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ネット依存症の原因と診断基準・予防

ネット依存症の原因と診断基準・予防

はじめまして!社会心理学の専門家・精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「ネット依存」についてお話していきます。目次は以下の通りです。 

ネット依存症の問題と深刻さ

インターネットは、今では日常生活に欠かせないものになっていますね。私川島はアラフォーですが、小さいころは黒電話、テレビ、新聞の時代でしたから、誰かとやり取りするには、電話が基本です。情報をゲットするには新聞が多くを占めていました。

今はSNSで世界中の方といつでもどこでもつながることができます。情報源もグーグル、ウィキペディア、論文サイトと多様です。夢のような世界が広がっています。

しかし、情報共有の利便性を高めるために普及したはずのインターネットが、心理的な問題の発端となる場合があります。

「ネットから抜け出せない」
「スマホがないと不安…」
「ネットのしすぎで夜眠れない」

など、インターネットが手放せなくなる人が多くなっています。依存傾向が強くなるとネット依存症になる可能性もあります。

ネット依存の問題

インターネット依存症とは?

インターネット依存症の始まりは1990年代です。インターネット関連で生じるメンタルヘルスの問題について、キンバリーヤング(1998)という人が「インターネット依存」という言葉を最初に使い、全世界に広がっていきました。

日本では1995年以降にインターネットの普及が急速に進み、パソコンでオンラインゲーム等を楽しむことができるようになりました。大人はもちろんのこと子どももインターネトを気軽に楽しめるようになり、オンラインゲームに没頭する若者が増えていったのです。

そのような背景から、医学の世界でもネット使用、特にインターネットゲームにまつわる症例が増加し、懸念されるようになりました。

ネット依存の原因と問題

これまで医学の世界では「依存症」という言葉は、薬物など「物質」に対して使われることだけが許されていました。しかし、ギャンブルやインターネットなど、「物質」に対してだけではなく、「行動」に対しても、同じように過度に執着し、遮断されると主に精神面に支障をきたす「離脱症状」が現れる場合=依存の状態が生じることがわかってきました。このような「行動」に対する依存を、最近では『嗜癖(しへき)』と呼ぶようになっています。

・ネット依存症の医学的な診断

インターネット依存については、まだ研究データが少なく、医学会でも正式な病名は発表されていませんでしたが、2018年にICD-11(国際疾病分類第11回改訂版)という、WHOが発表している疾患分類に、初めて「ゲーミング障害」が記載されました。

また、アメリカの精神医学会(APA)が2015年に発行したDSM-5(精神疾患の診断と分類)においても、今後「障害」として認められるべき疾患として「インターネットゲーム障害」を取り上げています。

これらの以下の診断基準案の9つの項目のうち、1年の間で5つ以上あてはまると依存状態とみなされます。

ネット依存の診断基準案

・ネット依存症の特徴

依存症はさまざまな問題が表出するにもかかわらず「自覚がない」というのも大きな特徴として示唆しされています。片山(2016)らは、大学生138名にS「インターネット依存傾向と健康度および生活習慣と関連性」の研究を行いました。

この研究では、「インターネット依存の傾向があるにも関わらず、自覚がないケースがあり、依存傾向を自覚していても、ネットを辞められない傾向にある」ことがわかりました。依存傾向を放置すると、症状を進行させてしまうため注意が必要です。

特徴を理解して緩和する

コラム①では、インターネットのの部分について研究を交えながら解説していきます。

ネット依存のの側面

インターネットを使うことは必ずしも悪いとは言えません。実はSNSを使うと「コミュ力UP」の効果が期待できると考えられます。

実際に、河合ら(2011)の研究では、「SNSのメリット、デメリット」について調査が行われています。日本最大級のSNSである「SNS X」のユーザー約1500万人に対してアンケート調査を行いました。そのうち、71,926ユーザーからの回答があり、以下のようなメリットがあることが分かったのです。 

SNS依存と利用自体の調査

最も大きな利点は「人との交流」です。現実に対面しなくても他人とつながることができるのはインターネットの特徴でしょう。しかし、意外なのは、SNSを使うことで現実のコミュ力も上がることです。インターネットにはまってる人は、内向的でおとなしいイメージを持たれがちですが、実際には社交性が高まっているのです

文章はもちろん写真や動画を送ることもできるため、現実の情報交換よりもわかりやすく手軽に素早くやり取りすることができます。その他、SNSは現実の日常生活では作ることができない人間関係の広がりを作ってくれるため、SNSを含めインターネットは日々の生活になくてはならないコミュ二ケーションツールだといえます。

ネット依存の側面

続いてネットの影の面です。日常生活に欠かせないインターネットですが、オンライン上の人間関係に偏りすぎてしまうと、依存症のリスクが増大します。

ネット依存とは
「ネットを利用したい気持ちを自分の意思でコントロールできない状態」
の事です。

・研究①:SNS依存がトップ

ネット依存の中でも、SNSなどのコミュニケーションに関する依存度が特に高いことが分かっています。下記はスマートホン保有者のインターネット利用目的の中で、高い依存傾向がある率を示したグラフです。SNSの利用は、他の利用目的と比較して依存傾向の高い人が多いことが分かります。総務省の調査研究

・研究②:女性に発症しやすい

総務省・安心ネットづくり協議会(平成23年)は、インターネットと依存との関係について、携帯電話向けサービスの利用者を対象に、依存傾向について調査を行いました。

ネット依存 症状

厳し目の基準で依存
3.8%
緩やかな基準で依存
11.0%
性別でみると男性よりも女性の依存傾向が強い結果となりました。

ネット依存の症状と予防

インターネットは手軽に他人コミュニケーション取るには便利なツールですが、使いすぎると心身ともに疲弊してしまうことが分かっています。身体や心理面への影響については以下のコラムで確認できます。

ネット依存の影響「身体・心理的な症状」③

ネット依存の簡易診断

ネット依存への傾向をセルフチェックできる「ネット依存診断」をご用意しました。ご自身の依存傾向の強さを把握したい方は、コラム①を概観した後、一度診断してみることをおすすめします。

ネット依存を「簡易診断」あなたの依存傾向をチェック④

ネット依存傾向を緩める方法

インターネット依存・依存症を緩和するコツとして「インターネットと上手く付き合う方法」を3つご紹介します。ネット依存の予防にもつながりますのでぜひ参考にしてください。

① マイナスとプラスを知る

ネット依存の症状は、真面目な人ほど強くなる傾向があります。ネットを使うことに義務感を覚えたり、オンライン上の人間関係で気遣いをすることなどから、心身共に負担が大きくなりネット依存の症状が出やすくなります。

ネット依存傾向を緩和するためにまずは、一番自分の状況を分析して「ネットに依存している自分」に気づくことから始めます。そして、利用することで「失うもの」「得られるもの」の2つを紙に書き出し、どのくらいの利用頻度なら自分にとって「バランスが良いか」を考えていきます。

② ルールを決める

ネット依存している状況に気づけたら、利用制限のルールを決めて依存傾向の改善を目指します。自分にとって無理のない範囲で「具体的なルール」を決めてネットの利用時間を調節していきます。

③ ハマれるものを探す

オンライン上での人間関係への依存傾向を減らすためには、現実世界でのコミュニケーションを増やすことはとても有効です。継続して関われるコミュニティに所属できるメンタルヘルスの安定が図れます。

インターネットと上手く付き合う3つの方法を、詳しく知りたい方は下記をご参照ください。

ネット依存の予防策「ネットと上手く付き合う方法」⑤

コミュニケーション講座について♪

ここで少しだけお知らせをさせてください♪もしネットを使いすぎて、現実の人間関係が不足していると感じたら、コミュニケーション講座がおすすめです。 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、講座を開催しています。

講座の様子1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もし興味がありましたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

ソーシャルスキルとコミュニケーション

ネット依存は早めの解決を

ネット依存について、ネット依存症の診断基準やネット利用のメリット・デメリットを、心理学の研究や統計を交えながら解説しました、

依存性の改善には時間がかかるかもしれません。しかし、徐々にでもしっかり対処していけば必ず回復できます。自分に合ったルールを決めてしっかりと対処してネット依存を緩和していきましょう。

★ネット依存の予防は現実世界とネットのベストバランスから

コラムだけでなく心理の専門家の講義を受けてみたい!という方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。私たちが講義をしている講座となります。

人間関係講座

 

目次

①ネット依存の原因と診断基準
②統計・症例
③身体・心理面への症状
④簡易診断で依存度チェック
⑤ネットの適切な利用法

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・片山友子 水野(松本)由子 (2016) 大学生のインターネット依存傾向と健康度および生活習慣との関係性 総合健診 2016年43巻6号,9-15
・河井ら(2011)SNS依存とSNS利用実態 日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 26(0), 265-270, 2011
・総務省 平成26年版 情報通信白書 第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト, 第3節 安心・安全なインターネット利用環境の構築
・小寺敦之(2013),「『インターネット依存』研究の展開とその問題点」,東洋英和女学院大学『人文・社会科学論集』31.
・Canan F,Yildirim O,Yildirim T, et al:The relationship between internet addiction and body mass index in Turkish adolescents.CyberPsychol Behav Soc Netw,17,40-45,2014.