気まずい関係を改善する方法
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「気まずい関係を改善する方法」です。
りがない,持つ方法を知りたい」
相談者
30歳 男性
お悩みの内容
私は現在、きまずい関係の女性がいます。その女性は会社の同期で、すごく仲が良くなり、好きになってしまいました。その後、ラインをたくさんして、デートに誘いました。しかし、断られてしまい、気まずい関係になっています。恋愛としては諦めているのですが、同僚として、元の仲の良い関係に戻りたいと考えています。気まずい状態からの改善法を教えてもらえないでしょうか。
職場の同僚と気まずい関係にあるのは辛いですね。特に恋愛の後は、お互いに何を話せばいいか分からず関係がギクシャクするものです。当コラムでは気まずい空気を改善する方法を解説していきます。是非ご一読ください。
気まずい心理とは何か
まずはじめに気まずい状態の心理的な理解を深めていきましょう。
気まずいの意味とは
気まずいとは、辞書では以下のように定義されています。りがない,持つ方法を知りたい」
互いの気持ちがしっくりと合わず不快なさま
このように相手とうまく気持ちがかみ合わず、どことなく不安を抱えている状態と言えます。
気まずくなる条件
気まずい状態になるには3つの条件があります。
①接近
気まずい関係になるにはある程度の関係性が必要になります。
②ギャップ
気まずい空気は、接近した関係性に対して、本来こうあるべき・・・という理想的な状態があります。しかし、現実にはそれが達成されず、ギャップが存在している状態になります。
③手段の不足
ギャップが存在していても、双方にそのギャップを埋めるスキルや手段がないと、気まずい状態になります。
以下具体例となります。い,持つ方法を知りたい」
・恋愛のケース
①接近
相手と連絡先を交換する ある程度会話をして仲良くなる
②ギャップ
告白をするがうまくいかなかった 本来なら友人関係として仲良くしたいが現実は話さない状況
③手段の不足
友人関係に戻るための、段階的なスキルがないため気まずい状態が続く法を知りたい
・友人関係のケース
①接近
同じサークルで意気投合した よく遊ぶようになった
②ギャップ
飲み会でじゃれあうつもりで容姿をいじったら相手が傷ついて連絡が取れなくなった
③手段の不足
仲直りをしたいが、どう声をかければいいかわからず気まずい状態が続く
このように気まずい状態は人間関係が進んでいくプロセスでよく起こる状態になります。前向きに言えば、問題を乗り越えると新しい信頼関係ができる手前の段階ともいえるのです。
関係修復4つのスタイル
気まずい関係になった時、以下の4つのスタイルがあります。ご自身がどのタイプにあてはまるか、検討してみてください。
断捨離型
早い段階で仲直りは不可能と考え、話し合いもせずに諦めてしまう方です。あてはまる…と感じる方は要注意です。喧嘩するほど仲がいいという言葉があります。
誰でもある程度仲が良くなれば、ぶつかる時期があります。そのたびに、人間関係をリセットする癖をつけると、いつまでも表面的な付き合いしかできません。価値観が合わないとすぐに関係をやめたくなる方は注意しましょう。
我慢型
気まずい状況を放置して、話し合いをせずに関係を続けてしまうタイプです。心理学の研究では、本音を隠しながらコミュニケーションをすることはストレスが大きくなることが分かっています。タイミングもありますが、お互い言いたいことは率直に話し合うことが大事になります。
攻撃型
気まずい状況があると、無視、いやがらせ、悪口などを使って間接的に相手を攻撃してしまう方です。このようなやり方は結局自分にも跳ね返ってきます。人間なので、愚痴を言うのは仕方がありません。しかし相手を傷つけないような、冷静さは持っておきたいものです。
アサーティブ型
アサーティブとは心理学用語で、自他尊重のコミュニケーションを意味します。話し合った上で、お互いの価値観を理解し、納得した上で、新しい関係を築いていきます。気まずい関係はある意味で、お互いの自己開示が進み、価値観のズレが見つかり、それを乗り越えていけるかの試練なのです。
気まずい関係を乗り越えれば、その乗り越えたという体験が2人の新しい自信になり、より強固な絆へとなっていきます。
関係を修復する8つの方法
先程解説した通り、気まずい関係の改善はアサーティブに話し合うことが原則です。ここからは5つの作戦をお伝えします。
① ポジティブな記憶を思い出す
② 話し合う決意を固める
③ あいさつ,イイネで土台作り
④ 話しあいのオファー
➄ 気分一致効果を活かす
⑥ 相手の価値観を傾聴する
⑦ アサーティブに話しあう
⑧ 時に流れに任せる
参考になりそうなものがありましたら、ご自身の生活でも試してみてくださいね。
①ポジティブな気持ちを思い出す
気まずい関係になると、緊張状態になり、警戒することで、堅い印象になってしまいます。深刻な状況になると、「選択的な知覚」が始まってしまいます。選択的知覚とは、特定の情報ばかりを集めてしまう心理です。相手のダメな部分、悪い思い出ばかりを集めてしまっていたら要注意です。
ここで大切なことは、相手への警戒心を自分の中で解いていくことです。前半でも解説しましたが、気まずい関係は、仲良い人、ある程度の関係性がある人だからこそ起こります。このとき当初の楽しい思い出や関係性をたくさん思い出してみてください。法い」
最初に声をかけてくれてうれしかったこと
一緒に笑いあえたこと
自分にしてくれたこと
贈り物をもらった時のこと
相手の素敵な部分
このようなことを思い出すと、ネガティブな面ばかりを見ていた心の状態を改善し、相手と仲直りしたい、また元のリラックスした関係に戻りたいという感覚を育てることができます。選択的知覚をしっかり改善したい方は以下の動画も参考にしてみてください。筆者がしっかり解説しています。
②決意を固める
気まずい関係を改善したいと思っても、腹を割って話し合うことは怖くなるのが人間です。いざ相手と向き合おうと思っても、緊張が走り、失敗したらどうしよう…と悪い未来を予想してしまうものです。
しかし、人間には相補性の原理があります。もしあなたが、やっぱり気まずい関係はなせないのかな…と考えていたら、その優柔不断な雰囲気が相手に伝わってしまい、相手も困惑してしまいます。
一方で、あなたが「気まずい関係を修復したい」「仲良くしたい」という気持ちを持てば、きっと相手にも響くものです。まずはあなたの中で、「しっかり腹を割って話し合うことができれば、乗り越えていける」と決意を固めることが大切なのです。
③あいさつ,イイネで土台作り
決意がかたまったら次に、関係の土台作りをしていきます。気まずい関係を修復しようとしても、すぐに行動に移すのは難しいケースがあります。ここで大切にしたいのが、日々の小さなコミュニケーションを小まめにして、話し合う雰囲気を高めていくことです。例えば、職場で喧嘩している同僚同士だったら、とりあえず挨拶することからはじめましょう。い」
アイコンタクトをして「おはよう」という
相手が帰る時に「おつかれ」という
SNSで相手が投稿したら「いいね」をおす
まずはこのような小さなコミュニケーションをするところからコツコツ進めていきましょう。このような日々のコミュニケーションを心がけると、気まずい関係を改善したい!というあなたの気持ちが相手に徐々に伝わっていきます。
④話し合う提案
小さなコミュニケーションを積み重ねたら、次にいよいよ話し合いの提案をしていきます。ここは真剣に率直に言ってOKです。
あ…あの…この前のこと、気になっていて…しっかり話し合いたいんだ…
実は〇〇とずっと話し合いたいと思っていたんだ、今度時間もらえるかな…
このように言葉にしてしっかり告げるようにしましょう。残念ながらNGな場合もありますが、大概の場合はOKをもらえずはずです。
➄気分一致効果を活かす
心理学には気分一致効果というものがあります。気分一致効果とは、ポジティブな気持ちの時は楽しい記憶が思い出されやすく、ネガティブな気持ちの時は、不快な記憶が思い出されやすい心理のことです。
また、その記憶に即した行動を取りやすくなるというものです。例えば、挨拶がかえって来なかった例で比較すると以下のようになります。
イライラしている時
⇒なんで挨拶無視するの!!腹立つ
リラックスしている時
⇒忙しいだけかもしれない
気まずい関係に活かすには、リラックスできる時に話しかけることが大切です。具体的には、金曜の夜に連絡してみたり、連休の前の日に話し合ってみたり、夕食の時間に連絡してみたりなどが挙げられます。
気分一致効果を使うことで、気まずい関係であってもスムーズに相手とコミュニケーションできる可能性が高まります。気分一致効果をさらに詳しく知りたい方は、下記のコラムを参考にしてみてください。
⑥相手の価値観を傾聴する
話し合いの場面では、まず相手の気持ちを率直に傾聴するようにします。相手の話を傾聴するなかで、
「ここは納得できるな」
「ここは同じだな」
と感じる部分をしっかり見つけていきましょう。
そしてその部分はしっかりと相手に伝えます。
「確かにそこは私もそう思う」
「そうかあ~それは納得できる」
「〇〇さんの立場ならそう感じるよね」
と共感を大事にしてみてください。
なお共感の仕方については下記のコラムに書いてあります。後ほど練習してみてください。
⑦アサーティブに話しあう
相手の話をよく聞いたら、あなたの考えも伝えて、より深く話し合いを進めていきます。ここで大事なのはアサーティブな精神を持つことです。アサーティブとは相手を尊重しつつ、自身の主張も伝え、建設的な関係を築く手法です。
例えば、お互い貶し合うことを言って、気まずい関係になっていたとしたら、
時間を作ってくれてありがとう。〇〇さんこの前のことどう思ってる…?
とまずは相手の気持ちをしっかり傾聴しましょう。そしてひとしきり相手の気持ちを聞いたら、
〇〇さんが傷ついた気持ちがよくわかったよ…今度から気をつけるね…
と相手の気持ちを尊重します。その後はもちろんあなたの気持ちも伝えてOKです。
実は同じように僕も△△と言われてショックだったんだ…
と相手に伝えます。このようにお互いの気持ちをしっかりと交換したら、最後はこれからどうすれば建設的な関係を築いていけるか、話しあえるといいでしょう。
大事なことは気まずい関係を長期化させるのではなく、時期をみてお互い譲り合いながら話しあう事です。アサーティブコミュニケーションについては下記のコラムでしっかり記述しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
⑧時に流れに任せる
頑張って話し合ったとしても、上手くいかないことは人間関係にはあるものです。自分ができることをやりきって、それでも気まずい関係が解消されない場合は、一旦流れに身を任せるのも1つの方法です。
思わぬきっかけで関係が修復したり、気まずい状況がゆるんだりすることもあります。むやみに解決を急がず、「時間が解決してくれるさ!」という気持ちで気長に関わっていきましょう。
まとめ
今回は「気まずい関係の改善」をテーマに解説してきました。私たちはそれぞれ、欠点もあれば、失敗もする生き物です。気まずい関係は誰しも経験するものです。
この気まずい関係は、粘り強く改善する意志があれば、きっと修復できます。皆さんが勇気もって1歩踏み出し、話し合い、危機を乗り越え、より発展的な関係を築けるよう応援しています!
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・気まずい関係を改善する,傾聴トレ
・気まずい関係を改善,価値観を受け止める練習
・話し合いが進む,共感力ㇳレーニング
・勇気を出して声がけ,挨拶練習
🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)
9件のコメント
すべてのコメントを読むコメントを残す
実の親のように思ってた方にしつこくしてしまい挙句の果てに電話までして相手を苦しめてしまいました。
あれから3ヶ月経ちましたが、相手方への罪悪感が強く仲直りできないと思ってます
相手に強く拒絶されているので💦
ごく稀にツイートにいいねひとつ来るのですが、これはどういうことなのかよくわからないです親と喧嘩してしまいました。とても気まずいです。どうしたら良いでしょうか?分かりません教えてくれると有り難いです。何故か私は人をいじめて罪悪感を抱いてしまう変な性格です。これは虐待を受けていたせいでしょうか?。いやでも、私なんかがこんな事考えても意味ないですよねどうせわたしなんか…。
告白したあと、気まずいです。。。話したい時、どうすればいいですか?
同じクラスに好きな人がいます。前まではとても仲が良かったんです。ですが、私が告白をしたら、嫌いじゃないけど付き合うと言う気持ちがなかったみたいで、断られたんです。その次の日から気まずくなって4人くらいじゃないと喋れなくなりました。また好きな人と仲良く喋りたいです。
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
*出典・参考文献
・Sackett, L. A. (2001). The Impact of Different Forms of Psychological Abuse. Psychological abuse in violent domestic relations.
・菅原ら(2002)夫婦関係と児童期の子どもの抑うつ傾向との関連より一部改変して掲載教育心理学研究,2002,50,129ー140
・宮崎弦太,池上知子(2011) 関係喪失のコストが社会的拒絶への反応に及ぼす影響:相互依存理論とソシオメーター理論による統合的アプローチ 社会心理学研究26,3,219-226
・岡安孝弘,高山巖(2000)中学校におけるいじめ被害者および加害者の心理的ストレス 教育心理学研究48,4,410-421
おねがい