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愛着障害の克服法!大人の愛着障害はどうやって治療する?⑤

愛着障害の克服法!大人の愛着障害はどうやって治療する?⑤

大人になって愛着ということばが気になったという人の中には、人間関係の難しさを感じているという方がいらっしゃるかもしれません。なぜ人間関係の難しさに愛着が関係あるのか?まずは、愛着が安定して形成されなかったときに注目して不安定な愛着の根底にあるものはなにかということについてご説明します。

不安定な愛着の根っこに見捨てられ不安

安定した愛着の基本は、子ども時代に特定の養育者から継続的なかかわりを通して培われます。良いときは褒められ、悪いことをしたときには叱られ、良いときも悪いときもありのままの自分が受け入れられることで

・安心感/信頼感
・自信
・他人との関係性を築くベース

などになっていきます。

安定した愛着が築けなかった人は、他者とのコミュニケーションに問題が出ることがわかっていますが、その根底には、

・良い子でなければだめだという思い込み
・人を信頼することに時間がかかる
・いつも自分に自信がない

などが思考や行動に現れ、その根底には「自分は見捨てられるのではないか」という見捨てられ不安があると考えられています。

大人の愛着スタイル

大人の愛着スタイルをみていきましょう。大人の場合は、「見捨てられ不安」と「関係構築回避」に着目します(中尾,加藤2004を参考に記述)。

愛着障害 タイプ

それぞれの特徴は以下のようになります。

安定型
不安が少なく、回避もしていない、一番健康なタイプです。困った時は悩みを打ち明けたり、相談をしたりなど他者を信頼して関わることができるし、親密な関係をもつこともできます。自分自身も安定していると言えます。おそらく充実した対人関係を持てていると言えるでしょう。

見捨てられ不安型
人と関わることには積極的なものの、見捨てられ不安を持ちやすいタイプです。親密でありたいと強く願い、しがみついてしまいます。他者からどう評価されるかということがとても気になり、拒否されたり、見捨てられることを過度に心配しています。自分自身も疲れてしまいますし、相手にとっても負担に感じられることがしばしばあります。

関係構築回避型
不安は低く、他者と距離を置くタイプの人たちです。人のことは信用しておらず、感情表現を抑えて自分を律しようとしています。日常生活では、ある程度適応的に機能することもありますが、親密な関係をプライベートで持つという点に課題を持っていることが多いようです。

引きこもり型
不安が高く、他者との関係を回避するタイプの人たちです。「他人は怖い」「きっと嫌われるに違いない」「どうせ人は私を見捨てて去っていくだろう」といったことを予期して、親密な関係を回避します。トラウマなどの傷つき体験を抱えた人などに見られます。あまり親しい関係を持てずに、対人関係が、ストレスとなってしまうことが多いでしょう。

各愛着スタイル4つの行動パターン!

さらに、日本における研究では、以上であげた4つの愛着スタイルを持つ人の行動パターンの違いが研究されています。

中尾・加藤(2006)では、大学生378名を対象に2種類の質問紙で愛着スタイルを測定しました。そして、各愛着スタイルと愛着を表現する行動パターンの違いを明らかにしました。その結果が、以下の図です。

愛着障害 大人

すねた伝達とは、ダイレクトに愛着を表現するのではなく、冷たい態度を取ったり、あえて突き放すような態度を取ったりして、間接的に愛着行動を行うことを意味しますです。グラフを見ると、見捨てられ不安型の方が安定型よりも伸びていることがわかります。

つまり、見捨てられ不安が高いほど、愛着を直接的に伝えず、振る舞いやしぐさなどの曖昧なメッセージを使って相手に伝えようとするということですね。このように愛着スタイルによって、行動パターンが変わってくることが心理学の研究によって分かっています。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

1.安定型の行動パターン
安定型の人は、不安になったり困ったときなどに他者に対し、素直に気持ちを伝える行動がほかの型よりも高いという結果でした。また、間接的愛着行動がほかの型よりも低いことがわかります。安定型の人は、直接相手に素直な自分の気持ちを伝えていることがわかります。

・安定型の人にありがちなトラブル
基本的には、他者と素直なコミュニケーションができる安定型の人でもときに体調が優れないときや他の物事で行き詰まっていると感じているときに物事を悪い方に考えて思ってもない事を口走ってしまうこともあるでしょう。

・改善方法
安定型の人は、普段は相手と直接素直なコミュニケーションが取れることが多いのですが、感情が不安定な時は、相手の顔色や考えていることが気になったりすることもあるでしょう。他者への懸念が高まったままでの関わりはとげとげしい物言いや態度になりがちです。まずは、いつものペースを取り戻すために深呼吸をして少し落ち着いてみましょう。

それには丹田呼吸法がお薦めです。以下のコラムを参考にしてみてください。

マインドフルネス呼吸法を行う方法

落ち着きを取り戻して相手と関わることで安定型の人の良い部分が普段通りに生かせるでしょう。

2.拒絶型の行動パターン
拒絶型の人は、不安になったり困ったときなどに他者に対し、他の型と比較して直接的愛着行動が一番低く、間接的愛着行動では、他者への懸念が強いことがわかります。他者への懸念が強いために素直な行動をとりづらくさせているのでしょう。

・拒絶型の人にありがちなトラブル
日常生活の中で拒絶型の人にありがちなトラブルを挙げます、例えば、ある日友人と出かける約束をしていたのですが、当日友人の体調が悪くなり結果的にドタキャンになったという状況で考えてみましょう。拒絶型の人は、自分と出かけるのが嫌なんだろうか?昨日のやり取りの中で何か変なことを言ってしまったのかなど1人でぐるぐる考えてしまいます。そんなときの感情や思考、行動は、以下のようなものが考えられます。

感情;ドタキャンされてさみしい。退屈。
思考;自分は嫌われているのかもしれない。
行動;詳しい状況は自分から聞かない、自分からは約束はしないようにする。

・改善方法
他者への懸念が強く、直接素直なコミュニケーションが少ない拒絶型の人は、まずは少しずつ自分の思いを相手に伝える機会を増やしましょう。直接伝えることが難しいのであれば、まずはメールなどで「残念だったなぁ」相手のことを「心配している」ことなど気持ちを少しずつ伝えることを意識してみて下さい。ひとつでもいつもと違う行動をことで極端な考えや回避的な行動も減ってくるでしょう。

3.不安型の行動パターン
不安型の人は、不安になったり困ったときなどに他者に対し、自分の気持ちを相手に素直に伝える行動は高いのですが、他者への懸念も強いことがわかります。親密な相手には回避はしないが、不安は強いという特徴ゆえに相手を試すようなすねた行動も多く、葛藤が大きいのかもしれません。

・不安型の人にありがちなトラブル
不安型型の人は、他者のことを気にしすぎる傾向にあります。上記同じ友人と出かける約束をしていたのですが、当日ドタキャンになったという状況で考えてみましょう。不安型の人は、自分と出かけるのが嫌なんだろうか?と懸念が強いのは拒絶型の人と同じなのですが、さみしい気持ちや残念な気持ちをすねた行動で表現してしまいます。そんなときの感情や思考、行動は、以下のようなものが考えられます。

感情;さみしい、がっかり
思考;出かけて楽しみたかった。
行動;「どうせ行きたくなくなったんでしょ?」
「あなたがいけないんだったら別の人と楽しむ」
など心にもないことを感情的に伝える。

・改善方法
直接素直なコミュニケーションはあるのですが、他者への懸念が強く、すねた表現をしてしまうとらわれ型の人は、まずは自分の気持ちを自分で受け止める機会を増やし、相手に適応的な表現で伝えるコミュニケーションを増やしましょう。すぐに相手に感情をぶつけてしまうとすねた表現になってしまうことも考えられるので、まずは、ノートなどで自分の嫌だったことや、残念に思った気持ちを書いて落ち着きましょう。その後、素直に相手に「次回を楽しみにしているね」など落ち着いてから本音を伝えましょう。一呼吸置くことで相手とのトラブルが減ってくるでしょう。

4.恐れ型の行動パターン
恐れ型の人は、不安になったり困ったときなどに他者に対し、相手に素直に気持ちを伝える行動が低く、他者への懸念が強いことがわかります。間接的愛着行動のみを見るととらわれ型と同じように見えますが、直接的愛着行動も高いとらわれ型と比較すると、恐れ型の人のほうがより他者へ気持ちが伝わりにくい行動が多いことがわかります。また、恐れ型の人の特徴として親密な相手ほど回避してしまうので大切な相手ほど気持ちを伝えるのが難しい傾向にあるでしょう。

・恐れ型の人にありがちなトラブル
日常生活の中で恐れ型の人にありがちなトラブルを挙げます、例えば、上記と同じくある日友人と出かける約束をしていたのですが、当日ドタキャンされたという状況で考えてみましょう。恐れ型の人は、自分と出かけるのが嫌なんだろうか?やっぱり自分なんかといても楽しくないよねなど1人でぐるぐる考えてしまいます。そんなときの感情や思考、行動は、以下のようなものが考えられます。

感情;ドタキャンされてさみしい。悲しい。
思考;やっぱり自分は独りぼっちだ。
行動;相手が本音を話し合おうとするのに話題をそらす

・改善方法
他者への懸念が強く、親密な相手ほど直接素直なコミュニケーションが少ない恐れ型の人は、まずは自分への肯定的なストロークを増やしましょう。ストロークとは、人の存在や価値を認める言動や働きかけを指す概念です。自分への自信が低めな恐れ型の人は、相手と向き合うときに不安が高まりやすい傾向にあります。そのため、どんな自分でも受け入れられることを実感するために、自分に無条件の肯定的ストロークを送りましょう。以下のコラムを参考にしてみて下さい。

安心感を持つポイント「無条件の肯定ストローク」を増やそう②

不安が高まったときに自分への安心感を高めることで極端な考えや親密な相手を回避する行動も減ってくるでしょう。

以上、成人の愛着パターンのから起こるトラブルやその解消法についてご説明しました。しかし、ここで注意が必要なのは、例えば、普段は安定型の愛着スタイルの人がすねた表現を特定の人にだけしてしまうなどということはもちろんあるということです。親、友人、恋人など関わる人や状況によってある程度思考や行動は変化することは当然のことです。

大人の愛着障害の解決策

子どもの頃に愛着関係が育まれなかった場合でも、親しい友達や恋人ができることや、そこでの関係性のあり方などを試行錯誤することなどで少しずつ症状を改善できることが分かっています。ここで改善のヒントを2点ご紹介します。

①限界吟味をしない

愛着を他者に求めすぎる
「自分が見捨てられるのではないか」といった強い不安感や、親しい関係になった人に「自分のことをすべてわかってほしい」と思うことなどが特徴としてあげられます。このようなタイプは、重要な他者との関係を壊してしまう可能性があり注意が必要です。このような心理的な特性を限界吟味ということがあります。この人はどこまで愛してくれるのだろう?と考えるあまり、様々な試し行為をしないようにしましょう。

相手も尊重した関係を目指す
「自分のすべてを受け入れてほしい」という人は、相手も尊重した関係を目指す様にしましょう。このようなタイプの方は、自分が求めたものが返ってこないと不安になりやすい傾向があります。あなたの重要な人も、あなたとの関係性を継続できるように努力してくれています。その人が、大切に思ってくれている部分を探し、そこに目を向けていくと良いでしょう。

そして「いなくなるのが不安で仕方がない」という想いを抱くときもあると思います。その時は、少しだけ我慢できるよう努力してみましょう。例えば、相手にしがみつこうとするのではなく、一呼吸ついて別の事に打ち込むなど、自分なりの不安感への対処方法を見つけていってください。そうすると、自分も相手も居心地の良い関係でいられるのと思います。

②適度に甘える

上手く求められない
これは愛着の種類「回避」型に近いタイプです。人間だれしも困ったときには、助けが欲しくなる気持ちがあります。しかしこのようなタイプは「どのように助けを求めていいかわからない」「そもそも他者を信頼することができない」といった気持ちが壁となり、上手く人とつながれません。そのため、職場で仕事を抱え込んでしまったり、仕事がうまくいってもプライベートが充実できない状況があるかもしれません。

普段からのコミュニケーションを大切に
このようなタイプの方は、普段からコミュニケーションを大切にするよう心がけましょう。まずは、あなた自身がいきなり内面的な話をするのではなく、話しやすいところからコミュニケーションをとる等、コミュニケーションの回数を多くしていくのがコツです。

気持ちの面でのコミュニケーションが徐々にできるので、相手に自分の内面を話せるかどうか見極めるのも良いでしょう。限界吟味のように過剰に愛情を求めないのであれば、適度に甘えるのはOkです。悩みを抱え込みすぎず、相手のタイミングも見ながら悩みを相談するなどしましょう。

仲良くなるのが怖い

バランスの良い対人関係で形成しよう
当コラムでは愛着障害と形成について解説をしてきました。愛着障害の特徴は極端な対人関係を表現してしまうということです。自分と相手は違うところもあるけれど、分かち合える部分があったり、一緒に生きていくことができるという面を意識することで、少しずつ気持ちをつなぎ合わせていくことができ形成につなげる事ができます。

他者と形成する場合は、とても地道な作業なため、意識はしているものの湧き上がる気持ちを抑えきれずに極端な行動に移ってしまうということがあるかもしれません。時には3歩進んで2歩下がることもあるかもしれませんが、他者とのコミュニケーションでの試行錯誤を通して、粘り強く取り組んでみてください。

バランスの良い対人関係を意識していくことで、愛着の問題を改善してくださいね。

愛着障害 寂しい

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★子どもの愛着障害には「安定的な愛情で保育」

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
・中尾達真・加藤和生(2004)” 一般他者” を想定した愛着スタイル尺度の信頼性と妥当性の検討 九州大学心理学研究 5 19-27