気まずい関係を改善する方法
皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「気まずい関係を改善する方法」です。
りがない,持つ方法を知りたい」
相談者
30歳 男性
お悩みの内容
私は現在冷戦中の女性がいます。その女性は会社の同期で、すごく仲が良かったのです。
しかし1か月前の飲み会で、私の身体的な特徴を笑われてしまい、言い返すように相手の女性の特徴も馬鹿にしてしまいました。
女性は傷ついて、すごく怒ってしまいました。それ以来ずっと会話がない状態です。こんな事態なのですが、ひそかに恋心もあります。どうすれば気まずい状況を改善できるでしょうか。
好きな人と気まずい関係にあるのは辛いですね。特に喧嘩をした後は、お互いに何を話せばいいか分からず関係がギクシャクするものです。
当コラムでは気まずい空気を改善する方法を解説していきます。是非ご一読ください。
気まずい関係と悪影響
気まずい状態は、小さなものであればそこまで大きな問題とはなりません。せいぜい気恥ずかしい程度です。
一方で、お互い無視をする、陰口を言う、夫婦な別居をするような、深刻な気まずい関係は様々な問題を引き起ります。以下、気になるタイトルがありましたら展開してみてください。
宮崎,池上(2011)の研究では、大学生319名を対象に、親友から拒絶された場合の自尊心の影響とその関係修復の行動について調査をしています。
以下の図は親友から拒絶された時の自己肯定感の影響や関係修復への行動を図にしたものです。
親友との関わり具合が高いと、その親友から拒絶された後の自己肯定感情が低下することを示しています。さらに、自己肯定感が低いほど、相手との関係を改善しようとする関係志向的行動が高くなっています。
親友との関係が親密であればあるほど、それを失ったときのダメージが大きく、自己肯定感が下がるといったことがわかります。
これらの結果から、親友関係で気まずい関係になってしまうと、自尊心が低下することを示しており、心理的なストレスにつながることも示唆しています。
岡安ら(2000)の調査では、6,892名の中学生を対象にいじめ被害・加害経験と心の健康の関係について調べています。調査でのいじめの内容には、「仲間外れ・無視・悪口」などが含まれています。
その結果、いじめの被害者だけでなく加害者の方も多くのストレスを抱えていることが示されています。
その中でも
・いじめ被害者→抑うつ、不安
・いじめ加害者→不機嫌、怒り、無気力
などの症状で高い得点が示されています。
無視や仲間外れなどで気まずい関係に発展すると、抑うつや不機嫌、怒りなどの心理的な影響が表れることがわかります。
菅原ら(2002)は、1,360名の母親を対象に、夫婦関係が子どものメンタルヘルスにどのような影響を与えるか調べました。結果の一部が下図となります。
図のように「父親と母親がお互いに愛情を持っている」場合、家族の雰囲気がよくなり、子どもの抑うつ傾向が低下することが分かります。
また、母親が父親に対して愛情を持っていると、子どもに対しても温かく接することができ、その温かさが子どもの抑うつ傾向を下げるのです。
逆を言えば、夫婦関係が悪いと、子供のメンタルヘルスが悪化すると推測されます。
関係修復4つのスタイル
気まずい関係になった時、以下の4つのスタイルがあります。ご自身がどのタイプにあてはまるか、検討してみてください。
断捨離型
早い段階で仲直りは不可能と考え、話し合いもせずに諦めてしまう方です。あてはまる…と感じる方は要注意です。喧嘩するほど仲がいいという言葉があります。
誰でもある程度仲が良くなれば、ぶつかる時期があります。そのたびに、人間関係をリセットする癖をつけると、いつまでも表面的な付き合いしかできません。価値観が合わないとすぐに関係をやめたくなる方は注意しましょう。
我慢型
気まずい状況を放置して、話し合いをせずに関係を続けてしまうタイプです。心理学の研究では、本音を隠しながらコミュニケーションをすることはストレスが大きくなることが分かっています。タイミングもありますが、お互い言いたいことは率直に話し合うことが大事になります。
攻撃型
気まずい状況があると、無視、いやがらせ、悪口などを使って間接的に相手を攻撃してしまう方です。このようなやり方は結局自分にも跳ね返ってきます。
人間なので、愚痴を言うのは仕方がありません。しかし相手を傷つけないような、冷静さは持っておきたいものです。
アサーティブ型
アサーティブとは心理学用語で、自他尊重のコミュニケーションを意味します。
話し合った上で、お互いの価値観を理解し、納得した上で、新しい関係を築いていきます。気まずい関係はある意味で、お互いの自己開示が進み、価値観のズレが見つかり、それを乗り越えていけるかの試練なのです。
気まずい関係を乗り越えれば、その乗り越えたという体験が2人の新しい自信になり、より強固な絆へとなっていきます。
関係を修復する5つの方法
先程解説した通り、気まずい関係の改善はアサーティブに話し合うことが原則です。ここからは5つの作戦をお伝えします。
① 話し合う決意を固める
② あいさつ,イイネで土台作り
③ 話しあいのオファー
④ 相手の価値観を傾聴する
⑤ アサーティブに話しあう
参考になりそうなものがありましたら、ご自身の生活でも試してみてくださいね。
①決意を固める
喧嘩をすると、腹を割って話し合うことは怖くなるのが人間です。しかし、大概の場合は、しっかり腹を割って話し合うことができれば、乗り越えていけるものです。
まずは「いつかは話し合おう!」と決意することから始めていきましょう。あなたにその覚悟がなければ、ずっと気まずい関係は続いていくだけです。
厳しいようですが、この決意を固めない限りは2以降の改善策は水泡と期してしまいます。
②あいさつ,イイネで土台作り
決意がかたまったら次に、関係の土台作りをしていきます。大事なことは日々の小さなコミュニケーションです。例えば、職場で喧嘩している同僚同士だったら、とりあえず挨拶することからはじめましょう。
「おはよう」
「おつかれ」
これだけで、印象はずいぶん変わるものです。もしあなたがSNSでつながっていたら大チャンスです。「イイネ」ボタンを押すことも1つの手です。
まずは小さなコミュニケーションを継続する努力をしていきます。
③話し合う提案
小さなコミュニケーションを積み重ねたら、次にいよいよ話し合いの提案をしていきます。ここは真剣に率直に言ってOKです。
実は〇〇とずっと話し合いたいと思っていたんだ…
としっかり告げましょう。残念ながらNGな場合もありますが、大概の場合はOKをもらえずはずです。
④相手の価値観を傾聴する
話し合いの場面では、まず相手の気持ちを率直に傾聴するようにします。相手の話を傾聴するなかで、
「ここは納得できるな」
「ここは同じだな」
と感じる部分をしっかり見つけていきましょう。
そしてその部分はしっかりと相手に伝えます。
「確かにそこは私もそう思う」
「そうかあ~それは納得できる」
「〇〇さんの立場ならそう感じるよね」
と共感を大事にしてみてください。
なお共感の仕方については下記のコラムに書いてあります。後ほど練習してみてください。
⑤アサーティブに話しあう
相手の話をよく聞くと大概の場合は、誤解が溶けます。ここまでできてしまえば70%ぐらいは解決しているかもしれません。一方で、まだズレが残っている場合は、あなたの価値観も伝えるようにしましょう。
ここで大事なのはアサーティブな精神を持つことです。アサーティブとは相手を尊重しつつ、自身の主張も伝え、建設的な関係を築く手法です。
例えば、お互い貶し合うことを言って、気まずい関係になっていたとしたら、
時間を作ってくれてありがとう。〇〇さんこの前のことどう思ってる…?
とまずは相手の気持ちをしっかり傾聴しましょう。
そしてひとしきり相手の気持ちを聞いたら、
〇〇さんが傷ついた気持ちがよくわかったよ…今度から気をつけるね…
と相手の気持ちを尊重します。
その後はもちろんあなたの気持ちも伝えてOKです。
実は同じように僕も△△と言われてショックだったんだ…
と相手に伝えます。
このようにお互いの気持ちをしっかりと交換したら、最後はこれからどうすれば建設的な関係を築いていけるか、話しあえるといいでしょう。
大事なことは気まずい関係を長期化させるのではなく、時期をみてお互い譲り合いながら話しあう事です。アサーティブコミュニケーションについては下記のコラムでしっかり記述しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
まとめ
今回は「気まずい関係の改善」をテーマに解説してきました。私たちはそれぞれ、欠点もあれば、失敗もする生き物です。気まずい関係は誰しも経験するものです。
この気まずい関係は、粘り強く改善する意志があれば、きっと修復できます。皆さんが勇気もって1歩踏み出し、話し合い、危機を乗り越え、より発展的な関係を築けるよう応援しています!
人間関係講座のお知らせ
気まずい関係を改善する力を高めたい方は、公認心理師主催の人間関係講座のご参加をおすすめします。講座では
・温かい言葉かけの練習
・共感力とレーニング
・傾聴力の向上ワーク
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3件のコメント
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行動に移してみて、関係を変えることに成功しました!ありがとうございます。
すみません。書き込み失礼します。
私は学生で、昨年とても仲の良かった友達とクラスが別れてしまいました。その子は転校生で、私、転校生、友達のほぼ3人組のようなものが出来ていました。今年は同じクラスになり、私はまた3人組のようなものをもう一度作りたいと思いました。ですが、友達は他のクラスの人と仲良くしていて、前のように私達と仲良く話さないようになりました。こういう時、どうすれば良いのでしょうか?今年が最後なので、なるべく早く関係を修復し、もう一度3人組で仲良くしていきたいです。回答お願いします。コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
*出典・参考文献
・Sackett, L. A. (2001). The Impact of Different Forms of Psychological Abuse. Psychological abuse in violent domestic relations.
・菅原ら(2002)夫婦関係と児童期の子どもの抑うつ傾向との関連より一部改変して掲載教育心理学研究,2002,50,129ー140
・宮崎弦太,池上知子(2011) 関係喪失のコストが社会的拒絶への反応に及ぼす影響:相互依存理論とソシオメーター理論による統合的アプローチ 社会心理学研究26,3,219-226
・岡安孝弘,高山巖(2000)中学校におけるいじめ被害者および加害者の心理的ストレス 教育心理学研究48,4,410-421
私は最近クラスで1番仲の良かった子に気まずいって言われてしまいました。あと学校で話しかけても無視されたり話しかけてもすぐ会話が終わります。本当にどうしたらいいと思いますか?私はその子と前みたいに楽しく学校生活を送りたいです。