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入門ラポールを形成する方法,心理学,看護

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入門ラポールを形成する方法,心理学,看護

みなさんこんにちは!公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回のテーマは「ラポールを形成する方法」です。当コラムではラポール形成の基礎技術を専門家の立場からお伝えします。

ラポール形成,講師

福祉に関わる仕事をしている
医療関係の仕事をしている
悩みの相談を受けることが多い
警戒心を解きたい人がいる

上記にあてはまる方は、是非最後までご一読ください。

ラポールの意味とは

意味

まずはラポールの意味や定義を見ていきましょう。心理学大辞典(2013)によるとラポールは以下のように定義されています。

相互に理解し合う、受容し合う、共感し合う、温かくてリラックスした関係(一部簡略化)

ラポールが築かれている状態では、お互い警戒心がなく、安心して、考えや感情を交流させることができます。そのため、カウンセリングや福祉の世界で極めて重要性が高い用語として定着しています。

3つの基礎要素

心理学者のTickle(1990)はラポールの形成には3つの要素があると言えます。

肯定的な感情を示す
ポジティブな感情を示すことは援助者の基本的な姿勢と言えます。笑顔で微笑む、相手の話を暖かく返す、ユーモアのある返しをする、これらの意識を大事にします。

相手の存在を認める
クライアントを1人の人間として認め、その存在に気を配り、しっかりと確認することが大事です。例えば、なるべく目を合わせる、困っていないか確認する、表情や声の抑揚を確認する、などが挙げられます。

動きの同調
ラポールを形成するには、クライアントの動きに合わせたやり取りが大事です。例えば、子供にはかがんで話する、話す速さを合わせる、微笑んでくれたら微笑み返す、などが挙げられます。

あいづちがラポール形成に効果あり

ラポール形成の効果

安心感をもたらす

悩みを抱える人は、最初は警戒心があり、心を閉ざしてしまう方が多いです。このような状態では、どんなことに苦しんでいるのかわからず、援助が停滞してしまいます。ラポールを築く力がある方は安心感のある雰囲気をもたらし、援助の入り口に入ることができます。

自己開示を促す

ラポールが形成されると、相談者の方が、心を開いて悩みを相談できるようになります。私たちは「この人は安心できる」「深い悩みを相談しても否定しない」と感じる人には、苦しい心持を聞いてほしいと願うものです。ラポールを形成できる人は、相談者が深い自己開示ができる環境を提供することができるのです。

自己肯定感が高まる

私たちは、ラポールを形成した人に、自己開示をして、充分受け止めてもらえると、「こんな自分でもOKなんだ」「人は私を大事にしてくれる」という自己肯定感を育てていくことができます。自己肯定感は全ての行動のエネルギーの源泉です。あなたのラポールを築く力が、相手の積極的な行動につながるのです。

ラポール形成に役立つ3つの非言語と効果

ラポール形成の方法

ここからは具体的なスキルの説明をしていきます。ラポール形成には様々な技術がありますが、まず入門として以下の7つを抑えておきましょう。

①ラポール形成と大局観
②温かい笑顔が土台
③あいづちをしっかり打つ
④ゆったりした話し方
⑤共感力をつける
⑥無条件の肯定ストローク
⑦援助者も幸せになる

ご自身で不足しているな…と感じる項目について重点的に学習してみてください。

①ラポール形成と大局観

ラポール形成は出会いの段階から、関りがなくなるまで絶えず続くものです。出会いの段階から、すぐに形成されることは稀で、嵐のような苦しい時期が訪れることもあります。しかし、辛抱強く関り続けると、いつか霧が晴れたように、お互いの信頼が醸成されていきます。ぜひ、大局観をもって援助をするように心がけましょう。

専門職の方は、以下の折り畳みもぜひご一読ください。

J.Travelbee(1974)の著書「人間対人間の看護」によると、看護は5つの段階に分けられるとされています。

1.初期の出会いの位相
看護師と患者が初めて対面する時、まずはお互いを「患者、看護師」といたカテゴリーで相手を認識します。そして、年齢、性別、成育歴などの情報を通して相手を把握します。

2.同一性の出現の位相
相手を「患者」「看護師」「病名」「年齢」といった表面的なカテゴリーで認識するのではなく、1人1人異なる物語を抱えた人間として見るようになります。

3.共感の位相
それぞれの独自の存在として距離を保った上で、お互いを理解しあっているような感覚になります。相手の独自性や個性が明確に知覚されるようになります。

4.同感の位相
同感とは、相手の感情に心を動かされ参加し、自分のことのように相手の気持ちを感じるプロセスを意味します。「同感」には距離がなくお互いに感情移入し合っている状態であると言えます。深い信頼関係を生み出す一方で、相手の感情に巻き込まれて傷つくこともあります。

5.ラポートの位相
最終段階に「ラポートの位相」です。初対面の時のような「看護師」「患者」といった枠組みは存在せず、お互いに「人間対人間(interpersonal)」の感覚を経験します。相手をひとりの人間として認識しあい、距離を取らずに触れ合うようになります。

 

講師の視点
私もカウンセリングをしていく中で、同じような体験をすることがよくあります。最初は性格分析や精神疾患の種類を前提に相談者として認識します。しかし、カウンセリングが進んで行くと、そういった分析上の数値や病名が吹き飛び、人と人として対話している感覚になります。そうすると、相談者の方と深い部分でラポールが築かれた感覚になります。

 

 

②温かい笑顔が土台

温かい笑顔はラポールの土台です。笑顔には様々な種類がありますが、援助職の方は以下のアルカイックス-スマイルを基本としましょう。アルカイックスとは古代ギリシャの彫刻で見られる微笑を意味します。

ビジネスで使える表情トレーニング

具体的には、口角を軽く上げ、やさしく目じりを下げ、包み込むような微笑になります。できれば動画をとって練習してみてください。笑顔が堅い方は以下のコラムでトレーニングをしてみてください。

笑顔のトレーニング法

 

③相槌をしっかり打つ

ラポールは日々の会話の中で育まれていきます。中でも相槌は基本的なスキルとなります。カウンセラーが基礎として学ぶのが、

はい ええ うん

の3つです。私川島の場合は、どうしても「はい」は気持ちを込めるのが苦手なので、「ええ」「うん」が多いです。一度動画を同僚同士で撮影するなどして、自分にあった相槌を練習することをオススメします。相槌をしっかり練習したい方はこちらのコラムも参照ください。

相槌の打ち方

 

④ゆったり話す

精神的に参っている方は、頭が疲れていて、情報処理速度がおちている傾向にあります。この時、早口でまくし立てるように話されると、すごく疲れてしまいます。

話す速さは相談者の方が安心できるように、ゆったりゆったり話すことを心がけましょう。私自身は相談者の方の20%程度、速度を落として話すようにしていします。

参考文献として、カンセリングで有名なロジャーズの動画がありました。ゆったりとした暖かい雰囲気など参考にしてみてください。13分前後に相談者の方の手を握っています!これはびっくりしました。日本ではちょっと難しいですね。。

 

④共感力をつける

言語的な共感力も非常に大事になります。例えば、質問をするときは、5W1Hだけでなく、以下のように感情を入れてみてください。

 最近お気持ちはどうですか?
 楽しい旅行の思い出はありますか?
 困ったことなどないですか?

このように感情を入れながら質問をすると、気持ちを表現しやすくなります。もし相談者の感情を表現してくれたらしっかり受け止めることも大事です。

それは嬉しいことですね!
充実したご飯だったのですか
残念でならないですね…

このように受け止めを大事にしてみてください。共感的に傾聴するのが苦手…と感じる方は下記のコラムを参照ください。

共感力を高めるトレーニング

 

⑥無条件の肯定的ストローク

日々の業務のなかで心がけることは、無条件の肯定を原則とすることです。無条件の肯定とは、どんな理由や状況であれ、肯定的に関わっていくことです。難しそうに見えますがどうということはありません。

挨拶をする 目があったら会釈 細目にありがとうと言う 理由なく声をかける 屈託なく雑談をする 

これはすべて無条件の肯定にあてはまります。相談者の方は、どんな時でも、温かく接してくれることがわかるとすごく精神的にほっとします。是非、無条件の肯定ストロークを大事にしてください。

ストロークの種類と実践

 

⑦援助者も幸せになる

援助職のすばらしいところは、援助そのものが仕事であるという点です。心理学の研究では、協調性や援助の発揮はメンタルへルヘルスに良いことがわかっています。

幸せな援助者であればあるほど、穏やかな空気感、安心感は伝わっていくものです。是非あなた自身の幸福感も感じられるように、一生に一度の仕事で幸せになってくださいね。

ラポール形成の方法

まとめ

ラポール形成は患者さんの心のケアをする上で、欠かせない概念です。ラポールが形成されているか否かで、医療や福祉の効果が大きく変わってきます。

患者さんにとって、あなたは辛い状況を支えてくれる最後の砦でもあります。長期的な視点を持って、じっくり関係性を築いていきましょう。


人間関係講座のお知らせ

公認心理師のもとでラポールを形成するスキルを向上させたい方は、私たちが開催している人間関係講座をおすすめしています。講座では

・共感力のトレーニング
・悩みを抱えている人の傾聴補王
・ストロークの使い方練習
・心理療法の基礎学習

など練習していきます。筆者も講師をしています。皆様のご来場をお待ちしています。↓興味がある方は下記のお知らせをクリック♪↓

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・ファンデンボス,G.R.(2013)APA 心理学大辞典 p905
・磯友輝子, 木村昌紀, 桜木亜季子, & 大坊郁夫. (2003). 発話中のうなずきが印象形成に及ぼす影響: 3 者間会話場面における非言語行動の果たす役割. 電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎, 103(410), 31-36.
・大塚容子. (2011). 初対面の 3 人会話におけるあいづち-ラポール構築の観点から. 岐阜聖徳学園大学紀要. 外国語学部編, 50, 85-95.
・Spencer-Oatey, H. (2000). Rapport management: A framework for analysis. Culturally speaking: Managing rapport through talk across cultures, 1146.
・Tickle-Degnen, L., & Rosenthal, R. (1990). The nature of rapport and its nonverbal correlates. Psychological inquiry, 1(4), 285-293.