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挫折した時の対処法!失敗経験を活かすには?

挫折した時の対処法!失敗経験を活かすには?①

はじめまして!精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

本コラムでは「挫折」について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。

  • 挫折がもたらすもの
  • 他者への共感の土台
  • 挫折なくして目標無し
  • 人生最大の糧
  • 対人恐怖との関連
  • 失敗を乗り越える方法

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください。それでは早速、挫折の基礎から解説させて頂きます。

「挫折」と心理学研究

私はコミュニケーション講座の講師として、日々心理学の講座を行っています。講座の中では「挫折」で悩む相談者の方がいらっしゃいます。挫折とは、簡単に説明すると「あるはずの物を失った時の感情」です。

・頑張っていた資格試験に落ちた
・大学受験で第1志望に合格できなかった
・ケガをして大好きなスポーツを辞めざるを得ない

心と大きな穴が開いてしまったような感覚、誰しも経験したことがあると思います。私も人生で散々挫折してきました。そもそも挫折とはなぜ起こるのでしょうか?実は、挫折にはポジティブな側面とネガティブな側面があります。いくつかの研究を紹介します。

研究① 他者への共感の土台

久保(2007)が幼児に行ったインタビューによると、悲しい思いをした経験を言葉で説明できたのは5歳児では25%ほどでした。ところが、6歳児に成長すると、ほとんど100%の子どもが悲しい体験を言葉で語ることができました。

5~6歳頃になると、失敗をしたり、傷つくと、「悲しい、落ち込む」という感情を言語ができるようになります。失敗した・・・という感覚があるからこそ、他者の「挫折感」にも共感できるようになり、その人の力になりたい、助けてあげたいという気もちが生まれるのです。

挫折は辛いですが、挫折するからこそ私たちは人の痛みが分かるようになるのです。

挫折感とは

研究② 人生の目的を考えるきっかけになる

挫折はアイデンティティの確立に繋がります。アイデンティティとは難しい用語ですが、ここでは「人生の目的を明確にする」と定義したいと思います。アイデンティティ研究家のマーシャ(1966)の理論をもとにすると、人生の目的を明確にするためには「試練(挫折)」と「挑戦」が必要であることを分類しました。

・試練(挫折)
危機とは自分の価値観を揺り動かす出来事です。例えば、就職活動で落ち続けた、病気になった、大失恋をしたなど。

・挑戦
積極的関与とは目標を定め、それに打ち込んでいる。行動を伴い努力していることを意味します。

その上で、下図をご覧下さい。解説の前にそれぞれどのような意味があるか考えてみましょう。少し難しい図ですのでまずは理解できなくてOKです。アイデンティティの確立ここで重要なのが、「人生の試練」を経験しその上で、自分の進路を決め、それに打ち込んで「挑戦」している状態です。これはアイデンティティ確立すなわち人生の目的が明確になっている状態と言われています。

アイデンティティ確立に必要な要素「人生の試練において充分悩んで結論を出す」とアイデンティティが確立しやすいというのがポイントですね。挫折をした時は、実は「深く自分と向き合うチャンス」でもあります。歴史上の偉人ほど実は大きな挫折をしていて、そのたびに深く考えて、大きな目標へのエネルギーにつなげているのです。

逆に試練がなく、なんとなく進路を決めてしまうことを、早期完了といます。目標が不安定で、充実感が不足すると言われています。その意味で挫折は、人生の意味を深く考える格好の時期だと言えるのです。

*当コーナーは動画解説もあります。面白かったらチャンネル登録をしてくださると励みになります!

興味がありましたらアイデンティティコラムを参照ください。

研究③ 心理的な問題

・対人恐怖傾向

このように挫折は、他者への共感、アイデンティティ確立という機能があります。しかし、挫折をしたときに、うまく立ち直ることができず、目的を見失ってしまったとしたら…マイナス面も出てきます。

谷(1997)は対人恐怖とアイデンティティクライシスについて、大学生279名を対象に研究をしています。その結果、対人恐怖性心性とアイデンティティクライシスとの間に-53.マイナスの相関があることを明らかにしました。アイデンティティクライシスは目的を失った状態で、心理的な危機を意味します。

挫折 立ち直る

アイデンティティ危機がある場合、対人恐怖の傾向が出やすいという結果を示しています。目的を失った状態は、自己肯定感の不足をもたらす傾向があり、その結果人と前向きに話すことができなくなると推測されます。

・身体的影響

受け止められないほど強く挫折したとき「心身症」という病気になることがあります。心身症とは心の問題が体に影響を及ぼす症状です。

例えば、胃潰瘍になってしまったり、月経不順が起こります。挫折感を、きちんと処理せずため込むと身体にも害を及ぼすのです。大きな挫折をしたのに不思議と落ち込んでない・・・こんな時は注意が必要です。

挫折を味わう瞬間はすごくつらいですが、誰かに相談したり、聞いてもらうことで適切に処理していく必要があるのです。挫折感が長く続いてに身体の不調が出る場合は、一度気持ちの整理をするための心理療法や心療内科などを活用する必要があると言えます。

挫折との向き合い方

ここからは「挫折」についての心理療法を提案させて頂きます。先ほどお伝えしたように、挫折をしても基本的には心にはちゃんと回復していく機能がありますので、時間が解決してくれる面もあります。ただ以下の心理療法もその助けになるかもしれません。じっくり自分と向き合いたいというときにご活用ください。全部を読むのは大変…という方は当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてください。

①フィンクの危機理論

・気持ちを抑えている
挫折経験での辛い気持ちは、誰でも不快なものです。周囲に気持ちを打ち明けられず負のループに陥り、気持ちがさらに沈んでしまう事もあるでしょう。沸き起こる苦しい気持ちを、強引に心の底に沈めようとするとメンタルヘルスを崩すことがあるため、注意が必要です。自分の感情を素直に受け入れていくことが、挫折経験から立ち直るうえで大切なのです。

・心の回復プロセスを知ろう
本コラムでは、フィンクの危機理論を使った、健康的に挫折経験を乗り越えていく方法を紹介します。フィンクの危機理論では、心が危機的状況から立ち直るには、「1:衝撃・2:防御的退行・3:承認・4:適応」の4段階あると示しています。挫折から回復する自然と備わった能力で立ち直りを目指しましょう。

フィンクの危機理論をより詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。
・回復プロセスは4段階
・自分で自分を癒す
・挫折を受け入れるワーク
挫折した時はフィンクの回復プロセス②挫折経験を乗り越えよう

③リフレーミング

・視野が狭い
挫折感を抱きやすい人は、物ごとを常にネガティブに捉える思考のクセがあります。そのため良い出来事でもマイナスに捉えてしまう事があり、挫折経験をしやすくなります。まずは物事を違う視点で捉えていく習慣を身につけていくことが大切です。

・捉え方を広げよう
本コラムでは、自分が持っている見方から抜け出し多角的な枠で捉えることができる「リフレーミング技法」をご紹介します。「他人ならどう考えるだろ?」という視点を取り入れて、見方を広げて挫折しない考え方を身につけていきましょう。

リフレーミングについてより詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
・前向きになる考え方
・臨床現場のテクニック
・挫折感を軽くする練習
挫折経験を乗り越える「リフレーミング」で前向きな心③

④認知療法

・過小評価のしすぎ
強い挫折感を抱きやすい人は、失敗によって自分を「過小評価しすぎる」傾向にあります。過小評価から、自身を無くし次の行動に踏み出せなくなってしまうこともあります。この過小評価のしすぎは、認知のゆがみが原因です。認知のゆがみはネガティブな思考を強めてしまうため、注意が必要です。

・認知のゆがみを修正しよう
本コラムでは、認知療法で「認知のゆがみ」を修正する方法を紹介します。認知療法では、人の気持ちはできごとに対しての「考え」で決まるとしています。認知のゆがみは「考え」に存在していることが多いため、偏った「考え」を見つけ挫折感を軽くしていきましょう。

認知療法についてより詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
・過小評価の原因
・4つ手順で修正
・ワークシート付
挫折感を乗り越える「認知療法」を活用しよう④

過小評価は認知療法で対処

⑤ストローク法

・周囲の人に甘えられない
挫折感があるときは、人間関係に不安を抱きやすいため、人を頼ることに抵抗を感じやすくなります。そのため、周囲からのサポートが受けられず、挫折経験から立ち直ることがなかなかできません。挫折経験から心が折れてしまった時には、周囲に甘えてプラスの言葉を与えてもらいましょう。ただし周囲との会話の中には、ネガティブな気持ちを強めてしまう要素もあるため、注意が必要です。

・無条件の肯定を受け取ろう
挫折の経験を本当の意味で乗り越えるためには、私たちが日常何気なくかわしている「ストローク」の概要を理解し、見定めることが大切です。適切な愛情を増やすには「無条件に人と自分は同じく愛される存在だ」という気持ちをはぐくむ、心理療法の概念のひとつ「無条件の肯定的ストローク」を増やすことが必要です。

無条件の肯定ストロークについてより詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
・挫折感と肯定の関係
・無条件の愛が大切
・挫折感を減らすストローク
挫折の経験で心が折れた時には…「無条件の肯定」を増やそう⑤

⑥専門機関を利用する

心理学を独学で学ぶことに不安がある場合は、専門家の元でしっかり学ぶこともお勧めしています。 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、メンタルヘルスの向上、安定した人間関係の構築を目指し、心理学・人間関係講座を開催しています。独学に限界を感じた方、心理学を体系的に勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。

執筆者も講師をしています(^^)
 ・挫折との付き合い方
 ・心理療法の基礎
 ・傾聴力-発話力をつける
初学者向け心理学・人間関係教室を開催しています

講座の様子

診断・チェック

挫折経験を乗り越える力を客観的な状況で知りたい方に、簡易診断をご利用しました。まずは簡易チェックで今の心の状態を確認しておきましょう。定期的に自己チェックしておくことをおすすめします。
挫折の緊急度を診断⑥

経験をバネにしよう!

本コラムでは、挫折経験からの立ち直りに役立つ心理療法「フィンクの危機理論」「リフレーミング」「認知療法」「ストローク法」の4つをご提案しました。

大きな挫折を味わうときは誰しもつらいものです。しかし、生きていれば挫折経験を避けることはできません。これから紹介する、挫折から立ち直る方法を日常生活の中で意識ていくことで、挫折感からプラスの意味を見つけることができるでしょう!1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

次回は、「フィンクの危機理論」についてご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★挫折経験は心理療法で対処法!健康的に乗り越えよう!
心理学講座

コメント

1件のコメント

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    • なりた
    • 2019年5月14日 11:57 PM

    そう言うことだったのか…って素直にに納得。
    挫折への対処法をもっと早く知りたかったです。
    私は視野は狭いし、甘え下手なので苦労しました。
    リフレーミングは万能ですね。

    0

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
傷ついたあなたへ-わたしがわたしを大切にするということ DVトラウマからの回復ワークブック レジリエンス 2005 . 梨の木社.

*出典・引用文献
幼児期における感情表出についての認識の発達;5歳から6歳への変化久保ゆかり 2007 . 東洋大学社会学部紀要, 44(2), 89-105.
Sidney, Z. et al 2009 Grief and bereavement: what psychiatrists need to know. World Psychiatry, 8, 67-74

谷冬彦(1997) 青年期における自我同一性と対人恐怖性心性 教育心理学研究 45号3巻 254-262
岡本祐子(1994)成人期における自我同一性の発達過程とその要因に関する研究 風間書房