにはどんな効果があると思いますか?

「笑う門には福来る」という言葉がある様に、「笑う」ことで自分の健康に良い効果を与えてくれることは、経験的に感じている人は多いかもしれません。一方で笑うことは、コミュニケーションでも相手に良い効果をもたらしてくれます。まずは、笑いと好感についての研究を見ていきましょう。

梅野(2015)は大学生230名に対して、非言語コミュニケーションと好感の関係について調査を行いました。調査は4段階です。

好感をもたれる     ⇒4
やや好感につながる   ⇒3
あまり好感につながらない⇒2
好感につながらない   ⇒1

採点の結果、印象形成で最も好感に効果がある要素は笑うこと「笑顔」であることが分かりました。

 

好感をもたらす非言語コミュニケーションに関する研究

・笑顔       ⇒平均3.7
・目の表情     ⇒平均3.1
・髪色       ⇒平均2.8
・ボディタッチ   ⇒平均2.4

印象を良くするためには、髪形や服に時間をかける人は多いのではないしょうか。それ同じくらい笑うことも相手への印象形成に関係するということです。

もしあなたが営業職など人と関わる仕事をしているのであれば、笑顔は常に心掛けたいですね。笑うことができないとさまざまな場面で不利になっていると言えます。

笑いとNK細胞活性の変化について

つづいて、笑いが免疫機能にどのような影響をもたらすかを調査した研究を見ていきましょう。

西田、大西(2001)は、クリニック主催のお笑い健康講座の参加者27名に、笑いが免疫機能にどのような効果を及ぼすかの調査を行いました。

調査では、まずは「医師による笑いの医学的効能の講演(20分)」と「あまり深く考えさせない落語(1時間50分)」の笑いの体験をしてもらいます。そして、笑い体験の直後30分以内と直後30分以内に、NK細胞活性の調査お笑いのレベルを確認するアンケートを実施しました。NK細胞活性は、初期免疫能の指標の一つです。

その結果、笑いによってNK細胞活性値が上昇したことが分かりました。

▼こちらの図をご覧ください。

笑いとNK細胞活性の変化

笑いを実感したグループで、
NK細胞が上昇
していることが分かります。また、笑いを実感していないグループにおいても、増加傾向が確認できました。

つまり、笑いによってNK細胞が上昇し、笑いのレベルが高いほどNK細胞の上昇も高くなるということです。

今回の研究から、笑うことが、がんや感染症を予防する要素につながるといえそうです。

笑うと感情の仕組み

笑うことは、喜びや楽しさなどポジティブな感情と深い関係にあることが心理学の研究で分かっています。ここでは「笑う」と「感情」の仕組みについてご紹介します。

笑うの仕組み① ジェームズ=ランゲ説

笑うことの仕組みには諸説ありますが、その中からまずはジェームズ=ランゲ説をご紹介します。

ジェームズ=ランゲ説は
「身体の変化によって生まれる感情が変わってくる」
という説です。身体に動きが起きた結果、沸き起こる感情が変化するというメカニズムです。

平たくいうと“笑うから楽しいのだ!”ということになります。この考え方には、無理矢理さを感じる人もいるかもしれませんね。しかし、心と身体が連動していることに疑いの余地はありません。ですから、私はとても参考にはなると考えています。もう少し具体的に見ていきましょう。

たとえば、次の2つを比べてみてください。

「体調がいい、バランスの良い食事、質の高い睡眠」
        ↕
「微熱ぎみ、ファストフードが3日続いた、寝不足」

どちらの方が笑うことが増えそうでしょうか。

おそらく前者ではないでしょうか。心と身体はつながっていますので、心だけでなく、身体からのアプローチも有効と考えることができます。コラム①では後ほど、笑うことがしやすくなるトレーニングを紹介します。

笑うの基本は体調を整える事

笑うの仕組み②:認知評価説

もう一つ、笑うことの仕組みとして、認知評価説を見ていきましょう。

認知評価説は
「どう考えるかによって感情に影響を与える」
という説です。ある物事について“大きな失敗”と評価すると、人は「悲しみ」や「くやしさ」を感じると言われています(Lazarus, 1993)。

たとえば、
自宅の倉庫に車をぶつけてしまった!とします。この時、
「取り返しがつかない失敗をしてしまった!」
と評価すると、悲しいという感情が起こります。
「ぶつけてしまったことは良くないけど、人にぶつからなくて不幸中の幸い」
と評価すると、さほど悲しい感情は起こりません。

笑うことが多い人は、前向きでポジティブな感情を持っているのです。

笑うを身に付ける!

笑うと感情の仕組みから、笑うことを身に付けるには、次の3点からアプローチしていく必要があります。

1:体調を整える
2:笑う表情づくり

3::柔軟な捉え方をする

コラム①では、「体調を整える」「笑う表情づくり」をお伝えします。心理面のケア「柔軟な捉え方」は、コラム②~⑤で解説していきます。

笑うコツを解説

1:笑うコツ「体調の整え方」

・栄養+睡眠+運動
笑うことの基盤は体調です。食事と睡眠、運動を上手に取り入れて整えていきましょう。

栄養のある食事
栄養が不足すると、ネガティブな感情が表れやすくなります。ビタミンやタンパク質を多く含む食事で、十分な栄養を摂りましょう。特に、タンパク質は気持ちを安定させるセロトニンの原料となります。意識して摂るようにしましょう。

十分な睡眠
睡眠を十分とることで、ポジティブな感情を起こしてくれる神経伝達物質が分泌されます。しっかり眠ることで、自然と笑うことができるようになります。

適度な運動
運動不足は、心に悪影響を与えます。普段から体を動かす習慣を取り入れましょう。外で適度な日光に当たり運動ができると「セロトニン」の分泌にもいい影響があります。

・運動と抑うつの関係
甲斐(2011)は、IT 関連企業 の従業員2952名に対して、「1週間の運動量の多さと1年後の抑うつへの影響」を調査しました。その結果、運動時間の違いでうつ病のなりやすさに2倍以上差が出る事が分かりました。

下図をご覧ください。1週間の運動時間が「135分未満の人たちと135分以上運動する人たち」とを比較しています。

運動量と抑うつの関係

135分以上運動している人たちと比較して、135分未満の人たちはうつ病のなりやすさが2倍以上に上ることが分かりますね。

この結果から、日常生活にアクティビティを積極的に取り入れることで、抑うつのリスクを減らすことができると考えられます。運動の習慣がない人は大変かもしれませんが、週に2時間以上運動する習慣を取り入れると、メンタルへルスにもよい効果が期待できます。

2:笑うコツ「5つの表情筋を動かす」

ジェームズ=ランゲ説を応用したものに表情フィードバック仮説があります。これは「表情を動かすことで感情をコントロールすることができる」という説です。たとえば、左右の口角を上げると笑うに近い動きになります。すると“笑うから楽しい”のごとく、ポジティブな感情が増す、もしくはちょっと良い気分になる、という実験結果があります(早川, 2014)。

では、具体的に笑う表情を鍛える「表情筋トレーニング」を実践してみましょう。このワークは本来の感情を無理に動かして別の感情を作るため負担が大きいです(感情労働と言います)。精神的につらい状態で、笑うことができないという方は、ひとまずスキップしてしまって大丈夫です。

口輪筋(こうりんきん)
口輪筋は、表情筋の約7割と繋がっているため、表情全体に関わっています。鍛える事で、複雑な口の動きを可能にしてくれます。

笑う練習口輪筋を鍛える

【トレーニング】
・前歯を8本見えるぐらい口を開く
・「いぃー」と発声する
・唇をすぼめて「うぅー」と発声する

②小頬骨筋(しょうきょうこつきん)
小筋骨筋は、頬を上げる働きをしてくれる筋肉です。口角を引き上げてくれるため笑うときにとても重要な筋肉になります。この筋肉が衰えるとほうれい線の原因となり疲れた印象の表情になります。

笑う表情のトレーニング

【トレーニング】
・右半分の口角だけ引き上げる
・右目をと閉じ5~10秒ほど止める
・ニュートラルな表情に戻す
・これを、左右交互に行う

③大頬骨筋(だいきょうこつきん)
口角を上げるために必要な筋肉です。明るい表情や、大きな笑顔を作ってくれます。

表情筋を鍛えて笑顔をつくる

【トレーニング】
・口を大きくあける
・そのまま口角を上にする
・前歯がみえないように上唇をかぶせたままで5秒程保つ
・その後ニュートラルな表情に戻す

④頬筋(きょうきん)
口角を外側に動かす働きをする筋肉です。あごの骨と口輪筋につながっていて、フェイスラインを細くしています。

【トレーニング】
・頬の高い部分に注意を向けながら笑顔をつくる
・口角を思い切り横にひく
・この動作を繰り返す

⑤笑筋(しょうきん)
口元を横にひっぱり笑う表情づくりに必要不可欠な筋肉です。口角の皮膚やあごの皮膚ともつながっています。

笑うために欠かせない表情筋を鍛える

【トレーニング】
・上下の前歯を軽くかみ合わせる
・自然な形で口を閉じ5秒程保つ
・両方の口角をゆっくりと外側にひき5秒程保つ
・その後ゆっくりと元の表情に戻す

5つの表情筋トレーニング・笑う表情をつくる練習をご紹介しました。ゆっくりと何回も繰り返して行ってくださいね。

笑顔運動についてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・誰もが自然に笑う力がある
・3つの筋肉を意識するだけ
・笑う力が高まる!
笑うことが苦手…「笑顔体操」で克服しよう⑤

3:笑うコツ「柔軟な捉え方」

ここからは柔軟な捉え方「心理面のケア」について考えていきます。先ほどご紹介した、表情筋トレーニングで心もポジティブなった!という方は読み進めなくてもOKです。ただ「表情を作っても心から笑うことができない・・・」と感じる方は、以下の3つ方法から当てはまる項目についてチェックしてみてください♪

①リフレーミング技法

失敗した過去が原因
これまでの人生を振り返って「笑う」に関して、嫌な体験はありませんか?もしかすると、過去の体験をネガティブに捉えてしまい、そのことが原因で笑うことができなくなっている可能性があります。笑うことでの失敗がある人は、笑顔に対してネガティブな捉え方をするクセがあります。この考え方を修正して行くことが笑うことを取り戻す近道です。

捉え方を増やそう!
本コラムでは、出来事を多角的な視点で考えられるようになる「リフレーミング技法」をご紹介します。ネガティブに考えていた出来事も視点を変えてみる事でポジティブにもなります。多角的な捉え方を身に付けて、思考のクセを修正しましょう。笑うことに関してトラウマがある…という方は、コラム②を確認してみてください。

②スモールステップ計画表

挫折が大きな原因
笑顔づくりの効果がなかなか実感できないことから、トレーニングをやめてしまった…という方はいませんか。どんな練習でも、思ったような効果が得られないと心が折れてしまうものです。笑う表情づくりの練習で効果を実感するには、毎日の繰り返しが大切です。まずは、できるところから始めて続けていくことが大切です。

やる気を継続させよう
本コラムでは、トレーニングを継続するコツとして「スモールステップ計画表(不安階層表)」をご紹介します。これは、行動療法の治療技法のひとつで、小さな目標を段階的に達成し、最終的には大きな目標を達成させるための計画表です。小さな成功体験はモチベーションの維持に効果があります。やる気をキープさせつつ、効果を実感できるまで練習してみましょう。笑う表情づくりの練習で目標達成をしたい!という方は、コラム③をチェックしてください!

③笑うは少しだけ増えればOK

無理して笑うはNGな時も
「悲しい」などネガティブな気持ちを紛らわせるために、笑うことをしていませんか。私たち人間は「本来の感情」と「外に出す感情(表層演技・深層演技)」に乖離(かいり)が生じると心理的な苦痛が大きくなります。そのため、精神的に苦しい状態で無理をして笑うことを続けていると、疲労がたまりメンタルへルスに悪影響を与えてしまいます。

バランスよく感情を制御しよう
辛いときでも笑顔が必要とされる場面は、多かれ少なかれあります。そのため「本当の感情」と「外に出す表現する感情」に差があることは、ある程度は気持ちを楽にする上で重要となります。ポイントはバランスです。本コラムでは、バランスよく感情を制御するコツを練習問題を交えながら解説します。笑うことを作りすぎて疲れてしまう…という方は、コラム④をチェックしてみてください。

 

笑うための3つのコツ

コミュニケーション講座について♪

コラム①は折り返し地点です!ここで少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

講座の様子

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

円滑なコミュニケーション

トレーニングで笑う効果を実感しよう

笑うことと感情の関わり、表情筋を鍛える練習、笑顔と心理面のケアについてご紹介しました。いかがでしたか。

次回以降のコラムでは「心理面のケア」について、具体的に解説していきます。笑うためのトレーニングをしても心から笑えない・・・と感じる方は、ぜひ読み進めてください。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

今あなたが笑う事に悩んでいるなら、具体的な目標を定めて、笑顔の効果を実感したいシュチエーションも設定していきましょう。笑う練習をすれば、日常の場面で自然と笑顔になれるはずです。私は今、にっこりスマイルです(^^♪みなさんも、ぜひ笑顔になってみてください。そして、その笑顔のまま次へお進みください♪

次回は、リフレーミング技法について解説します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★「健康」「顔」「心」の3つを整えて笑うことの効果を実感しよう
人間関係講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・甲斐 裕子 永松 俊哉 山口 幸生  徳島 了 (2011)余暇身体活動および通勤時の歩行が勤労者の抑うつに及ぼす影響. 体力研究, 109, 1-8.
・早川東作 2014 表情フィードバック仮説を応用した笑顔装着具による気分の落込みの改善効果の検証. 科学研究費助成事業研究成果報告書, 課題番号23653197.
・梅野(2015)好感をもたらす非言語コミュニケーションに関する研究 目白大学大学院 修了論文概要
・西田 元彦, 大西 憲和(2001)笑いとNK細胞活性の変化について,8 巻 p. 27-33