ホーム >
コミュニケーション知恵袋 >
心理学コラム >
マイナス思考の原因と治す方法,改善

日付:

マイナス思考の原因と治す方法,改善

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「マイナス思考を治す方法」についてご相談を頂きました。

マイナス思考

相談者
34歳 女性

お悩みの内容
最近マイナス思考が止まらないです

コロナで仕事を失うのではないか…
このまま恋愛ができないのではないか…
友人に嫌われるのではないか…

何をやるにしても、先にマイナス思考になってしまうので、あらゆることに消極的になってしまいます。

気持ち的に落ち込むことが多く、不眠気味です。どうすれば良いでしょうか。

マイナスな考えで頭がいっぱいになってしまうのですね。不眠にまで結びついてしまっているので深刻度が高いと感じました。

私たちは、なぜマイナス思考になってしまうのでしょうか?そしてどう付き合っていけばいいのでしょうか?このコラムで一緒に考えていきましょう。

マイナス思考のデメリット

まずはじめにマイナス思考の危険性から抑えておきましょう。マイナス思考は心理学の分野で昔から研究対象となってきました。そして下記のようなリスクがあることがわかっています。

抑うつ感が強くなる
うつ病のリスクが上がる
体調不良や不眠に結びつく
深刻な状態では自殺の原因になる

以下、いくつかの研究を折りたたんで紹介しました。気になるタイトルがありましたら展開してみてください。

神谷・幸田(2016)は、「ネガティブな反すう思考」がもたらす心理的な影響について研究しました。

ネガティブ反すう思考とは、マイナスなことを何度も繰り返し考えてしまう思考の癖を意味します。下図は論文を一部簡略化して作成した図です。少し眺めてみてください。

マイナス思考 うつ病

図を見ると、

自己否定・過去現在否定的が、
将来否定・ネガティブな反すう思考

を強めていることが考えられます。

そして、

将来否定とネガティブな反すう思考
が引き金となり、

抑うつ気分
を高めていることがわかります。

自己否定をしたり、過去や現在を否定すると、将来への希望が見いだせず、抑うつが高くなってしまうのです。過剰な自己否定や、過去や現在をマイナス思考で捉えている方は注意しましょう。

アメリカのAssari(2017)は、1,219人のアメリカ人を対象として、

1986年
2011年

の2回に分けて心理的な追跡調査を行いました。その結果、白人の場合、

1986年に
神経質な傾向が高かった人は、

2011年も
うつ病の罹患率が高かった

のです。下記はうつ病リスクのオッズ比を示しています。

神経質を解説するオッズ比

オッズ比とは、うつ病などの疾患などへのかかりやすさを表す数値です。1を超えると疾患にかかりやすいと考えることができます。

神経質のオッズ比は2.55ですから、1を超えているため、神経質な人はうつ病にかかりやすいと言うことができるのです。

神経質な人はマイナスなことや不安に意識が行きやすい傾向があります。つまり、マイナス思考をしやすい人は、うつ病の罹患率が高いと推測できるのです。

マイナス思考は健康被害を及ぼすこともわかっています。アメリカのデューク大学で2005年にブルメット氏らが発表した論文をご紹介します。

ブルメット氏は冠動脈疾患の患者(866名)に対して事前にアンケートを行い、

・マイナス思考の人達
・プラス思考の人達

に分けました。その後、約11.4年間追跡調査を行ったところ、プラス思考の人の方がマイナス思考の人よりも約22%も生存率が高いことわかったのです。考え方の違いが寿命に影響するとは驚きですね。。

心臓系疾患につながる

エレーヌ・フォックス(2014)は、180人の女性修道師を対象に寿命調査を行いました。この調査では、平均年齢22才時の手記がチェックされました。

そして、
ポジテイブなグループ
ネガティブなグループ
に分類し、60年後の健康状態を比較しました。

その結果、ポジティブシンキングを大事にしていた人のほうが、10年以上も寿命が長いことが分かりました。

ポジティブとネガティブと生存率

健康と言えば、栄養バランスや睡眠時間、運動などを気にするものですが、心のあり方も十分に大切な要素なのです。

 

マイナス思考の対処法

マイナス思考を改善する6つの対処法

ここからはマイナス思考を和らげる方法を6つ紹介します。私がカウンセリングで実施するトレーニングも含まれています。

①ゼロにする必要はなし
②マイナス思考停止法
③リフレーミングを学ぶ
④現実検討力を鍛える
⑤じゃあどうする法
⑥人を助ける力に変える

ご自身の状況に活かせそうなものを組み合わせて活用してみてください。

①ゼロにする必要はなし

先程マイナス思考のデメリットを解説しましたが、ゼロにする必要はないことはおさえておきましょう。以下の図は、マイナス思考と健康の関係を表したものです。

 

マイナス思考 適応度

マイナス思考が弱すぎると「躁的」になってしまいます。躁的とは、ハイテンションで活動的な状態ですが、その分、その日ぐらしになったり、努力を怠ることがあります。

逆に、マイナス思考が強すぎると、「抑うつ」になり、気分が落ち込んだ状態が続いてしまいます。

マイナス思考はメリットとデメリットがあるので、ゼロにする必要はなく、バランスをとることを目標にするようにしましょう。

 

②マイナス思考停止法

マイナス思考が過剰になっている人はある程度、抑制する必要があります。ここで大事なことは、「ネガティブ反すう」を少なくすることです。ネガティブ反すうとはネガティブな出来事を繰り返し考え、何度も思い出すことを意味します。

改善する方法として、思考停止法があります。思考停止法は、具体的な時間を設定して、それ以上は思考しないようにする心理療法の1つの手法です。

具体的には

はい!ストップ!
時間だ!マイナス思考やめ!
ネガティブ終了!

という掛け声を決めておいて、ネガティブな反すうを予防していきます。マイナスな記憶を何度も思い出してしまう・・・という方はこちらのコラムを参照ください。

マイナス思考停止練習

マイナス思考停止法

③リフレーミング

心理療法の1つに「リフレーミング」という方法があります。リフレーミングは、自分の枠組み(フレーム)を違うフレームで見ることで、見方を広げていきます。例えば、

ポジティブな人ならどう考える?
自分の学びになった点は?
この経験を活かすとしら?

など様々な視点から捉えるトレーニングをしていきます。いつもマイナスな見方をしてしまう…という方は、下記のコラムの練習問題に取り組んでみてください。

リフレーミングコラム

リフレーミング

 

④現実検討力を鍛える

マイナス思考が過剰な方は、現実離れしたネガティブな未来を予想してしまいます。あまりにも確率が低いことに悩む癖をつけると、世の中のあらゆることが悩みの対象になってしまいます。

あてはまる…と感じる方は、現実検討力をつけることをおすすめします。現実検討力とは

その不安は現実的か?
合理的な思考なのか?
何%ぐらいの確率で起こるか?

を考える力を意味します。思い込みが激しい、小さなリスクを心配しすぎる、…という方は下記のコラムを参考にしてみてください。

現実検討力をつける

 

⑤じゃあどうする法

マイナス思考は良い方向に活かすと、自己研鑽に結びつくこともあります。以下、研究を折りたたんで記載しました。気になる方はクリックしてみてください。

ガブリエル・エッティンゲン(1991)は、ポジティブとネガティブの効果について多数の研究結果を報告しています。

この研究では、参加者の女性を、「ポジティブ、ネガティブ」の2つのグループに分けて1年後の体重を比較しました。その結果、下記の図のように、マイナス思考の女性のほうが約11kgも痩せたのです。

ダイエットとマイナス思考

こうした、マイナス思考の影響はダイエットだけではなく、恋愛や学業などの分野でも同じような現象が確認されたと述べています。

この研究では、過剰なポジティブは逆効果であること、またマイナス思考を正しく使うことで成長の糧にできることが示唆されています。

 

マイナス思考を変えずに活かしてしまう方法が「じゃあどうする法」です。マイナス思考が浮かんだら、

「じゃあどうする」

と考え、解決策を練ることで不安を落ち着いていきます。マイナス思考を逆に前向きに活かしたい!と感じる方は、下記を参照ください。

じゃあどうする法

 

⑥人を助ける力に変える

マイナス思考の方は、情緒が不安定で、不安や恐怖を抱えやすい傾向があります。一方で、そうしたマイナス感情を普段から感じやすい分、苦しんでいる人の気持ちがわかるという一面もあります。

谷・天谷(2009)が大学生221名を対象にした研究では、情緒不安定な傾向がある方は同時に共感性が高いと統計的に明らかにしています。

共感力と情緒不安定


マイナス思考の方は、感情の浮き沈みが激しい分、周囲のささいな感情の変化に気が付き、人の心情を理解しやすいともいえるのです。その意味で、医療職、福祉職、管理職、接客業などでその共感性の高さを活かすことができます。

マイナス思考は遺伝の影響もあり、完全になくすことはできません。どうせなくならないのであれば、人を助ける力に活かすという視点も大事にしてみてください。

まとめ

今回は、マイナス思考の改善法,治し方を解説してきました。紹介した手法をうまく使いながら、バランスを取り、メンタルヘルスが健康的な日々を過ごされることを願っています。

 

心理学講座のお知らせ

マイナス思考を公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり改善したい方は、私たちが開催している心理学講座をオススメしています。講座では

・マイナス思考の改善
・リフレーミング練習
・不安感との付き合い方
・認知行動療法

などを行っていきます。筆者も講師をしています。是非お待ちしています。↓詳細は下記の看板をクリック♪↓

助け合い掲示板

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

*引用文献
大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連. ストレス科学研究, 31, 41-48.神谷慶, & 幸田るみ子. (2016). 
エレーヌ フォックス 2014 脳科学は人格を変えられるのか? 文藝春秋
Gabrile Oettingen & Thomas A. Wadden 1991 Expectation, fantasy, and weight loss : Is the impact of positive thinking always positive? Cognitive Therapy and Research Volume 15, Issue2
尾崎真奈美 2013 与える喜びの心理学:ポジティブ心理学第2世代 Journal of International Society of Life Information Science 31(1)