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ストロークの意味や種類,使い方

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ストロークの意味や種類,使い方

皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師,精神保健福祉士の川島達史です。今回は「ストロークの使い方」についてご相談を頂きました。

 

相談者
31歳 女性

お悩みの内容
私は自己否定が強く、余程のことがない限りは、自分を褒めません。自分なりに、努力をしてきて、それなりに成功してきたつもりなのですが、なぜか漠然とした不安があります。

また自分だけでなく、人を褒めるのが苦手で、どこか肩書で人を判断してしまうところがあります。損得勘定で人と接するので、心からの交流ができていない気がします。

検索していたところ「プラスのストローク」という用語が自分にぴったりで、自分に不足している気がしました。詳しく教えてください。

努力をしているにも関わらず、漠然とした不安があるのですね。ストローク理論を学び、実践していくと、日々の生活に安心感をふやすことができます。

当コラムでその秘訣をお伝えします。是非最後までご一読ください。

 

ストロークの意味とは

意味

ストロークとは、交流分析という心理療法で重視されている概念です。エリック・バーン(1957)[1]によって提唱されました。エリックバーンは、ストロークを以下のように定義しています。

他者の存在を認識する全ての行為

エリック・バーン、Eric Berne

出典:Wikipedia

意味を読んで頂いて理解はできたでしょうか?「他者の存在を認識する全ての行為」と言われても、わかったようでわからない感覚になってしまうと思います。

もう少し中味を考えていきましょう。

語源

ストロークは、英語のstroke「撫でる」 という言葉から来ています。小さな頃、親から「ヨシヨシ」と撫でられた体験を持っている方は多いのではないでしょうか。

「撫でる」という行為には、「かわいらしい子だ」というような「相手の存在自体への肯定感」があると考えられています。そういった肯定感があるからこそ、愛おしくて抱っこしたり、頭を撫でるという行為に結びつくのです。

「撫でる」という語源から転じて、ストロークとは「他者の存在を認識する全ての行為」、つまり「人と関わるという行為全般」を「ストローク」と呼ぶことができます。

私たちは、人間関係を築くとき、あらゆる場面で大なり小なりのストロークを絶えず行っています。ストロークとは人生と深く結びつく概念なのです。

ストローク,交流分析

3つの重要概念

さて、もう少しストロークの核心に迫っていきましょう。ストロークには

①肯定・否定
②無条件・条件つき
③ノンストローク 

の3つの重要概念があります。

①肯定・否定

ストロークには、肯定的なもの・否定的なもの、2種類があります。まずは下図をざっとご覧ください(杉田,1985[2] 白井,1981[3])。

ストローク分類1

図をご覧いただくと分かる通り、肯定的なストロークは人間関係を前向きにしますが、否定的なストロークは後ろ向きにします。

 

②無条件・条件ストローク

ストロークには、もう1つ重要な概念があります。それは無条件・条件付きの2つです。それぞれ肯定・否定と組み合わせるので、ストロークは4種類あることになります。

下図の通り、肯定・否定×無条件・条件で、4種類に分類されていることがわかります。

ストロークの条件と種類

さて!ストロークを理解するには、この4つの分類をしっかりおさえていく必要があります。以下それぞれ折りたたんで解説したので、展開して読み進めてみてください。

結果や行動に関係なく、相手の存在自体やありのままの姿を受け入れて肯定するストロークです。 

‐具体例-
目があったら嬉しそうにする
毎朝あいさつする
相手の意見をしっかり傾聴する
成功失敗に関わらず努力を認める

このように、結果にとらわれず、存在やプロセスを認めていくのが特徴です。無条件の肯定的ストロークは、すべての人間関係の土台になります。


何かをした場合、その行為や結果を褒めるストロークです。

‐具体例-
良い成績をとったから褒める
満点を取ったからすごいと褒める
合格したからすごいと認める

条件付きの肯定は「〇〇できたから」「〇〇したから」「成功したから」という条件が前提となります。後ほど詳しく解説しますが、条件付きの肯定的ストロークだけでは、信頼関係を築くには不十分です。

結果や行動に関係なく、相手の存在自体を否定するストロークです。

‐具体例-
人格批判をする
頭ごなしに否定する
相手の意見をはじめから聞こうともしない
目があったら嫌そうにする

無条件の否定的ストロークをされると、私たちは自己肯定感が著しく低下します。人間関係が極度に悪くなる関わり方なので注意が必要です。


何か失敗や欠点があった場合、その行為や結果を否定するストロークです。

‐具体例-
掃除ができないから怒る
遅刻を怒る
コピーの雑さを指摘する

条件付きの否定的ストロークは理由が明確なので、無条件の否定に比べて、心理的負担はそこまでありません。ただし、連続して否定ばかりされると自己肯定感が低下していくので注意が必要です。

 

③ノンストローク

最後の重要な概念として、ノンストロークが挙げられます。ノンストロークは、そもそもストロークをしないことを意味します。

‐具体例-
目が合っても無視をする
仕事を与えない
意見を全く聞かない
音信不通

①~②で挙げた4つの種類は、内容はどうあれ「ストロークをしている」という点において、相手の存在自体を認めていることになります。一方でノンストロークは、ストロークそのものをしない状態になります。

ストローク理論では「ノンストロークは最も避けるべき」と考えます。相手の存在を認めないという事は、否定される事よりも自己肯定感を低下させることがあります。原則としてノンストロークは減らしていくようにしましょう。

無条件の肯定が最重要

もう一度おさらいすると、ストロークには、以下の3つの重要概念があります。
 ①肯定・否定
 ②無条件・条件つき
 ③ノンストローク 
そして、ノンストロークを入れると、全部で5種類あると言えます。

無条件の肯定は最重要

ここで人間関係における重要性を分類すると以下のようになります。

無条件・条件,ストローク,優先順位

無条件の肯定はあらゆる人間関係の土台です。

目があったら「おはよう♪」と笑顔で挨拶
ひとまずは話をよく聞く
話が苦手な人に声をかける
お子様であれば抱っこをする

これらの無条件の肯定的ストロークがきちんとできていると、人間関係の土台はしっかとしたものになります。

条件付き肯定の弱点

次に条件付きの肯定的ストロークについて考えてみましょう。皆さんは、以下のようなストロークを受け取った時、どのような気持ちになりますか?

「いい成績を取ってえらいね」と親がほめてくれた!
「営業成績が上がって素晴らしい」と上司がほめてくれた!
「大手企業の正社員だから安心して付き合える」と恋人に言われた!

多くの方は、いったんは、喜ぶでしょう。

しかし問題はその後です。人生はずっとうまく行くわけではありません、成績が下がる、営業で成約をとれない、会社が倒産する・・・このような状況に陥る可能性は誰でもあります。

条件付きのストロークは、肯定する条件がなくなると、その肯定や好意自体も消えてしまうな不安に駆られてしまうのです。「条件」をつけることでしか認め合えない関係は、不安定なものになってしまうので注意しましょう。

無条件の肯定の使い方

もう少し具体的な「無条件の肯定的ストローク」の使い方を考えていきましょう。

たとえば、子供が「私は背が高いから可愛くない…」と悩んでいたとします。その時、あなたが母親であれば、

背が低くても高くても、私はあなたが可愛いよ♪

と声を掛けられるでしょう。

結婚を考えている恋人が「最近収入が減って大変だ…やっていく自信がない…」と落ち込んでいたとします。この時、パートナーであるあなたが、

収入が減ってもなんとかなるよ。一緒にいられるだけで満足♪

と言ってあげたら、お相手にとってかけがいのない言葉になるでしょう。もちろんなかなかそこまで言い切るのは難しいかもしれないですが(^^;

心がけたいのは「どんな時でも・・・」というのがポイントです。相手を肯定する時に「〇〇だから・・・」という特別な理由はいらないのです。

ストローク,無条件

ストロークは自分にも使える

自分にも効果的

ストローク理論は元々、人間関係を安定させることを目的として活用されてきました。しかし最近の心理療法では、自分自身を褒める際にも活用されています。

例えば、鉅鹿(2002)[4]は、うつ状態の人に対し、肯定的ストロークを自分に向けて行うようカウンセリングで指導しました。その結果、3人のうち2人の抑うつが改善されたと報告されています。

自分を褒めるコツ

復習になりますが、ストロークは、無条件の肯定がすべての土台になります。そのため、自分を褒める時も無条件の肯定を毎日投げかけることが大事です。

‐具体例-
結果はさておき、努力した自分を褒めよう
今日1日精一杯生きた自分を褒めよう
なんやかんや毎日がんばってるな

このように、失敗、成功に関わらず、自分を認める言葉を用意しておきましょう。一方で、無条件の否定は厳禁です。

‐具体例-
仕事は結果すべて…これまでの努力は無駄だった
私は容姿が優れていない…人間的な価値はない
学歴が低い…私は人前に出る資格がない

このように自分を全否定するような否定的ストロークは厳禁です。以下、自分へのストロークの練習問題も作成したので、是非参考にしてみてください。

問題① 条件付き・肯定ストローク練習

あなたがここ1年で得られた成果について考え、「条件付き肯定的ストローク」で褒めてみましょう。達成した物事から考えると出しやすいでしょう。

条件付き肯定的ストローク 



 

解答例
仕事が評価され昇給が決まった!よく頑張った!
好きな人に告白して付き合えた!さすが!
コンテストで入賞できた。結果が出した自分を褒めよう

条件付き肯定ももちろんOKです。結果が出た時、成果が出た時はしっかり自分を褒めるようにしましょう。

 

問題② 無条件・肯定ストローク練習

あなた自身を「無条件の肯定ストローク」で褒めてみてください。失敗・成功などの成果は問わず、姿勢や気持ちを大事にして、あるがままの自分を励ましてみましょう。

無条件肯定的ストローク


 

解答例
毎日を健康に生きているのはすごいことだ!
告白が失敗に終わったが、告白した経験は自信になる。頑張った!
毎日の仕事はストレスだが、一生懸命生きている!えらい!
人生いろいろあるけど、毎日食べて寝て生活できて、幸せだ!

このような無条件の肯定は、あなたの自己肯定感の源です。条件付き肯定はボーナス、無条件の肯定は基本給?のようなイメージで日々自分にストロークを投げかけていきましょう。

 

まとめ

ストロークは、自分や相手の存在を認める言動です。結果に目を向ける事も時には大切です。しかし、すべて結果のみにこだわってしまうと、心理面が不安定になってしまう事もあります。

結果に関わらず、その過程で何を得たかを考えて、無条件の肯定的ストロークで自分を励ますようにしましょう。

イラスト:正のストロークを自分自身に投げかける人

講座のお知らせ,発展コラム

講座のお知らせ

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ストロークは自分に投げかけることも大事ですが、人からもらうことも大事です。身近な人に、無条件の肯定ストロークを人はいませんか。

僧侶のような人がいればラッキー!その方の迷惑とならない程度に話をきいてもらい、無条件の肯定をしてもらいましょう。

叱り方

もしあなたが会社の上司であったら部下の叱り方に迷うと思います。またあなたが親であれば、子供をどう叱るかは誰もが通る疑問でしょう。

ここで意識してほしいのが、無条件の肯定をまずはベースにするということです。無条件の肯定を普段からきちんとしておけば、多少厳しいことを言っても信頼関係が崩れることはありません。

詳しくはこちらの叱り方コラムを参照ください。

交流分析とは?

交流分析は、1950年代後半に精神科医エリック・バーンによって提唱されました。ストローク理論は交流分析の1分野でその他、エゴグラム性格診断、自我状態分析という発展的な理論が盛りだくさんです。

交流分析について、詳しく知りたい方は以下よりご覧ください。
交流分析コラム

 

助け合い掲示板

1件のコメント

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    • めがね
    • 2019年6月10日 4:21 PM

    無条件の肯定的ストロークで自分も相手もほめてみます。
    誰に対してもあいさつは「こんにちは!」だけなので工夫してみたいと思います。
    結果にとらわれて挫折することが多いので無条件の肯定的ストロークで自分のことを励ましてみます。
    自分のことを励ますのは難しいですが頑張ったこと自体を肯定したいと思いました。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 元専修大学人間科学部教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]Berne, E.(1957).A Layman’s Guide to Psychiatry and Psychoanalysis. Simon and Schuster
 
[2]杉田峰康(1985).講座サイコセラピー 第8巻 交流分析 交流分析日本文化科学社 90p
 
[3]中島美知,白井幸子(1981).死と闘う人々に学ぶ 医学書院 38p